■ 原告被害者の訴え(全文)

○02.11.16 第4回薬害根絶フォーラムにて
(全国薬害被害者団体連絡協議会ホームページより)http://homepage1.nifty.com/hkr/yakugai/

村田: 谷さん、ご苦労様でした。続いて混合ワクチンの被害の実態報告、MMRの実態報告を致しますが、マスコミの方にお願いしておきますが、このMMRでの実態報告をなさる方については取材をちょっと差し控えていただきたいという、ご本人の強い希望がありましたので、その点よろしくお願いしたいと思います。では続きまして、MMRの実態報告、木下さんご夫妻とAさん、3人の方によってビデオを使いながらの実態報告を致します。では、お願いします。

MMR被害 木下さんご夫妻、Aさん、上野さん(ビデオ参加)

− MMR訴訟への経緯 −

木下: MMRワクチンの実態と、現在係争中のMMR訴訟の経過について、ご報告させていただきたいと思います。まず3原告を簡単に紹介させてもらいます。私が木下です。妻の佳代子です。そしてAさんです。私の息子は平成3年MMRの予防接種を受け、脳症となり、1年1ヵ月後死亡しました。Aさんの息子さんは、平成元年に接種し、急性脳症になり死亡致しました。岩手県に住んでおられる上野花ちゃんは、平成3年に接種し、急性脳症により重度の心身障害児となり、現在13歳です。今まで普通に暮らしてきた私たち3家族がどのように被害に出会い、今まで闘ってきたのかお話させてもらいます。上野花ちゃんは体調のこともあり、今日は参加できませんでしたが、ビデオで登場してもらいます。
    まず最初に、MMR訴訟についてお話させてもらいます。争点と致しまして、ワクチンの欠陥性、それから阪大微生物研究会の製造責任、国は何の対策もとらず被害者だけを増やしていった国の責任について争っております。そもそもMMRワクチンと言いますのは、はしか・ふうしん・おたふく風邪の3つの混合ワクチンであり、一度に3つの病気が防げるという触れこみで、平成3年4月に導入されました。しかしその実態は、わかっているだけでも死亡5人、後遺症を認定された方が4人、無菌性髄膜炎という副作用被害にあった子どもたちは1800人以上にも及んでいます。
平成5年4月に接種見合わせという形で幕を引きましたが、国はその間、何の有効的な対策も取ってきませんでした。阪大微研は、さらに無許可の製造方法でワクチンを製造し、薬事法違反で営業停止処分も受けております。この人の命や健康を軽く見て、お金儲けしか考えない阪大微研を、許すことはできません。また国が何もしなかったということは、これは明らかな犯罪だと思っております。ただ本来のはしかワクチンに戻すだけで、1800人もの被害者を出すこともなく、まして私達の子どもも死亡することもなく、また後遺症もありませんでした。国や阪大微研は、この裁判の中でも謝罪したことはありません。まして、反省すらしておりません。私達の死亡や後遺症を残した原因として、未知のウイルスのせいだとか、家族の病気が移ったとか、そういうふうにさえ主張しております。

− MMR訴訟のこれから −

木下: 最後にMMR訴訟の最新情報について、お話させていただきます。平成5年12月に大阪地裁に提訴し、平成14年5月結審しまして、今月28日に判決の予定でしたが、急遽延期になりました。理由と致しまして、国は被害情報を隠しており、審議会の議事録などはないというふうに主張しておりましたけども、国会に質問支持証(?)というものを提出し、国からの回答により、次のことが分かりました。導入開始の3ヶ月間で死亡一例を含む重度の被害者が3名おられることが分かりました。国はMMRの重篤な被害がないというということで、MMRを勧めるような通達を流し、また証人尋問でも死亡例はないと主張しております。明らかに偽証だと思います。更に、他の予防接種では、死亡例が出たら速やかに中止という措置もとっております。この新たな資料を採用するように申し立て、裁判所は28日判決の予定を、進行協議という形に変更しました。国の嘘が判明したわけですけども、まだまだ予断を許されないような状況です。
私達の使命は、この裁判で国や阪大微研の全ての責任を認めさせ、謝罪させることです。真に国民のほうを向いた行政となるように、2度と薬害が繰り返されないように、薬害ヤコブ病の勝訴に続き、私たちも勝ちつづけていかなければならないと思っております。判決は伸びましたが、MMR訴訟に更なるご支援とご協力をお願い致します。

