Only you.....

◇Act6◇






それでもやっぱり姫条くんのことを無視することは出来なくて、その日の夜、電話をかけてみることにした。


携帯を見つめながら、何て言えばいいのか悩む。

姫条くんの気持ちは凄く嬉しかった。

でも、わたしは の事が好き・・・・・。


一度、別れを決めた。

姫条くんと一緒にいることで、 のことを忘れてしまおうってズルイことも考えた。

でも、そんなことは出来るはずもなくて・・・・・。



そんなことを考えながら悩んでいると、急に携帯が鳴り出した。


相手は・・・・・ だった・・・・・。


今、一番聞きたくて、でも、話すのが怖い ・・・・・。

少し躊躇ってから、かかってきた電話が切れてしまうのがイヤで、咄嗟にボタンを押した。

それでも、声を出す事が出来なくて、無言で電話に出た。


『・・・・・・・・・・・・。』

・・・・・。俺、葉月だけど・・・・・。』

『うん・・・・・。』

『今、平気か?』

『うん・・・・・。』

『俺、今、家の前にいるんだ。少し、出てこれないか・・・・・。』



急いで、カーテンを開け、窓を開けて、外を覗き込む。

家の前には本当に がいて、わたしの部屋を見上げながら立っていた。


わたしは、返事をするのも忘れて、急いで上着を着て、携帯を握り締めながら外に出た。


「・・・・・どう、したの?」


少し息を切らせながら に話しかる。


、もしかして寝てた? 」

「ううん。起きてたよ・・・・・。」


「・・・・・おまえ、パジャマだろ?」

「あ、うん。急いでたから、上着、着ただけ。でも、起きてたよ。」

「急に悪かった・・・・・。どうしても、おまえに、会いたくて・・・・・。」

・・・・・あっ。」


急に抱きしめられて、わたしの頭は混乱した。

久しぶりの の温もり。

それだけで、おかしくなりそうだった。


会いたくて、会いたくて、何度も泣いた夜。

別れを告げたことを後悔した。

けして、忘れる事の出来なかった温もり・・・・・。



洋服越しに感じる の体温。

凄く冷たくて、どれだけ外にいたんだろうって思った。


、体、凄く冷えてる・・・・・。」

「そうか?」

「うん。凄く冷たいよ。頬だってこんなに・・・・・。」


に抱きしめられながら、自然と の頬に触れてしまった。

自分のしてしまったことに驚いて、 から離れようと思った。

でも、 はそれを許してくれなくて、抱きしめられた腕にいっそう力が込められた。


、苦しいよ・・・・・。」

「でも、おまえ逃げるだろ?」

「だって・・・・・。」


「俺、おまえに会えなくて苦しかった。 がいないと俺、ダメなんだ・・・・・。」

・・・・・嫌われたかと思った・・・・・。怒ってたよね。」

「ああ・・・・・怒ってた。一人で悩んで、勝手に俺から離れていった。俺、おまえになら嫉妬されるのも、イヤじゃナイ。」

「・・・・・知ってたの?」

「あたりまえだろ?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「俺だって、嫉妬する。今日、姫条が来ただろ?あんなにタイミングよく現れるはずナイ。どうせ、おまえの後、付けてたんだろ?」

「・・・・・うん・・・・・。」


「本当はおまえのこと、帰らせたくなかった。でも、俺、姫条に嫉妬したんだ。だから・・・・・大人げないだろ?」

「ううん・・・・・そんなことないよ・・・・・。」

「俺も・・・・・ と同じ気持ち。」

「あ・・・・・。」

「俺、自分の気持ち、言葉にするの上手くないんだ。だから・・・・・。 が嫉妬してくれるのは嬉しい。イヤだって思ったのは、自分の事。いつも、おまえにイヤな思いさせてるから・・・・・。」

「そんなこと・・・・・。」

「実際そうだろ?だから、 に辛いこと言わせてしまった。悪かった・・・・・。」



そっと触れた の唇。

凄く冷たかったけど、 の暖かい気持ちが伝わってきた。

自然と溢れてくる涙。

もう、悲しい涙じゃナイ。




と離れることは出来ナイ。




わたしには、 しかいないから・・・・・。





to be continued.....




2003.2.23
くみ




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