"TransCreation-1"リリース1周年企画
インスト制作の本当の意味とは…

(2003.03掲載)

そもそもインスト制作の原点とは

 そもそも、.KOM@がインスト製作を行うことになったのは、.KOM@が結成した当時にさかのぼる。98.11頃にメンバー3人が音楽の授業で『梅ジュース』という楽曲を作り上げた。この時、『梅ジュース』には歌詞もちゃんとあったのだが、歌を入れてレコーディングを行うということまでは考えていなかった。でも、このまま『曲を作った』というだけで終わるのはもったいない。ということで、当時からPCを使ったDTMを行っていたKe-Kunがインスト曲として作ることになった。これが、.KOM@のインスト制作の原点である。しかし、この時の『梅ジュース』は、結局あいまいなままで終わってしまい、曲として完成した状態で終わらせることができなかった。

 翌年の11月にも松本氏の発案から『long』を作ることになるが、この際も松本氏が書き上げた譜面を元にインスト曲として完成させる。これが、『long -native style-』である。

Ke-Kun Electric Bandの真相

 .KOM@のインストおよび楽曲制作に関して、『Ke-Kun Electric Band(以後、KE-Bandと省略)』というバンド(!?)がキーを握ってくる。KE-Bandとは、.KOM@が楽曲・インストを制作するにあたり、ボーカルおよびギター以外のパートを演奏する打ち込み演奏(Artificial Band)のこと。<※.KOM@において、『Artificial』というのは、『人工的な』という意味から転じて、『打ち込みによるもの』という意味を持つ>。中でも、ギター・パート(Artificial Guitarはタギー、ベース・パートは(Artificial Bass)はベス、ドラム・パート(Artificial Dram)はドラ息子というニックネームも付いている。

 さて、『このKE-Bandの正体は?』、というと、実は右のような『音源(SC-D70)』と呼ばれる機械だ。簡単に言えば、高性能な着メロと思っていただければいい。この音源は、PCやキーボードと接続して操作することで演奏を行うことが出来る。この機械1台で、ピアノ・オルガン・ギター・ベース・ブラス・ストリングス・ドラム・パーカッション・その他効果音など、さまざまな音を出すことが出来る。『DOGUMA』および『Allegory』の半分程度は、PC上で演奏させるソフト音源というもので制作していたが、『Allegory』の残り半分以降は、すべてこのSC-D70を使用して製作している。しかし、今後はさらに『いい音』を目指すため、新しい音源やソフトシンセを導入していくことになるだろう。

TransCreation-1制作のキッカケ

 では、どうしてインストのみのミニ・アルバム『TransCreation-1』を制作することになったのか。それは、『.KOM@』というものの存在が音楽製作集団だというところに立ち返る。そもそも、.KOM@の存在目的というのは、楽曲制作を行い、数多くの人に.KOM@の音楽を聴いて欲しいというところにある。しかし、『DOGUMA』・『Allegory』と、あまり機材が揃わない状況でレコーディングを行い、楽曲本来の良さを生かしきれないまま、皆さんに示すことになってしまった。これには、メンバーも悔いの残ることである。そこで、クオリティの高いインストを制作し、曲が本来持っている魅力を最大限引き出して、皆さんに聞いてもらいたいという思いで、本格的にインスト製作を行うことになった。その第1弾として、『SuperOne』に『long -brass band style-』を収録し、その手ごたえを感じた。その後、.KOM@はソロ・ワークスに入ることになった。そこで、松本氏からKe-Kunへ、『インストを制作してくれ』という依頼があり、Ke-Kunがいろいろとインストを制作していった。しかし、ただ制作するだけではもったいなく、また次作のシングル(勿忘草)をリリースするには、もう少し時間が必要だったということもあり、リリース間隔の穴埋めということも踏まえて、02.03にインスト・ミニアルバムをリリースすることになった。

TransCreationというタイトルの意味とは

 では、どうしてこの『TransCreaiton』というタイトルになったのか。このタイトルをつけたのは、インスト製作のメインプロデューサーであるKe-Kun。元々、インスト・アルバムタイトルには、.KOM@がインストにかける思いを込めたタイトルをつけたかった。いろいろと英単語を調べていく中で、『trans』という単語が目に入った。『trans』とは、越える・一変する・変化するという意味を持つ。そこに、創造物という意味の『creation』を付けて、『TransCreation』というタイトルをつけた。つまり、『TransCreation』というタイトルには、.KOM@の創造物(creation)をひと山越え、一変させた(trans)ものという意味が隠されているのだ。

