<お知らせ>


@皆様ご無沙汰しています。この二年余り何かとご心配掛けてきた駿台争議は、2月15日に漸く解決しました。和解協定書に従い駿台からの私への解雇通告は撤回され、駿台側は1億5千万円を求める私ほか一名への無謀な損害賠償裁判を取り下げました。駿台労組も新しい執行部が選出され、私の組合との関係も変化しました。この時期にヒョンなことから私のホームページやメールのアドレスも変更になり、皆様に余分な心配をお掛けし申し訳ありませんでした。

Aこれらの諸事情に鑑みホームページ内容を一新する事としました。従来の私のホームページは、争議転戦に伴いごった煮的に戦線拡大して来ました。旧ホームページ名称は「元祖駿台式・神津陽論文塾」で、掲載内容は
「1、論文入試の傾向と対策」
「2、主要大学の論文解答解説」
「3、駿台Q&A〜駿台をよくするために」
「4、ご乱心裁判の行方〜神津流・裁判闘争の楽しみ方」
の4パートに分かれていました。だが私は解雇撤回されましたが98年3月末日付けで円満退社に合意しましたので、駿台と対抗して1・2パート充実に頑張る必要はありません。また3の争議開始の契機となった駿台論文科の内紛などは99年6月にJCA出版より刊行された「乱世に声あり」(2000円)にかなり掲載していますし、裁判は取り下げとなったので4パートは勝利的に終了しました。従来内容は今は資料的意味しかないと考えていますが、希望者にはメール送します。

Bでは私のホームページを、今後いかなる内容とするか。書くも書かぬも何を出すかも勝手だとの前提に立っても、ホームページの主読者と私の関係ガ変わる訳はありません。そこで新ホームページ名称は年長者の立場に甘えて「神津陽塾」としました。内容改訂は当分は準備期間としますが、再開の場合には通常のホームページ同様に、新しい読者向けの自己紹介や、主たる著作内容や、現時点での時評などが必要でしょうね。また掲示板設置や、面白いホームページとのリンクも考えています。だが日本でまともな仕事がなければタイに居る方が安上がり程度の肚つもりで気楽に行きます。今さら肩肘張る必要もないでしょう。

C当面は改訂準備期間としますが、駿台争議終結経緯とその後に残る問題について事情公開するのは熱心な読者の皆様への仁義だと考えます。そこで人名や金額など瑣末な情報を伏せて、かつての経験からは恥と思える問題を含めて最低限の
事情公開をしておきます。継続的にアクセスしてきた慧眼な読者は問題の背景位は推測出来るでしょうが、飛び付きの読者にも無意味とは思えません。今後に事を構える意欲がある方は、駿台労組の悪戦資料から今時の自主的組織の民主化水準と克服課題を読み取って戴くことも可能だと考えています。

       


<資料1>

      駿台争議和解と残された問題     

                                      2000年5月 神津 陽

一、経緯公開方針


@足掛け三年に渉る駿台争議ですが、去る2月15日の都労委和解調査で労組側と駿台予備学校との労使和解協定書を作成して解決しました。駿台争議に関して神津ホームページへの注目度は高く問い合わせも多かったのですが、その後も学校側の姑息な干渉が予測され組合内部での摘み残し課題もあったため情報公開を控えてきました。既に解決金は予備学校から組合側窓口に入金され、紆余曲折を経て清新な組合新執行部が選出され、学校側新体制との顔合わせ団交も行われました。第一次駿台争議は解決し組合強化の方向で着地出来ましたので、ゼロから始めた試みは一山越したと判断し基本情報を徐々に公開します。
A私は和解協定により解雇通告は撤回され、98年3月末日付けで円満退職して解決金を受領(この件では難題が残っており入金見通しは立っていません)予定で、組合からも距離を置く立場です。当ホームページは私が執筆・掲載・運営していますので、反響に対する対応を含め全ての責任は神津個人が負います。だが諸般の事情により、情報公開出来ぬ分野や事項があることをご承知下さい。以下にそれらの事情を含めて当面の問題を説明します。

