ビクター最終最強デッキTD-V931の弟分と思われるTD-V731です。
ビクターデッキといえばV931。そのインパクトが強すぎて似たような面 構えにもかかわらず陰に隠れてしまった悲運なモデルであります。
実際、私もV931は数台所有していましたがV731は全然でして、気にはなっていましたがわざわざ入手するほどでは...と思っていたところ、たまたま通 りかかったH/Oで超音波病を患った定番ジャンクが置いてありましたので、結構な価格でしたが連れて帰ってきてしまいました。
そう、今回は「直して使う」ではなく「V931と何処がどう違うのか確認する」のが目的です。
今回のブツの程度はまあまあでした。
ヤフオクあたりでは「超美品です!」っていうレベルでしょうか。
最近こういうフレーズに飽きてきているのは私だけでしょうか(^^;
比較用にV931を用意しました。
さて、どっちがV731でしょうって?!
外観上の違いはダイレクト入力のレベル調整VRと、キャリブレーションの感度調整が省略されている程度ですね。
と、いうことは、V931のプラットフォームを流用して作ったのかな?って思ったほどです。
ワクワクしながら開けてみました。
これまたビックリ!まんまV931じゃないですか!!
カネと手間のかかったプラグイン基板も健在です!
しかし、基本的に同じはずなのに重量
に差がありすぎるのが気になります。気になって仕方ないのでシャーシまでバラしてみてその正体がわかりました。
V931はシャーシとアークベースの間に3ミリの鉄板が挟んでありますが、V731ではそれが無く、ナットの代わり程度の金具しか付いていませんでした。
なぁ〜んだって思うでしょ?でもね、このアークベースはV731専用設計なんですよ!小さなコストダウンの為の大きなコストアップ?!
メイン基板です。
V931と共通ですね。定数が若干異なる部分がありますが全く同じと言っても過言ではないでしょう。
よって、コネクタ部分の再ハンダは必須項目ですね。
さすがに入力レベルVRは標準タイプでした。
再生イコライザ基板です。
左側がV931用です。まず銅メッキのシールド板が潔く省略されていますが、回路も初段のFETによる差動増幅回路が省略されてオペアンプ1発の一般 的な回路となっております。
その他コンデンサのグレードもガクンと...でも!オペアンプはVC4580LDというノイズ選別 品で、この点はV931に勝っていましたよ。
録音アンプ基板です。
こちらは回路的な変更は無いようです。パーツグレード程度でしょうか。
電源&レベルメーター基板です。
コンデンサが、泣けるぜ〜...(^^;
電源&ロジック基板です。
こちらもほぼ同じです。整流ダイオードやコンデンサが普通の物になっている程度で、あとはキャプスタンモーターへの電源供給が若干違います。
メカを取り出してバラしに入ります!
パっと見はV931と同じですね。
しかし、キャプスタンがダイレクトドライブではなくベルト駆動となっていました。これにはビックリ!
だって、V531やV631はDDなのにV731だけベルト駆動なのは何故?しかもベルトは2本掛け。
なかなか謎です(^^;
せっかくですので、ベルトは2本とも交換しておきました。
1本200円が2本。V931よりも高くつきます(^^;
いつものようにメンテします。
ヘッドも独立懸架ですしメカはDD以外V931と同じと見て良いでしょう。
ジャンク理由だった超音波病も完治させて元通
りに組み付けます。
作業性が良いのは設計がしっかりしている証拠。だからイジっていて楽しいです(^^)
いつものように調整して完了です。
それにしてもこのメカの完成度は高いですね。走行系はビシっと安定!DDの必要性を感じさせません?!
さてさて、無謀にもV931と対決です!!が...?
意外にも差がほとんど感じられません!!
再生イコライザのFET差動増幅回路が省略されているので聴感S/Nの違いを予想していたのですが、思ったほどではないです。音の傾向も全く同じ。コンデンサが違っても、重心の高さはほとんど変わらないんですね。
差が全く無いわけではないのですが、私の劣化が進行している耳でのブラインドテストでは外すかも...(^^;
コレ、発売当時の定価が幾らだったのかわかりませんが、V931の87000円よりは安いはずですのでコストパフォーマンスは抜群だったのは違いないです。にもかかわらずV931の陰に隠れて不人気モデルでその生涯を終えたなんて、なんと悲運なモデルだったのでしょうか。
もっと注目されても良いデッキですが、目の前にV731とV931があったら...多少高くてもV931を選んでしまいますよね(^^;;
う〜ん、やっぱり可哀想(^^;