TransCreation-1制作秘話

@『SuperOne -techno style-』制作の真相

 『SuperOne -techno style-』といえば、2nd Album『Allegory』に間に合わないということで、急遽インストを制作したことでも有名だ。が、意外にそれ以上の真相は知られていない。

 実は、『SuperOne -techno style-』を制作したのが、アルバム・リリースの約10日ほど前。で、『SuperOne』のレコーディングが完了したのが、リリースの約1週間前。実は、『SuperOne』は、アルバム・リリースに間に合っていたのだ。通常のシングルなどの場合であれば、リリース1週間前に完成すれば、CD収録に間に合う。が、なぜ収録しなかったのか。1つは、松本氏とKe-Kunの相談で、『1曲ぐらいインストを入れてもいいんじゃないか?』という話が前々から出ていたこと。そして、もう1つは、『Allegory』の初回生産枚数が多かったこと。通常のCDリリースの場合、多くても20枚程度しか制作しないのだが、『Allegory』の場合は、初回生産が100枚以上あった。そのため、リリース10日ほど前からCD制作に取り掛からないと間に合わないということがあるからだ。そのため、レコーディング終了まで待てなかったという理由もあったのだ。

 さて、この『SuperOne -techno style-』だが、『一夜で作った』という話は有名だ。簡単に『一夜』と言っているが、実際は2・3時間で完成させている。ほとんどは、デモテープからのメロディーの音を取る作業がメインであって、あまりいじくっていない。だから、『T.C.1』でHYPERが登場しているのだ。

A『long -brass band style-』制作の真相

 本腰を入れてインストを制作した作品としては、実は『SuperOne -techno style-』よりも『long -brass band style-』の方が古い。前にも述べたように、『SuperOne -techno style-』の制作されたのは、『Allegory』制作終盤の01年9月だが、『long -brass band style-』の制作に取り掛かったのは、01年の春にはKe-Kunが個人的に進めていた。実は、01年春という段階では、.KOM@の活動再開という話は出ていなかったし、メンバー同士も連絡を取っていなかった。だが、Ke-Kunが個人的の趣味の領域でインストを制作したのだ。なぜ、吹奏楽アレンジなのかという点にについては、もちろん彼が中学時代に吹奏楽を経験していたという経歴が関係している。また、『long』が元々インストとして作られていたため、インストとして再制作するということに障害もなかった。その後、メンバーが再会し、『Allegory』を制作していく中で、試作の『long -brass band style-』を松本氏に聞かせて、.KOM@活動としてのインスト制作というものが取り入れられることになっていった。

B『SpringWind』はどうしてMusic Box styleに収まったのか?

 『T.C.1』の中でも、ひときは他との差がはっきりとしているのが『SpringWinds -M.B.style-』であろう。原曲は、あの幻の1st Album『DOGUMA』に収録された『春の風に…』。この曲は、.KOM@初のバラード曲であるとともに、『DOGUMA』唯一のバラードでもあり、『T.C.1』制作当初から収録は予定していた。この曲は、インスト制作当初から、多重トラック・アレンジは考えていなかった。というのも、『春の風に…』は『DOGUMA』レコーディング時点のアレンジでしかなく、今、インストであまりいじってしまうと、今後、『春の風に…』をやる時に幅を狭めてしまうことになると思ったから。また、曲本来のメロディーを大切にしたかったという点もあった。そのため、始めは、ギター1本のアコースティック・アレンジで制作していた。しかし、楽曲の良さを引き立てるほどいい音をギター音では作れなかったため、温かみがあり、響きもよいMusic Box(オルゴール)の音色に落ち着いた。

今後のTransCreationシリーズへの展望

 『TransCreation』に『-1』が付いているところから分かるように、今後、このインストアルバム『TransCreation』シリーズは続いていく。現に、『TransCreation-2(仮)』の制作は着実に進んでおり、この夏頃のリリースが噂されている。次作では、吹奏楽アレンジの延長としてオーケストラアレンジに挑戦しているほか、E.bandアレンジも、よりリアルなバンドサウンドを目指している。さらに、techno styleでは、Ke-Kun以外のアレンジャーが登場(!?)する計画もある。

 アレンジ面の改善以外にも、ハード的に制作環境を改良し、音源なども新しくすることで、より『良い音』と目指すことが必要になってくるだろう。