紅葉の裏丹沢 神ノ川伊勢沢 (単独)
日程:2004年11月3日(祝)
天候:晴れ一時曇り
行程:日陰沢橋7:00−曲橋(下降点)7:30−伊勢沢出合7:45〜8:00−F4大滝下10:45−高巻き−落口11:30〜懸垂〜登り返し12:30−稜線15:00−姫次15:16〜30−袖平山15:42−風巻ノ頭16:30−日陰沢橋17:12
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10月最後の土曜日に奥秩父・東のナメ沢へ行く予定が直前になって雨で流れた。くそーっ。
翌週の「文化の日」にリベンジを、と思ったが、今度はパートナーの都合がつかず。
さすがに一人であの300mスラブへ行く自信はなく、代わりに以前から気になっていた裏丹沢の伊勢沢へ。
ガイド本「丹沢の谷110ルート」によれば、伊勢沢の売りは迫力の50m大滝で、人気度☆☆☆☆☆とのこと。
単独ではちとシビアな内容だが、こいつは一度見なければ始まらない。
早朝4時起床。横浜からR16号経由で「道志みち」へ。
神ノ川沿いの道に入り、エビラ沢や渓流釣場などを見送ると、やがて行き止まりとなり日陰沢橋。
この道は丹沢12時間耐久レースのコースにもなっていて、たしか数年前に走った記憶がある。
古いガイド本ではほぼ「未舗装」と記載されているが、今はきちんと全面舗装の良い道である。
適当なスペースに車を停める。家を出てから約2時間で到着した。
コンビニで買ったパンをほおばり、7時に出発。立派な公衆トイレ脇のゲートを越えて林道を歩き始める。
先ほどまでは他にハイカーの姿もチラホラ見えたが、どうやら本日、沢へ入るのは自分一人のようだ。
林道の途中、「孫右エ門沢」という沢が右手にあるが、ここのF1が見事。落差30mはあるだろうか。何とも登攀意欲をそそられる。
左手遥か下を神ノ川がクネクネ蛇行しながら流れていて、対岸の山の紅葉がなかなか見事。
トンネルを2つばかりくぐり、30分ほど歩いた「曲橋」の少し先が沢への下降点。
沢へ降りる斜面は場所を選ばないと思いのほか急で滑りやすく、早くもちょっとヒヤっとする。
沢に降り立った所がちょうど堰堤で、そこから少し左手へ戻った所で出合うのが伊勢沢。
ここで小休止を兼ね沢支度。
出合はそれほど大きくなく、本当にこの奥に50mもの大滝が隠れているのだろうかと思う。
ただ、このところの長雨で水量はかなり多い。
しばらくは岩がゴロゴロした平凡な流れだが、そのうち二段10mのF1が姿を現す。
水勢が強く正面突破は無理。いきなり巻きか?と思ったが気を取り直して様子を見ると左側、水流脇のコンタクトラインから抜けられそうだ。
とりあえず一段目は簡単。二段目は手を上に伸ばせば絶妙な位置にしっかりしたガバがあり、後は木の根などもホールドにしながら意外とスッキリ突破。
3級ぐらいか。幸先良いスタートである。
またしばらくゴロゴロした流れを行くと、現れるのがF2(15m)。
堂々とした滝で、今度は一見して手強そう。ガイド本にはヌメっているが左壁が登りやすいと書いてある。ここも水勢強く正面シャワー突破はまず無理。
左壁を観察するが、うーん、これはけっこう厳しそう。なんか真ん中辺り外傾しているみたいだし・・。あそこで固まったらヤだなと悪い予感がする。
ずっと左手、落葉に埋まった土斜面には古いトラロープらしき物が見える。釣り人もけっこう入っているようで、おそらくそのための巻き道だろう。
無理しないで巻くか、と思ったが、気持ちと裏腹に身体はいつの間にやら滝の方へ。左側からトラバース気味に取り付く。・・が、一段上がったその上がやはりシビア。
ビミョーなバランスで外傾した極小スタンスに右足を乗せねばならず、どうしてもフンギリがつかない。やっぱやめようと戻ろうとするが、ここからのクライムダウンもちょっと厳しい。
「う、・・・もしかして、これってセミ?(汗!)」
何とか気持ちを落ち着かせ、やはり突破を試みる。ハーケンを打つが、なかなか良いリスが見つからず、三度目にして、ようやくクィンクィンといい音出して決まってくれた。
ここにスリングとヌンチャクで長めのセルフビレーをとって一安心。それをバックアップとして核心の一歩を越える。
上がった後、ビミョーな体勢でスリングは回収できたが、ハーケンはそのまま残置してしまった。
あの一歩は4級ぐらいあるかも。ふ〜っ。
またしばらく小滝を越えていくと左手から三ノ沢、四ノ沢という枝沢が出合う。
木の枝越しに見る三ノ沢の滝はけっこう大きく、紅葉と相まって何とも美しい。思わず空身で写真だけ撮りに行く。
四ノ沢を分けて本流はグインと一度右にカーブする。この辺りはちょっとゴルジュっぽい。
その後もナメあり、深い釜ありでなかなか飽きさせない沢である。
やがてF3(二段15m)、そしてその上にいよいよメインエベント、F4「伊勢の大滝」(50m!)の下部がチラリと姿を現す。
