「何も変わらない、私は未だ無個性のろくでなし。
ただ、今私は人間に会いたいと感じている。
昔からの私を知っていて、そしてすぐに行き過ぎてしまわない、生身の人間達に沢山会って、その人たちを大切にしたいと思った。」

綿矢りさ
「インストール」(河出書房新社刊)からの言葉

突然注目を浴びた若年芥川賞受賞作家。
受賞作「蹴りたい背中」はよく理解が出来なかった。
高校生の、よく出来た創作文集中の一作のようにしか思えなかった。
でも、その一つ前の、この作品は、青木夫人が登場してから何故か引き込まれた。
作品に触れているという気がした。
青木夫人とその息子。この2人のキャラクターは、未完成な部分も多く
またあまりにも作為的なものも感じるが、それ以上に神秘的な部分が多くて何故か惹かれた。

不登校、ネット上の性的交換など、辟易するような題材だと思いながら読んできたら、
このあまりにもありきたりな、でもとても分かりやすいメッセージ(しかも、やはり表現は独特な気がする) が登場し、
今時の高校生から意外な言葉、とても肯定的な言葉を聞けた感じで嬉しかった。
この気持ちを実感として持ちうるか。
これは子供だけのことではない気がする。

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