そんな事よりも、僕は同じクラスの女の子が気になっていた。
冬花

彼女の名前は「冬花」。 
物静かで控えめだけど 気がつくといつも僕の視界の中にいた。
優しくほほえむこの少女だけは、なぜか気に入っている。



都会で暮らしていたヨソ者の僕にとって 田舎の生活は苦痛でしかない。

彼女を知るまでは 家の近くにいた小さな野良猫だけが 僕の大切な友達だったのだ・・・。
食糧難の時代、家で飼えるはずもなく 僕は親に隠れて食事の残りを与えていた。