本当は面白い相対性理論 ~印なき封印呪縛~

制作者:KrK (Knuth for Kludge)

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物理学の中でも「相対性理論」は一般的に難しい部類だと考えられている節がある。が、特に特殊相対性理論の入り口にいたっては、実はものすごい簡単である。

中高物理学として最初に習うのはニュートン力学である。これはF=ma、すなわち「力は質量と加速度をかけたものに等しい」が入り口である。ここでは「力」「質量」という漠然としたものと、日常会話には出てこない「加速度」というものが出てくる。

一方特殊相対性理論は「速度が上がると時間が遅れる」が入り口である。「速度」「時間」という日常会話で普通に使う言葉しか出てこない。ニュートン力学よりよっぽど簡単である。

よく相対性理論の説明のはじめとして、「ホームを横切る列車に向かって光を放って、電車内の鏡で返ってくる光」を説明として使う本が多い。が、あれはあくまで時間が遅れる「証明」であって本質ではない。繰り返しになるが、本質は「時間が遅れる」ただそれだけである。

ただ、納得するのが難しい。「時間が遅れる」ってなんのこっちゃ?ってことである。自分が思うに、このことを本当に肌で実感できている物理学者はあまりいないのではないか。「時間が遅れる」「時間が遅れる」と繰り返し出て、繰り返し計算しているのでそういうものだと納得してしまっているだけではないだろうか?実際に「時間が遅れている」状態を頭の中で描ききっている物理学者なんて少数も少数、もしかしたら皆無なのではないかとすら思ってしまう。

重力を考えない素の「質量」だって、頭の中で「そういうもの」として処理してて、実感できている人は少ないのではないだろうか?月に行くと重さが6分の1になるって言われても、それを肌で実感できている人は少ないであろう。中高で暗記の形で覚えこんだから解った気になっているだけではないだろうか?そして、それ自体は決して悪いことではない。

難しいことは考えず、本に書いてある「速度が上がると時間が遅れる」という記述を「そういうものか」と流して読むと、特殊相対性理論はものすごく簡単に理解できる。

科学教育においては、とにかく数学的確かさを絶対だとみなす傾向がある。しかし、人の心を動かすのには数学は荷が重い。自分のような凡人はアプリオリに近いものは信じるしかない。「空間とはなにか」なんて説明できない。それと同じで、相対論も信じるしかない。証明ならまだしも、とてもじゃないが「解説」できない。それで良いと思っている。

もう少し数学を使わない物理教育をすれば、物理学も楽しめるのではないかと素人考えをしている。

「現実は単なる幻想だ、例え常に変わらないものであっても。」Albert Einstein


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