二、残された問題


@第一次駿台争議は解決しましたが、次期執行部選出を巡る混乱があり解決金配分は未だ難渋しています。なぜ労組でそんな事が起きるのかとの質問があるので、基本的な考え方を述べます。
 大衆組織が大規模化すれば意見対立が出て来るのは当然で、対話は組織活性化の源泉でもあります。大衆組織では言いたいことを言い合って相互理解を深め、個人的感情や人格的好悪を意見の領域に持ち込まず、全体的利益の観点から議論を尽くし、意見が別れたら多数決で決め、反対者も決議の邪魔をせず可能な協力を行う事が運営原則だと思います。

Aだが日本では各自の考えを文章で示し堂々と議論し決まった事には嫌でも協力する訓練が薄く、意見の違いを前提に議論の経緯を示し行動を呼び掛ける開明性を備えた組織は稀です。どのような長期争議にも必ず内部対立が生じますが、身内の恥として公表せぬのが普通で上部団体があれば尚更です。だがそれが日本的組織に共通の運営法ならば、大義名分が変わっても組織矛盾の解決法は進歩せず後から来る者は同様の失敗を重ねます。臭い物に蓋の日本的慣行に反しても、年長者は率先して組織を風通しよくすべきでしょう。

B他方で組織の実際運営には別の問題もあります。例えば労組は経営側との健全な労使関係形成を目指しつつ、逆にリストラ問題等では経営側と鋭く利害が対立します。大衆組織で起きた内部解決できぬ矛盾をそのまま情報公開すれば、経営側の学習材料となったり新執行部批判に悪用される危惧もある訳です。ここでは情報公開原則と組織防衛との間で、何をどのように報告するかの線引きが問題となります。対等な組織内関係では執行部が確認した情報は全面公開すべきでしょうが、対外公開には配慮が必要です。

C対外関係への労組情報公開には配慮が必要ですが、不安定な雇用条件下での自主的労組の経験はプラスもマイナスも含めて多くの若い諸君の今後の糧になる面も考慮すべきでしょう。ホームページへは無責任な野次馬のアクセスが多いですが、他方で自分の持ち場からの必要に迫られての反響もあります。外部からの内部問題への関心は問題領域と考え方に集中しており、個人名やグループ動向への野次馬的興味は弱い。そこで若い諸君への思想的参考のために、労組内の路線対立や和解金配分を巡るデッドロック等は、抽象化し比喩や寓話などに変形して問題領域のみは提示する事にしました。

三、どのような問題なのか

@駿台で起きた問題は世間一般で言う美しい建前と醜い本音のズレに近く、路線対立の類ではありません。だが駿台労組は授業時間数も待遇もバラバラで不満が多いがまとまりが悪い、予備校業界で初の講師中心の組合です。親方日の丸の全員加盟組合が集団主義へ傾斜するのは仕方ないですが、江戸時代的管理体制に逆らい個人加盟したリスク必至の自主参加労組で同様の結果が生じた事は問題でしょう。どの労組規約も民主的運営を掲げていますが実際は談合・根回し・数合わせ・代行秘密主義になるのは、民主主義の前提の個人尊重が欠け合理的合意と行動が出来ぬからではないか?駿台でそんな傾向が浮上してきたのは残念です。

A和解金配分の宙吊り状況も私には根は同様に見えます。日本の組織運営は国会から株主総会や町内会まで談合・根回し・旧慣踏襲が幅を利かせますが、ビジネス社会や法廷では契約や証拠や法が仕切っています。公的な都労委の和解調査経緯での共通確認が和解金配分の基準となるのは当然の筈ですが、和解後に確認を踏みにじるトンデモ案が出て今回の混乱が生じました。
 トンデモ案はとんでもないと怒りがつのりましたが、その背景は準家族的怨念で和解金配分の問題領域は遺産相続と同位置だと納得できました。解雇撤回だが復職せぬので払われる和解金はバックペイではなく、金額も配分法も決まりはないが配分前提は当事者合意です。他方で遺産は総額に対する均等配分が原則ですが、当事者全員の合意が配分条件なのでゴネる者が出るとお手上げです。この種の決着軸は法や理念ではなく、声の大きさや我の強さや情報操作のマメさによる根回しのようです。こじれたら筋だけで通らぬ点は承知ですが、確認を後から破る横車を認める訳にも行きません。元々が名誉回復が筋の争議で金はオマケだと考えると、言うべきことは言ってじっくり対応するしかありません。

