宗教と科学と妄信と ~何人も語ることなし~

制作者:KrK (Knuth for Kludge)

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昔「宗教と科学って真逆じゃないの?」という意見を貰ったことがある。高校の頃から科学史の本を読みつないでいる身からすると、違和感しか覚えない言葉であった。

宗教と科学、どこが違うのだろう。上記発言者によると、「科学は真実、宗教は嘘」らしい。嘘、は言い過ぎだとしても、確かにその様な感覚を持った話に触れることも多い。では真実とは何だろう?

修行を積めば空を飛ぶことができるとする宗教、それは無理だとする科学。そして事実目の前で宙に浮いている修行者、真実はどちらだろう?多くの人は「いや、なにか仕掛けがあってそう見えているだけで、本当は浮いていない」と言うかもしれない。

では見かけだけのものは「嘘」なのだろうか?

古典科学であるニュートン力学は、「絶対空間と絶対時間」の元で成り立っている。現代科学である相対性理論は、この2つを否定している。そして一般生活ではお目見えしない超高速運動時を考えると、相対性理論の方が「正しい」とされている。つまりニュートン力学は「間違っている」のである。更に言うと相対性理論もブラックホール特異点では破綻するらしい。

そもそも法則はどこかに「存在」するものではなく、「見た目」を「説明」する言語ゲームである。宗教よりニュートン力学、ニュートン力学より相対性理論の方がより多くの「見た目」を「説明」できるに過ぎない。

何故人々は「ニュートン力学よりこちら」を「真実」とし、「宗教よりあちら」を「嘘」とするのだろう?何故境目をニュートン力学と相対性理論の間に置いて、ニュートン力学を「嘘」としないのだろう?

宗教と科学は同等ではないが、同質である。

「神という仮定は、それが示すいちばん広い意味でも機能するのなら、真である。」William James"Pragmatism"


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