■私の調査研究報告■


 検証しました

所得税・住民税の扶養控除廃止と

子ども手当で家計はどうなるか

所得税・住民税の扶養控除の廃止は家計を圧迫します

    増税を進め、自治体の低所得者対策を壊すことになります

                   20091114

                   甲府市議会 山田 厚

●新政権の政府税制調査会では、「子ども手当」(中学生まで1人月2万6,000円の支給)のその財源として2011年から所得税・住民税の「扶養控除」「配偶者控除」を廃止するとしています。当初衆議院選のマニフェストには、住民税については言及されていませんでしたが、今回は住民税まで含まれています。

 これらの控除廃止に伴う増税額と「子ども手当」との関係で、その軽減される金額の試算を行ってみました。

※ 途中の計算は面倒です。その増税額と子ども手当の相殺額を見てください。

以下の条件で所得税・住民税の扶養控除廃止の試算をしました

●「子ども手当」は1人月26000円 年312000円としている

●「扶養控除」(一般。高校生・大学生などを対象とする特定扶養控除、老人扶養控除は含まない

  なお、参考のために、小泉改革で増税される前の税額も試算した.

●「児童手当」(小学生までの児童5000円から10000円)は「子ども手当」が制度化されると廃止されるので減額している。



試算@
マスコミ報道とは異なります! 児童手当が所得制限されていた
800万円以上の世帯も 増税で大きな軽減とはならない


 世帯年収950万円

 夫 950万円  妻 主婦   子ども 長男7歳   長女2

 社会保険 33万     生命保険10

●共同通信の報道(2009815日付)では、いままで児童手当が所得制限で該当されていなかった高所得世帯も恩恵があるとしています。「現在は児童手当を受けていない年収800万円を超えた世帯を境に、子ども手当の効果がより大きく現れる」「年収800万円超で効果大」としました。そこで950万円の世帯を試算をしました。

控除額

1)現在の控除額   ( 1.685.000 )円

2)改定後の控除額  ( 695.000 )円

・控除廃止後の新たな所得額   (  7.350.000   )

・定率減税が廃止前の税額は

 平成17年度の所得税 ( 608.000 ) 円

 平成17年度の住民税 ( 430.500 )円

        旧税額合計 1.038.500
@

・税額の新改定 

   所得税 現在( 662.500 )円→ 廃止後は( 890.500 )円

   住民税 現在( 568.000 )円→ 廃止後は( 667.000 )円

      現行税額 1.230.500A    新税額1.557.500B

増税額

・新税制による増税額 B−A= 327.000円(A

・旧税制からの増税額  B−@=  519.000円(B)

実質の子ども手当額

  7歳と2歳が該当 312000円×2人=62万4000円(C)

  この家庭は、児童手当は、所得制限該当しないので相殺額はない

増税と子ども手当2人分の相殺額

  現在より軽減額     (A)―(C)=297.000円軽減

  平成17年度よりの軽減額(B)―(C)=105.000円軽減

結果は、効果はあるものの、増税額も大きく共同通信のいうほどの『効果大』とはなっていませんでした。しかも子ども手当の対象年齢を過ぎると増税だけが大きくなります。


試算A
子どもが中学生までは軽減されるが、すぐ増税になる


 世帯年収735万円

 夫 600万円   妻135万円(パート)

 子ども 長男19歳(学生) 長女14

 社会保険30万円   生命保険5万円

子どもが2人で児童手当が該当しない中学生以上の家庭で試算してみました。

・控除額

1)現在の控除額         ( 1.505.000 )円

2)改定後の控除額        ( 1.115.000 )円

・控除廃止後の新たな所得額   ( 4.260.000  )

・定率減税が廃止と配偶者特別控除(平成16年度か)が改定される前の税額は、いくらだったか?