B多様な組織経験を経た者が集まった駿台労組で、議論の筋が通らぬとは情けない等の評価があることは重々承知しています。確かにかつて6年余の光文社争議の終結時に、三労組(光労組・記者労組・臨労組)は解雇撤回・原職復帰に伴う解決金を就労形態・勤続年数・収入較差を無視し原則的に一律配分したと聞きますが、駿台の共通確認も守れぬ現状とは隔絶の感があります。だが情けなくとも矛盾の打開は現状を足場とする他ないですし、怨念がらみの党派的反発にマジで対応すれば当方も心的内ゲバ状況に至り相互関係は更に歪みます。

 私も歳相応の経験は体得していますので、内ゲバ思考回避の思想原則を堅持しつつ残務に対処します。無職状況で金が要らぬ訳がないのですが、まだ武士は食わねど高楊枝と嘯くしかありません。定年近くの同世代の惨状は駿台周辺に限らず、安保・全共闘世代主催の大向こう狙いの集会ラッシュにも顕著です。「人間には志有る者と無い者の区分しかない」旨の幸徳秋水の言が妙に気になる昨今ですが、心身の自由には息抜きも大切だと考えています。


<資料2>


     「神津裁判を勝たせる会」NEWS
                                       2000年3月解散準備号 

         <編集・発行=神津裁判を勝たせる会事務局>
              〒170ー0013 東京都豊島区東池袋3ー9ー6 古島ビル3階  
              株式会社プロフィット気付 電話03(3989)6363、FAX(3980)2996

@早いもので「神津裁判を勝たせる会」を99年4月に立ち上げてから丸1年ですが、神津解雇予告撤回闘争で始まった駿台争議は漸く勝利的和解で終結したようです。和解内容や経緯は別紙の神津稿「駿台争議・常識的勝利!」に譲りますが、支援者には争議解決は有り難い朗報です。「勝たせる会」の会員申込者やカンパを振り込んだ方はもちろん、つい連絡を忘れた方も旧い知人が1億5000万円もの裁判を抱えている事態は、自他の状況を比較して妙に気掛かりだった事でしょう。和解内容評価は別として、支援する側としては争議解決をまず素直に喜びたいと思います。

A争議解決に伴い駿台側は裁判を取り下げましたので「神津裁判を勝たせる会」は、結果的に目的を達成したことになります。ついては下記要領で4月15日に関係者が集まろうとの話になりました。集まりの主旨は駿台争議解決を祝し、神津本人や支援者の労を互いにねぎらい、参会者が相互に交流を深め、神津裁判を勝たせる会の解散を確認する事です。もう争議終結した以上は堅苦しい挨拶や報告などは無粋です。そこで様々な場所で神津陽と縁があった人々の旧交を温める会の名称としました。こんな時しか会えぬ友人・知人もいると思います。時間のやりくりが楽な土曜の夜の設定ですので、誘い合わせて気楽にご参加下さい。(文責=小山健)

★なお当日、神津の駿台争議前史も収載した「乱世に声あり」も販売します(上原克美)



 <「神津陽と旧交を温める会」のご案内>


       
日時:4月15日(土)午後7時より9時半まで
場所:新宿区歌舞伎町*ー**ー*の×××飲み放題、全席借り切り。
   電話(3205)2189 新宿のコマ劇裏側の都立大久保病院正門すぐ近くです。
会費:3000円(不足分は神津氏等が補助するとのことです)
出欠確認:早急に上原090ー略、小山090ー略まで。当日参加も可。
     駿台卒業生関係は和田090ー略、神津090ー略まで。
     友人関係をとりまとめ事務局へFAX連絡も可。

<会合の報告>
当日は雨模様でしたが、10時まで入れ代わり立ち代わり60席が常時満席の盛況でした。司法試験対策等で欠席連絡も多かったですが、駿台卒業生も20名以上集まりました。積み残し課題報告は受けましたが当初の「勝たせる会」業務の終了を確認しました。しかし座視できぬ関連問題が今後出てきた場合は、互助会より改めて皆様へ連絡致します。