とにかくF3を越えなければ大滝の全貌は拝めない。
F3も水量多く、正面突破は厳しい。右手に壊れた鎖がブラ下がっている。
とりあえず下段をクリアし、上段は固定された古いトラロープにスリングとカラビナでバックアップをとってここもクリア。
そして、いよいよF4大滝が目の前に。なるほどデカイ!カンテ状の凸型岩を中心に左右二条の滝となっている。何となく「バベルの塔」といったイメージ。
登るなら真ん中ということだが、これはけっこうヤバいかも。・・・と、もう勝手にトライする気になっている自分が怖い(笑)
さすがにフリーソロはできないので、まず右のルンゼから巻き上がり、大滝の落口から懸垂下降、そのままトップロープでチャレンジすることにした。
これまでこの方法で、表丹沢では寄沢の「イイハシの大滝(45m)」、西丹沢では東沢本棚沢の「涸棚(40m)」を登っているので、まぁ何とかなるだろう。
まずは右の赤茶けたルンゼから高巻き。巻きだと思って軽く見ていたらこれもなかなか侮れない。
上部は岩も脆く、3〜3級上ぐらいあるかも。ガイド本でもザイルを使った方が良いと書いてある。
ルンゼのどん詰まりまで40mほど上がってから左の小尾根へトラバース。そのまま大滝の落口へ。
さっそくザイル(9ミリ×50m)を出し、最初に手頃な太い立木を支点にして末端を固定。
さらに途中、岩に打ち込んである残置ハーケンにインク・ノットでバックアップをとり、シャワーも浴びるので雨具も着込む。用意は万全だ。
下に後続者はいないはずだが、念のため「ザイル、行きまーす!」と声を掛けてから宙に放ると、途中どこにも引っ掛からずにザイルはストンと一番下まで落ちていった。
注意しながらガチャとカメラだけ持ってソロソロと降りていく。滝は思ったよりずっと立っている。
途中、ランニング用のハーケンもいくつか確認できた。それにしても、ここのリードはけっこう心臓バクバクものだと思う。
結局、ザイルの末端は滝の取付きまで届かず、下から5mほど上の外傾したテラスまでだった。
ふーっ。・・・ここまで来たらもう行くしかない。
8環からバックアップ用のユマールにセットし直し、いよいよ登攀開始。
下から見上げて相当シビアに見えた滝も、取り付いてみるとホールド、スタンスは意外と豊富。
全体的にはガバorカチだ。傾斜はキツく岩は全面濡れているが、落ち着いていけば何とかなりそう。
下部をクリアし、いよいよ中心部。途中いよいよ壁は立ってきて、ホールドを上に求めると雨具の袖口から水が入って背中に回ってヒィーーーっ!となる。
冷たくて震えがきてスタンスが定まらない。
上部で左に移るルート取りもあったが、そのまま直登。あと少し。
ビミョーな体勢で足元の写真を撮るが、飛沫でカメラが濡れ何が何だかわからない。
いよいよ落口が見えてきた。そしてついに登り切る。ようやく平らな所に立ち、他に誰もいないので一人で「やった、やった。」と喜んだ(笑)。
ホールド、スタンスはまあまあ、岩もしっかりしているので難しさはたぶん4級程度だが、濡れていて立っていてあの高度感は絶対に5級の迫力。
相殺して4級上というのは妥当な線か。
とりあえずホッと一息。コンビニおにぎりで腹を満たし、遡行を続ける。
F5(二段10m)も左からすっきり越える。やがて二俣。ここは左俣を選ぶ。
途中、枝沢を分けて、さらに奥の二俣。
「丹沢の谷110ルート」では左の方が水量多いとなっているが、今日は右の方が水量多く、すぐに滝が続いていて面白そうだ。
奥の二俣(右)から最初の滝は被っていて直登は無理。今回唯一巻いた滝だ。
その後も5m級の滝がこれでもかとばかりに続く。どれも3級程度で快適に登れ、最後まで飽きさせない。というより、もうお腹一杯なんですけど(嬉)
いよいよ源頭に差しかかり、水も涸れてきた。と思ったら、すぐ上はもう稜線。
ヤブこぎなしの土の斜面を一登りしたら登山道に出た。
左手に進み、姫次という地点に到着。他に登山者の姿もなく、休憩用のベンチを占領し、一人くつろぐ。
秋の陽射しの下、蛭ケ岳が向こうに見える。
後は袖平山、風巻ノ頭と急な登山道を下るだけ。
沢でやたら写真を撮ったりしたおかげで思いのほか時間がかかってしまったが、最後はどうにかヘッドランプを使わずに済むギリギリの時間でマイカーの場所に到着した。
伊勢沢は同じ丹沢でも南側の水無川流域より水量、滝のスケールともにダイナミックで、アプローチの不便さはあるものの☆五つは納得できた。
伊勢沢スライドショー ←画像をクリックすると次に移ります。
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by 1000leaves.jp
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