intel in summary ~インテルCPU大まかまとめ~
制作者:KrK (Knuth for Kludge)
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雑多
※公式の分類ではありません。
黎明期
4004
- 1971年
- 世界最初のCPU
- 4bit
- ROM「4001」、RAM「4002」、シフトレジスタ「4003」の次
- 8個の汎用レジスタと、46というわずかな命令セットのみ
- 1桁分の演算しかこなせない
- 良くも悪くもすべてプログラムで対応する
- 両脇にピンが並び、細長な「DIP」スタイルだった
- 日本のビジコン社と共同開発
4040
- 1972年
- 4004の拡張版
- 14の命令セットを追加
- 割り込み機能を実装
8008
- 1972年
- 8bit化
- 4004にターミナルコントローラ機能を追加
- 最初期のパーソナルコンピュータ製品に採用された
- 商業的に成功を収めた
8080
- 1974年
- 8008の機能強化版
- 大幅に改良が加えられた
- 8008と命令の互換性は無い
- ソースコードの変換によって互換性が保たれた
- より汎用的なマイクロプロセッサになることを意識して設計された
- 8008の周辺チップにあった機能を一つのパッケージに統合
- わずかな周辺チップでシステムを構築できるCPUとなった
- 初の個人向けコンピュータ「Altair」に搭載された
- 初の日本産パソコンキット「TK-80」にも互換CPUが搭載された
- Digital Research「CP/M」の初版が作られた
8085
- 1976年
- 8080の機能強化版
- 8080の使いづらい点を改良したもの
- 命令セットは8080上位互換
- 周辺回路集約
- クロックジェネレータやバスコントローラ、簡易な割り込みコントローラも内蔵
- 型番の最後の5は、単一電源「+5V」に由来する
- 8080は+12V、+5V、-5Vの3種類の電源を要求した
- Zilog社による高機能な8080上位互換「Z80」が存在したため、採用された例は少ない
第1世代
8086
- 1978年
- 16bit化
- x86アーキテクチャ最初のCPU
- 8080ソースを再アセンブルして8086用バイナリを生成できた
- 8080の拡張版と言える
- 乗除算などの命令を強化
- アドレス変換のための「セグメントレジスタ」を搭載
- それにより、1MBのメモリアドレッシングが可能に
- ただし、プログラムが煩雑になるため、プログラマからは嫌われた
- OSとしてMS-DOS、PC DOS、CP/M-86が存在
- 初代PC-98に互換チップが採用された
8088
- 1979年
- 8086の廉価版
- 外部バスが8bit
- 初代IBM PCに採用された
80186
- 1982年
- 組み込み用CPU
- 8086に周辺回路を内蔵したもの
- より少ないパーツで構成できる様になった
- マイクロコントローラに近い
80188
- 1982年
- 外部データバス幅が8bitの廉価版
- 8086に対する8088にあたる
第2世代
80286
- 1982年
- メモリ周りを大幅に強化
- 16MBの実メモリの実装を実現
- 仮想メモリで、1GBのメモリ空間を利用できるように
- マルチタスクに備えた保護機能も搭載
- 8086互換「リアルモード」とフル機能の「プロテクトモード」を搭載
- 両モードはCPUをリセットしないと切り替えられなかった
- 「プロテクトモード」の名前の由来はメモリ保護機能から
- 初代PC/ATに搭載されたことで、広く普及した
- ただし、まだリアルモードのみ対応のソフトばかりであった
- ピンを裏面に配した、正方形の「PGA」となる
- セカンドソース推進戦略を採用
第3世代
i386DX
- 1985年
- 32bit化
- 命令セットアーキテクチャ「IA-32」が確立
- アーキテクチャを大幅に変更
- 80286までの機能もすべて継承
- 実メモリ4GB、仮想メモリ16TBまで対応
- リアルモードとプロテクトモードをコマンドで切り替えられる様に
- 同時に複数のリアルモードをシミュレートする「仮想86モード」を搭載
- Windowsでは「仮想86モード」で複数のDOSアプリケーションマルチタスクを実現
- 「仮想86モード」は「仮想リアルモード」とも呼ばれた
- 主にMS-DOS環境下で使われた
- 数字だけでは商標として登録できないため「i」が付けられた
- 名前に「DX」が付いたのは、下記「SX」が発売されてから
- セカンドソースを廃止
i386SX
i386SL
- 1990年
- ノートパソコン向けに消費電力機能を搭載
第4世代
i486DX
- 1989年
- 発売当初は「i386の改良版」に留まった
- L1キャッシュ(1次キャッシュ)が内蔵された
- 浮動小数点演算用FPUが組み込まれた
- ただし、浮動小数点演算を必要とするユーザーは少なかった
i486SX
- 1991年
- 数値演算コプロセッサ機能を省いた廉価版
i486DX2
- 1992年
- 内部クロックを2倍にして性能向上したもの
i486DX4
- 1994年
- 内部クロックを3倍にして性能向上したもの
- モデルによっては初期Pentiumを上回る性能を実現した
第5世代
Pentium
- 1993年
- 内部は32bitの延長だが、外部バスが64bit
- 当時主流のVLバスを切り捨てることになった
- 次世代のPCIバスは立ち上がるのが遅かった
- 命令を並列実行する「スーパースカラー」が採用された
- 浮動小数点演算速度が大幅に向上した
- パワーマネージメント機能を標準サポートした
- Windows95の普及と重なる
- ブランド名として確立するために造語に
- ギリシア語で「5」の「Penta」+ラテン語で「要素」の「ium」
- 短い数字とアルファベットでは商標として認められなかった、とも
Pentium with MMX Technology
- 1997年
- マルチメディアを扱う「MMX」拡張命令セットを搭載
- 他にもL1キャッシュ(1次キャッシュ)容量の倍増などが施された
第6世代
Pentium Pro
- 1995年
- P6マイクロアーキテクチャを最初に採用した製品