<資料3>

<皆様お世話になりました、今後も宜しくお願いします>


                                           2000年3月 神津陽

@本年年頭では成否半々だったのですが、ヒョンな経緯で駿台争議は急転和解しました。様々な争議解決ヘの流れがありますが、裁判はまだ導入段階で、和解舞台の都労委の勝ち目は皆無に近く、駿台は和解交渉中も労組縛りに腐心していました。勝因を聞かれたら駿台労組の創意工夫と勝たせる会の皆様のネット連絡やカンパや裁判傍聴等を含む英知の結集だと言うしかないですが、それは手前味噌に過ぎます。私の実感では和解協定への正味の推進力は、都労委が駿台側の江戸時代的人権感覚の非を諭し、駿台が都労委勝利裁定獲得から高崎・神津争議一括解決へ軌道修正した点にあります。だが敵失による和解成就でも、駿台民主化の観点からは明らかな勝利です。意地を通し続けた意味はありました。

Aさて争議を構えた際には予備校で組合を作っても潰される、古巣を怨むより新たな仕事を探せ等の批判が予備校関係者から多く出ました。だが若い諸君は自分も歳を経ると厄介者扱いされる現実に気付かない。損得より筋を通す私の生来の要領の悪い頑固な生き方が要因とはいえ、陰謀的に仕掛けられた喧嘩は買うしかなかった次第です。ともかく今回の争議解決は、自分の周辺環境に不満を持ちつつ行動せぬ諸君への刺激剤でしょう。

B個別に礼状は出していますが、勝たせる会の皆様には物心両面での支援誠に有難うございました。ゼロから始めた自主参加労組のため、組合には被解雇者の生活を補助するゆとりはありません。構造的不況下で無職状態で争議継続するのは至難の業であり、勝たせる会の皆様の支援がなければ二年余の闘争持続は困難だったと思います。争議終了後は現職復帰はせず生活展望も立っていませんが、活動するほど出費が増え様々な嫌がらせが続き電話代5万円超の生活が終わるだけでも気分は楽です。五十路を過ぎて何やってるんだとの自問からは解放されましたので、そのうち膨大な資料整理に掛ります。事実は小説より奇なりとの感を深くする見聞も多いので、ひょっとすると小説化するかも知れません。

C構造不況下で争議課題は山積しているに関わらず、若者の政治離れが進み労働組合組織率は低迷しています。各自が個人的生活防衛に必至の時代傾向に反しての、二年余の争議経験では多くの組合員の皆様や協力者に助けられ学ぶ所も多くありました。他方で驚いたのは高橋和巳が70年に「白く塗りたる墓」と呼んだ組織腐敗が、論文科だけでなく駿台伏魔殿に蔓延していた事です。対話と議論を回避し嘘とデマと根回し好きの権力亡者が存在する間は、日本の夜明けは遠い。リストラ攻勢への個人反撃には限度があり怒りと意地で組合への参加希望は多い筈ですが、組織強化には組合は役に立つとの実感が必要ですね。
 まだ和解金配分など積み残し課題は残っていますが、何事もケセラセラです。たまには陽気に呑みましょう。相変わらずの毒舌うるさ型ですが、4月15日再会の際は宜しく。



