フォト紀行W
さっぽろ雪まつり2011
 

2011年のさっぽろ雪まつりが27日から始まった。まだ見に行ったことがなかった。今年は春節と重なったので、中国や他のアジア諸国からの客が多いと予想されていた。大雪像や氷像も中国や韓国のものも作られて、隣国に配慮していた。テレビで見た紫禁城や万里の長城の雪像をぜひ実際に見てみたくなった。27日にインターネットで航空機と宿の予約を試みると、幸い29日と10日で12日の旅が実現した。

 

平成2329 水曜日 晴

 昨夜は久しぶりに雨が降ったらしく、地面が濡れていた。午前5時過ぎに家を出て、午前7時羽田発の全日空51便で札幌に向かった。雲海を見ながらの飛行の後、高度を下げると波打ち際の先に北海道の大地がくっきりと見えてきた。よく晴れているようだ。苫小牧あたりの上空を過ぎてすぐに新千歳空港に着陸した。予定よりも10分ほど遅れて、午前840分になっていた。機内放送では到着地の気温はマイナス15度と聴いていたので、どんなに寒いのだろうと心配だった。ゲートを出ると第62回さっぽろ雪まつりのパンフレットをもらえた。何も準備をしていなかったので有難かった。すぐに地下のJRの駅から、エアポート快速に乗って札幌に向かった。沿線は千歳や恵庭などの市街地もあって、開けていた。恵庭はかつて憲法9条の恵庭事件で有名になったが、それに結びつくものは見当たらなかった。駅と駅の間には北海道らしい広々とした雪景色が広がっていた。不思議だったのは2階建ての民家の屋根の傾斜がなだらかだったり、全然傾斜のない平らなものが多かったことだ。今年の日本海側の雪下ろしのニュースを見ていたので、信じがたいことだったが、それほど雪は多くないのかもしれない。

 札幌駅で人の群れに続いてホームに出たが、果たしてそんなに寒いとは感じなかった。東京にいるときよりも1枚多く着てきたのと、気温もさっきよりもだいぶ高くなったのだろう。マイナス45度というところだ。札幌駅構内はいつもと変わらず、さすがに東京、横浜、大阪、名古屋に次ぐ日本第5位の大都会だった。パンフレットを見ながら、駅前のビックカメラの前の通りを南に向かって歩いた。京都と同じように東西南北に碁盤目状に通りが走っているのでわかりやすかった。時計台を左手に見ながら進むと駅を出て、10分ほどで大通公園に着いた。ここが雪まつりの大通会場だ。このほかにすすきの会場とつどーむ会場がある。大通会場とすすきの会場は9日に昼と夜の2回見ることになった。また10日はつどーむ会場に行って、帰りに大通会場を少し歩くことになる。大通会場は一方通行で、まず西に向かった。3丁目と4丁目でスノーボードジャンプ台と観光王国宣言!北海道がいきなり現れた。スノーボードジャンプ台は午後に実際の迫力あるスノボーのジャンプを見ることになった。また観光王国宣言!北海道はテレビで見た紫禁城と万里の長城がある大雪像だ。その前にキタキツネとシマフクロウが、右奥に道庁赤レンガもあり、精巧に作られていた。これほどの規模の大雪像だと、後ほどわかったことだが、自衛隊のダンプトラックで400台から700台ほどの雪を郊外から運び、延べ3000人ほどの隊員がかかわるという。

 5丁目はミュージカル「ライオンキング」の大雪像だ。3月から北海道で開幕する宣伝を兼ねているのだろう。プライドロックとミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァ、王の執事であるサイチョウのガズを配する大掛かりなものだ。以前に芝浦の四季劇場で見た舞台を思い出した。ライオンキングに広場を挟んで向かい合う形で対面しているのが、大田広域市市街(韓国)の大氷像だ。大田広域市は2010年に札幌市と姉妹都市となった。この氷像は夜ライトアップされたときに、一層輝いていた。

 7丁目には北京の天壇公園に建つ祈年殿の約2分の1の縮尺の大雪像が聳えていた。2003年に北京に行ったがあるが、祈年殿は訪れなかった。雪像は青空のもとで白く映えていた。実際の祈年殿は、高さ約38メートル、直径約24メートルで世界最大の祭天建築群として、1998年に世界文化遺産に登録されている。これから日本人が多く訪れることになるのではないか。

