久々の大収穫です(^^;
日立製作所がオーディオに本気だった頃のマシンです。Lo-DのCDプレーヤーといいますと、世界初のセパレートCDプレーヤーDAD-001が有名ですが、このDAD-003となるとほとんど情報がありません。タマ数もホントに少なくて、某オクでもめったに出てきません。
今回は運良く某オクで片チャンネル音が出ないという、なんとなくイヤな予感がするジャンク品を格安でゲットする事が出来ましたので、解析しながら復活を試みました。
そういえば、私にとってのセパレートCDというのは、これが初めてであります(まぁ、CDP-701ES改DAS-701ES+SD-1500っていう「なんちゃってセパレート」はありますが...)
今回のブツはジャンク品でしたが外観は驚くほどキレイで、取扱説明書まで付いていてCD再生動作も問題ない上物でした。
ほとんどの場合、メカ系が力尽きているのが普通ですが、20年以上経過しているにもかかわらず動作状態にあるという事は驚異的です。
憧れのセパレート、カッコイイですね(^^)
リアパネルはご覧の通
り、同軸のデジタルケーブルで接続されています。
銅メッキのシャーシがまぶしいです!
とりあえず動作確認してみると、最初は両ch音が出ていたので「なぁ〜んだ、端子のハンダクラック程度かな?」なんて油断していたらDCっぽいイヤなノイズと共に左側の音がショボくなってしまいました。
この感じ...とってもイヤな予感...!!
まずは不具合のあるDACをバラします。
たった2本のネジで固定されているだけの天版を持ち上げると、妙に重たい!
何と、ブ厚い鉄板が貼り付けてありました!こりゃ重たいわけだわ。
中身は、まあまあです。DAD-001と比較してしまうとガッカリしてしまいますが、かなり高価な部品がズラリと並んでいます。
よーく見ると、日立グループらしい作り込みが随所に見られます。使われている半導体も可能な限り日立製で、出力バッファに2SJ76/K213を起用して、出力カップリングコンデンサは2個パラで使われていたりと、日立のコダワリがうかがえます。
何とデジタルフィルターが付いているではありませんか!
1985年製なので、当然ノンオーバーだろうと思っていただけにちょいとショック(^^;
更に、SM5800Pなんていう知らない石が2個も付いてDACはPCM54HPが1個...パラレルはちょいと苦手です(^^;;;
回路を簡単に追いますと、DACのPCM54HP→S/H関係と思われるHA12077NT→LPFモジュール→オペアンプM5219→FETバッファ2SJ76/K213といったところです。
DAIはソニーのCX23053でした。当時はこれくらいしか無かったのでしょうね。
現代のTC9245N(これでも古い!)等と違い、PLL関係を外部で生成しているので周辺回路が賑やかです。
電源部も日立のコンデンサ「ピュアフォーカス」が当然のように使われています。
電源トランスはカワイイけれど、コンデンサはアンプ並です!
作業しやすいように基板を取り出しました。
すべての配線はコネクタで外れるので作業性は良いです。
基板裏面
を見てビックリ!!
パターンカット&ジャンパー処理&回路変更&部品追加の嵐です!!
最初見た時は改造失敗機か?!って思ったほどです。
しかし、よく見るとこれは工場生産時の手直しだという事がわかり、ひとまずホっとしました(^^;
そりゃねーだろって言いたくなるような.....ちゃんと設計したんかよって(^^;
とくに終段のFETバッファ周辺なんか、FETが付く場所が無くて(爆)足を無理矢理曲げて周辺の穴に付けて、当然のようにパターンカットとジャンパー処理がしてありました。
誰がどう見ても設計不良ですね。っていうか、量産する前に気付けよって。まぁ動いているからいいけど。
さて、不具合の原因を絞り込みます。
症状からして、認めたくはないのですがLPFモジュールが最高に怪しいです。
頼むから後段のオペアンプ不良であって欲しい...!