   平成16年度の所得税 ( 196.800 ) 円

   平成16年度の住民税 ( 153.100 )円

旧税額合計   349.900@

・税額の改定 

   所得税 現在( 148.500 )円→   廃止後は( 192.500 )円

住民税 現在( 277.000 )円→   廃止後は ( 316.000 )円

        現在税額合計425.500A   新税額合計508.500B

増税額

・これからの所得税の控除による増税額B−A=83.000円(A)

・平成16年度所得税・住民税からの増税額B−@=158.600円(B)

実質の子ども手当額

 14歳が該当 年間312000円増収(C)

 年齢で児童手当は該当しないので相殺額はない

増税と実質の子ども手当1人分の相殺額

  現在より軽減額      (A)−(C)= 229.000円軽減

  平成16年度よりの軽減額(B)―(C)= 153.400円軽減

●結果は、中学生以上の家庭では子ども手当で家庭負担が軽減されます。しかしまもなく子どもの年齢で軽減から負担増に転換してしまいます。


試算B
子ども手当も児童手当も廃止で、ほとんど軽減されない


世帯収入400万円

夫 400万円    妻 主婦   子ども長男2

社会保険20万円     生命保険5

現に児童手当(3歳未満児)を受けている若い家庭での子ども手当の効果を試算しました。

・控除額 現在(1.225.000)円→ 改定後の控除額(565.000)円

・控除廃止後の新たな所得額   (  2.660.000  )

・定率減税が廃止されるまでの税額は、いくらだったか?

   平成17年度の所得税 (101.600) 円

   平成17年度の住民税 (64.900 )円 

        旧税額合計 166.500@

・税額の改定

   所得税 現在(63.500)円→ 廃止後は(105.500)円

  住民税 現在140.000円→  廃止後は(211.000)円

  現在税額合計  203.500A 新税額合計 316.500B


増税額

所得税の控除廃止によるこれからの増税額B−A=113.000円増税(A) 平成17年度と比較して       B−@=150.000円増税(B)


実質の子ども手当額

  2歳児が該当           年間312000円が入る(y)
 しかし児童手当廃止されるので 年間12万円が廃止  (z)

      相殺すると(y)−(z)=実質は19万円が入ることになる(C)

増税額と実質の子ども手当の相殺額は

  現在からの軽減額   (A)−(C)=77.000円軽減

  平成16年度からの軽減額 (B)―(C)=40.000円軽減 

   結果は、家計は助かるものの思ったほどではありません。やはり増税による相殺が大きいといえます.


試算C
家計は助かるが2人の子ども手当は、ほぼ1人分以下の手当

世帯収入(500万 母の年金も入る)

夫   330万   妻100万(パート) 母75歳(年金70万)

子ども  長女2歳   長男1

社会保険25万   生命保険5万円

●小さい子どもが二人いる家庭では、児童手当てとの関係でどのように家計が助かるか試算してみました。

・控除額 現在( 2.055.000)円→ 改定後の控除額(1.065.000)円

・控除廃止後の新たな所得額   (  2.130.000   )

・定率減税が廃止されるまでの税額は、いくらだったか?

   平成17年度の所得税 (  0  ) 円

   平成17年度の住民税 ( 7100 )円 

            旧税額合計7.100@

・税額の新改定額

    所得税 現在( 0  )円→ 廃止後は( 43.500 )円

     住民税 現在( 7700 )円→廃止後は( 101.500 )円

         現税額 7,700A       計145.000B

 増税額

所得税控除廃止によるこれからの増税額 B−A=137.300円増税(A) 平成17年度と比較しての増税額  B−@=137.900円増税(B)

 実質の子ども手当額 

  2歳児と1歳児の2名が該当 624000円が入る(y)

  児童手当3歳未満児が2名 年間24万円が廃止となるので(z)

    相殺すると(y)−(z)=実質は384.000円が入る(C)

増税額と実質の子ども手当2人分を相殺すると

  現在と比べると  (A)−(C)= 246.700円軽減

  平成17年と比べると(B)―(C)=246.100円軽減

 結果は、子ども手当で家庭は助かるものの実質的には1人分ほどの軽減でした。


試算D
母子家庭の子が実家に戻ってきた場合、年金生活者は厳しい

世帯収入(480 年金生活+パート)

   夫  400万(66歳年金) 妻(主婦58歳)

子(22歳パート80万)  孫  長男1歳児

社会保険25万    生命保険5

●母子家庭の親子が、年金生活者の実家に戻ってきた場合を試算してみました。

控除額  先の(年金控除額改定前の)控除額(2.205.000)円

       ↓

現在の控除額 (1.725.000)円

  ↓

改定後の控除額(1.065.000)円 

・控除廃止後の新たな所得額   (  2.625.000  )

・定率減税が廃止されるまでの税額は、いくらだったか?

