「漆黒の王子」インターネット朗読コンテスト

本には「読む本」だけでなく「聞かせる本」がある。現代の『語り部』大募集!
バベル初めての試みにご注目。ふるってご応募ください

◆バベル・プレスが7月に刊行した「漆黒の王子」は、石川県立図書館をはじめ、多くの図書館からご購入いただきました。

 アフリカの吟遊詩人「グリオ」の物語が日本に紹介されたのは、本書が初めてだったことに注目していただいたからではないでしょうか。
「グリオ」は、平たく言えば、語り部ですから、この本に著されている物語は、ただ「読む」というよりは「語って聞かせる」ことが理想的です。
 そこでバベル・プレスでは、この本の良さをさらに多くの方々にお楽しみいただくために、超現代的なインターネット『朗読コンテスト』を実施することにいたしました。
 ご応募いただいた全員の方の「朗読」を、バベルのホームページでお聞きいただけるとともに、小学校などの教育機関その他の団体からご要望があれば、それをテープまたはCDにして、プレゼントいたします。
 もちろんホームページ上では、『朗読コンテスト』を実施。優秀者10名の方には、その後もホームページ上で積極的にご紹介いたします。
 素晴らしい語り・朗読は、人を勇気づけ、希望を与えてくれます。「朗読」を通して、様々な社会貢献をなさってみませんか? バベルが応援いたします。

◆「グリオ」って何?

「グリオ」はフランス語、アフリカ現地のマンディング語では「ジャリ」というそうです。王様から庶民まで、それぞれの家系には専属の「グリオ」がいて、その一族の歴史を諳んじているそうです。最も典型的な「グリオ」は、王様づきの「グリオ」で、王家の歴史、歴代の王様の逸話などに通じ、折りに触れ、頭の中にある引出しから物語をつむぎだし、王を称える役目なのだそうです。
 ここで多くの方が思い出されるのが、「古事記」を諳んじていた稗田阿礼ではないでしょうか。
 「古事記」の冒頭で、稗田阿礼(ヒエダノアレ)について次のように語られています。まさに『グリオ』そのものではないでしょうか。
 
 時に舎人あり。姓は稗田、名は阿礼、年は是廿八。為人聡く明くして、目を度れば口に誦み、耳に払るれば心に勅す。即ち、阿礼に勅語して、帝皇日継と先代旧辞とを誦み習はしめたまひき。

(訳)時に舎人がいた。姓は稗田、名は阿礼といい、年は二十八であった。人柄は聡明で、目に触れると口で読み伝え、耳に一度聞くと心にとどめて忘れることはなかった。そこで阿礼に仰せられて、口で読み伝え、帝皇の日継と先代の旧辞とを誦み習わせなさった。

 稗田阿礼については、詳細が分かっていませんが、現代に生きるアフリカのグリオの内容を理解することにより、稗田阿礼の実態を明らかにすることができるかもしれません。

◆ラップもヒップポップも源流は『歌うグリオ』

 今までのことから「語り専門のグリオ」が存在するのは、当然想像できますが、いまや音楽界を制覇して久しいラップ、ヒップポップの源流が、『歌うグリオ』なのだそうです。
 サリフ・ケイタ、ユッスー・ンドゥ−ルなど世界的に活躍しているアフリカのミュージシャンの多くも『グリオ』出身だということです。
 もともとはこのように専門化されていたのではなく「語りと歌」が融合していてシャーマンでもある『グリオ』が、活躍していたはずです。
『歌うグリオ』の原型は、歌い手が女性で、演奏が男性。歌い手の女性は、当然、直立不動で歌っていたのでなく、霊が乗り移ったかのように強烈な踊りと一緒だ
ったと考えられます。またまた「古事記」ですが、天の岩戸の前で踊った、天宇受売命(アメノウズメノミコト)を髣髴とさせるではありませんか。

◆翻訳にあたっての工夫もここにありました。

 今回の翻訳は、昨年のバベル翻訳奨励賞の優秀賞受賞者と、別途実施したトライアル合格者、計15名の方が、グループで翻訳を担当しました。ここで問題になったのは、やはりアフリカの『グリオ』の語り口をどうするかでした。監訳者のあとがきにもありますが、『語りの文体』をどのようにするかが、最大の苦労だったようです。例えば落語の語りなども研究し、よりアフリカらしい『語り口』を確立したといえましょう。従って、口調は軽快で、まさに「朗読」にはうってつけといえます。

◆著者:カマ・カマンダさんについて

 カマ・カマンダさんは、1952年、コンゴのルエボ生まれ。アフリカ各地を放浪後、ルクセンブルグへ亡命。15歳で第1作、本書「グリオの物語」を発表。まさに『グリオ』そのものといえましょう。
 以来、数々の詩、物語、小説を発表.特に詩の分野ではアカデミー・フランセ−ズのポール・ヴェルレーヌ賞を受賞。また本書の続編、『グリオたちの夜』ではブラックアフリカ文学大賞を受賞しています。

◆ご応募について:あなたの『語り』を聞きたい人、待っている人が全国にたくさんいます。

◎36の物語からなる「漆黒の王子」のうち、お好きな物語を1編選んでいただき、テープに吹き込んで、お送りください。ご住所、お名前、電話番号、E−mailアドレスと「朗読にあたってのご感想・今後どのような朗読をしていきたいか」をお書きください。

◎「朗読」技法、テクニックなどは問いません。お読みになって、感じたままに自由に「朗読」してください。例えば曲をつけて歌っていただく部分があっても結構です。また、インターネットの画面と連動させての新しい朗読パターンを開発なさっても構いません。意欲的な朗読、大歓迎です。
 第1次応募締め切りは、本年12月末日としますが、応募があり次第、順次、バベルのホームページ上でご紹介いたします。

◎インターネット朗読コンテスト審査方法:ご応募があり次第、掲載した朗読をホームページ来訪者にお聞きいただき、最も『素晴らしい』と感じた作品に投票していただきます(第1次審査)。
※第1次審査の集計後、「eとらんす」編集長とプロの朗読者の方で2次審査を行い、優秀者を発表いたします。

◆「朗読」はやってみなければ、分かりません。あなたの個性を活かしてください。

 とつとつとした語り口こそ、人の心を動かすことがあります。あなたの秘めたる才能を試してみてはいかがでしょう。

本件に関するお問い合わせは⇒ E-mail counselor@buc.babel.co.jp
朗読テープの応募先
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ビル
TEL 03-5766-8915 FAX 03-5766-8914

(株)バベル「漆黒の王子」朗読コンテスト係