ドメゾンのピッケル

フランス・ラプラウド社による初期のメタルシャフト・ピッケル

グランドジョラス北壁やジャヌー登頂などで活躍し、人気のあったアルピニスト、ルネ・ドメゾンのモデル

 

私が高校から大学へ進んだ1970年代後半、登山用品といえば外国製品、特に本場ヨーロッパのものが人気で、その中でもこのドメゾンの名の付いた製品は洗練されたデザインで、アルプス三大北壁やそれにまつわる六級神話に憧れた世代の私としては、欲しくてたまらないものばかりだった。

ドメゾンの名の付いた登山用品はシリーズになっていて、

ザック…ミレー社のモデル#555・グランドジョラス

靴…ガリビエール社のスーパーガイドRD

ピッケル、アイゼン…ラプラウド社のワンドイシリーズ

羽毛服、シュラフ…アノラルプ社

とギアからウェアまで一応トータルコーディネイトできるようになっていた。

これらの用具は、山登りの世界では当時の最先端ブランドみたいなもので、私も金さえあれば欲しかったが、とにかく高くてなかなか手が出なかった。まぁ、仮に上から下までドメゾン・ブランド一色で揃えたとしても「あまのじゃく的な人間」が多い(?)この世界では「ミーハー」あるいは「実力もないくせに」と皮肉を込めた陰口を叩かれていただろうが(笑)

 

私の場合、2本目のピッケルとして、ラプラウド社の「スーパー・ワンドイ」というピッケルを買った。

このピッケルは、ドメゾン・モデルの用具の中では比較的安く、それでいてとても実用的だった。

当時はちょうどピッケルがウッドシャフトからメタルシャフトに替わりつつある時期。それまで私が使っていたものは、都内のSスポーツの「ガラクタ市」で買ったウッドシャフトの無名のもので、厚みのあるピックはまるで角度がなく、いかにもツルハシといった感じだった。雪上訓練の滑落停止の時などまったく止まることができず、こいつにはずいぶんと泣かされた。

それに較べてこの「スーパー・ワンドイ」というモデルはピックがとても鋭く、固い氷の斜面でも十分に威力を発揮した。もちろん、ヒマラヤにも持っていった私の大のお気に入りの一つだったのである。

ところが、残念なことにわずか1年余りで友人が又貸ししてしまい、そのまま行方不明となってしまった。あの頃は私も含めていいかげんな奴が多かったから、自分の貸した物が無くなったり、逆に誰かの物がいつの間にか自宅の物置にしまい込まれたりしたものである。

幸い、ある先輩から同じシリーズの「ワンドイ」というモデル(写真)を安く譲り受け、今でもこれを使っている。それにしても、私のお気に入りの初代「スーパー・ワンドイ」は今頃、どこに眠っているのだろうか。

 

 

 

 

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