ついに入手しました。松下デッキの「原器」、RS-B100です!
WEBで調べると、B90とは別物で、専用のデュアルキャプスタンメカを搭載しているとの事ですので、やはり最上位 モデルは押さえておく必要があると思いまして、某オクでジャンク品をポチりました。
タマ数少ないのか、某オクでもめったに見かけません。今回はたまたま運が良かったようです。
ジャンク業者さんのブツでしたので、外観は全く期待していなかったのですが、届いてビックリ!!超美品です!!
天版にスリキズらしきものがある程度で、フロントパネルは無傷でした。ヤニコーティングもありません。
いやぁ〜、こんな事もあるもんなんですねぇ〜!やる気増大です(^^)
内部の様子です。
B90とは大違い、けっこうゴチャゴチャしてて複雑です。
内部を荒らされた形跡もなく安心ですね。
電源トランスです。
まぁ、普通ですね。
でもなんで側面取り付けなんでしょう?生産性かな?
電源部です。
このあたりのコンデンサは無条件で全数交換ですね。
メカ部です。
B100専用メカ...ってやっぱりアルプス製...!
細かい部分は異なりますが、基本的にはB90と同じでした。
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん.....
再生イコライザはFETによる差動増幅+オペアンプという構成でした。
NR回路はプラグインで刺さっています。
コネクタ部分が心配です。
こりゃ、ほとんど使われてなかったようですね。
ヘッドも汚れこそありますが摩耗は無に等しい状態。
ホントにラッキーでした(^^)
徹底的にバラします!
さぁ、もう後戻りはできません。こうやって自分を追いつめてテンションを上げていくのです(^^;
フロントパネルもお風呂で磨き上げるためにバラせるだけバラします。
キズを付けないように慎重に洗います(^^;
ツマミ類は食器洗剤+超音波洗浄で洗浄します。
無くすと大変なので慎重に慎重に...洗面所の排水口には念のため網を設置しておきました。
FL表示ユニットです。
レベルメーター回路もついてます。
こういう部分は無条件で再ハンダですね。
後でやるとなると大変ですので、今のうちにやってしまいましょう!
操作スイッチも無条件で全数交換です。
せっかくオーバーホールしても、スイッチレスポンスが悪ければ気分も台無しですからね。
その他の基板も入念にチェックして再ハンダしていきます。
洗浄が終わり1日乾燥させたフロントパネルに、メンテ済みの基板を元通
りに組み付けていきます。
次はメイン基板です。
さぁて、どこまで手を加えようか...!
本当は電解コンデンサを全数交換と行きたいところですが、やたら多いので断念。
気休め程度ですが、入出力のカップリングを音響用に交換する程度にとどめておきました。
電源部です。こちらも古いコンデンサがテンコ盛りです。
せめて電源部だけは...と全数交換しました。
電源は何かあると怖いですからね。無条件で全数交換が望ましいです。
あとは再ハンダ、必須です。
NR基板です。
コネクタ部分を中心に再ハンダを行っていきます。
見つけてしまいました...!
こりゃ完全に逝ってますね。
他の松下製の青いのは問題ないので、この色のだけ弱いようです。
さて、いよいよメカのオーバーホールにかかります!
メカ裏側にはDDモータ駆動回路が付いています。
B90ではリールモーターの動力を利用してメカを駆動させていましたが、B100になると専用モーターで駆動するように改良されていました。
キャプスタン、リール、メカ、それぞれのモーターが兼任する事なく専属で仕事をこなす、カセットデッキメカの理想形がこの原器から生まれてきたのでしょう。
DDモーター基板上の半固定抵抗もご覧の通
り...
経年劣化ですから仕方ないですね。こちらも無条件で交換です。
ヘッドブロックはやっぱり樹脂製!
十分なんでしょうけど、ちょっと寂しいですよね。
どんどんバラしていきます。
当然、グリスはご覧の通り。硬化してゼリーのようです。
清掃しながらバラしていきます。
外せるものは全て外していきます。
メカ表面
もフレキ基板を残してバラします。
フレキはね、怖いですから極力触りません!
でも、このリーフスイッチはちゃんとやりますよ!
