7ヶ月ぶりの新作『Hetakusong-3』のすべて

(2004.12掲載)

■今回は、松本氏のソロ・プロジェクト第3弾となる『Hetakusong-3』について、いろいろと伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

 よろしく

■さて、今回で第3弾となる訳ですが、制作に関しては、いつ頃から動きはあったのですか?。この夏の活動休止は何か影響があったのでしょうか?。

 もちろん、「HS-3」の作品とか、リリースについて具体的に考えたのは、「HS-2」のレコーディングが終了した4月頃から。ただ、楽曲そのものとしては、2003年夏にできていた曲もあったけど、多くは2004年になった頃から。「ぼくは…」や「HS-2」のレコーディングと並行して曲作りをしていたという感じだったね。それで、4月に『HS-2』をリリースしたんだけど、その頃には、『HS-3』に収録する曲は出揃っていたし、もう少し詰めていけば夏までにリリースすることもできたんだ。だけど、あまりにも立て続けにリリースしていくというのも何だし、ちょうど初夏から夏にかけて、松本氏・Ke-Kunとも多忙で、なかなかスケジュール調整もつかない状態だったから、とりあえず活動休止という感じだった。

 で、ようやく10月に入った頃からレコーディングを再開して、約1ヶ月で細部を詰めていって、今の形に仕上がったという感じですね。

■新曲は、.KOM@としてではなく、『Hetakusong-3』としての楽曲で作られたのですか?

 実は、僕らは、楽曲に関しては、.KOM@と松本氏ソロプロジェクトとは区別していないんだ。事実、『HS-1』・『HS-2』でやってきた再アレンジ・再レコーディングというのも、元々は.KOM@の活動の1つとして計画していたことだったし。しかも、.KOM@と松本氏のソロ・プロジェクトとは、ただボーカルが違うだけ。だから、僕らとしては、楽曲を作る過程は一緒だし、ただ単にボーカルが違って、リリースの名義が違うというだけの話なんだよ。

■では、ソロ・プロジェクトを立ち上げたメリットというのはありましたか?

 メリットというか、『Hetakusongだから』といろんな意味で割り切ることができるのはいいことだよね。あと、.KOM@ではなかなかチャレンジングな挑戦ができなかったんだけど、『HS』では、ラジオ番組とかがあるから、いろいろ試してみて、ラジオでちょこっと流してみるということもできる。これは嬉しいよね。それに、「9曲+ラジオ」という編成だから、わりとレコーディングからCDリリースまでが短くできる。歌録りも、作曲をしている松本氏本人が歌うから手早いし。

■何でも.KOM@でボーカルをつとめるshingo氏が、活動休止をするそうですが、今後、.KOM@とソロ・プロジェクトとは、どのように部類分けし、どのように運営していく予定ですか?

 先程も述べたように、松本氏とKe-Kunにとっては、ただリリースの名義が違うだけで、楽曲作りとCDリリースの違いは全くないんだ。ただ、現時点では、松本氏がボーカルを行うものは、ソロ・プロジェクトという分類をしているから、.KOM@として活動するには新しいボーカリストを見つける必要があるんじゃないかな?。ただ、その辺はどうなるか分からないよ。もしかしたら、.KOM@でも松本氏がマイクを握るかもしれないし、しばらくして、shingo君が復活するかもしれないし。それは、現時点では分からない。

 それに、.KOM@って元々、ボーカルは不在の音楽制作集団。だから、楽曲制作がメイン。それを誰が歌っても、楽曲作りがメインだから、どっちでも一緒なんだよ。

■つまり、今後もしばらくは『Hetakusongシリーズ』を展開していくということですか?

 現時点では、.KOM@としてのシングルやアルバムのリリースは考えていません。次回作も、「HSシリーズ」の続編としての「Hetakusong 4(仮)」を予定しているし…。

■では、収録曲について1曲ずつ聞いていきたいと思いますが、M-1の『強い根性』は久しぶりの王道なロックチューンですね?

 まぁ、リリース的に言えば、『Virus』以降は『Shadow』や『Stealman』といった、ちょっと陰の雰囲気のあるロックが多かったから、万人ウケのするというか、こういう王道は久しぶりといえば久しぶりですね。。

■一時は、「次作の.KOM@シングル候補」とも呼ばれていたそうですね。

 初めに楽曲を作り上げていく段階では、そんなに魅力は感じていなかったんだ。だけど、ギターをスタジオできちんとアンプからマイク録りして、仮歌を入れてみたら、すごい良くなってきたんだ。.KOM@の楽曲のポジション的には、『MICE』や『隣のおばちゃん』よりも、ややハードが少ないって感じなんだけど、このゾーンって今までなかなか作れなかったポジションなんだよね。

 曲としての勢いもあるし、疾走感もあるから、『これなら次のシングル候補曲としていけるかも?』という話はあったね。ただ、今後、シングルを出すかどうかというのが微妙だけど…。

■Bメロのギターバッキングのユニゾンは珍しいですね?

