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2003年4月のお嬢




 4月30日

 巷で何かと話題の「白装束」。
 白装束といえば、喪主か前衛演劇か、という感じだったが、こんなヒトもいます。
 左端は友人の兄です。
 ………。

 今日うちの支援センターを見学に来た若い男の子に、何か興味あることは?と聞いたら、
 「ボク園芸が好きです。米以外なら何でもできます」と言っていたので、
 なんだかとても嬉しかったです。



 4月29日

 なんともまぁ、天気の良い一日で、さっそく昨日植えたラベンダーがしょげていた。
 あまりにも陽射しが強すぎたのだ。

 さっそく枯らしてしまうんだろうか?結局ビビッている私である。
 何度も何度も庭に出て、ジーと見つめてはいるけれど、立ち直れるのか、ヤツら。
 と思ったら、チューリップの花の向きが午前中とは変わっていた。
 お日様にあわせて動いているのだな、ヤツら。
 ジーと見てても動いていないのに、いつの間にやら方向転換。
 そんなようなペースで動くものもあるのだな。



 4月28日

 そうなんです、躁なんです、というおやじギャグのひとつも言いたくなる気分。
 今日も園芸な一日でした。
 大体が、連休の2日とも午前中から起きて活動しているということ自体が尋常ではなく、
 昨日今日で軽く通常の1週間分より多くの活動をこなしている。
 朝早く目が覚めて散歩に出かけたり、何度も買い物に行ったり、泳ぎに行ったり、園芸したり。
 (まぁ普段いかに何もしていないかの表れだとも言えなくもないか)
 しかも明日の予定も埋まっているとは、一体何事だ。

 桜が散って、どこかで「ざまぁみろ」と思っている私がいる。
 なんでか知らんけど、やっぱりどこかで「ざまぁみろ」なわけである。
 決して桜の花が嫌いなわけではないのだけれど、どういうわけでしょう。
 やっぱり新緑はいいなぁ。
 まぁ、そのうち梅雨が来て、またどんよりするのは目に見えているけれど。

 職場に通って来るメンバーに対していつも思うことだが、
 本当に調子のいい時間というのが、ほんのちょっと間しかないのが悩みの種。
 しかし、これって私もそうじゃんか。なんだか燃費が悪いなぁ。
 性懲りもなくまた高野悦子を読んでいる。
 だから何?っていうわけでもないけれど。



 4月27日

 物欲旺盛な今日この頃です。こんにちは。
 借金王とはいうけれど、実はそんなにブランド物とか色々欲しがる人ではないのです。
 どちらかというと、エンゲル係数の高い人なので、体脂肪は増えども、物は残りません。
 それなのに、それなのに、今とっても買い物がしたくて困っています。

 今日も待ち合わせている友達を待つ間に、うっかり6万もするFENDIのバッグを買いそうに
 なっていました(←なんとか踏みとどまったらしい)。
 それからNYのセレブ御用達、パウエル国務長官も掛けてます、という川崎和男デザイン
 メガネも買いそうになっていました(←こちらもなんとか踏みとどまったらしい)。
 あとは立派なテレビとかDVD録画が出来る機械(←機械オンチらしい)とかノートパソコンとか、
 欲しいものはなんだか金額がでかい物ばかりです。

 とはいえ、なにぶん小市民なので、5桁の金額になっただけで踏みとどまれるのが幸いです。
 その埋め合わせと言っちゃぁかなりしょぼいのですが、
 ドラッグストアで何だかんだと5000円も使い、その足でホームセンターに行き、
 さらに園芸店で花の苗をガッポリ買って来た私の姿に、家族もビックリです。
 爪の間にはさまった一粒の砂さえ許せないこの私が、庭いじりをするだなんて!
 「ソーシャルワーカーて、あんたが庭いじりを始めてしまうほどに癒されたくなるような、
 そんな大変な仕事なのか」という、意味不明な理解も生まれる今日この頃。
 みなさん、いかがお過ごしですか。
 私はなんとか生きてます。



 4月21日

 こんな私に「ありがとう」と言った人がいる。

 そのうちの一人に、私は大きな嘘をついていた。
 その人は今、閉鎖病棟に。

 もう一人には「あなたと話すと辛くなる」と言われていた。
 だけど今日は「聞いてくれてありがとう」と言ってくれた。

 週に数回、日に数度訪れる氷河期とその雪解けに、
 私は、私は、私は…。
 

 4月20日

 色々あってとてもへこんでいた。
 今もそんなに元気ではないけれど。

 私は何を隠そう借金王(と書いて、「シャッキング」と読めたあなたはお友達)である。
 職場に通所しているメンバーの中には、金がない、金がない、と言って、
 親兄弟に暴力を振るって金をせびり、その金で飲み歩く人がまぁ、何人かいる。
 病気で働けない→お金がない→遊べない→つまらない→鬱憤晴らしたい→
 遊びに行きたい→お金がない→鬱憤を晴らせない→やっぱり鬱憤晴らしたい…
 とまぁ、こんなスパイラルは延々と続くわけだ。
 どこかで断ち切らない限り。
 借金先は通院仲間であったり消費者金融であったり親兄弟であったり。
 そのほとんどが愛想を尽かして去っていく。
 そうサラ金さえも。

 私はかなりのどんぶり勘定オンナだ、と思う。
 だからこんなに(どんなに?)借金があるわけで。
 それでも破綻していない私と、破綻を何度でも何度でも繰り返す人たち。
 どこに何の違いがあるのだろうか。

 むしゃくしゃしていたのだろうと思う。
 飲みに行くのだとおおはしゃぎしているメンバーの言葉に反応してしまった私は、
 条件反射で「ほな予算立ててみよか」と言っていた。
 彼らは病気を持っているかもしれないけれど、それを言い訳にいつまでも甘えたことを
 言っているのが許せなかったのだ。それが病気なのだとわかっていても。

 障害年金からローンの支払いやらガソリン代やら携帯の利用料やらあれこれを引いて、
 日割りにしてみたら、その人の1日の小遣いは807円だということになった。
 タバコを2箱吸うというその人の小遣いは、実質287円だ。
 ほら、こんな状況で君は片町に飲みに行こうとしているんだよ、どう思う?
 勝ち誇ったように言い放っている私の笑顔はきっとひきつっていたことだろう。

 それが証拠に、その数分後、その人は具合が悪くなったと言って寝込んでしまった。
 やり過ぎた、という思いと、いや自分は間違っていない、という思いが交錯している。
 そう、毎日がこういうことの繰り返しだ。
 答えは未来にのみぞある。



 4月19日

 友人に子供が生まれ、また別の友人は同棲を始めた。
 春はこういう季節だ。
 (別に馬じゃあるまいし、ヒトの子供はいつでも生まれるけれど)
 お祝いを買うのは好きだ。
 自分がその贈り物を貰ったときの嬉しさを想像しながら品物を選ぶから。
 だけどそこには当たり前の話だが、いつだって一抹の寂しさがつきまとう。
 私は区切りのない、節目のない日々を過ごしているなぁ、と。
 国家試験に受かったことさえも、他人の同棲祝いの買い物の影に隠れてしまうほど、
 そんな小さなことに見えてしまう。
 何ともみすぼらしい話だ。
 それにしても、何ひとつ変わらない春。
 国家試験に受かったのと、正職員になったのとで、給料の少しでも上がればいいけど。