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2007年中学入試・興味深い問題 (算数)

(本年の入試の面白い問題を紹介します。) (2007年1月26日更新)

浦和明の星女子中  栄東中  灘中  西武文理中  開智中


浦和明の星女子中
 64より小さいある奇数に3をかけてできた数を64で割ったところ、余りが1となりました。
その奇数を求めなさい。


解き方

64より小さいので、その奇数を64−□と表します。
この数に3をかけると次のようになります。

 (64−□)×3
=64×3−□×3

この数を64で割ると、余りが1
ということは、あと63大きければ64で割り切れる。
つまり
□×3=63
と言えます。

だから、□=21
つまりこの奇数は
64−21=43
である。
答え 43

 

今年もこうした「数の性質」の問題があちこちで出題されています。
2007年にからめた出題もありました。


栄東中
 整数Aを4で割った余りを【A】で表します。例えば【7】=3、【20】=0となります。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) 【1】+【2】+【3】+・・・・・+【2007】を求めなさい。

(2) 【1】+【2】+【3】+・・・・・+【A】=2007となる整数Aを求めなさい。


解き方

(1) 4で割った余りによる分類ですから、
下のような表を作って考えれば良いですね。
   
   2007÷4=501・・・3
   ですから、2007は「余りが3」の列に入っています。

そこで、次のような表ができます。

グループ番号(行番号)
余りが1
余りが2
余りが3
余り0(割り切れる)
10
11
12
13
14
15
16

501

2001
2002
2003
2004
502
2005
2006
2007
 

下の方のグループ番号(行番号)は、先ほどの式の商で分かりますね。
念のために、2004÷4=501と計算しても確認できます。

「余りが1」の列(たての並び)に含まれる数についてはすべて【】=1ですから
【1】+【5】+【9】+【13】+・・・・・+【2001】+【2005】=1×502
同様に
「余りが2」の列については
【2】+【6】+【10】+【14】+・・・・・+【2002】+【2006】=2×502
「余りが3」の列については
【3】+【7】+【11】+【15】+・・・・・+【2003】+【2007】=3×502
「余り0(割り切れる)」の列については【】=0ですから考える必要はないですね。
これらを全部足せば、【1】+【2】+【3】+・・・・・+【2007】が求められます。
1×502+2×502+3×502=(1+2+3)×502=3012
答え 3012

 

(2) (1)と同じような表を作って考えれば良いのですが、(1)である程度わかってきているので、まずは計算だけでいけますね。

 2007÷(1+2+3)=334・・・3

この余りの3が何を意味するのか間違えないように!
余りの和が3という意味ですから、3=1+2
つまり最後の数は「余りが2」の数ということです。
そして、商が334ですから、この数は335番目のグループ(行)の数ということです。
下の表のようにまとめられます。

グループ番号(行番号)
余りが1
余りが2
余りが3
余り0(割り切れる)
10
11
12
13
14
15
16

334

335

N=4×334=1336
ですから
A=1336+2=1338
答え 1338

 

次も2007にからめた「数の性質」の問題です。


灘中
207、2007、20007、・・・・・のように先頭が2で末尾が7、間はすべて0である整数のうち、27で割り切れるが、81では割り切れないものを考える。この中で最も小さい数は□である。


解き方

やはり灘です。ひと味違います。
灘を始め、上位校は、その場でのひらめきや、根気を必要とする問題をよく出します。
これも特に何かを知らないとできないという問題ではないですね。
ただし、素因数分解などの基礎知識は必須です。
27=3×3×3
81=3×3×3×3
要は、3で3回まで割れる数を探すということです。

やはり順番に割っていくのが早道でしょう。
207÷3=69
69÷3=23
つまり207=3×3×23

同様に
2007=3×3×223
20007=3×3×3×3×247
200007=3×3×22223
2000007=3×3×222223
20000007=3×3×3×740741

念のために言っておきますが
各位の数字を足して3で割れなければ3の倍数ではありません。
ですから、740741はもう3で割り切れないと分かります。

以上より、3で3回だけ割れる最小の数は20000007です。
答え 20000007

「数の性質」は大事な単元です。
もう少し基本的なものも復習しておきましょう。

次も、2007に関連づけた問題です。


西武文理中
連続する9つの整数の和が2007となるとき、そのうちの最も大きい数を求めなさい。


解き方

これはよくある問題ですから、詳しい解説をしなくてもできる人も多いでしょう。
この9つの数の最小のものと最大のものの差が8ですから
最小の数に8を足し、その次の数に7を足し、と順に一つずつ小さくなる数を足していけば
最大の数と同じものが9つできあがります。
(線分図を書くと分かりやすい。)
そして、その合計は、はじめの合計(2007)に
1から8までの合計を足したものになります。
1から8までの合計は(1+8)×8÷2=36
つまり
2007+36=2043が、最大の数の9つ分ということです。
よって、
2043÷9=227
答え 227

「数の性質」は大事な単元です。今年も各校で様々な出題がされるでしょう。
以上の4問の解説をしっかり理解しておいてください。

次は、やはり定番とも言える、水のやりとりの問題です。
ただし、始めの量が明示されていないところが新鮮です。


開智中
 A、B、Cの容器にはそれぞれ水が入っていて、水の量が少ないほうから順に並べると1リットルずつの差になっています。
今、Aに入っている水の量の1/5をBに移し、その後Bに入っている水の量の1/5をCに移したところ、水の量が少ないほうから順にA、B Cとなり、AとB、BとCの差は、ともに4リットルとなりました。
このとき、次の問いに答えなさい。

(1) Bに入っている水の量はどれぐらい変化しましたか。
増えた場合は「何リットル増えた」、減った場合は「何リットル減った」、変わらない場合は「変わらない」、と答えなさい。

(2) 最初にA、B、Cの容器に入っていた水の量はそれぞれ何リットルですか。考えられるすべての場合について書きなさい。


解き方

こうした問題は、最後から逆にたどった方が楽です。

最後のAの量を[4]リットルとおくと
(なぜ[4]かと言うと、始めの状態から1/5減っただけだからです。)
最後のBの量は[4]リットル+4リットル
最後のCの量は[4]リットル+8リットル

Bは1/5をCに移したために[4]リットル+4リットルとなったので
移す前は[5]リットル+5リットル、移した量は[1]リットル+1リットルと分かります。

CはBから[1]リットル+1リットルをもらったために[4]リットル+8リットルとなったので
もらう前、すなわち始めは[3]リットル+7リットルと分かります。

これらをまとめると、下のような流れになります。

A

[5]
[4]
[4]
↓[1]

B

[4]+5
[5]+5
[4]+4
↓[1]+1
C
[3]+7
[3]+7
[4]+8

(1)上の表より、1リットル減ったとわかる。
答え 1リットル減った

(2)水の総量は[12]+12なので、平均、つまり、この場合だと、始めも最後も差が等間隔なので
真ん中の容器の水量は[4]+4と言えます。
だから、始めでは、Bが1番多いと分かります。
(Bは[4]+5だから、(平均、すなわち)真ん中の量より1リットル多いと言えます。)

2番目がAの時 [5]=[4]+4なので、[1]=4
(A、B、C)=(20、21、19)

2番目がCの時 [3]+7=[4]+4なので、[1]=3
(A、B、C)=(15、17、16)

答え  (A、B、C)=(20、21、19)と(A、B、C)=(15、17、16)



以上、簡単に、今年の入試問題を解説しました。
これからの入試対策に少しでも役立てばと思っています。



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◎また、様々な別解のストックもあります。お子さんに合う解法が示せると思います。

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