駿台争議・勝利的和解!
   お世話になった皆様への簡単な報告

                                     2000年2月(一部改訂) 神津陽    
   
一、第一次駿台争議経緯の概略

 二年余にわたる駿台争議は2月15日の和解協定書調印で何とか解決できました。そこで争議から和解に至る経緯を簡略に報告し、合わせてお世話になった皆様に感謝の意を表します。
@駿台論文科の設立初期は正解のない論文試験の出題分析・解答法研究・解答例比較など、講師間には清新の気風みなぎり、華々しい成果も挙げていました。だが84年頃には各講師が授業内容向上よりコマ数や講習確保に躍起となり、講師間の切磋琢磨を回避する中だるみ状況に陥りました。私は入学歴信仰は皆無ですが論文力を向上させるとの生徒との契約順守を掲げて手抜き指導を全面批判し、「論文科は予備校のオアシス」とうそぶく論文科主任や合格率より受講者増を望む学務から敵視され、5年掛かりで手足を縛られて来ました。
 神津を解雇予告に追い込むと同時に法学系代表の神津を外して姑息に進めてきた法学系・経済系統合リストラ案を公表した駿台当局と論文科主任らの卑劣な陰謀劇が引き金となって、駿台争議は始まりました。98年年初は労組結成・承認・労使協定締結と順調に進みました。しかし98年3月中旬の和解交渉時に駿台側の労組懐柔企図が発覚し、和解話は座礁しました。更に3月末に駿台は講師として不適当な行動があったとして世界史科のTに解雇通告し、組合は態度硬化して拡大方針に転じ労使対立は激化しました。
A98年6月にT側が解雇は組合活動に対する不当労働行為だと都労委へ申し立て、駿台側は元女生徒の親からの苦情内容は労組介入以前の講師不適格に相当すると反論しました。更に99年2月には駿台は労組ビラや神津ホームページの「山崎一族は駿台を私物化し毎年推定20億円を懐に入れた」との内容は事実ではなく名誉及び信用毀損に当たると、神津・Tに各々1億5000万円余を求めて損害賠償請求裁判を提訴しました。組合側は山崎一族の20近くの系列会社との関連を示し、山崎春之個人運営の駿台四谷校の推定収入を加えて反撃準備に入りました。都労委進行も裁判の初期応酬も泥沼化を予測させる展開でしたが、都労委審理終了後の和解調査に私が請われて参加し結果的には形勢逆転に繋がりました。
B私は98年和解交渉流産後は、労組を強化する形の争議解決を主目標としてきました。労働争議の和解は、労使の交渉上の妥協であり完全な勝利も敗北もあり得ません。だが江戸時代的人権状況下の予備校業界で、ゼロから組合を立ち上げ足並みの乱れを抱えての争議経緯を考慮すると、今回の和解は組合側にとって大勝利とは言えぬが中吉程度の民主化成果だと評価します。駿台労組の和解結果が、一方的なコマ減少や解雇予告を強制されてきた予備校関係者の反撃への励みとなれば幸いです。私は和解結果を信義則に従い前向きに受容しますが、労組強化を願っており今後も依頼あれば可能な範囲で協力致します。

二、和解協定書骨子の紹介

「 都労委申立人の全国一般労組東京南部・同駿台支部・T、被申立人の駿河台学園・駿河台南学園・駿河台西学園は、都労委平成10年不46号事件および組合員神津陽および山崎春之の関連する東京地裁平成11年ワ第3723号名誉および信用毀損損害賠償事件を解決するため、神津と山崎も含めて以下の通り合意する。
 イ、駿台学園側はTおよび神津への一方的解雇を撤回する(←双方の合意で98 年度出講基本契約を締結しなかった事を確認する)。
 ハ、本件和解成立後、組合側は駿台の授業妨害となる情宣活動や、学生募集妨 害となる  情宣活動はしない。また駿台や取引銀行の役員宅周辺の情宣は差 し控える。
 ロ、駿台側は組合側に解決金を支払う。(←解雇は撤回するが復職せぬため)
 ニ、和解成立後、組合側は本件の都労委申し立てを取り下げる。
 ホ、駿台側と山崎理事長は、T及び神津に対する裁判を取り下げる。
 ヘ、今後は当事者双方は健全な労使関係の形成に務める。」
★論理構成は<イ駿台は解雇を撤回し→ロ解決金を支払う。ハ組合は駿台の営業妨害等を控える→ヘ労使双方は健全な労使関係形成に努力する←ニ組合側は都労委を取り下げ+ホ駿台側は裁判を取り下げる>の流れとなります(しかしハの形式的自粛文言を労組活動制限とみなしたい駿台案を叩き台としたので、協定書はイ→ハ→ロの順となっています)。