   平成17年度の所得税 (   0    ) 円

   平成17年度の住民税 (  5.800   )円 

          旧税額合計5.800@

・税額の新らたな改定額

   所得税 現在( 27.750 )円→ 廃止後は( 65.750 )円

   住民税 現在( 77.500 )円→ 廃止後は(148.500 )円

   現在の税額合計105.250A   新税額  214.250B

増税額

新税制による増税額    B−A=109.000 円増税(A)

旧税制と比較して税額の増 B−@=208.450 円増税(B)

 実質の子ども手当額 

   1歳児が該当 312000円が入る(y)

児童手当 1歳児が1名年間12万円が廃止(z)

  相殺すると(y)−(z)=実質は190.000円が入る(C)

増税額と実質の子ども手当1人分を相殺して

 現在と比べると(A)−(C)= 81.000円軽減

 平成17年度と比べると (B)―(C)=18.450円軽減


ここでも増税額が大きく、子ども手当がかなり機能していません。特に年金生活者の場合は、前回の年金控除額の改定(増税)がかなり影響しています。


試算E
子どもが義務教育を越えれば、とにかく増税だけです

世帯収入 503万円

夫   400万円    妻103万円 (臨時)

子ども長男21(学生)  次男19歳(学生)

社会保険30万   生命保険5

中学校を卒業した家庭ではどうなるのか試算してみました

控除額

@現在の控除額       ( 1.895.000 )円

A新改定後の控除額     ( 1.565.000 )円


・控除廃止後の新たな所得額       (   2.660.000  )

定率減税が廃止されるまでの税額は、いくらだったか? 

 平成17年度の所得税 ( 23.200 ) 円

 平成17年度の住民税 ( 36.400 )円

            旧税額59.600@

・税額の新改定 

 所得税 現在( 14.500 )円→ 廃止後は( 33.500 )円

 住民税 現在( 57.500 )円→ 廃止後は( 93.000 )円

     現行税額合計72.000A    新税額円合計 126.500B

増税額

現在からの増税額   B−A=54.500 円増税

  平成17年度と比較してB−@=66.900 円増税

結果は、当然、増税だけとなります。このような家庭が多いことも忘れてはなりません。また義務教育以降が子どもにお金がかかることも重視すべきです。



試算F
就職できない子を扶養する年金生活の家庭は特に苦しい

世帯収入(300万円 年金生活)

夫   300万(66歳) 妻(主婦59歳)

子  (23歳 無職・就職活動中) 

社会保険20万  生命保険5


●退職したが、子どもが大きくなり大学を卒業しても就職できていない家庭の状態を試算してみました。

 控除額  先の改定される前の年金控除額および高齢者非課税措置・老齢者控除で助かっていた。   (1.705.000)円

        ↓

現在の控除額    (1.225.000)円

   ↓

改定後の控除額   (565.000)円 

・控除廃止後の新たな所得額      ( 1.800.000 )

定率減税がされていた平成17年までの税額。及びこの場合、かつての高齢者非課税措置などの配慮がされていたときの税額

   平成16度の所得税 (  0  ) 円

   平成16度の住民税 ( 4000 )円 

 旧税額4000@

・税額の新改定額 

   所得税 

現在( 20.500)円→廃止後は( 58.500)円

   住民税 

現在( 54.000)円→廃止後は(125.000)円

      現行税額合計74.500A    新税額円合計183.500B

増税額

現在からの増税額   B−A=109.000 円増税

平成17年度と比較してB−@=179.500 円増税

●子どもが大きくなっても就職できない家庭、リストラされた子どもが親のうちにいる家庭はこの不況下でかなり多くなっています。また年金生活者への配慮は特に重要です。



試算G
配偶者特別控除は旧税制に戻すべきである

世帯収入 450万円

 夫   400万円    妻50万円 (臨時)
 
 子ども長男21(学生)  次男19歳(学生)

 社会保険30万   生命保険5

●ここでは配偶者特別控除が有利だった旧税制を振り返るために試算しました。

世帯収入の控除額

@配偶者特別控除が有利なとき (2.225.000) 円

A現在の控除額       (1.895.000)円

B新改定後の控除額     (1.565.000)円

・控除廃止後の新たな所得額   ( 2.660.000 )

定率減税が廃止される前と配偶者特別控除が有利な時の税額は、いくらだったか?

