◆◆プラネタリウム 秋 ナレーター原稿◆◆

今の時期に見られる秋の星を紹介します。

秋は段々と日が沈むのがはやくなる時期です。
夕方、辺りはすぐに暗くなって少しの肌寒さを感じたりします。
しかし、とても空気の澄む今の季節は星を眺めるにはいい季節です。

それではまず、方角のご案内をします。
私たちがいるこちら側が南…、みなさんの後ろ側が北…、左側が東…、右側が西となっています。

この星空は今日の午後8時過ぎにみえる星空です。
秋のシンボル「秋の四辺形」が天頂近くに見えます。
秋の星座巡りにとても便利な目印になります。
この四辺形、ある動物の胴体に当たります。
羽を持ち空を飛ぶ天馬、ペガススです。

まぶしいかもしれませんが、こちらのプロジェクターをご覧ください。

★【ペガススのプロジェクター】

ただし、この馬は体の後ろ半分がありません、それは何故でしょうか?
あまりに早く飛んでいたので後ろ半分をどこかに置き忘れた…なんて話があります。



秋の星空はなんとなく寂しげに見えます。それは、きっと明るい星が少ないからでしょうね。
秋の星空で、一等星は「南のうお座」のフォーマルハウトの一つだけ。
秋の四辺形を使って見つけてみましょう。
西側の2つの星をまっすぐ南へとたどると、南の空低く、明るく輝くフォーマルハウトがみつかりました。
そのフォーマルハウトの周りには明るい星が見られません。
そこでこのフォーマルハウト、「秋の夜空の一つ星」などと呼ばれています。

★【みずがめ・みなみのうお座のプロジェクター】

フォーマルハウトはアラビア語で「魚の口」という意味で「南のうお座」の口で輝いています。
その魚の口に、瓶の水を流し込んでいるのが、ギリシャ神話の中の美少年「ガニメデス」、そして星座は「みずがめ座」です。



寂しげに見える星空と言いましたが、実はこの秋の星空は壮大なギリシャ神話の舞台となっているのです。
それではこれから、その登場人物たちの星座をみてゆくことにしましょう。

ペガススの四辺形から東へ向かって伸びる星たち。
これらの星をつなぎ合わせるとエチオピア王家の王女、アンドロメダが浮かび上がってきます。

★【アンドロメダ座のプロジェクター 】

あの星が馬のおへそを意味するアルフェラッツ。
ペガススのおへそだったアルフェラッツ、今ではアンドロメダ座の星になってしまいました。



この「アンドロメダ座」には、「M31」と呼ばれる有名な銀河が見られます。
アンドロメダ座の3つの星……の真ん中の星から…………、北の方へ、一つ…、二つ…と… ボーっとした雲のようなアンドロメダ銀河が見つかります。

★【アンドロメダ銀河のプロジェクター】

私たちが住む天の川銀河とは別の銀河です。
アンドロメダ銀河は地球から230万光年も離れた場所にあります。
つまり、230万年前の光がようやく今地球に届いているのです。



お姫様をみたら次は王様と王妃を見ていきましょう。

秋の四辺形の北よりの空をご覧下さい。
北極星を見つけるとき、お世話になった人もいると思います。あの「W」の文字。
アンドロメダのお母さんのカシオペア座です。

「W」の字の外側の二本の線を延ばして…交わった点と…、 真ん中のこの星を線で結んで…、そのままその長さの5倍程度延ばすと…
そこに北極星が見つかります。
この星を中心に星空はまわっています。

カシオペア座のすぐ隣に、細長い五角形があります。その五角形が「ケフェウス座」、アンドロメダのお父さんです。

★【カシオペア、ケフェウス、アンドロメダ座のプロジェクター】

アンドロメダ姫はこのケフェウス王とカシオペア王妃の娘でした。家族仲良く並んでいますね。

さて、アンドロメダ座の絵をよくみてみると、彼女の両腕が鎖に繋がっているのがわかりますか。
実はあるおそろしい怪物にいけにえにさしだされている姿だったのです。



その怪物も星座になっています。秋の四辺形を使って探してみましょう。
東側の2つの星を南へずーっと延ばしてみると…、あの星はデネブカイトスといってクジラ座のしっぽにあります。
クジラ座と呼ばれていますが、おそろしい顔をした化けクジラなんです。

★【クジラ座のプロジェクター】

化けクジラというだけあって、とても大きな星座となっています。
化けクジラの心臓にあたるあの星は、とっても不思議な星、ミラ。
明るさが変わる星、変光星です。
およそ1年かけて明るい2等星から、肉眼では見えない10等星まで明るさを変化させます。



ミラは不思議なもの、という意味でまさに怪物の心臓をイメージするのにピッタリの星ですね。

次はあの化けクジラと戦うことになる勇者を紹介しましょう。
「カシオペア座」の「W」の字の星たちのあたりから…、
東の空低くに見える「プレアデス星団」の辺りまで…
細かい星が少しジグザグとしていますが、大きなカーブを描いて並んでいるのが見つかります。
それがペルセウス王子です。

★【ペルセウスのプロジェクター】

ペルセウス座にもアルゴルという変光星があります。
ペルセウスが退治した怪物メデューサの首のあたりにあって、ミラと同じように怪物の不気味さを高めています。
ペルセウス座はお盆の頃に極大を迎える流星群も有名です。

★★【プレアデス星団のプロジェクター】

そして、おうし座にあるプレアデス星団、別名すばるです。目のいい人は肉眼でも何個か星の集まりが見えます。



それでは秋の壮大なギリシャ神話を、流れ星とともにお楽しみください。

〜神話始まり〜

(…アンドロメダ、どうか私の妻になってください」
「はい、お願いします」
そして、2人は幸せに暮らしました。。)

〜神話終わり〜

秋の夜空を華やかに彩るギリシャ神話たち・・・東京では紹介した星たちを全部みるのは難しいですが、物語を心に思い浮かべながら、ぜひ星空を見上げて下さいね。
それでは終わりたいと思います。まぶしいのでご注意ください。
本日はプラネタリウムにお越しいただきましてありがとうございました。


もどる