02.5.16 最終弁論 因果関係 花

原告 花 の因果関係についての問題は他原因の有無

1 ウイルス性胃腸炎に起因する無酸素状態の継続によるライ症候群について
 ア 被告らの主張―原告 花 の症状の発症原因について、何らかの病原性微生物への先行感染による消化器症状から著名な脱水症状を来たし、受診の遅れから無酸素症による急性脳症ないしライ症候群を発症した(被告国第14準備書面32頁、被告阪大微研平成14年1月22日付準備書面57頁)。
2 家族からの感染について
 ア 被告らは@家族3人が高熱、下痢の症状、A 花 には無菌性髄膜炎がないのでMMRでは説明できない、B大津医院来院時には腸管が麻痺状態になり腹部は膨満傾向、 O 病院では水溶性の下痢が確認
 イ @感染の可能性への反論
  浅野意見書(丙第12号証)、森島回答書でも「客観的根拠はありません」など可能性にとどまる。
  原告 花 の両親、祖母、曾祖父には異常がない。症状があった3人も同じ病原体の感染なのか不明
  被告らは病原体の特定すらしようとしないが、 花 の便からは細菌が検出されなかったため(公C第2号証97頁)細菌感染の可能性はない。
  下痢を起こしやすいロタウイルスの流行は冬季。ロタウイルス特有の米のとぎ汁のような白っぽい水溶性の下痢は O 病院でも認められず。
 ウ A無菌性髄膜炎がないことへの反論
  ムンプスウイルスの副作用には無菌性髄膜炎が必ず伴うというものではない。
   O 市予防接種健康被害調査委員会においても「ワクチン接種後にライ症候群を発症した」と認定。
 エ B水溶性の下痢への反論
  5月8日の発症当日の早朝あるいは大津医院来院前には下痢が全くない。
3 気管支喘息の発作への反論
  具体的な事実の指摘がない。
  予防接種から発症までの間の通院においても喘鳴、咳はわずか。
  5月7日の夜もいつものように兄姉遊んでいる。
  翌日激しい喘息の発作はなかった。
4 低酸素血症への反論
  しかし、午前8時30分ころ呼吸停止ではない。
  大津小児科医院来院時8時35分脈拍120、血圧80、午前8時40分にも血圧は104/70となっている。
  同医院においてはマウスツーマウスの人工呼吸もしていない。
5 ウイルス分離検査結果の信憑性について
 ア 被告らは、@髄液は細胞増多などはなく正常で隋液からウイルスが分離されたこと、A発病後5,6日以内に採取された髄液でないと培養検査の意味がないこと、B一般的にはムンプスウイルスの分離は1週間以内に結論が出るが、原告 花 の髄液の分離だけ所長に命じられて2種類の細胞を用い、4代も継代培養しているため信憑性に疑問であること、C培養期間が長期間なので他のウイルスが混入した疑いが極めて濃厚であること、D普通のワクチン接種をしても隋液からウイルスが取れることあり得る等主張している
 イ 反論
   仮にウイルスが分離されなかったがその存在を否定できないという場合には被告の主張を検討する意味があるだけ
 @ 髄液が正常か否かは、細胞増多の有無だけで判断されない。脳炎あるいは髄膜炎ではなく、脳症なので細胞増多がない。
  脳実質に通じる髄液にムンプスウイルスが混入していたことを因果関係の存否において重視されるべき
 A ウイルス分離の時期についても、被告の主張はあくまで一般的に時間がたてばウイルスが分離されにくいとの結論になるだけ
 B ウイルス分離の方法についてもあくまで一般的な方法と異なっているとの指摘のみ。異なった理由は異なった理由は熊坂が説明(初代の培養の結果陽性ではないが変性があったためその真偽を確定)
 C 他のウイルスの混入の可能性については平成3年6月当時は他のムンプスウイルスの分離は行っていない。本件で発見されたのは野生株ではなく、ワクチン株
 D ワクチンを接種し髄液からワクチンウイルスというのも空理空論