三、和解案確定に至る経緯と問題点

@和解調査は結審間近かの都労委で委員側から提案され、11月24日から継続して5回開かれ剛腕と噂される藤田公益委員の主導で労使合意に至りました。都労委進捗は弁護士も南部も認めるように組合側に有利とは言えぬ状況でしたが、和解の場合は裁判も一括解決との方向では労使が一致し、裁判の共同被告の私も利害関係人として調査に参加しました。
A都労委勝利を確信していた駿台側は、和解調査にも強気方針で臨みました。第2回の12月9日には駿台は労働側委員の打診に「復職は無理で金銭交渉には応じるが,神津はともかくTには一円も支払いたくない」と明言しました。第3回の12月24日に出た駿台側原案も労組活動制限を誓約せぬと正規和解交渉に入らぬとの極論でした。駿台側には労組活動は憲法や労働法で保障されているとの認識は薄く、歯向かう者は押しつぶすとの基本姿勢ではまずいと委員に労使関係の常識を諭されても、何が問題なのかも分からぬ風でした。
B和解合意が急転したのは第4回の2月3日です。駿台原案に都労委の公益・労働側・使用者側各委員が手を入れて合意可能な形に変形し、まず駿台側の了承を取り、労組に回してきました。労組側は復職困難は既に了解しており二のハの労組活動制約が最大ネックだと考えましたが、三点の制約項目は残るが信義則的形式文言に近くなったとの藤崎労働側委員の説明もあり、許容範囲だと判断し全員一致で和解案を受け入れることにしました。
第5回の2月15日に都労委最終案が出ましたが、私は労組制約との対抗バランスが必要と考え二のヘの労使制約項目追加を提案しました。結果的には私の主張は正規提案され、駿台側も了承し協定書に加筆されました。しかし駿台予備校側を制約する「健全な労使関係の形成」項目は今後の労組活動に益することは誰の目にも明白なのに、私に反発する組合役員から検討抜きの提案批判が出たのは筋違いの公私混同判断であり残念です。
<付>問い合わせもありますが、和解金額は公表しないことが和解条件に入っています。不況下の労働運動解決は筋を通した自負と精神の糧を生むが、経済的には割が合わない位の感想程度で許して下さい。まだ和解金配分は内部調整中ですが、額が確定すれば弁護料は相応に負担し、組合側にも応分のお礼をさせて戴きます。


<参考1>

 山崎駿台理事長の「ご乱心提訴」を受けて立つ声明
                        
                                   1999.4(一部改訂) 神津陽

はじめに
 駿台予備校の伝統である実績重視を掲げ近年のマスプロ化に反対する主張は95年春の論文科内対立から公然化しましたが、駿台労組は98年初から山崎独裁体制に風穴を開け駿台をよくする活動を続けて来ました。
 ところが山崎春之理事長は何を乱心したか、組合活動のビラ巻き参加者個人を訴える暴挙に出ました。被解雇者を兵糧攻めする駿台側の汚い意図は明白です。不況下でほまち仕事も少なく筋を通す生き方は困難ですが、ここで屈伏する訳には行きません。私はかつての本人訴訟での最高裁勝利経験を弁護団へも反映させ、山崎春之の醜い素顔を天下に示す積もりです。またささやかな本裁判は全共闘30年後の知識人の思想信条に関わる重い意味も有すると愚考しています。

1)98年1月にアドバルーンを上げた駿台闘争は、形式団交は継続中ですが、問題の抜本的解決なく労組勢力は浸透し駿台地盤沈下が進行中です。駿台は応募低下は折り込み済みの筈ですが前年同期比半減の数字に狼狽した山崎理事長が、駿台労組中執で不当解雇撤回交渉中の神津陽とTを突然名誉毀損で訴えました。成り金理事長が、自分が解雇した失業講師2名に計1億5千万円も円の損害賠償を求める前代未聞の裁判は5月19日10時東京地裁721号法廷で開始されます。

2)駿台グループ支配者山崎春之の教育者面の化けの皮は、98年春の80年式典への労組抗議・保谷市東町の浪人御殿包囲・駿河台大学卒業式欠席・武道館の駿台予備学校入学式中止・予備校内講師パーテイ類全廃・長男からの提訴等で剥げています。だが自分は「既に死んでいる」ことを知らぬ山崎は労組配布ビラ中の「山崎一族は駿台私物化の責任を取らず、毎年推定20億円を懐に入れている」との文面に過剰反応し、莫大な損害賠償と謝罪広告を求めてきたのです。

3)だが元東京地検特捜部長で駿河台大学教授を務める河上和雄ら八名のコケ脅し弁護人を並べた仰々しい訴状は、幼稚園児以下の非論理的作文に過ぎません。以下、事実を示しつつ駿台側のうさんくさい論拠を批判しておきます。

@山崎らが名誉及び信用毀損の証拠とするのは駿台労組の10/17「知っていますか? 駿台グループの現状」と、9/25「駿台丸は今やタイタニック号状態?」のビラ配布活動です。さらに駿台はこの何の変哲もない通常労組ビラ2種の、ホームページ「元祖駿台式・神津論文塾」への私的掲載をも訴えたのです。

