■ 最終有効期限の確認及び健康局結核感染症課予防接種係の調査(平成15年1月7日付事務連絡)の問題点

根拠資料:現国立感染症研究所(MMR当時国立予防衛生研究所)の『検定受理台帳』(このページ下方にある)

1.今回、問題にされたワクチンの最終有効期限の確認

 検定受理台帳「製造所」欄の○印の部分が3社それぞれの統一株最後の検定を受けたLotである。これ
以前の台帳は保存年限が終了しているという説明を受けた。(開示請求はしていない)
 生ワクチンは有効期限が合格日から起算して1年とされている。よって、検定受理台帳には記載されて
いないが下の表に1年後の年月日を記載しておいた。それがワクチンのパッケージに刻印されていたは
ずの「最終有効年月日」である。

 03.2.7報道で問題にされた時期=平成4年10月以後というのは、最後の統一株検定を受けた阪大微研
0018の有効期限が9.16
であるから、同年10月以後の接種事例は確実に「期限切れである」と断定できる
という意味である。つまり、関係するメーカーは3社すべてである。もちろんそれらの販売会社である、第一
製薬、田辺製薬他、卸業界も視野に入れなければならない。

北研=北里研究所 K-MMR-22       判定月日(合格) 平成3.5.16 有効期限 平成4.5.15
北研=北里研究所 K-MMR-23       判定月日(合格) 平成3.5.16 有効期限 平成4.5.15
武田薬品       MMR・H015       判定月日(合格) 平成3.8.16 有効期限 平成4.8.15
阪大微研       B-MMR0017      判定月日(合格) 平成3.7.12 有効期限 平成4.7.12
阪大微研       B-MMR0018      判定月日(合格) 平成3.9.17 有効期限 平成4.9.16

2.今回の厚生労働省の調査では不十分であること-「すべてを疑わざるを得ない」

 統一株の副作用頻発と発症率の上方修正が続く中、平成3年4月、日本小児科学会、日本小児科医会から
あいついで「自社株ワクチン導入」など、要望書が厚生省へ出され、それをうけるかたちで同年5月28日予防
接種委員会、同31日公衆衛生審議会伝染病予防部会で、同年10月より導入することを決定した。自社株に
期待されたわけであるから、当時流通していた統一株を、業界・医療機関共に「売り急ぐ」機運が5月以後う
まれていると考えられる。
 すなわち、上の表に抜粋したすべての統一株ワクチンについて、使用実態を再調査する必要性がある。あ
らためて確認すると表のようになる。
 もっとも、期限切れについての認識の低さから「大量使用された」と仮定するなら、すべてのMMRのみなら
ず、すべての予防接種ワクチン、すべての医薬品にまで調査の手を広げなければならないことになるだろう。
 追及の手を休めてはならない。「食品業界にはあったが、医薬品業界、医療機関に不正はないだろう」とい
える根拠はないのではないか。

北研製統一株 平成4年5月16日以後、K-MMR-22,23を接種してはならない
武田薬品製統一株 平成4年8月16日以後、MMR・H015を使用してはならない
阪大微研製統一株 平成4年7月13日以後、B-MMR0017を使用してはならない
阪大微研製統一株 平成4年9月17日以後、B-MMR0018を使用してはならない

MMRワクチン Lot ナンバー 参照

3.業界と医療機関は自ら調査をしているのか、それらへの調査はいつどのようにするのか

 業界は、期限切れワクチンを積極的に回収したのだろうか。する必要はなかったのか。放置して、売りつくせば
いいというモラルをもった業界なのだろうか、ワクチン業界は。
 ワクチン接種により、経済的な利益を手にする業界と医療機関みずから真相解明に取り組むべきである。
 2.7報道以後、再三健康局結核感染症課担当者に調査内容の公開を求めてきた。その際、医薬局への情報
提供をしながら、調査を進める。いくつかの都道府県に「協力を求め」、今回調査で提供された集計用紙の原票
を確認させてもらう、としか回答していない。直ちに医薬局が業界・医療機関への調査を開始すべきではないか。

4.予防接種の実施主体である区市町村、及び都道府県は直ちに独自調査を開始すべきである

2.8熊本日日新聞によると、今回調査で最多の801人と報告した熊本県は独自に聞き取り調査などを開始し
ている。MMRを実施した自治体は早急に調査の上、真相を説明しなければ予防接種行政への不信が募るこ
とになる。

5.審議会や研究機関に属した研究者は各自の守備範囲から調査すべき責任がある

公衆衛生審議会伝染病予防部会および予防接種委員会など関連の委員を務めた医師・研究者
中央薬事審議会の生物学的製剤調査会など関連の委員を務めた医師・研究者
当時の薬務局所管のMMR研究班(班長:木村三生夫、事務局:堺春美-東海大医学部小児科)関係者
ワクチンの国家検定を実施し、同時に無菌性髄膜炎患児の髄液を検査した当時の予防衛生研究所関係者

これらの専門家の責任も大きいのである。


<<開示された『検定受理台帳』の画像>>

開示請求書に「平成3年で生産完了したMMR統一株ワクチンの最終有効期限がわかる文書(しかも、北里
研究所、阪大微研、武田薬品工業の別に有効期限を知りたい)」として文書を特定した。

<<上記文書の開示決定通知書>>