そう願いながら左右入れ替えてみました。
願い届かず(何処へ?)LPFモジュールの不良が確定しました。
こんなモジュール、間違ってもメーカーに残ってないでしょうし、タマ数少ないモデルゆえに同機種のジャンクなんてまず出てきません。
まいったなぁ〜...いっその事撤去して直結にしちゃおうかとか(^^;自作ならアリですが修理となると...面 白くありません(変なコダワリ)。
そこで悩んだあげく他機種のLPFモジュールを流用する事にしました。
2倍オーバーサンプリング用という事で、いくつかある中から今回はソニーのCDP-203の物をチョイスしました。
え?なんでそんな安物CDPのなんか使うのかって?
ええ、確かに安物ですがこの頃のLPFは完成されていて、音質的にも十分良好である事は確認済みです。初期の最高級CDPに搭載されている物よりもレンジも広く滑らかな音のする良いLPFだと思っています。
基板裏面
へ付けました。
幸いピンアサインが似たようなものだったので簡単に取り付けできました。
どちらも製造元は村田かな?
ついでにオペアンプがL型でしかもM5219Lというパっとしない物だったので、交換して遊べるようにDIPソケットを装着してみました。
DACのPCM54HPは内部I/V変換でしたので、ついでに外部I/Vへ変更しました。
オリジナルの音を確認する前にこのような改造をするのはどうかとも思いましたが、外部I/Vにして逆効果 だった事は私の経験上一度も有りませんでしたので強行採決しました。
確かに、内部I/Vでも電源などをしっかり仕上げてそれなりに良い音を出している高級機もありましたが、それでも外部I/Vにはかなわないと思います。
元通
りに組んでDAC部は完成です!
デジタル信号をブチ込んで、正常であることを確認しました。
さて、次はどーでもいいプレーヤー部です(^^;
はっきり言って、今回のブツ入手の目的はDAC部でしたので、プレーヤーはどうでも良かったのです。でも、ちゃんと正常に動作しているので、これはこれで捨てずに使っていこうと思うようになりました。
とりあえず、ピックアップを清掃してオッケーとしました。ベルト類はド太いので20年以上経過していてもしっかりしていました。凄いぜローディー!
ここにも日立らしさが。
フィルムコンとスチコンがパラってあります。
ここまでやるか?!って感じで、こういうの大好きです!
完成です!
メカは元気でDACがイカれたという珍しいジャンク品でしたが、無事復活出来ました。
暖かみのある豊かな音...一言でいうと80年代の音だと思います。レンジ的にはハイスペックな現代の製品にはかなわないようですが、情報量 とでもいいましょうか、そういう点では現代の製品とは明らかな違いを楽しむ事ができます。
現代のJポップを聴く限りではその差はじぇんじぇんわからないでしょうが、録音状態の良い女性ボーカルなんかを聴くと、その差は歴然!この存在感、ゾウゾクしちゃいます!女性なら、平井堅なんかを聴けばイチコロでしょう(^^;;;
CDプレーヤー部は5重訂正能力を持っているようですが、現代のCDPの方が性能ははるかに上のようです。音も最新のデジタルサーボのほうが「ピシっ」とします。
しかし、ピシっとしていなくても、これはこれで良い味を出しているように思えます。リラックスして聴くにはこちらのほうが良いかもしれません。
これですよ、エイティーズですよ!黒い円盤を思い出させるあの音!オッサンにしかわからない青春時代(激謎)!
なんとなく、DENONのDCD-1800をを思い出してしまうモデルでした。レンジ的な問題は、オペアンプを良い物に交換すれば簡単に解決できそうな気がします。なんせDACから出たてホヤホヤの信号を、LF356が受け止めているのですから無理がありますよね(^^;
その後、オペアンプをとっかえひっかえ遊んでみまして、最終的にはI/VをOPA134PA、バッファはNJM4580DDで落ち着きました。「そんな安物!」とか「低SR石!」って声がうんちくマニア様達からバンバン聞こえてきそうですが、オーディオ機器のチューニングというものは価格ではなく音で決めるものだと私は思っていますので、少なくともDAD-003という性格にはこのオペアンプがベストだと思います。
いいですね。しばらくメインにして遊んでみたいと思います(^^;