A通常の労組活動は憲法でも労働諸法規でも保障されており、駿台労組は駿台で唯一の公認労組であり団交も継続中です。駿台は駿台労組ビラに反発し神津・T両名を名誉毀損で告訴しましたが、これは労組参加者個人に責任を転嫁する形での駿台当局による卑劣な不当労働行為である事は説明の要もありません。

B両ビラの山崎駿台私物化指摘の前提は、駿河台学園が子会社のオーストラリア観光事業融資300億円を債務保証したとの「5.12毎日新聞」のスクープ記事です。駿台当局は名誉毀損で毎日を訴えると息巻きながら何の対処も出来ず、それを前提とした二番手ビラを訴えることで墓穴を拡大する道行きとなりました。

C駿台は本件ビラ配布で、新設予定の駿台法律経済専門学校の見学会や駿台外語綜合学院の体験入学に影響が出たと言います。だが労組5名が200枚のビラを巻かねば、3名の見学会参加者が100名に増えたのでしょうか。ビラ1枚88万円の計算で損害1億7千万円を計上する駿台当局の判断に何の合理性もなく、ささやかなビラ巻きと膨大な損害額の間に何の因果関係もありません。ましてや労組活動に参加した者の2名のみを、加害者と特定して訴えるべき論拠は皆無です。

Dこの裁判では証拠類の提出合戦が見物です。原告が虚偽の風説だとする山崎一族への駿台グループからの年間20億円受領の背景を、被告は堂々と示します。逆に被告側は原告が証拠提出したビラやネット内容をもとに、20億円が虚偽の風説なら実際はいくらか? 毎日新聞の300億円債務保証記事は本当か? 予備校の財務状況はどうなっているか? 年間正規授業時間不足・学費と講習会費の二重取り・専任教員不足・大教室クラスは専修学校設置基準違反では?等々、団交で逃げてきた当局の恥部を裁判で堂々と当事者照会できるのです。

4)山崎春之理事長のご乱心の原因は、江戸時代的専制支配への時代錯誤な固執にあります。名誉や信用は実態に即した周囲からの自発的賞賛であり、賞賛の強制はお笑いです。山崎理事長の社会的信用や名誉は既にマスコミ各社のスキャンダル報道で十分に失墜しており、労組が改めて失墜させることも回復することもできません。また火のない所に煙は立たずインターネットの声に戸を立てる主張は無粋です。山崎理事長は傍聴満員の公開法廷で尋問されて赤恥をかく前に、自らの不明を恥じ深く反省し真摯に事態収集を図るよう予め忠告しておきます。


<参考2>

 
論文学習の基本問題 神津陽

            (「東京新聞」98・3・14朝刊記事に寄せて、一部改訂)

★__駿台予備校論文科リストラ問題の真相は?
 東大後期論文導入を前に駿台では論文科準備会が発足し90年に論文科が設立されました。駿台論文科は予備校業界で初の系統別対策を実施し当初は大きな成果を上げますが、当局はバブル崩壊後の人集め優先への方針転換により論文科はお荷物扱いされるようになります。当局と論文科主任などの詐欺的な受講生拡大方針に対し,法学系は合格実績確保が採算増の王道と批判してきました。そこで学校側は五年掛かりで法学系代表の神津をコマ減し閑職に追込み、神津への解雇予告後に法経統合リストラ案を公表しました。
 だがこの法経統合案は論文科内で一度も公的に方針提起されず会議議案にもならず議論もされず,学校と講師幹部が法学系代表を外して謀議を重ね神津以外の各系代表者の合意を偽装し進められました。この薄汚い談合体質は組合結成後の反労組策動や、社会科学系統合後の運営にも貫徹しています。利益優先経営に対する合格実績向上主張の排除が今回のリストラ問題の真相で,正論圧殺後の論文科は手抜き派天国となり99年の合格率低下が懸念されます。

