メタセコイア属の変遷


 メタセコイア属の化石は白亜紀後期(9600
万年〜6500万年前)までさかのぼりますが、
この時期の化石が日本を含む北太平洋沿岸
とシベリア東部、カナダの極地周辺から見
つかっています。
 さらに暁新世(6500万年〜5500万年前)か
ら始新世(5500万年〜3800年前)には現在の
ヨーロッパを除く北極圏から中緯度地域ま
で北半球の広い地域に分布していました。
 始新世後半から漸新世(3800万年〜2400万
年前)になって地球上の気温が急激に低下
するにつれて、メタセコニア属は北太平洋
沿岸と中央アジア各地から次々と姿を消し
、氷河の発達が始まった鮮新世後期から更
新世前期(170万年〜73万年前)になると、化
石の発見は日本列島と中央アジアのグルジ
ア地方に限られるようになります。
 日本列島(北海道を除く)の鮮新世から更
新世前期までの地層からはメタセコイア属
の枝葉や球果の化石はあちこちで発見され
ています。
 メタセコイア属は日本では更新世期末の
80万年前に絶滅したましたが、その原因は
当時の激しい気候変動によるものと考えら
れているようです。
 このようにメタセコイア属の出現はおよ
そ1億年前の昔にさかのぼりますが、現在ま


でその形態や生態を大きく変えていないことも 大きな特徴でまさに「生きている化石」といわれ るゆえんです。

ー朝日百科・植物の世界よりー

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