夏の裏丹沢 神ノ川大岩沢 (単独)
日程:2006年7月30日(日) 日帰り
天候:曇り時々晴れ
行程:日陰沢橋8:30−F1−F4−三俣−終了点−大室山−犬越路−日陰沢橋16:30
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今年の梅雨はなかなか明けない。
今週末は他に計画があったのだが雨模様でお蔵入り・・と半ばあきらめていたら今度は直前に予報が好転したので、急遽近場の丹沢で計画を練る。
いくつか沢の候補があったが、迷っているうちに次第に日和って「初級」とされている大岩沢を選ぶ。
しかし実際行ってみたら、滝のグレードはV〜V+程度ながら豊富な水量と丹沢には珍しいしっかりした岩で予想外に楽しめた。
当日朝、マイカーでR16〜道志みちのルートで神ノ川林道に入る。
伊勢沢やエビラ沢でこの道もすっかり通い慣れた感があるが、朝のうちは今にも降りそうな感じで雲が厚く、ちょっと心配になる。
しかし、終点の日陰沢橋に着く頃には夏の陽射しが現れ、なかなかの沢日和。
駐車スペースや道端にはけっこう車が停まっている。
公衆トイレの前で沢仕度としていると足元に黒い虫・・・見ると今やマニアにとっても高値の花のミヤマクワガタが転がっている!
残念ながら死骸だったが、でも丹沢でもまだまだいるんだなぁとちょっと感心してしまった。
さて、大岩沢へのアプローチだが、ガイド本「丹沢の谷110ルート」はちょっと勘違いしやすいように書かれているという指摘がある。
だが、要は神ノ川ヒュッテのすぐ脇を流れているのが日陰沢で、その支流が大岩沢。
なので、誤ることはまずない。ヒュッテを越えた所からすぐに沢に入る。(10分ほど林道を登ってから入渓との記述があるが、すぐに沢に入ってしまって問題なし。)
少し行くと二俣となり、ここを右の大岩沢へ。
まずは崩れかかったコンクリート橋の下を潜り、続いて堰堤が四連続。
最初の堰堤は左から、後の三つは右端から越えるが、二つ目か三つ目が若干ザレていて悪かった。
そしていよいよ最初の滝F1(5m)が現れる。
というよりも、もうそこからいきなりゴルジュっぽくなっていて次のF2、F3が雛壇のように続いている。小粒ながらなかなかの景観。
F1はけっこう深い釜を持っており、胸辺りまで浸かりつつ右からヘツって取り付く。岩はしっかりしておりシャワーを浴びつつ正面突破。
F2(4m)も水をジャブジャブ掻き分けながら越え、続くF3(7m)は水線左脇を登る。落口はちょっと高度感があるが、岩はしっかりしていて快適。
しかし、この三つの滝を濡れるのを厭わず半袖Tシャツで登っていたら、それだけで底冷えがきてしまった。
先々週の同角沢よりも真夏に近い時期なのに、沢の水はこちらの方が格段に冷たい。
F3の上に出ると右手から明るく開けたガレ沢が合流。そのまま水流通しに進んで行くとまたまたゴルジュとなる。
左手遥か頭上の木の上からワイヤーが垂れ下がっている滝が現れる。もちろんワイヤーなど使わずにそのまま左から登れる。
陽が翳ってきて、またちょっと陰鬱な雰囲気が漂ってくる。
小さいながらも割と深い釜を越えていくと、ゴルジュの奥に核心のF4(10m)。
高さはそれほどではないにしてもドコン!ドコン!と豪快な音を立てて落ちる滝は、まずそこへ近づくことを躊躇させる。
多くのガイドブックあるいはネット上の記録でも、ここを直登したという記録は見当たらず、左岸(右側)のちょっとした壁から上がってバンド伝いに高巻いているようだ。
たしかにこのF4の中央突破は一度突っ込んだら視界は完全に遮られ、その水圧は20〜30kgの重さとなってのしかかってきそうだ。
でも・・・せっかくだから話のタネに登ってみたい!
とりあえずゴアの雨具で防寒体制をとり、水飛沫を浴びつつ近づいてみると、水流に磨かれているかと思いきやホールドは割と豊富に見える。
さらに目を凝らしてよく見ると、滝の上が大きなチョックストーンになっていて、左側から滝のトンネルを越えて何とか上へ抜けられそう。
右側はモロに水を被って呼吸困難になりそうでリスクが高いが、左側はズブ濡れになるもののチョックストーンが庇となってほんの一瞬、息継ぎできるようになっている。言うなれば右は潜水、左はクロール・・・で、ここはクロールで勝負!