 あそこも、初めはいろいろあったんだけど、最終的にボーカルとギターがユニゾンになったんだ。あの方がしっくりくるし。それに、Bメロにタイトル名が登場する曲というのも、.KOM@にとっては初めてじゃないかな?

■続いて、ついに復活の名曲『long』ですが、この曲の誕生を知らない方のためにも…

 そうなんだよね。毎回毎回思うんだけど、今のリスナーの方々には、なんで僕達がこんなに『DOGUMA』の曲に思い入れがあって、語っているのかを知らない人がいるんだよね。

 『long』は、1st Album 『DOGUMA』が出来る1年半前の1999年6月に出来た曲。この曲は、松本氏が彼の友人が告白をして振られた時の気持ちを聞いて、それを歌った曲なんだ。当時は、レコーディングなんて出来なかったから、Ke-Kunがインストとして作り上げて、それが1年半後のアルバムに収録されたという訳。タイトルの『long』は、「長い」では無く、「思い焦がれる」という意味。一度、辞書で引いてみてください。

■楽曲面では?

 この曲は、今のレコーディング方法が確立してきた2002年秋頃から、いろんなアレンジをやってきていたんだ。そのときの基本的なアレンジは、Ke-Kunが手がけた『long』の吹奏楽版インストを元にしていて、その時から大きく変わっていない。だけど、正式にこの『HS-3』への収録が決定してから、もう一度やり込んだ。逆に言えば、それが「いじり過ぎた」という結果にもつながってしまったんですけど。

■今回は、『long』のポイントともいえる、あのリフが変化していますよね?

 あれは、「もうちょっとあのリフにインパクト感が欲しいなぁ〜」ということで、この秋に付け加えました。初めは、ベースのソロにしようということだったんだけど、物足りないから、シンセを足して、ギターを足して…で、あんな感じになったんだ。こういうことが許されるのも『HS-3』だからじゃないかな?

■そして、M-3は、唯一の『Allegory』からとなった『solitude』ですね?

 この曲が最後に残ったのは、別に嫌だったからでもなんでもない。この曲ってパッとしないから…。どうしても、こういう手の曲って世間的には人気が無いじゃないですか。だからです。

■この曲のアレンジは、『Allegory』そのままという感じですね

 そういうのも珍しいんじゃないかな?。この曲に関しては、元々『Allegory』の時点で、ベースラインもドラムもいじっていたから、これ以上どうにかするっていう発想は全くなかった。どちらかというと、あのイメージを崩しちゃいけないって感じだったと思うよ。

■M-4の『Good Life』では、久しぶりのアコギサウンドが聞くことができますが…

 アコギを使ったという事で言えば、おそらく『DOGUMA』以来じゃないかな?。だから、もちろん、現在のパソコンを使ったレコーディングをやりだして、初めてアコギを使用した曲だね。

■最近、ハードなエレキ・ギターメインで来ていた所で、突然のアコギ・サウンド…。どういう流れだったのでしょうか?

 これが、前にもチラッと話したことのある、『曲を作り時期の波』なんだよね。実は、この曲は1年半ぐらい前の2003年の夏、3rd sg. 『Virus』のレコーディングをしている頃に作ったんだけど、この頃はこういうテイストの曲が多かったんだ。4th sg.の『MICE』に収録された『その砌に』もこの時期だし、まだ未発表のバラードもこの時期に出来た。僕たちは、結構、時期によって音楽性が固まっちゃう傾向はあるよね。

■そして、この曲1番の聞き所といえば、松本氏のアコギでのソロですね

 そうだね。アコギでの伴奏そのものは、あんまり変わったことでもないんだけど、あのギター・ソロは、久々に上手く曲の雰囲気にマッチしたという感じじゃないかな?

■そして、M-5の『Random』ですが、曲を聴いて『新境地を開拓したな』という感じを受けましたが、どうですか?

 そう!。この曲って、今までの僕らには無かった部類の曲なんだよね。『Shadow』みたいに陰のある曲でもないんだけど、『隣のおばちゃん』ほどははじけていないって感じ。B'zでいうと、「BIG MACHINE」の「Change the Future」っぽい。何か、『オレたちって、こんなシャレた曲もできるようになったんだ』って思える曲だよね。

■聞き所はどこですか?

