あさまおろしについて
あさまおろしと名の付くお酒は2種類があります。一つが平成7年産米で仕込まれた米焼酎あさまおろし。それと、現在も作られている純米吟醸生酒のあさまおろしです。(当初の3年間は酒米「亀の尾」の収量が少なく、精米歩合60%程度に抑えたため、純米生酒として販売していました)
また、これとは別にお土産用として、「あさまおろし」醸造元である大塚酒造株式会社にて「あさまおろし」ブランドの米焼酎、そば焼酎(小瓶+旧焼酎ラベル)を販売しています。
あさまおろしの歴史
平成6年産米
初年は練習で「こしひかり」を作ったため、酒の仕込は行いませんでした。
平成7年産米(平成8年2月仕込み)
圃場を昨年の3倍に増やし、臼田町の農家から取り寄せた吟醸用酒米の王様「山田錦」を40a作付けました。
しかし、灘の酒の原料として比較的暖かい場所で作られる山田錦が標高900mを超える高地で、それも素人が作って育つわけが無く失敗。穂が天を仰いだまま…刈り取ることに。40aを作付けして、収穫は僅か300Kg(本来なら1600Kgは欲しい)精米したところ、ほとんどが屑米(ゴミですね)になり、180Kgにしかならなかった。
その米を和田杜氏(大塚酒造)に見せたところ「酒にはならない」と一言。しかし、あまりにも可哀想だ…との大塚社長の気遣いで、実験的な米焼酎づくりをする樽に提供されることとなる。
翌年完成した「米焼酎 あさまおろし」は、和田杜氏も、そして仕込んだ大塚社長までもが驚く、美味しい米焼酎に仕上がった。限定で瓶詰めされた、「米焼酎あさまおろし」の原酒(33度)は、今でも語り継がれるほど危険な米焼酎でした。
平成16年6月現在、「米焼酎あさまおろし(25度)」は、国内に15本のストックが確認されています。
平成8年産米(平成9年2月仕込み)
北佐久農業高校から譲り受けた亀の尾(夏子の酒で、夏子が作った龍錦のモデルになった酒米)を、元の塩野の田んぼに作付け。籾の量が少なかったために、今年は10aだけ作付けを行った。
順調に仕上がったあさまおろしは、初の仕込み体験をして、720mlで約1500本瓶詰めされ、半数を火入れ、半数を生酒として販売することになった
初めて仕込んだだけあり、できたての酒は「荒い」「渋い」などと評価されましたが、1ヶ月ほど寝かしてからは味がマイルドになり、荒さが抑えられ、渋みはキレの良さに変わり、美味しい酒だと評判を呼びました。
あさまおろしは、生酒だけに人気が集中し、8月末で完売。火入れをした方は、良くも悪くも普通の純米酒と評価され、売れ残ってしまった。
翌年3月、在庫の一部をAto氏の親族の結婚式の樽酒として振る舞ったところ酒豪で知られる看護婦軍団がノックアウトするほど美味しい酒になった。あさまおろしが素性が良い証拠だと、社長は言ってました。
しかし、その後も火入れ版は売れ残り、残念ながら、在庫品は濾過され、普通酒として販売されました。
平成9年産米(平成10年2月仕込み)
昨年の教訓を活かし、本年から全量を、一切熱処理をしない「生・生酒」として販売することに。それにあわせて、大塚酒造では冷蔵庫を増設。
昨年は、良い意味で「若い」酒でしたが、2年目は純米生酒としてスッキリと成長したした仕上がりになりました。しかし、亀の尾特有の渋みが残る味は健在で、相変わらず個性的な日本酒であることに変わりありませんでしたが、昨年からの常連の皆さんからは「おとなしすぎる」と厳しい評価を受けました。この年は、飛ぶように売れ、9月末には全量が完売してしまいました。
純米生酒あさまおろしは、平成9年4月から、海鮮居酒屋「呑来里」にて飲むことが出来るようになりました。
また、11月に、「そば七」がオープン。定番の酒としてあさまおろしが飲めるようになりました。
平成10年産米(平成11年2月仕込み)
年々米の質が良くなると共に、仕込のコツがつかめるようになると、良くも悪くも「普通」になっていくんだと実感した年です。癖が少なく、万人受けするあさまおろしに仕上がった年でした。
その影響か、常連さんにはあまり人気が無く、平成11年11月末でも在庫が残る状況に。
そこで会長が「ミレニアムラベル」を作成し、出荷したところ、年末年始特需で飛ぶように売れ、1月中旬で完売となりました。この年の冬から、居酒屋「山野草」であさまおろしが飲めるようになりました。
