いわゆる啓発本・ビジネス本のジャンルに位置付けされる書物です。この2冊を一言でいうと「人を動かす」は人のマネジメント、「道は開ける」は人生訓・人の生き方を記したものと言えるでしょうか。ただ、この2冊はそんじょそこらの啓発本とは歴史が違います。これらはアメリカの著述家デール・カーネギーによって書かれたもので、1930年代初版発行となっています。実に今から70年以上も前に書かれたものです。
その内容は、現在無数に発行されている啓発本・ビジネス本や自己啓発セミナー等の基礎となっているもので、多かれ少なかれこの本に書かれている内容をニュアンスを変えて、またはそのままダイレクトに引用しています。(中には、タイトルだけ変えて中身はそのままパクッてるやろ!!というようなものもあります。)
70年以上も前に書かれたものですから、古臭く現代にマッチしない様に感じられますが、その内容は70年を経た今でも通用する誰が読んでも「なる程!!」と納得させるものです。また、当時の人々や生活についてのエピソード等の事例を交えた内容でもあることから、非常に判りやすく、この様な啓発本が苦手な人にも抵抗無くスラスラ読めるのではないか思います。
例えば「道は開ける」を紹介しますと、本書は第1部から第8部の項目にわたって構成されており、更にいくつかの細かい章(28章)に分けて書かれています。1例として、その章の中の1節に「100万ドルか天与の財産か?」というものがあります。これについては「多くの人は自身に備わっているものを顧慮せずに、いつも欠けているものについてばかり考えている(気にかけている)」ことを指摘し、「何故、自身が本来持っている天賦の才の方について考え、それを生かそうとしないのか
- 不足しているものを数えるな、恵まれているものについて数えてみよう」ということを大変分り易く説いています。
また、この他にも「今日一日の枠の中で生きよ」、「避けられない運命には従え」、「恩知らずを気にしない方法」等、そのタイトルを見ただけでも引き付けられる様な記述が数多くあります。
私がこの本を購入したのは15年程前で、その頃のものは今のような立派なハードカバーではなく、表紙がペラペラの装丁もシンプルな安っぽい感じのそこいらのビジネス本とたいして変わらない感じの本でしたが、購入し読み始めると2冊ともグイグイ引き込まれるように一気に読んでしまいました。
ハッキリ言って他の啓発本・ビジネス本とは格が違います。何といっても今でも大型書店の啓発本コーナーで一番目立つ所に平積みされている程の超々ロングセラーです。
企業も、高い費用を投じて社員教育と称するどうでもいいようなセミナーに社員を行かせるより、この2冊を渡して1週間後に感想論文を書いてこい!!とやった方がよっぽど社員の為にもなるし役に立ちます。同時に費用も十分の一以下に抑えられます。人事担当者は要検討です。
とまあ、こんな感じです。本当は褒めるだけでなく「もうひとつかなー」と思う部分も挙げないといけないのですが、この2冊に限ってはけなす要素は全くありません。しいて言えば著者がアメリカ人であること、書かれた年代がかなり昔であることの僅かな違和感だけでしょうか。ただこれに関しては訳者の方の力量もありますが、ほとんど気にもなりません。
SF・ファンタジー好きの私がなぜこの2冊を最初に紹介したかったか、分かっていただけるかと思います。
私的解釈ですが、「人を動かす」は人を元気にさせる本、「道は開ける」は自分を元気にさせる本でしょうね。
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