 これは、今作の全体的な傾向かもしれないんだけど、この曲もBメロがポイントだよね。わりとAメロとサビは同じ雰囲気で流れていくんだけど、間のBメロで怪しさが増す。面白い感じになったと思うよ。

■続く『BA∽KA』の疾走感は、『隣のおばちゃん』以来の興奮を感じますが…?

 特に、『Random』のあとが『BA∽KA』というのが関係してくると思うんだよね。このリフは、結構初めからできていて、そこから楽曲として煮詰めていったという形なんだけど、いい感じに仕上がった。久々にカッチョエエ〜曲ができたね。シンコペーションも上手くいったし。

■タイトルの「∽」はどういう意味が?

 別に意味はないんだよ。「ぼく☆あきら」に何で「☆」がついているのかと同じこと。いろんな記号を探したんだけど、なんとかく「∽」が格好良かったから、これになっただけの話です。ちなみに、この記号は、数学記号の相似という記号。

『Cassette!?』は、賛否両論ありますが…。

 この曲は、5th Singleの『ぼくは…』に収録したときから、喜んでくれた人と引いちゃった人とハッキリ分かれちゃったからね…。実は、この曲って、曲制作段階からきちんとした歌詞が無いんだ。だから、『ぼくは…』に収録したときは、本当に適当に歌ったから、「今回はマジメにやろうか?」って話だったんだけど、「まぁ、アルバムの中で1曲ぐらいは、おちゃらけソングが必要だし…」ってことで、今回のような形になったんだ。

■曲そのものは高い評価を得ていますよね?

 リフもカッコイイんだけどね…。Aメロのボーカルを左右に振るというのも斬新だったし、決めゼリフはリバーブを深めにかけたりと、いろいろやったんだけど…。すべては歌詞だよね。

『GUTARA』はイントロがとても印象的ですよね?

 この曲は、制作段階ではあんまりパッとしなかったんだ。特にイントロとサビ。AメロとBメロは、カッコイイから、かなりもったいないって感じだった。それで、ちょっと打ち込みで音数を増やしてみようかってことで、ああいう形になったんだけど…サビがシンプル過ぎたのは致命的だったね。

■シンプルということは、.KOM@の王道だったということ

 よく言えば、そうとも言えるな。悪く言えば、落ち着くところが同じって感じ。あのサビのコード展開は、.KOM@ではよくあるパターンだからな。もうちょっとバラエティ増やしていかなきゃな。

『救世主メシア』は「DOGUMA」のエンディングとして有名な名曲ですが…

 この曲は、松本氏曰く、『エンディングのために作った曲』だからね。.KOM@の楽曲の中では、エンディングにふさわしい1曲といってもいいんじゃないかな?。

■そういった点では、M-5の『Random』にもつながると思うのですが…

 .KOM@にとって、この「救世主メシア」は、初めてといってもいいミディアム・ナンバーなんだよ。これは、『梅ジュース』→『long』から続く、正常な進化というか音楽的開拓だよね。この曲が、のちの『A Day』や『in progress』などに派生して、今作の『Random』などにつながってるんだ。音楽って不思議だよね。

■歌詞は『DOGUMA』の時から大きく変わっていますが…

 この曲は、元々、『DOGUMA』をリバイバルしようという話があった頃から、この歌詞は出来上がっていた。で、原曲が「髪」の問題だったり、生物の先生がモチーフになった話だったりしたから、それがいつの間にか環境問題の話にすり替わっていったんだ。でも、それはごく自然な流れでそうなったからな。

■最後のラジオなんですが、初めにオンエアされた曲は何ですか?

 あれは、ラジオでも語っているとおり、問題ということにしておきましょう。

■2曲目の「Empty」については?

 あれも、一時は9曲の中に入れてもいいかな?という話もあったんだけど、なんか微妙だったので…ああいう風になりました。

■最後に、今作をまとめて頂けますか?。

 今回の「HS3」では、今までの「HS1」・「HS2」のセルフカバーという枠から開放し、1作品として完成度の高いアルバムになりました。.KOM@の活動が停止している今、事実上の『.KOM@の新アルバム』といってもいい完成度にはなっています。しかも、ようやくCDリリースが楽曲制作のペースに追いついてきて、今現在の僕らの音楽を直接お聴かせすることができるようになった。これが何よりも嬉しいです。是非、じっくり聞いてみてください。

■では、将来「Hetakusong 4」のリリースは?。

 さすがに年内には無理ですが、来年の春までのリリースを目指して、現在楽曲制作を行っています。作品としてのスタンスは、「HS3」と同じで、リバイバルは2曲収録予定。まだ楽曲が出揃っていない状況ではありますが、また「HS3」はひと味違うサウンドが楽しめる1枚になるのではないかと思います。お楽しみにしていて下さい。

■今回はどうもありがとうございました。