気合一発、頭から突っ込む。
一々ホールドなど確認していられず、手探り足探りで本能のまま水飛沫のチムニーを抜ける。(他人が見たらただのアホだ。)
とにかくチムニーを抜けた。でも、まだ滝の途中。
抜けた先はそれまでの固い黒い岩に混ざって赤っぽい緩い岩質で、でかい浮石がいくつもある。
後続パーティーはないようなので、クリーニングがてら浮石はガンガン滝の下に落とした。
その後、モロい赤岩に注意しながらF4を抜ける。
グレードとしてはW級ないかもしれないが、気合はW+〜X級を要する。
もしかして、フリーソロ初登?・・・まさかね。
F4の上で辺りが開け、また少し陽が差してきたので、しばし低体温症となってしまった身体をさらして小休止。コンビニおにぎりで腹を満たす。
この先、右手に岩小屋があり、後になって写真で気付いたが、登っている時は滝ばかりに目がいってしまって、まるで気付かず。
また、ゴルジュっぽくなってきて滝が連続する。
F5(5m)、F6(8m)も快適。
この沢の滝はどれも水量多く、岩は固くガバが豊富。おまけにフリクションもよく効いて文句なし。
途中、洗濯機のように水流がグルグル回る釜などあり、面白い。
続くF7(7m)は水流右のコーナーから、F8(10m)は水流左からいずれも直登。
以上、ここまでは本当に滝が休む間もなく次々と現れ、飽きさせない。ここまでだったら内容的には☆☆☆☆1/2あげてもいいぐらいだ。
その先、ようやく滝がとぎれ、ナメと小滝の穏やかな流れとなる。しばらく行くと顕著な三俣。この三俣から一堂に水を集めているので下部はあれほどの水量となるのだろう。納得。
トポを確認し、三俣は真ん中の本流へ。
水流もこの辺りからグッと減り、ゴーロとなる。
途中、ボルダー向きの巨岩で遊びながら、進んで行くとF9、F10。
トポでは各15mとなっているが、雛壇型で傾斜も緩く、それほど高度感は感じない。水も少なくここも問題なし。
上に抜け最後の水を汲み、後は単調なガレ沢が稜線まで続く。
それほど歩きにくくはないが、水が涸れてからがけっこう長い。
F11(10m)、F10(6m)の涸滝は余裕かましてクライミングちっくなルート取りをする。
いよいよ稜線直下の赤土のガレ場に出る。
とたんに小蠅のような小さな羽虫が大量に顔の周りにまとわりつき、不快指数80%。
くそーっ、こっちへ来るな!
ヘルメットを脱いでブンブン振り回し顔の周りを追い払うが、まったく煩わしい。
せっかく前半部が高得点だったのに、後半の単調なガレの長さとこの羽虫のお陰で減点され、全体の評価としては☆☆☆1/2といったところか。
大したヤブこぎなどもなく、登山道に出て遡行終了。
たいそうにロープやガチャ類を持ってきたが、結局使わずオール直登できた。
一応、大室山に突き上げている沢なので、そのまま山頂まで踏んで完了としたい。
時間も遅めなので、日曜なのに山頂には誰もおらず。ブナの木に囲まれ、しばし小休止。
下山は犬越路経由で出発地の日陰沢橋へ戻ることにする。
犬越路への途中で、犬連れの夫婦らしきパーティーと会う。
最初遠巻きに見た時、緑色の覆面らしきものを二人とも被っていて思わず「ギョッ」としてしまったが、よく見たら帽子と一体型の防虫ネットだった。
なるほど、虫の多いエリアなどこれは必携かも。(ただ似ているからといって、間違ってもパンストで代用はできないだろうなぁ。)
犬越路の避難小屋は最近新調されたようで、檜のログハウス調で、用も無いのに思わず一泊してみたくなる。
まったく県も同じ税金使うなら、無駄な林道や堰堤はもういいから、誰もが使えるこういったものをもっとたくさん作ってほしい。
外のベンチで最後の行動食をとっていると、先ほどの犬連れ夫婦がやってきて隣で一休み。
で、何気に見たら彼らのザックからヘルメットが・・。
私 「あのう・・沢ですか?」
夫 「ええ、大岩沢です。」
私 「あっ、私もです。」
妻 「詰めの所にトレースあったんで、先に一人いるなぁと思ってました。」
私 「・・・えっ、でもその犬は?」
夫 「一緒に登りましたよ。水好きなんです、この犬。」
私 「!?!?」
何と彼らが連れている黒いラブラドリー・レトリーバー。登山犬ならぬ「沢登り犬」なんだそうだ。
話を聞くと、さすがに垂直近い滝のリードは無理でもっぱら専用ハーネスつけてもらってのセカンドらしいが、深い釜や徒渉、高巻きなどはお手の物でかえって人間より達者らしい。今回の大岩沢はそれほど濡れずに済んだと言っていたので、けっこう高巻きで済ませたのだろうが、それでも大したものである。
先週は奥多摩の川乗谷逆川へ行ってきたとか。
帰宅してネットで調べてみたら、この犬とは違うゴールデン・レトリーバーの「沢登り犬」がいて、ちなみにその時同行した一人が例のF4をチムニー突破していたことが判明。
いやぁ、世の中、酔狂な人間・・・ばかりか犬もいるようです(^^;)
最後はその沢登り犬パーティーと前後しつつ日陰沢橋着。帰り道、青根の「いやしの湯」で汗を流して締め括った。