2018年4月27日更新

巣立っていった子どもの保護者の方からのお便り(パート2)

集団塾に通わず、算数については私の家庭教師指導だけで中学受験した子がいました。
そのお母さまに、是非後輩たちにも役立つアドバイスをくださいとお願いしましたら、次のようなメッセージを送ってくださいました。


お母さまからのお便り

久保田先生に体験授業をお願いしたのは、5年生の12月でした。

(1)久保田先生にお願いする前の状態

娘は塾には通っておらず、私が四谷大塚の算数予習シリーズを使って、家で一緒に勉強していました。
4年生の予習シリーズはなんとかなっても、5年生になるとかなり難しくなり、YouTubeの動画解説などを見て親の方が必死な状態でした。
YouTubeを見ると、中学受験独特の算数の世界を知ることができて、やはりプロの指導がなければ娘の頭の中は混乱したままになってしまうと分かりました。
甘い考えで算数素人の私が算数に口出ししてしまい、おまけに自分が分からないものだから感情的になり、娘には申し訳ないことをしたと今でも思い出します。
子どもの日常の話を聴くこと、勉強を進めさせること、怒ったり、冷静になったり、楽しくなったり、こうした様々な対応を、短い1日の中でコロコロと変えながら子どもと接する事が私にはできませんでした。
1日は途切れなく時間が流れていくので、同じ家の中で、勉強の世界と家事をしたり話を聞いたりする母親業の世界とに境界線を引くことが出来ず、自分のことで精一杯でした。

そしてプロにお願いしようとなったのですが、どうして進学塾でなかったか?

それは私個人の偏見でした。
入塾テストでクラス分けされ競争させられ子どもが受験マシーンにされるようで信用できなかったのです。
それに5年の12月からでは、いわゆる上位クラス、通常の授業で内容の良い先生の授業のクラスに最初に入れないと思いました。すると、通常授業でやること以上の問題がテストで出される事になるわけで、その後上位クラスに這い上がっていくことは無理な気がしていました。
ただ、受験が終わった今となってみると、見方によっては受験塾も良いものかもしれないとも思うようになりましたが。


(2)久保田先生に家庭教師をお願いした理由

どうして久保田先生にたどり着いたのか?

久保田先生のHP、ブログを以前から拝見していてこんな先生に指導していただけたらいいなぁと思ってはいました。一番大事な算数の過去問のページ以外は、ほぼ全て読みつくしていたと思います。
今振り返ると、あの時なぜメールを出す勇気が湧いたのか不思議です。
勇気を出して体験授業を申し込みましたら、普通のおじさんが家に来ました。

でも、普通のおじさんではありませんでした。場合の数の解法を指導してもらって母娘ともに目から鱗が落ちました。

久保田先生のブログで私が1番素敵だと思うところは、どんな子でも受け容れフォローしていきたいというところです。余程の力量がなければできないことだと思うのです。

受験までは必死で振り返る余裕などありませんでしたが、今思うと、久保田先生の指導は、ふらふらしながらもなんとか前に進もうとしている子どもに向かって、時にはかなり遠くから「こっちだよ」と、時には後ろから「そっちじゃないよ」「こっちのがいい道だよ」などと声をかけるようなご指導でした。
久保田先生は生徒によって最良の指導法を選んでらっしゃるので、生徒毎にそれぞれ様々なスタイルなのだとは思いますが、うちの娘にとってはそんな指導だったと感じています。
それでも、それが結果的には最短距離でもありました。
秋まではテレビもがっつり観て昼寝もする時間がありましたから。


(3)久保田先生との学習内容

具体的には、夏休みまでは予習シリーズ6年上を使いました。
四谷の組み分けテストに進度を合わせ、ヘクトパスカルという予習シリーズ解説サイトを参考に自習して、わからない箇所を久保田先生に指導していただきました。
宿題は一切出ませんでしたが、予習しておかないと質問もないわけですから、今振り返ると至極効率の良い授業をして下さったと思います。
また、娘もよくついていけたなぁと思います。

私がサポートしたのは読解の足らない部分を一緒に読むこと、できなかった問題の状況をメモして娘が質問をしやすいようにすることでした。
私の算数に対する余計な口出しがなくなって娘はスッキリしたようでした。
授業の後はいつもいい顔をしていました。
そして何よりも久保田先生のご指導には対話がありました。
先生が説明したり娘の説明を先生が聞いたり、久保田先生のご指摘された通り、以前の学習では対話がなかったように思います。

