テキスト ボックス: 期限切れMMRワクチン、接種中止前に2100人接種

 1992年9月に期限が切れた新3種混合(MMR)ワクチンが、副作用の多発で93年4月に接種中止となるまでの7か月間に、10都道府県の約2100人に接種されていたことが、6日までの厚生労働省の調査でわかった。

 MMRは、はしか、おたふくかぜ、風疹(ふうしん)を1度に予防できるワクチンとして89年4月から使われたが、副作用の無菌性髄膜炎を発症する患者が多発、接種中止になった。厚労省は「期限切れのワクチンが接種されていたことは問題だが、期限切れだから副作用を発症する危険性が高まったとは考えにくい」としている。(読売新聞)
[2月7日6時36分更新]

期限切れワクチン大量接種

 副作用が多発し、1993年4月に接種が中止された新3種混合(MMR)ワクチンをめぐり、有効期限が切れた一部のワクチンが接種中止までの約7カ月間に、10都道府県で最大約1900人に接種された疑いが強いことが6日、共同通信の調べで分かった。
 旧厚生省は定期的に都道府県から接種状況の報告を受けながら期限切れ使用の事実を公表せず、MMRワクチンの副作用多発問題を協議していた公衆衛生審議会伝染病予防部会(当時)にも報告しなかったとみられる。
 副作用被害者の支援団体は「国が意図的に隠ぺいを図った疑いが強い」と批判しており、厚生労働省は「有効性がすぐ低下したり副作用リスクが高まったりすることはないが、期限切れの接種に問題があるのは当然。なぜそうなったのか、よく調べたい」としている。
[共同ニュース 02月07日(金)]
( 2003-02-07-2:00 ) 

2003/02/07   
 MMRワクチン 期限切れ1900人接種 旧厚生省公表せず 

 副作用が多発し、一九九三年四月に接種が中止された新三種混合(MMR)ワクチンをめぐり、有効期限が切れた一部のワクチンが接種中止までの約七カ月間に、熊本、大分など十都道府県で最大約千九百人に接種された疑いが強いことが六日、共同通信の調べで分かった。旧厚生省は定期的に都道府県から接種状況の報告を受けながら期限切れ使用の事実を公表せず、MMRワクチンの副作用多発問題を協議していた公衆衛生審議会伝染病予防部会(当時)にも報告しなかったとみられる。 

 副作用被害者の支援団体は「国が意図的に隠ぺいを図った疑いが強い」と批判しており、厚生労働省は「有効性がすぐ低下したり副作用リスクが高まったりすることはないが、期限切れの接種に問題があるのは当然。なぜそうなったのか、よく調べたい」としている。 

 MMRワクチンは一回の接種ではしか、おたふくかぜ、風疹(ふうしん)を予防できるとして八九年に導入された。当初、統一株と呼ばれるワクチンが使われたが、副作用の多発でメーカーが九一年に製造を中止。それまで製造された統一株の最終有効期限は九二年九月だった。 

 しかし都道府県が当時厚生省に提出した接種状況の報告書や、関連資料を基に集計すると、八道府県で九二年十月から九三年四月までに千八百二十九人への接種が確認された。特に熊本県が八百一人、北海道が三百十八人と突出していた。 

 旧国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)などの研究グループによる調査データによると、自治体に資料が保存されていない東京都と神奈川県でも計百四人への接種が確認され、集計分と合わせると九二年十月以降の接種者は計千九百三十三人に上った。 

 厚労省の調査で、期限切れワクチンの接種後に発熱やけいれんを伴う無菌性髄膜炎を一―四歳の男児五人が発症したとの報告が国に届いていたことを示す内部資料も見つかったが、この事実も当時は伏せられていた。 

■MMRワクチン 

 はしか、おたふくかぜ、風疹(ふうしん)の予防接種として1989年に導入。副作用は10万―20万人に1人とされたが、実際には当初使われた統一株で約930人に1人、その後導入された3種類の株でも平均約1980人に1人と極めて高い割合となり、93年4月に接種が中止された。揶鼕狽フ接種後に死亡したり重い障害を負ったりした児童3人の遺族らが国などに損害賠償を求める訴訟を起こし、3月に判決予定。統一株の期限切れ使用は、被害者の支援団体が昨年「一部で接種が続けられていたケースがある」と指摘、厚労省が調査している。(共同) 
 
[西日本新聞]