平成11年産米(平成12年仕込み)
この年は、亀の尾の種籾を和田杜氏に託して育ててもらい、小諸市森山産亀の尾と、新潟県小千谷市産亀の尾(南魚沼地域ですね。)で仕込まれました。
強烈に亀の尾の個性を発揮したこの年のあさまおろしは、今でも常連の方の間で語り継がれる味の酒になりました。
この年のあさまおろしは2月に完売しました。和田杜氏曰く「二度と亀の尾は作らない」だそうです。
それほど、亀の尾は作りにくい(コシヒカリと比べて)米だそうです。
平成12年産米(平成13年2月仕込み)
和田杜氏5年目にして最後のあさまおろしの仕込みでした。この年のあさまおろしも亀の尾らしさが出た酒でした。(流石に昨年と比べると、個性は弱いかも知れません。)
アルプス酵母特有の香りが非常に素晴らしい酒でした。
平成13年産米(平成14年2月仕込み)
和田杜氏が退職し、板屋杜氏指導元で仕込まれた初のあさまおろし。板屋杜氏には指導監督助言をいただいたのですが本業を抱る中で大変にお世話になりました。作業については、西森さんをはじめとする蔵人の皆さんがメインとなって取り組んだ酒でした。
味的には「亀の尾らしさ」が全面に出た中でのスッキリ系に落ち着き、9月頃に飲み頃を迎えました。
私が飲んだこの年の瓶数十本の中に2本ほど「劇的」とも言える美味しい瓶があり、友人I氏と驚いたことがあります。これも蔵人の皆さんの熱意から生まれた幻の一本なのかも知れません
平成14年産米(平成15年2月仕込み)
荻原杜氏が中心となり仕込んだ初めてのあさまおろしです。
初めての仕込みということもあり、慎重に慎重を期しての仕込みでした。
この年の特長は、晩熟タイプの酒だったと言うことでしょうか。フナ口を飲んでも、4月の新酒会に瓶詰めを飲んでももうひとつ香りやコクが弱く感じで、このまま淡泊な酒で終わってしまうのか…と心配したのですが、11月下旬頃から開栓時にパッと力強く吟醸香が漂うようになり、味も、旨みも乗ってきました。
そのため、常連さんの間で買い控え現象^_^;が起こったぐらいです。現在も、蔵の冷蔵庫に僅かですが在庫があります。
在庫が50本を割ると、そば七さんが在庫を押さえに入りますから、平成14年産と15年産で飲み比べをしたい方は早めに大塚酒造(0267)22−0002までお問い合わせを。
平成15年産米(平成16年1月仕込み)
暖冬だったためか、例年に比べて1週間早く仕上がってしまった影響なのか、それとも、別の影響なのか、今年は既に飲み頃を迎えています。(瓶詰め直後から、香り、味ともに十分に力強い。)昨年の飲み頃が瓶詰めから9ヶ月過ぎた翌年1月頃だった事を考えると、飲み頃は7月から10月で、キンキンに冷やして飲むのが良いかも知れません。
平成16年産米
昨年の反省をもとに、温度管理の適正な管理を行う方針のもと、平年並の仕上がりとなりました。しかし、1日上槽が一日早かったとの意見も。
その影響か、あさまおろし的なスッキリ感よりも、甘さが強い仕上がりとなり、お酒の弱い人や、女性が喜びそうな味となりました。実は17年産の米で仕込んだ新酒会に、十数本の16年度産のあさまおろしを持ち込んだところ、「新酒よりも16年度産の方が濃厚で旨い」との評価を頂きました。
新酒は新酒で良いところがありますが、しっかりとした温度管理のもと、熟成をさせた「あさまおろし」をタイミングよく呑めるのが一番の幸せかもしれません。
(平成16年度産のあさまおろしは売り切れました。)
平成17年産米(現在販売中)
前出の荻原氏にかわり、板屋杜氏が直々に仕込んだあさまおろし。(前回はH13年)
すっきりしていながら、そして深みのある味で、辛口。亀の尾で仕込んでいるあさまおろしらしい酒に仕上がりました。
まだ、若いので、新酒らしい荒さがある。またそれがいい。そんな感じでしょうか。「新酒は新酒らしく、熟成させたらしっかり」
そんな味に仕上がりそうです。新酒感を味わいたい場合は、是非とも早めにご注文ください。(今年は、本数が例年より3割ほど少ないため、年末まで在庫がもつかわかりません。)
前出の通り、「スッキリ」とした新酒感が強い酒は、低温でしっかりと熟成をさせると、味、香り共に「旨い」酒に変わります。今年も秋から冬にかけて、飲み頃を迎えるでしょう。
平成18年産米
ただ今、森山の田んぼ育苗中…