ある日、こんなことがありました。
娘が「前にそう習ったから」という説明をしたら、「それでは説明にならないよね」と久保田先生は厳しい険しい態度をしていらっしゃいました。
授業後、娘が「うまい言葉が見つからずどう説明していいか分からなくなった。来週の授業で説明したい」と言ってきました。私にも娘の話を聴く余裕が出来ていたのでその言葉を受け止めてやれ、先生に、次の授業でもう一度娘に説明させてくださいとお願いのメールを打ちました。
そして、翌週先生に説明する為の練習にも付き合ってやれました。
次の授業で、先生はしっかりと娘の説明を聞き、納得されていました。

夏休みからは久保田先生にご指示頂いたプラスワン問題集(東京出版)に取り組み始めました。
予習して分からないところを授業で教わるスタイルは今まで通り、久保田先生も驚く我が子の驚異的な忘却力の高さ、それを本人も自覚して、正解までの道筋をいつでもきちんと再現できるようにひたすら反復練習に臨みました。
私がサポートしたのは、次の授業までの予習範囲、すべての問題の正解不正解とその原因の分類(読み間違え・計算ミス・知識の不足)をノートに記す事でした。
3,4周終えた後は時間を計って6,7周目をやりました。問題によっては10回ほどやったものもあります。プラスワンの最終目標は、問題文を読んだ瞬時に解法が思い浮かぶレベルでした。
夏休みはプラスワンと四谷の計算問題集以外はやりませんでした。

9月からは、やはり久保田先生からご指示頂いた「計算と一行問題集」(偏差値63を超える!毎朝10分の合格トレーニング:受験研究社)も始めました。
また、これは私の判断で、入試問題研究所の学校別対策問題を購入してみました。
このことを伝えたら、久保田先生は「では、それも活用していきましょう」と、こちらも先生のご指導を受け始めました。
私がサポートしたのはコピーをして使いやすいように切り貼りする事、すべての問題の正解不正解とその原因を記す事、大まかな予習範囲を決める事でした。
これについても出来なかった問題だけをピックアップし3周ほど繰り返し練習しました。

10月になってもプラスワンの反復も繰り返していたのですが、久保田先生から、もう実戦的な問題をやる時期ですと言われて、慌てて志望校の過去問そのものに本格的に挑み始めました。
ここからの私のサポートは志望校の過去問の原寸大コピーを3,4部用意すること、採点、それらのファイルでした。

12月になってからは過去問の点数表も少しは楽しめるように面白おかしく作りました。
このような工夫で、私も娘の受験勉強を一緒に楽しんだのかもしれません。
算数は第一志望については過去10年分を繰り返しやりました。
算数についての知識はプロである久保田先生からご指導いただけていましたので、私はその他の事で声をかけていきました。
漠然と過去問を解くだけでなく、志望校はその問題を解ける子が欲しいのだという事、時間配分、瞬時に解法が浮かぶ問いが得点源である事、情報を整理すれば得点源となる問いがある事、など算数素人でも大人であればアドバイスできる事については口を酸っぱくして娘に言い聞かせ挑戦させていきました。
第一志望以外の過去問についても過去3〜5年分をやるうちに自然とそれぞれの学校の問題の違いを実感していきました。
巷では元気でパワフルだと言われているある女子校については、この学校は素直な子が欲しいからこんな素直な問題ばかりを出題しているのだとしたら、素直な優しい子が集まって中学生活が楽しいかもしれない、と娘なりの感想を持ち、第一志望校以外の学校への思いも募っていったように思います。
久保田先生が、志望校の傾向と娘の弱点とを勘案して、娘のためだけに作ってくださるプリントも3回は反復し、何度でも正解への道筋を再現できるように努めました。

9月からも週一回の家庭教師のままでしたが、1回の授業時間を2時間から3時間に変更していただきました。
私からの希望を受け、久保田先生は、他の生徒さんの指導時間を変更して調整してくださったと思います。
冬休みからは週2回3時間授業にしました。
全て、私からのお願いでしたが、先生はうまく調整して、こちらの希望にきちんと対応してくれました。

その結果、何と2月1日入試で第一志望に合格する事ができました。


(4)入試が終わって考えたこと

ここまで私がさもよいサポートをしたかのように書いてしまいましたが、実際はひどいものでした。
受験生としての自覚のなさ、なくならないケアレスミス、偏差値の低迷、それら全てについて、感情をぶちまけていました。
我が家の場合、父親は娘の受験に関与しませんでした。母娘のバトルにも一切の仲裁もなく平然と居続けた事は、娘と私が誰にも振り回されずに突き進むには、結果的には良かったのかもしれません。
「いい加減にしろ」と口を挟みたい時もあったでしょうが、そこは彼も、そして私と娘も自分の道を貫きました。
受験日程も娘と私で決定して久保田先生に報告しました。
第一志望の合不合判定は最後になってようやく45%に届いたという有様でしたが、算数以外の過去問の出来が割と良かったこと、全体的に上り調子であったこと、を理由に強気に日程を組みました。
久保田先生は、それまでもどの学校が娘に合うとか、どの学校を受けた方がいいとか一切おっしゃいませんでした。やはり、最終的に決めるのは受験者とその親です。
志望校に進学するためには、何をどの程度できるようにすればいいのか、久保田先生はただそれだけを考え、娘に教えてくれたと思います。

