フランスの啓蒙思想

  フランスではブルボン王朝の最盛期を築いたルイ14世についで、1715年ルイ15世が即位しましたが
しばしば対外戦争を起こしてイギリスと対立し、特に七年戦争に敗れてインド、北アメリカ植民地を
失いましたが、国内では国の現状を批判し、国政を改革しようとする思想が広まりました。
 こうした中で生まれたフランスの啓蒙思想は宗教的な権威や不合理な伝統の力を否定する思想で
す。
 特にイギリスのジョン・ロックの人民主権論をついだジャン・ジャック・ルソーの思想は絶対王政に
反対する市民階級の精神的なよりどころとなり、「社会契約論」では人間の尊厳を基盤にした社会を
どのようにして作るかを述べ、一般大衆の立場から啓蒙思想を展開しました。
 モンテスキューは「法の精神」でイギリスの憲法を高く評価し、権力分立の必要性を強調、のちのア
メリカの独立ヤフランス革命に大きな影響を与えました。
 ヴォルテールはカトリック聖職者を批判し理性と進歩を信じて文明を賞賛し、人間精神の宗教から
の自由を説いた「カンディート」を著しました。
 これらの思想は絶対王政の下で押さえつけられていた市民階級の間に広くひろまりました。 

ルソーの代表作の一つ「エミール」
の巻頭挿絵
(パリ・マザラン図書館蔵)

ヴォルテール・悲劇「エディブ」完成の頃の肖像
(パリ・カルナバレ美術館蔵)

モンテスキュー「法の精神」1749年新版の扉(京都外国語大学付属図書館蔵)

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