   平成16年度の所得税 ( 0 ) 円

   平成16年度の住民税 (22.400)円 

           旧税額22.400@

・税額の新改定      

   所得税 現在(14.500)円→ 廃止後は( 33.500)円

   住民税 現在(57.500)円→ 廃止後は(93.000)円

   現行税額合計 72.000A    新税額合計126.500B

増税額

現在からの増税額   B−A=54.500 円増税

平成16年度と比較してB−@= 104.100円増税

●配偶者特別控除の合算がなくなり定率減税を廃した小泉改革以降の税制が増税を招いていることは明らかです。その上にさらに所得控除の廃止ではたまりません。


試算H
母子家庭にとって住民税の増税は厳しい

世帯収入 250万円

 母250万円
 
 子ども長男17(高校生)  次男14歳(中学生)

 社会保険15万   生命保険5

●母子家庭で2人の子どもを育てている家庭で計算した。

世帯収入の控除額

@現在の控除額       (1.598.000)円

B新改定後の控除額     (1.265.000)円

・控除廃止後の新たな所得額   ( 1.570.000 )

定率減税が廃止される前と配偶者特別控除が有利な時の税額は、いくらだったか?

   平成17年度の所得税 ( 0 ) 円

   平成17年度の住民税 (4.000)円 

          旧税額4.000@

・税額の新改定 

   所得税 現在(0)円→ 廃止後は(500)円

   住民税 現在(4.000)円→廃止後は(20.500)円

   現行税額合計 4.000A    新税額合計21.000B

増税額

現在からの増税額   B−A=17.000円増税(A)

平成17年度と比較してB−@= 17.000円増税(B)

実質の子ども手当額

  14歳が該当 312000(C)

増税と子ども手当1人分の相殺額

  現在より軽減額     (A)―(C)=295.000円軽減

  平成17年度よりの軽減額(B)―(C)=295.000円軽減



試算I
障害者などの控除加算の廃止は絶対にストップを

世帯収入 503万円

   夫   400万円    妻103万円 (臨時)  

子ども長男19(学生)  次男12歳(障害1級)

   社会保険30万   生命保険5

●扶養控除に障害児者などの加算があります。

 控除できる金額は、扶養親族の年齢や特別障害者に該当するかにより次の表のようになっています。

同居特別障害者である人

左記以外の人

一般の扶養親族

73万円

38万円

特定扶養親族

98万円

63万円

老人扶
養親族

同居老親等
以外の人

83万円

48万円

同居老親等

93万円

58万円



()


同居特別障害者とは、特別障害者である控除対象配偶者又は扶養親族で、納税者又は納税者の配偶者若しくは納税者と生計を一にしているその他の親族のいずれかと常に同居している人をいいます。


特定扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が満16歳以上満23歳未満の人をいいます。


老人扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が満70歳以上の人をいいます。


同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系の尊属で、納税者又はその配偶者と常に同居している人をいいます。

 なお、扶養親族が障害者の場合は27万円、特別障害者の場合には40万円の障害者控除が、扶養控除とは別に受けられます。

現行税制には障害者控除および同居特別障害控除が加算がありますが、扶養控除、配偶者控除でこれらの加算も通常では廃止されてしまいます。これが廃止された場合を試算しました

控除額

@現在の控除額      (2.305.000)円

A新改定後の控除額    (1.115.000)円

・控除廃止後の新たな所得額      ( 2.660.000 )

・定率減税が廃止されるまでの税額は、いくらだったか?  

   平成17年度の所得税 () 円

   平成17年度の住民税 (19.000)円 

        旧税額合計19.000 @ 

・税額の新改定      

   所得税 現在(0 )円  →  廃止後は( 65.000 )円

   住民税 現在(21.700)円→ 廃止後は( 147.000 )円

現行税額合計21.700A    新税額合計212.000B

増税額

現在からの増税額   B−A=190.300円増税(A)

平成17年度と比較してB−@= 193.000円増税(B)

実質の子ども手当額 

   1歳児が該当 312000円が入る(y)

児童手当 12歳児(小学生)が1名が年間6万円が廃止(z)

  相殺すると(y)−(z)=実質は252.000円が入る(C)

増税と実質の子ども手当1人分の相殺額

  現在より軽減額      (A)−(C)=61.700円軽減

  平成16年度よりの軽減額(B)―(C)=59.000円軽減

結果は、子ども手当で家庭負担が軽減されますが、障害児者の扶養控除加算は今後とも続くものであり、この廃止は絶対にやめるべきです。また特定扶養親族、老人扶養親族における控除額加算も廃止してはいけません。

