トウガラシの辛味成分であるカプサイシンは、脂肪燃焼効果があるというので注目されています。女子高生などはマイ・トウガラシとかで一味トウガラシの小びんを携帯して何にでもかけるのだとか。
実は、カプサイシンの研究は歴史が古く、100年も前にすでに化学構造が知られていました。
動物(マウス)を使った実験によると、カプサイシンを投与すると代謝が活発になって体温が上昇し、長期にわたる投与ではカプサイシンの摂取量が多いほど腎周囲脂肪組織(いわゆるウエスト周りの脂肪)の重量が少なくなるという結果が得られています。人間でも、トウガラシを一回に10g(七味トウガラシのびん1本は約15〜18g)摂取すると、食後の代謝が活発になって体温が上がり、とくに脂肪の多い食事の方が炭水化物の多い食事の時よりも効果的に多くの発熱が起こるということです。つまり、あぶらっぽい食事が好みの人には効果が大きく、炭水化物(ごはん、パン、砂糖など)の好きな人にはあまり効果は期待できないということです。食後に体温が上がるということは、食べたものから得られるエネルギーが無駄に消費されているということですから、体脂肪が増えにくいということです。
研究によって、カプサイシンは自律神経と内分泌系にはたらいて、皮膚からの放熱(発汗)、新陳代謝(発熱)、エネルギー代謝(脂肪燃焼)を促進させることがわかってきました。
それにしても、毎食七味トウガラシ約2分の1本もふりかけるなんて、現実的ではありません。体脂肪を減少させるのに効果的なカプサイシン摂取量は生のトウガラシでいうと40本にもなります。
そこでカプサイシンと同程度の効果をもち、からくない成分を含むトウガラシの品種を探したところ、京都大学の教授が品種改良によって生み出したもので、カプサイシンをほとんど含まないかわりに、構造がよく似た「カプシエイト」という成分を含有。辛味はほとんどなく、マウス実験によってカプサイシンと同程度の減量効果を持つことも確認されたそうだ。
「普通のからい唐辛子」が好きな人には興味のない話かもしれないが、普通の唐辛子は減量効果が出るほどたくさん食べられないのに対して、辛味のないカプシエイトなら大量に食品に混ぜられるとのことで、ダイエット食品としての実用化にひとつ期待したいところである。という成分を含む品種が見つかりました。これは今のところCH−19甘とよばれています。
コショウ、ショウガ、マスタード、にんにくなどの辛味成分では、カプサイシンのようなアドレナリン分泌促進効果はないか、あってもごく小さいということです。
ラットの実験ではカプサイシンを投与すると皮膚からの熱の発散が起きて一時的に体温を下げるメカニズムとともに、体内で発熱するメカニズムがはたらきます。暑い国でからいものが好んで食べられるのは、この一時的な体温低下のためでしょう。
ただし、からいものは食欲をますので、食欲に任せて食べる量が増えたら何にもなりません。 運動による減量は体脂肪を減少し脂肪以外の組織(筋肉や骨など)は増加します、食事制限によるダイエットは体脂肪だけでなく脂肪以外の組織も減ってしまいリバウンドも起こりやすいという欠点があります。カプサイシンは脂肪を燃焼し基礎代謝を高めるという点で、運動とダイエットの中間的効果があるといえそうです。
また最新の研究ではカプサイシンにガン細胞の増殖を抑制する効果が見つかって抗癌作用として注目されているそうです。