3.25CJD「確認書」と文部科学省の醜態

(第2誓約2ロ) 厚生労働大臣は,我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し,その発生を防止するため,医学,歯学,薬学,看護学等の教育の中で過去の事件等を取り上げるなどして医薬品等の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする。

3.25「確認書」)

 国立大学での医歯薬系教育に責任をもつ文部科学省の担当官は、この確認書についてなんらの認識ももたずにいたことに一同唖然としつつも具体化を求めることから交渉が始まりました。そもそも一昨年、初の交渉以来、私達の要望に対して「薬物乱用」「医薬品副作用被害」と薬害を混同して回答する場面が多かった文部科学省の実態でした。


MMR原告花ちゃんら大臣宛手紙を託す

91年1歳でMMRを接種されて重度心障児となってしまった上野花ちゃん(13歳、岩手県)親子、大阪府で死亡した2人の遺影を抱いた原告らが上京し、「誓いの碑」前で田村政務官に手紙を託すことができました。

(写真:時事通信社)

MMR(新3種混合ワクチン)問題とは

 予防接種法にもとづき、1歳ころの麻疹(はしか:M)接種に際して、おたふく風邪(M、同法の対象疾病ではない)、風疹(R)ワクチンを混合すれば、1回の接種で3つの病気から子どもを守れるという触れ込みで89年4月に導入された。それ以前からのDPT3種混合ワクチンに対して新3種混合という。前橋市医師会、故由上修三医師ら予防接種委員会のインフルエンザワクチンの有効性に関する調査以後、急速に接種率が低下する中、業界にとっては次期目玉商品と期待された。しかし、導入当初から無菌性髄膜炎が頻発した。予防衛生研究所(現、感染研)の故杉浦明がそれを懸念し、「導入時期尚早」と周囲の研究者にもらしていたともいう曲者ワクチンだった。

 89年5月福島県で突然死(救済認定)東京都で両側性難聴(救済認定)同12月大阪府で無菌性髄膜炎の後死亡、90年東京都で亜急性硬化性全脳炎のち死亡、91年には、横浜市でライ症候群から死亡(救済認定)、岩手県で急性脳症(生存被害、救済認定)、大阪府で脳炎、翌年死亡(救済認定)、さらに同年髄膜脳炎及び精神運動発達遅滞(生存被害、救済認定)など深刻な被害が続出した。

 93年4月「当面接種見合わせ」が決まるまでの丸4年間、延々と1,831,076人もの子どもたちに接種が強行され、無菌性髄膜炎発生数が1,754人であった(当時の厚生省保健医療局エイズ結核感染症課の丸山浩・冨澤一郎「MMRワクチン接種後の無菌性髄膜炎発生状況とその対応」日本臨床ウィルス学会『Clinical Virology vol.22 No.1 Mar. 1994』所収)。

 この間、国は一時たりとも中止、見合わせ等の判断はせず、89〜91年の死亡・重篤な被害を生んだ統一株MMRを放置したまま、91年10月自社株を流通させ、壮大な人体実験を推し進めた。

89年5月初の死亡例とその後に顕然化する無菌性髄膜炎の情報を得た段階で中止すべきだった。


私たちはだまされた

厚生労働大臣 坂口 様

そうして闘って逝った息子に対して私達が今、出来る事は予防接種の現場や予防接種行政のあり方、矛盾に警鐘を鳴らし、「おかしい事はおかしい」と訴えて行く事で子供の方を向いた予防接種行政・情報のシステムを構築してもらい、1人1人の子供が体も心も健康に、安心して育って行ける環境を作って行ってもらう事です。------------------------(大輔君の両親)

今思うことは、病気よりも、営利のために作られたワクチンの方がとても恐ろしい。また、それを守ろうとし、副作用を家族の病気、他の病気のせいにしようとする、阪大微研、厚生省、それとぐるになっている医者達の方がよっぽど恐ろしいということです。--------------------------(A君の両親)

 私達の子供達の、傷められた生命や生涯にも何とぞ温かい眼差しを注いで下さいますように、そして注意深く細やかに真実を想像して下さいますようにお願いいたします。そしてどの子供も、その可能性を損なわれることなく、安心して成長して行くことのできる日本にして下さいますように、心よりお願い申し上げます。
----------------------(花ちゃんの両親)

 11月28日、MMR大阪訴訟は約9年目、第1審判決が言い渡されます。

(MMR被害児を救援する会 http://www.ne.jp/asahi/vaccin/kyo/mmr/)



医薬品機構へ被害者の声を

 厚生労働省交渉では、「医薬品機構の副作用被害救済事業が患者の視点にたって運営されるよう」、被害者代表もしくは被害者が推薦する者を、理事会や評議員会に加えるよう求めました。79年薬事2法改正を実現させたスモンの被害者を筆頭に被害当事者が救済業務の充実にかかわることは不可欠です。また、救済給付を受ける被害者や家族の声を聞き取るアンケート調査などを早急に実施することも要求しました。それに答えた担当官は、被害者を「特定の立場に立つもの」と表現し、参加者から非難を浴びる一幕がありました。このアンケートなどはきわめて有益で現実味を帯びた提案であるのでしょうけれど。

 予防接種法による被害者への保健福祉事業等を実施する財団法人予防接種リサーチセンターの運営について、被害者の親が運営委員として参加している事実と医薬品機構の実態について、その整合性を即刻回答するよう求めました。あわせて、機構の「保健福祉事業」が被害者に実施されず、「研究委託」にすりかえられている現実も厳しく追及しました。

 国立大学関係者から薬害被害者を講師として招きたいという動きがあがりつつあります。3年目を終えた、薬害根絶デーの成果の予兆といえるでしょう。

 そしてまた絶えることなく「薬害C型肝炎」をめぐる動きが具体化するのでしょう。

(予防接種情報センター京都 栗原 敦)