− よかれと思ってしたことが −

木下: 木下の家内です。次に、私達の息子、木下大輔の被害の実態をご報告させていただきたいと思います。MMRワクチンは平成元年の4月に導入され、その年の9月に息子は生まれました。その時の市の広報には「はしかワクチンは平成元年4月よりMMRに切り替わりました」と書いてありました。また、1人目の子どもで不安もありましたので、育児書・育児雑誌をよく読んでおりましたが、そこにははしかやおたふくかぜなどの「うつる病気の恐ろしさ」が書かれており、「恐ろしい病気からワクチンで赤ちゃんを守ってあげるのが親の愛情ですよ」といった文章で、必ずといっていいほど締めくくられてありました。そして、「スケジュール表」なるものまでついていて、いつの間にか私は、「子どもの健康を守るためには全ての予防接種を受けさせていってあげることが大事なことなんだ」と思わされていました。また、MMRについては、「3つの病気を1回のワクチン接種で防げるのであれば、息子も痛い思いは1回で済むし、子どもにとって病院に行く回数は少ないほうがいいよね」という思いで、私は平成3年6月27日に、MMRワクチンを接種させてしまったのでした。
接種してから2日後の6月27日夕方、息子は突然激しいけいれんを起こし、救急車で市内の大きな病院のICUに入院する事態となりました。入院直後の生命の危機こそ乗り越えることができましたが、首から下が全く動かなくなり、呼吸するための器官も麻痺してしまったため、人工呼吸器を24時間手放すことができなくなってしまいました。入院中は1回も家に帰宅することはできず、また入浴をさせてもらうときも、看護婦さんに3人がかりで小さな体を支え、そのうちの1人が常に手動ポンプで空気を送っておいてやらないと、たちまち生命の危機となる状態でした。そして、長期の人口換気が体の負担となってしまい、1年1ヶ月後の平成4年8月8日に息子は亡くなりました。

− 真に「子供たちのため」の予防接種を −

木下: 接種した病院の先生が、事故の起こった頃より「これはMMRワクチンによる予防接種被害ではないでしょうか」と言ってくださり、行政への手続き方法を教えてくれたり、また弁護士さんを紹介してくれたことで、早い時期からMMR被害であることを疑え、また訴訟にこぎつけることができたのですが、私たち親が安心して育児をできる環境を整え、健康に育てるための支援をするべき行政や育児情報は、自分達の本来の目的を忘れています。そして利益を得ることを第1に考えて、親たちに病気の不安をあおり、ワクチン接種へとかりたてています。
MMRワクチンは、息子の死亡した翌年、平成5年の4月に中断され、また予防接種は義務ではなくなったと言われていますが、一般の親御さんにどれほど伝わっているのでしょうか。現在子育て真っ最中のお母さんたちは一生懸命、ワクチンで子どもの健康を守ろうと病院に通い、行政や育児雑誌は今もスケジュール表を掲載しながら、予防接種を推進しつづけ、副作用の情報は隠しているかのように、教えていはいません。私たちはかけがえのない息子をなくし、MMR接種と死亡との因果関係をたった3〜4枚の簡単すぎる書類で否定され、何度も奈落のそこに突き落とされました。そして裁判をはじめ、提訴から4年経ち、審査請求への結果が出て行政上の認定を受けることができましたが、現在係争中であるためか謝罪の言葉は全くなく、予防接種をあんなに勧めつづけた人たちの、被害を受けてしまった家族への対応は一貫して冷たく、お粗末で誠意も人間味も全くないものでした。
平成5年の末に提訴して、9年という長い長い年月をかけて、ようやくこの裁判は地裁での判決を迎えようとしております。この判決が次の世代を担う子どもたちのために活かされること、ひいては予防接種行政が子どもたちの方を向いたものとなるよう、そして事故から1年1ヶ月間の入院中、私たち親に心配をかけまいとするように、1人で病院のベッドで一生懸命頑張ってくれた息子に対して、応えていける親であるように、語りつづけていこうと思います。本日は貴重な時間を頂き、本当にありがとうございました。次に、上野花ちゃんのビデオを放映いたします。

ビデオ上映

− 薬害根絶のための勝訴に向けて −

上野: 岩手県の上野秀夫です。これが、MMRの被害を受けた、娘の花です。それから、妻のひろこです。花は、平成元年6月、MMRワクチンを接種しました。打たせてしまったのが悪いのではなく、あってはならない欠陥ワクチンを製造し、被害が多発している中で中止を先送りし、被害を拡大させたのは国の責任なのです。第一審が結審し、もうすぐ判決が出ますが、国や製薬会社の責任が明らかにならなければ、また同じことが繰り返されます。これは、単なるワクチンの副作用でなく、まさに薬害です。二度とこのような被害が繰り返されないためにも、この裁判では是非勝たなければなりません。みなさんのご支援をお願い致します。