何をどの程度出来るようにするか?
他の3教科についても久保田先生にアドバイスを頂きました。


(5)算数以外の科目の学習について

国語は国語専門塾の存在を久保田先生のアドバイスで初めて知り、 6年に進級する直前から国語専門塾に通いました。入塾テストもなければ通塾期間中も模試の偏差値を問われることもなし、ただ、定員が少ないので入塾にはギリギリ間に合ったタイミングでしたが。これがまた普通のおじさん先生だと思ったら普通のおじさんではありませんでした。
久保田先生の趣旨と同じように、「第一志望は変えるな!うちの塾に来る子は最初はみんなどんぐりの背比べ、出来る者が受かるのではなく出来ないものを出来るようにした者が受かる」とおっしゃっていました。
国語の偏差値も低迷続きでしたが、とにかく授業が楽しいと通い続け、最後の合不合でグンと伸び、本番入試では国語や理社の読解が得点源となったようです。

理社は小さな個別指導塾で9月から過去問指導を受けることが出来ました。

社会は元から好きだったのですが、久保田先生から早めに過去問を見ておくようにアドバイスを頂けたので基本知識の徹底と歴史で重要な地理など地理歴史公民の横断的な問題を夏休みに家庭学習しました。

理科については過去問を解くようなレベルになかったので、夏休みに市販の裏ワザシリーズ(内容は裏ワザじゃなく基本中の基本)を3周ほどやり、過去問指導に備えました。

過去問個別指導でも担当の先生との対話の中で多くのこと(勉強以外にも色々と)を吸収したようです。塾内は和気あいあいとした雰囲気の中でどの子もイキイキとしている様子や、気さくな話しぶりなのに先生方のご指導のレベルの高さを娘の話から伺い知りました。
この塾は、娘が体験授業でどうしても通いたいと言うので決めたのですが、子供の直感は素晴らしいものです。
久保田先生のおっしゃる対話がここにもあふれていたのだと、私は後になって分かりました。


(6)まとめ

娘の受験スタイルは多くの方とは違ったかもしれません。
何しろ、集団塾には一回も通わなかったのですから。
娘自身が自分の勉強スタイルが好きだなと言ってきた時には嬉しかったです。
ただし、娘の通う小学校の子供たちの間では大手進学塾の上位クラスにいることがステイタスだったり一目置かれたりするようで、そういう意味では戸惑うことがかなりありましたが、それってちょっと本質とは違うんじゃないかと私には思えたので率直に娘に伝えました。
娘は先生方との対話や、合不合の成績が僅かでも上り調子だったことで戸惑いも払拭していったようです。

それにしても、子供は親だけが育てるのではないなと本当に思います。
いろいろな大人やお友達に囲まれて育っていくのだなと思います。
娘はこの中学受験で素敵な先生や仲間に出会えました。
第一志望に進学できることと同じくらい幸せなことです。

娘の塾終わりをあるカフェで待っていた時、隣で中国語の出張レッスンをしている中国人の先生が、「使わないっていうことと、使って間違えるってことは、全く違う次元の問題あるよ!」と言うのを耳にして私はひどく感動しました。
うわっ、この人ただの人に見えたけどただの人じゃない。世の中にはすぐ近くにスゴイ人がたくさんいて教わることがいっぱいです。
中学受験で勉強したのも合格したのも娘ですが、久保田先生(すぐ近くのスゴイ人)との出会いを引き寄せた第一歩だけは私がしたと自信を持って言えます。
小学校5,6年の子供ではまだ出会いを引き寄せる行動力は持ち合わせていませんから、そこだけは親が出しゃばるべきなのかもしれません。
6年の12月からは家庭教師ではなく、先生の教室に通わせました。
「のびのび学習・久保田塾」の教室は岡潔型の普通の書斎(娘の話から推測)、宣伝チラシもない、でも何かに満ちていました。ただのおじさんじゃありません。

長くなってしまい申し訳ありません。何をどう書いていいのか分からなくなってしまいました。とにかく親子が自分をしっかり持ちながら、信頼できる先生のアドバイスを仰ぐのが中学受験のやり方なのかなと思います。

娘の気持ちはもう中学生活に向いています。
受験なんて一瞬で、もう新しいスタートのことで頭はいっぱいです。
とにかく自分をしっかり持ってこの一瞬を乗り越えることが1番大事だと思います。

 

久保田塾 トップページへ