★__学校は生徒の講師評価を重視すると言うが?
 私の授業が難しくて分かり難いのは事実でしょうが、論文入試を突破するにはその程度の試練が必要なのです。論文授業では自己表現も思索訓練もないセンター型生徒に,大学授業を越える資料文を理解させ,最大150分で1200字を2本書く論文力を養成せねばなりません。合格実力育成を目標とすれば,論文授業の満足度比率が受動的な他学科受講に比し低くなるのは当然です。実際出題レベルの論文授業は満足度は低くても合格実績は上がり,実際出題を無視した誰でも書ける作文授業なら満足度は上がるが合格率は下がります。
 合格を目指す受講生を合格に近づける論文授業として神津クラスは,手抜き作文レベル授業に対して模試・入試との圧倒的高実績を上げています。手抜きでも易しい授業でウケて欲しいとの合格無視の詐欺的指導の拒否が,なぜ解雇理由となるのか噴飯ものです。論文授業を受講者数や学科同様のアンケートで評価して私の悪口を言う駿台側のタブーは、神津講座と他クラスとの合格実績比較であり、特に外面のよい手抜き授業生の論文非受講生以下の低合格率です。

★__なぜ論文解答の比較評価が必要なのですか
 これは論文科授業の特殊性に基づく合理的な論文力育成法だ。人の考えは様々で論文入試には唯一の正解はないため、講師の数だけ論文指導法が乱立しているのが現状だ。だが生徒は大学合格を目指して予備校に通い、受験科目の一つとして論文授業を受けている訳です。とすれば<設問別の妥当な解答法・解答良否の判断基準・合格レベル>が論文科の講師・採点師・生徒の共通ツールとして不可欠となり、その最良の検証方法が解答例比較なのです。
 論文解答は作成者個人の著作物ですが、予備校としての無署名解答例を提示する例が多く、授業では生徒答案を論難しながら無署名の他者解答例を盗用する講師も沢山います。論文指導では解答責任明示と比較評価の許容が必要であり、解答が合理的に比較評価できねば各人の学習法が確立できません。論文学習が論文力向上につながる保証がなければ、生徒は危なくて論文受験に近づけません。

★__同僚講師のどんな解答を批判したのですか
 私は生徒の利益のために同僚講師のトンデモ解答法の誤りを指摘しただけです。論文答案は設問指示順守が基本解答法で、紅茶の注文に緑茶を出しても解答としての評価対象になりません。ところが97年慶大環境情報の解答速報でSFC講座担当者が「4つの資料の各論点に必ず言及しながら〜」との設問に,<必ず言及せよとの強い指示だが,1資料文を明示する,2「 」内の引用で処理,3各キーワードを活用するなど,様々な形が可能>とコメントしました。併願予定の生徒からの質問が多いので神津は法学系論文演習の類似設問の解法説明で<複数資料の論点言及法は1の資料番号明示が常識であり,論点の資料特定も論点比較もできぬ2や3のような誤った解法での合格者はいない>と指摘しました。
 ところが神津の演習解説は他系指導への介入だとして,論文科責任者や幹部連中が「神津を排除し法学系を正常化せねば代表者会議には出席しない」と学校側にねじ込み、生徒利益を考える私の方が悪者となったのです。意見提出をすべて体制批判と断罪する、駿台の江戸時代並みの言論感覚には失望しました。だが意見の正誤を問わぬ駿台流の正論圧殺では問題は解決せず、第一に誤答法を信じた生徒は合格できません。駿台は生徒に対してどう責任を取るのでしょうかね。

★__今後はどうするのですか
 神津は駿台での十年間の論文指導内容の筋を通し,生徒に恥じぬ言動を取ります。今までの「東大実戦」「全国論文」「東大後期:青本」等の解説を熟読すれば,駿台で起きている問題群の考察が論文入試他愛策の生きた教材であることが分かるでしょう。授業料を出している予備校の主役の生徒諸君は,解答例の文責明示さえできぬ手抜き授業を拒否し合格可能な授業を求める権利があります。
 真剣に論文力向上を希望する諸君は、当方へ連絡して下さい。東大文Tや一橋大法や慶大総政は初年度より本年まで、慶大法はこの十年分、詳細な解説と複数解答比較の在庫があります。駿台文庫の神津著「論文教室生中継〜法学系」でもどの系統にも役立つ共通解法ヤ解答比較法を詳述しています。98年度の駿台授業がなくなっても、受講者の希望があれば自主講習会なども企画します。                     以 上      

     

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