ビデオ上映終了

− 「だまされた」 −

A: 亡くなったAの父です。Aは長男です。長男の死後、予防接種の被害者救済制度に申請しましたが、約3年間待たされたあげく、結果は「入院中の髄膜炎についてはMMRとの因果関係は認めるが、その退院直後から死亡に至るまでの症状については認めない。死亡したのは家族から感染したインフルエンザによる急性脳症のためだ」というものでした。私はその内容に納得がいかず、豊中市や大阪府に交渉に行ったけれど、決めるのは国だとか、自分たちはパイプ役でしかないとかいう責任のなすりあいで、まともに取り合ってもらえず、提訴に踏み切りました。
私達の今の気持ちは「だまされた」という思いで一杯です。病気の恐ろしさばかりを強調して、副作用はほとんどないと書いてある予防接種手帳・育児雑誌、それを支える予防接種推進派の医者たちにです。あのMMRワクチンを接種し、長男を亡くし、その後やっとの思いで生まれてくれた長女(9才)、次男(6才)がいます。この子達は、何ひとつ予防接種を受けていません。それなのに、この子達のほうがよっぽど元気にすくすくと育っています。

− 大きすぎた「犠牲」 −

A: 亡くなった長男は、はじめMMRの中のおたふく風邪ワクチンのために無菌性髄膜炎にかからされ、3週間以上もの入院を強いられました。そして、その2日後から下痢・嘔吐から脱水症状になったりし、健康状態が回復しないまま、帰らぬ人となりました。「おたふく風邪」なんて・・・。長女が幼稚園の年少のとき、幼稚園ではやり、同じ組でスクールバスも隣に座って一緒に帰ってきて、その後も公園で遊んだその子が次の日に発症しました。けれどもそれだけべったり一緒にいたうちの長女には、全然感染していませんでした。小学校一年生のときにもやはり、はやりましたが、結果は同じでした。それにその時、幼稚園や小学校でおたふく風邪にかかってしまったお友達も、誰も髄膜炎になったとか入院したとかいうことはありませんでした。おたふく風邪ワクチンなんて、接種する必要があったのでしょうか。
おたふく風邪だけじゃなく、結核にも、百日咳・ジフテリア・破傷風にもポリオにも、はしかや風疹にも、長男を亡くすまでは接種して当たり前、それが必要、それが義務だと思っていました。しかし、これらの病気に何ひとつ、長女も次男もかかっていません。自分の子どもを亡くすという大きな犠牲を払い、とても悲しい経験をして初めて、予防接種の「恐ろしさ」を知らされたのです。なぜ、もっと早く「副作用が多発している」という事実を公表してくれなかったのでしょうか。そんなことを知っていたら、決してあんなMMRなんて受けていなかった。あのMMRさえ受けていなかったら、今ごろ長男は元気に中学校に通っているだろうと思います。

− 誰のためのワクチンか −

A: 阪大微研は、製造方法を無断で変更し、国家検定を受けていないワクチンを販売し、業務停止の処分を受けました。それは犯罪行為だと思います。人の命に関わることに、そんなことをして許されるのでしょうか。また、厚生省は重篤な副作用事故が起こっていたのを隠していました。決して許されないことです。誰のためのワクチンなんでしょうか。予防接種なんでしょうか。副作用が何百分の一とか何千分の一とか、何万分の一とか言われますが、1人ぐらいだったらいいんでしょうか。その子が、その1人が自分の子どもだったらということを考えてください。
健康な子どもにわざわざ毒を注射しなくても、病気になって、その後治す薬を開発してほしいと思います。今、思うことは病気よりも、営利のために作られた欠陥ワクチンのほうが恐ろしい。また、それを守ろうとし、副作用を家族の病気、他の病気のせいにしたり、副作用の情報を隠したりしている阪大微研・厚生省、それを取り巻く医者たちのほうが、よっぽど恐ろしいと思います。何のための救済制度なのでしょうか。子どもたちや、その家族の立場になって考えてほしいです。
    私たちは、健康に育っていってくれることを願って受けた予防接種で逆に病気にされ、最後には血を吐いて命を奪われてしまうという、突然の出来事が信じられませんでした。その後には、認められた髄膜炎でさえ、当時入院していた箕面私立病院の医者達は、MMRとの因果関係を否定しようとしていたのです。私たちは何も信じられなくなり、特に母親は買い物に出ることすらできなくなりました。こんな思いをするのは、もう私達で最後にしてください。子どもは親の宝物です。社会の宝物でもあります。そんな大事な子供達にされるワクチンなのですから、もっと細心の注意を払って実施してほしいと思います。長男は大掛かりな人体実験に使われたと思っております。そんな気持ちがしています。もうこんなことが2度と起こらないように、そして不必要な予防接種はやめて、みんなが安心して受けられる予防接種行政になることを、お祈りします。本日は私達の被害報告にお時間を頂き、まことにありがとうございました。