 8丁目は京都市西本願寺にある国宝飛雲閣の大雪像が建っていた。昨年7月に祇園祭を見に行ったときに西本願寺にも寄ったが、飛雲閣は非公開で外からは3階の一部分をわずかに見ることができるのみだった。雪像はほぼ実物大の大きさで再現されていて、唐破風や入母屋など変化に富んだ屋根、左右非対称の美しく調和した姿は国宝に相応しい。中国や韓国に負けない美しさが日本建築にはある。豊臣秀吉が建てた聚楽第の移築と伝えられている。

 10丁目の大雪像はサザエさん一家だ。波平、フネ、マスオ、カツオ、ワカメ、タラちゃん、猫のタマが勢ぞろいしている。ライトアップされたときは一層華やかだった。

 11丁目は世界各国から16チームが参加して作った雪像が並んでいた。まだ制作中のものもあり、幸い実演を見ることができた。その先の12丁目には市民手作りの力作が並んでいた。

 大通公園の西の端に札幌資料館がある。ここではおおば比呂司の展覧会やアイヌ民芸品展示会などが開催されていた。休憩室では雪像作りのビデオをやっていた。設計図を描き、自衛隊が中心となって郊外からダンプカーで雪を運び、一晩寝かせて雪を絞めてから、粗削りをし、部品を丁寧に制作し、積み上げたり、削り込んだりしていく様子がよくわかった。また1階の北の端にはこの建物がかつて札幌控訴院であった名残の刑事法廷が再現されていた。

 ここからUターンをして1丁目と2丁目に戻った。2丁目は大氷像で恐竜たちの世界を飾っていた。ここも夜のライトアップがひときわ綺麗だった。そばでエレクトーンの演奏をしていた。東端の1丁目には屋外スケートリンクがあり、将来の村上佳菜子が真剣に滑っていた。その後、さっぽろテレビ塔に昇った。展望台からは西に延びる大通公園が周囲のビルと混ざり合う先に大倉山ジャンプ場が見えた。東には豊平川の流れが見えた。昔読んだ小説に豊平川が出てきたことを思い出した。北に目を転じると遥か彼方に石狩湾がうっすらとうかがえた。テレビ塔の階段が開放されていたので、帰りは歩いて降りてきた。10分ほどで降りられた。


 この大通会場で盛り上がっていたのが、May’sのライブだった。30分程だったが、こういうライブは初めての体験であり、最後まで聴き入ってしまった。なかなか新しい曲もいいものだ。

 ススキの会場は氷像80基を展示していた。昼間よりも夜の方が綺麗だった。毛ガニやサケなどがいるので写真かと思ったら、本物を埋め込んでいるのでびっくりした。氷像制作の実演もしていた。

 ザ・ハミルトン札幌に泊まった。夕食には大きなホッケの開きが出た。また夜、大通会場に行ったときに食の広場でエゾ鹿ジンギスカンを食した。臭くもなくやわらかかった。

 


観光王国宣言!北海道の大雪像


スノーボードジャンプ


ライオンキング


ライトアップされた大田広域市市街(韓国)
 

北京天壇公園にある祈年殿


京都西本願寺の国宝飛雲閣


サザエさん一家


チューブスライダー


竹スキー


スノーラフト
 

平成23210 木曜日 一時雪後晴

朝食のバイキングを食べながら窓から外を眺めていると雪が降り出してきた。朝840分過ぎにホテルを出るときにはかなりの雪になっていた。やっと札幌らしく、寒かった。靴下も2枚履いた。近くに地下鉄西18丁目駅があったので、駆け込んだ。札幌で地下鉄に乗るのは初めてだった。東西線で大通まで行き、東豊線に乗り換えて北に向かい、30分ほどで終点の栄町に着いた。駅から出ると信じられないぐらいすっかり晴れていた。そこからシャトルバスに乗って、つどーむ会場に着いた。つどーむ会場は子供たちの雪遊びが中心で、チューブスライダーや竹スキー、滑り台など小学生で賑わっていた。1回り500円のスノーラフトに乗った。スノーモービルがラフティングボードを引っ張って雪原の上を滑走する。見ているのとは大違いで、雪面の凹凸の感覚が直に伝わってきて、綱を握りしめていないと振り落とされそうだった。雪の上でのコマ回しにも挑戦した。昔やったベイゴマと同じ要領で、何回かやるとだんだん早く回せるようになった。10時15分発のバスを私一人で30分ほど貸切状態で大通会場まで戻り、晴れた青空の下で、紫禁城、祈年殿、飛雲閣などをもう一度見てから、歩いて赤レンガの北海道庁旧本庁舎に寄って、札幌駅に戻った。札幌11時40分発の快速エアポートライナーで新千歳空港に向かい、おみやげに見冬を買って、12時50分発の全日空の羽田行きで帰って来た。気のせいか東京の方が寒く感じた。

 

   

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