扶養控除廃止と子ども手当支給における 結論 

所得税・住民税の扶養控除の廃止は、子ども手当が支給される家庭をのぞけば、著しい増税となります。

子ども手当も児童手当と増税で相殺される場合は、予想される金額は思ったよりもより少ないものとなります。

特に今回の民主党のマニフェストでは住民税の控除廃止まで言及していませんでしたが、2011年からの増税には入っています。これは際めて、おおきな増税となります。

また「同居特別障害者」「特定扶養親族」「老人扶養親族」などの控除額の加算を廃止すべきではありません。このまま手をこまねいていると控除廃止に伴って加算も廃止されかねません。これは特に是正すべきです。




扶養控除が廃止されることは  増税だけにとどまりません

生活困窮者への 貧困化をさらに強めます

 非課税が課税対象になることの大きな影響が


扶養控除を所得税と住民税から廃止することの大きな影響

●扶養控除廃止で特に低所得者に大きな影響が出ます

扶養控除早見表 

扶養人数0人のとき   合計所得 315,000円以下

扶養人数1人のとき   合計所得 819,000円以下

扶養人数2人のとき   合計所得 1,134,000円以下

扶養人数3人のとき   合計所得 1,449,000円以下

扶養人数4人のとき   合計所得 1,764,000円以下

今後の扶養控除廃止に伴い、扶養人数が0人になれば今まで非課税だった人が課税にされることになります。

扶養控除の廃止とは大幅な増税になるだけではありません。控除の廃止によって、「所得が大きくなる」ことによって、自治体段階でのさまざまな公共料金(保険料・使用料など)の市民負担が重くなります。

 自治体よって、公共料金の徴集方法・負担金の計算方法がさまざまですが、それぞれ点検する必要があります。

・ 国保保険料

公営住宅使用料

児童福祉のサービス

保育料

・ 介護保険料 介護サービス料

自立支援の各種サービス料

●この場合、非課税世帯が、課税対象になることによっていきなり負担額が上ります

特に住民税をベースにしてさまざまな料金設定をしている自治体が多く、住民税の扶養控除廃止はおおきな影響を与えます。

●また、自治体が行っている、さまざまな減免制度も住民税(非課税世帯)を基本にしているだけに生活困窮者を支援する制度の破壊にもつながります。

福祉部だけでみてみても

市民税課税状況によりサービス水準が変動する福祉部の事業等

担当課

事業等

健康衛生課

新型インフルエンザ助成

障害福祉課

障害福祉サービス等(居宅介護・生活介護等)

自立支援医療(精神・更生医療)

補装具費の支給

地域生活支援事業

 (移動支援事業)

 (日中一時事業等)

 (日常生活用具給付事業)

 (身体障害者用自動車改造費助成事業)

 (訪問入浴サービス)