接点磨き及び調整、仕上げはナノカーボンです。
外したついでに磨き上げます。
組み上げれば見えない所ですが、こういう無駄な事が出来るのも自己修理の醍醐味です。
ドンガラになりました。
元に戻せるのだろうか...(^^;
外した部品は食器洗剤に浸け置きした後、超音波洗浄を行います。
カムギアの谷間に残ったゼリーグリスも一瞬で浮き上がってきます。
ピッカピカになった部品達!
まるで新品のようです!!
いやぁ〜最高の自己満足ですね!
ピカピカの部品に、新しいセラミックグリスを付けながら組み立てていく感触は、何処かラジコンを組み立てているような錯覚に陥ります?!
カムギアもご覧の通
り。キレイでしょ?
見るからにスムースに動いてくれそうです!
ベルトも新品に交換します。
ここまで来ればあと一歩!
割れていた半固定抵抗も忘れずに交換です。
完成!!
いやぁ〜、久々の力作って感じです(^^;
ネジも余る事なく納得の完璧な作業が出来て、大満足です!
1984年製の電源コードも新品に交換しました。
純正よりも1ランク太い1.25sqにしました。
っていうか、たまたま入手出来た物を使っただけです(^^;
元通
りに組み上げて通電確認。
ドキドキでしたが一発動作!
いやぁ〜苦労が報われる瞬間ですね!
あとは内部の配線をキレイにまとめます。
もう、自己満足作業だらけです(^^;
走行系と電気系の調整を行いましたが、狂いはほとんどありませんでした。あそこまでバラしたのにこの精度!素晴らしいです。
完成です!
ピッカピカ!まるで新品です!
こんな程度極上のB100は、世界中探しても無いのではないかと思うくらいキレイです。
カセットホルダーもピッカピカ!
dbxを強くアピールしている所がいいですね。これもテクニクスらしさの1つだと思います。
スイッチ配列はシンプルそのもので使いやすいデザインですね。
ただ、残念なのはツマミ類は全部樹脂製なんですよね。
原器を名乗る高級機なら、せめてアルミにして欲しかったなぁ...
dbx
discに対応しているところが時代を感じさせてくれますね。
走行系も新品みたいでしょ(^^)
眺めているだけでも楽しくなってしまいます(ちょっと危ない!?)
右から〜
カッコイイしキレイだし、こりゃもう手放せませんね!!
左から〜...って
眺めるのはこのくらいにして、試聴といきましょう!
試聴
一言でいうワイドレンジです。
1984年にこのレンジを確保していたとは驚きです!B90とは全く別格。恐れ入りました。
WEBでカタログを調べたところ、F特はメタルで25KHzと記載されていました!なるほど、同じAXヘッドでもB100は別 格なのですね。
安定した走行系に支えられ、見事な音質だと思います。
しかし、やっぱりどうしてもテクニクスサウンドとでもいいましょうか、立体的な表現が苦手のようで、雑味の無い綺麗な音ではありますがどうしても表現が平坦になってしまい「のっぺり」した印象になってしまいます。
ん〜〜なんといいますか、すんごく美味しいみそ汁なんだけど、具が入っていないような...。ダシが効いていないっていうほどでは無いのですが...ハートに訴えかけてくる何かが足りないような気がします(雑味だらけのソニータイマー内蔵高額クソデッキよりはずっとずっとマシですけどね)。
真面目な音といえばそうですが、あともう一歩って印象が実に惜しいです。
とはいえ、歴代の松下デッキの中でもトップクラスの音質を持っているのは確かですし、操作フィールに関してはB90より高速化され快適です。このあたりは松下最終最強として名高いB900をも上回っており、原器としての実力を魅せ付けてくれます(まぁ、B100とB900とでは製品に込められた魂が全然違いますので比較するまでも無いですね)。
冷静になって考えてみれば、松下デッキの「のっぺり」した音は、この「原器」から代々受け継がれてきたのかもしれませんね。「無難な音質」といえばピッタリ当てはまりますので、このほうが個人経営の「ナショナルのお店」では売り易かったのかもしれません。
松下デッキ、良いですね。もう少し集めて遊んでみようと思います。