■ 坂口厚生労働大臣の考え方 - 危険性の情報があった際に取るべき措置 -

154回-参-厚生労働委員会-13号 2002/06/04 における内藤正光議員への答弁

○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤でございます。
 今日は、薬事法の改正について何点か柱を設けて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、昨日の事前の周知、ちょっと順番を変えて、フィブリノゲンの話からいろいろ質疑に入らさせていただきたいと思います。
 非加熱の血液製剤フィブリノゲンによってC型肝炎ウイルス感染が広がって、今、大問題になっているんですが、これは簡単に言えば、六四年に旧ミドリ十字が承認を受け、製造を開始した。ところが、七七年に米国でその承認が取消しをされて、製造が中止をされたと。
 その後どうなったかというと、よく言われていることとして、七九年の、予防衛生研究所の安田純一部長が、その著書の中で、米国ではもう既に製造中止になっていることを指摘をしていると。そしてまた、八四年、翌年の再評価に向け、ミドリ十字自身がアメリカで製造が中止されていることを厚生省に報告をしたと。八七年四月、青森県の産婦人科医での集団感染を機に行ったということなんですが、ミドリ十字は自主回収を行ったと。
 これだけかと思ったら、ところが、実は七七年、アメリカで製造中止されて間もないころ、この安田部長は、厚生省に対して直接、日本でも製造を中止すべきではないか、その旨の打診をされたということなんですが、まずこの辺の事実関係についてコンパクトにちょっと確認をさせていただきたいと思います。

(中略)
(以下が最後の質問と答弁)アンダーラインは引用者

○内藤正光君 安全というものは何物にも替え難いものですので、ここはもっと、日本の査察体制というのはすごく貧弱ですよね、特にアメリカ等と比べると。ここはしっかりと充実させて、海外であろうがどこであろうが、実際に現地に赴いてしっかりと現場を査察して、その上で承認を与えるような、そんな体制で臨んでいただきたいと思います。
 最後に、大臣にお尋ねしたいんですが、我が国薬害というのは、もうこれまでずっと諸外国に比べて数多くの薬害が発生し、そしてまた本当に多くの被害者が出ているわけなんです。私自身、なぜなのか、その構造的要因を挙げたいんですが、できるだけ時間を削減するためにちょっとそれは省かせていただきたい。
 大臣に、なぜ日本において薬害がこうも多発するのか、薬害被害が絶えないのか、その理由について大臣なりの御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 御指摘のように、幾つもの薬害が生じてきたことは事実でございます。
 それには幾つかの理由があるというふうに思っておりますが、一つは、やはり厚生労働省自身の体制の中にも薬なりあるいは医療機器なり、そうしたものに対する承認の体制が十分でなかったと私は思っております。人的にも十分でなかったと。その点は反省をいたしまして、特にHIV以後、その反省をして増員もしているところでございますが、そこが一つあったと。
 さらに、一度承認をしてしまうと、その後、医療の進歩あるいはまた科学の進歩等によって様々な問題が起こってきましたときに、それを変えるという、ある時点のところでそれを、今までの方針を変更するということにやはり手間取ってきたと。そこはもう、学問的にそこは成り立たないことには変えないという私は部分があったというふうに思っています。ですから、そこはある程度、学問的にそれが確立されるというところまで行かなくても、危険性があるというふうに知ったときに、既に先に手を一遍打つと。そして、もしも誤っていれば後でお断りをする以外にないわけでありますが、そのぐらいな措置を取るということがやっぱり大事なんではないかと。しかし、そこが確実になってから、なってからというのがやはり遅くなってしまう原因になっているというふうに私は思っている次第でございます。