- L2キャッシュ(2次キャッシュ)が内蔵された
- サーバー向け
- Pentiumを冠しているが、内部構造は大きく異なる
- RISC設計思想を取り込み、x86命令を複数の単純化した命令に分割して実行する
- 多段パイプラインを効率よく動作させるための「分岐予測」を採用
- 32bitコードに最適化
- 一般にはあまり普及していない
PentiumⅡ
- 1997年
- Pentium Proがベース
- 16bit処理を強化
- 命令のスケジューリング機能も搭載
- それにより、スーパーパイプラインがフル回転する様に工夫されている
- マルチメディアを扱う「MMX」拡張命令セットを搭載
- 一般にも広がり始める
- Windows95からWindows98への移行とオーバーラップする
- カートリッジ形式(Slot 1)を採用
Celeron
- 1998年
- 廉価版
- 当初はL2キャッシュも搭載していなかった
- 形を変え、ブランド名は2023年まで生き残る
Xeon
- 1998年
- サーバ用PentiumⅡ
- キャッシュメモリを増量
- 4CPUまでのマルチプロセッサに対応
- 形を変え、ブランド名は2024年現在まだ生き残っている
PentiumⅢ
- 1999年
- 浮動小数点計算拡張命令セット「SSE」を追加
- ただし、SSEに対応したアプリケーションは少なかった
- 実質「高速なPentiumⅡ」だった
- 従来のPGA版も用意された
第7世代
Pentium 4
- 2000年
- 新アーキテクチャ「NetBurst」
- MMXとSSEに加え、SSE2が追加された
- 2004年から「SSE3」も追加された
- 形状はPGAに回帰
- モバイル用途として実用的ではないほど消費電力と発熱が多かった
Pentium 4-M
- 2002年
- 低消費電力など、モバイル向け機能を有効にしたもの
Pentium M
- 2003年
- モバイル専用に設計されたもの
- NetBurstではなくP6マクロアーキテクチャに抜本的な改良を加えたもの
Pentium D
- 2005年
- NetBurstデュアルコア版
- 熱問題を回避
- 翌年Core 2が発売されたため、役目を終えた
Pentium Extreme Edition
- 2005年
- デュアルコア
- 基本はPentium Dと同じ
- OS上からはクアッドコアであるかの様に見える「Hyper-Threading Technology」搭載
第8世代
Itanium
- 2001年
- 64bit化(IA-64)
- 命令レベルの並列性を発揮することで拡張性を確保することを目的とした
- i386以来となる大規模なアーキテクチャ変更
- IA-32命令を実行する際にはモード切り替えが行われる
- 広くは普及しなかった
- 後発のx64に取って代わった
- 読みは「アイテニアム」
- 金属元素「Titanium(チタニウム)」から名付けられた説がある
- アーキテクチャ名が「P7」なので、これが第7世代なのかも…
Itanium 2
- 2002年
- 信頼性の向上にプロセッサレベルで対応
- IA-32を処理するハードウェアデコーダが搭載された
第9世代
intel Core Duo
- 2006年
- P6マイクロアーキテクチャのPentium Mに改良を加えたもの
- デュアルコア化を前提として設計されたCPU
- IPC(プロセス間通信)重視で設計されたアーキテクチャ
- クロック数最重視の設計に終止符を打った
- 高効率と低電力を目指した
- Mac(iMac、MacBook Pro)に、Intelプロセッサとして初めて採用された
intel Core Solo
Pentium Dual-Core
- 2006年
- Coreマイクロアーキテクチャを採用
- Core 2 Duoの廉価版
- Pentiumブランドの存続を狙ったもの
第10世代
intel Core 2 Extreme
- 2006年
- 64bit化(x64)
- 拡張命令「SSSE3」を搭載
- NetBurstを完全に引き継ぐ
- ハイエンド向け
intel Core 2 Duo
intel Core2 Quad
- 2007年
- インテル一般向け製品初のクアッドコア(4コア)版
intel Core 2 Solo
Atom
- 2008年
- 32bit
- 低価格PC、組込みシステム向け
- 2012年からx64に対応
- 形を変え、ブランド名は2024年現在まだ生き残っている
第11世代
intel Core i7
- 2008年
- Core 2の後継
- メモリコントローラをCPUに内蔵
- ノースブリッジに該当するLSIがマザーボード上に存在しない様になった
- ハイクラス向け製品
intel Core i5
- 2009年
- Core i7の下位版
- パーソナルコンピュータ向け
intel Core i3
- 2009年
- Core i5の更に下位版
- メインストリーム向け
Pentium
- 2010年
- Pentium Dual-Coreの後継
- グラフィックスコントローラ(HD Graphics)を内蔵
- Pentiumブランドの存続を狙ったもの
intel Core M
- 2014年
- モバイルコンピューター向け
- 消費電力や発熱が抑えられている
intel Core i9
- 2017年
- Core i7の上位版
- ハイエンドデスクトップ向け
- 一般向け最上位に位置するプロセッサ
第12世代
intel Core Ultra 5/7/9
- 2023年
- Core iシリーズの後継
- パフォーマンスと効率が向上
- NPUの搭載によりAI機能が強化
intel Core 3/5/7
Intel Processor
- 2023年
- Core 3の更に下位モデル
- PentiumブランドとCeleronブランドを統合
- Intel、Intel N、Intel Uシリーズが存在
最終更新:2025/04/27
主要参考文献
- DOS/V POWER REPORT『Intel CPUカタログ』
- DOS/V magazine 2002/1/1号「インテルCPUの系譜」
主要参考ページ
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