小児慢性特定疾患児日常生活用具給付

居室整備事業

児童育成課

助産手当

児童保育課

保育料

幼児療養振興費

子育て短期支援

病児・病後児保育事業

高齢者福祉課

高齢者日常生活用具の支給

高齢者介護用品の支給

高齢者への外出支援サービス

老齢者医療費の助成

後期高齢者医療窓口負担割合

介保険課

介護保険料

介護保険料減免

高額介護(介護予防)サービス

特定入所者介護サービス費

 障害者の自立支援はこれ以外にもかなり多くの事業が対象となります。今後、調査しますが、ここでは、甲府市の保育料と介護保険料で検証します。

例@)給与収入200万円、社会保険料控除20万円の夫、

妻と保育園児子ども2人(5歳 未満児)を扶養する場合 

給与収入 200万 給与所得 200万÷4000×2800-180000122万円

増税額 現在 扶養3人の場合の非課税基準は1,449,000円以下のため、

合計所得122万円である  この世帯は非課税。所得税−0円、住民税−0円

 扶養控除が廃止されると 扶養0人になるため、非課税基準は315,000円以下になり、合計所得122万円となり、この世帯は課税になる。

所得税−32,000円、住民税−70,500円

合計増税額 102.500円

●甲府市の保育料 

非課税世帯の現在では 保育料 5歳児 月額3200円 未満児 月額2200円

           2人の保育料 月額合計5400円

  所得税32000円となると 保育料5歳児 23.600円 未満児 月額13.700

          2人の保育料 月額 37.300

         保育料の負担増は年額382.800

子ども手当は 2人分 年間624000円だが児童手当2人分18年間万円がなくなる

全てを相殺すると

  増税額と保育料負担増で 年間485.300円の負担増となる

 子ども手当から児童手当を引くと年間444.000

    全体を相殺すると 年間41.300円の負担増となる



例A)年金収入200万円、社保20万円の70才の夫、70才の妻を扶養する場合

年金収入 200万円 年金所得 80万円

 現在 扶養1人の場合の非課税基準は819,000円以下のため、合計所得80万円であるこの世帯は非課税になる。所得税−0円、住民税−0円

 扶養控除が廃止されると 扶養0人になるため、非課税基準は315,000円以下のため、合計所得80万円であるこの夫は課税になる。

所得税−11,000円、住民税−28,500円

      合計増税額は 39.500

●介護保険料では

介護保険料額の負担増

夫・・24,300円から58,320円へ 34020円の負担増

妻・・24,300円から46,170円へ 21870円の負担増

            この世帯では 保険料負担増は55.890円の負担増

 この世帯では増税額と介護保険料の負担増だけで

  年間95.390円の負担増となる

介護サービス料

介護保険サーブでは、市民税の非課税世帯に対する配慮があるが、これが課税世帯となるさまざまに負担が重くなっていく。このことも含めると扶養控除廃止に伴う低所得者層の負担増は極めて過酷なものとなります。

介護サービスに見られる非課税世帯への配慮


市民税非課税

市民税課税

通所サービス

利用者負担額助成

(市単独事業)

通所サービスを利用した場合の食費に対して1日100円を上限に補助


補助なし


高額介護サービス費

上限額 

世帯 24,600円

個人 15,000円

上限額

世帯のみ 37,200円

(個人設定はありません)

高額介護合算サービス費

上限額

340,000円

上限額

670,000円

社会福祉法人等利用者負担軽減制度事業

社会福祉法人等が運営する一部の介護サービスを利用した場合

介護サービス費1割のうち

28%を軽減

食費・居住費のうち

25%を軽減

非課税世帯であることは、軽減の要件の一部です。

軽減なし


特定入所者介護サービス費

居住費

ユニット型個室  820

ユニット型準個室 490

従来型個室 

   特養等   420

   老健等   490

多 床 室    320

食   費    390


居住費

ユニット型個室  1,970

ユニット型準個室 1,640

従来型個室 

   特養等   1,150

   老健等   1,640

多 床 室     320

食   費    1,380


  職場で進んでいる 給与の家族手当などの廃止を進めることにも連動します

さらに心配すべきは大企業の「家族手当」「扶養手当」「住宅手当」廃止の傾向です。
 
 大企業では小泉改革当時から成果主事給与として「扶養手当」「家族手当」は属人的な弊害としてこの間、削減と廃止化をすすめてきました。国の所得税制度で、扶養控除・配偶者控除は廃止されるとなると―連動して、必ず大企業から給与の「扶養手当」「家族手当」を廃止する傾向がかなり強まると思われます。

 また、民間の手当廃止の傾向が強まるのなら、これもまた公務員給与にも「扶養手当」「住宅手当」を廃止するという影響が強まるとみるべきです。すでに人事院勧告では「住宅手当」を問題にしています。

 国の控除廃止の政策は、様々に連動して官民の労働者の実質賃金の引き下げにもつながりかねません。


このレポートの結論

 悪影響は大きくぜひともストップを

今の社会情勢では控除廃止は生活をさらに圧迫します

●特に、今の大不況の社会状況では、家族の就職難、リストラなどで家族内に失業者を抱えている世帯が多くなっています。100万円以下の激しい低賃金化や、離婚によって母子家庭の子どもが実家にもどるなどによって扶養家族が増える世帯もさらに多くなっています。年金生活者の生活も大変苦しい状態です

●扶養控除の廃止は、自治体でのさまざまな公共料金の値上げにもつながります。減免制度などの対応も実質的に後退し壊れていきます。

 大不況の今だからこそ扶養者がいる世帯への扶養控除の廃止は避けるべきです

●また配偶者控除の廃止も富裕層の専業主婦の問題ではなく、今の社会状況では、夫がリストラされ妻の配偶者控除の対象になっている家庭も少なくありません。現に世帯主の離職はいままでになく増大しています。これらの厳しい世帯での控除廃止は、必ず生活破壊となって行きます。

●社民党は、社会的に極めて悪影響を与える、この増税と生活破壊の政策をストップさせるべきです。また自治体段階でも減免制度などの確立も含めて頑張るときです。