冬の丹沢・葛葉川滝ノ沢
|
日 程:2002年1月29日(火) 日帰り 単独 天 候:晴れ後曇り 行 程:丹沢橋9:55−滝ノ沢出合10:23−F4不動ノ滝11:28−桜沢林道横断地点12:06−風神のコル12:28〜13:00−丹沢橋14:25
p.s.家に戻って例の「沢登り」という山渓ガイドを読み直したら、岩崎氏はシュリンゲを立木に結び付けたとのこと。そうなるとあのF4の直登部分は滝芯に近く、どうみても木が生えるような場所には思えない。おそらく氏が昔敗退した「思いでの場所」は、私がA0を使って越えたF2か、もしくはF4右壁のコンタクトラインだろうと思われる。 |
平日休みが取れたので手軽な表丹沢の南面へ向かう。 今回選んだのは葛葉川支流の滝ノ沢。一年前の冬にも出かけたのだが、間違えて隣の堂屋敷沢を登ってしまい、そのまま宿題となっていた所だ。 この滝ノ沢についてはもう一つ気になることがあった。実は山と渓谷社から発行されている「沢登り」というガイドブックの巻頭にあの岩崎元郎氏のエッセイがあり、高校生の頃の氏がこの沢を訪れた時のエピソードが書かれている。 その時は岩崎氏はまだクライミングの基本も知らず、滝の途中で行き詰まり、シュリンゲを残して敗退してきたという。もう相当昔の話だが、今でもそのシュリンゲが風に吹かれてブラ下がっているのではないかというので、それなら一丁回収してやるかと興味が湧いた。 車で東名高速を小一時間。秦野中井I.Cで降り、山へ向かって進み、表丹沢・新田川に架かる「丹沢橋」という小さな橋の脇に車を停める。自宅から見る限り、丹沢の東面はけっこう雪が付いていたが、南面に回るとほとんど積雪は見えない。 軽登山靴に履き替え、デイパック一つで出かける。犬の散歩をしていた地元のおじさんが「どっちへ?」というので「滝ノ沢」と答えると丁寧に道を教えてくれた。この辺り、特に登山用の道標があるわけでもなく、初めてだったり、暗かったりするとちょっと道に迷うかもしれない。簡単に説明すると葛葉マス釣りセンターを通り越すと丹沢橋があり、その橋を左手に渡ったら、あとは山の奥へ向かってまっすぐ行くだけだ。林道は左に大きくカーブしながら延びており、堂屋敷沢の出合、送電線の鉄塔を過ぎ、なおもしばらく行くと車止めのゲートがあり、この50mほど手前のヤブに覆われた小沢が滝ノ沢の出合である。 水が冷たそうなのでなるべく軽登山靴で飛び石伝いに行こうとしたら最初の小さなへつりで足を滑らせ、早くもドボン!(笑)いさぎよく渓流タビに履き替えた。すぐにF1(5m)。水流通しにシャワークライム(3級−?)。早くもヒザ下がビショ濡れになり、我ながらこんな冬にまったく一人で何やってんだかと苦笑する。 その後、堰堤を2〜3つ左手から越える。高巻きも脆いガレ場でちょっとイヤらしい。 ヤブを掻き分け進むとやがてF2(10m)。右手のザレから取り付き、水流右手の凹状を行くが最後の出口付近がスタンスが乏しくちょっとイヤらしい。残置ハーケンが連打されており本当はザイルを使ってランニングを取りたいところだ。頭上にある直径5cmほどの立木にランジしようかと思ったが、根が浮いているようにも見え、いきなり飛びついたとたん、「バキッ!」ってことにもなりかねない。 こんな所で無理して落ちて、頭カチ割っても面白くないよなぁと考え直し、無理せず持っていたシュリンゲを使いA0で突破する。3級+ぐらいだろうが、どうも今日はまだ身体がギコチない(←言い訳)。 しばらく小さい段差が続く中を遡っていくと、やがて幅広型のF3(8m)。ここは大きなガバ・ホールドで簡単(2級)。二条の水流のど真ん中を快適に直登する。 そこを過ぎると上の方に見事な滝が現れる。「不動ノ滝」と呼ばれるF4(13m)とF5(10m)で、下から見ると二段ノ大滝といった感じだ。滝の左手前には岩をくり抜いた「お不動様」が祀られ、先ほどの林道から山腹を辿って直接ここまで来ることができるようだ。 F4はほぼ垂直。水流右の中間地点に残置カラビナが3つもブラ下がっている。 「おっ!イイものみっけ!(笑)」 こういう場合、持っていっちゃても誰も文句言わないよな。近づいて回収しようと試みるが、壁はけっこう立っており、ザイルなしだとちょっと怖い(見た感じ4級+、A0ぐらい)。もしかしてあの一つが岩崎氏の残していったものか?よくあんな所まで単独で登ったよなと感心する。無理はしないことにして、右側の滝と土壁のコンタクトラインをへつるようにして上に抜ける。ここにも途中ハーケンが数本打たれている。けっこう高度感のある所だ(3級)。 F4の上にちょっとした段差があり、すぐF5と続く。ここも水流左を直登できるらしいが、通常は左のザレから巻くらしいので、素直にそうする。岩が脆く、パーティーがダンゴ状態の時は落石に注意したいところだ。 ここを過ぎるとクライマックスは終わり。水流もほとんど消え、まだらに雪が積もる小滝をペースを上げて遡っていく。やがて右手に転落してひっくり返ったクルマの残骸を見るとすぐ上を桜沢林道が横切る。 ちょうど林道工事のトラックの人たちが弁当を食べている時間で、人気のない平日に一人で沢を歩いている私を怪訝な目つきで見送ってくれる。 林道の上はすぐに二俣。どちらも堰堤となっており、適当に古い堰堤の方の沢へ入っていく。ルート図によると堰堤は一つのようだが、その先もいくつか続いているので途中からさらに左の支沢へ入る。 小雪の積もった滑り台のような傾斜のナメ滝を渓流タビで快適に飛ばし、やがて樹林帯を入っていくと終了点の「風神のコル」に着いた。 沢の中にいた先ほどから頭上で妙な金属音がしていたのだが、上へ着いてみるとそこは林道工事の物資運搬用のヘリポートになっていた。 近くにあるパラグライダー離陸用スロープで濡れた足を乾かし、昼食。平日のため他に登山者は見当たらない。午前中は晴れていたが、この頃から上空に灰色の雪雲が立ちこめ、回りの大山や二ノ塔がやけに寒々しく目に映る。南西の方角は晴れていて、雲の切れ間から相模湾に陽が差し、真鶴の海岸線や初島、利島などが幻想的に見えた。帰りは道端の空き缶などを拾いながら名水「葛葉ノ泉」経由で下山。半日程度の冬の渓流散歩 だった。 |
|
|