甲府市議会9月定例議会 

 

  甲府市の防災の強化に向けて

                

        山田厚代表質問 2011年 912

 

 



1、大震災の教訓をいかした地域防災計画の見直しを

 

1)甲府市の地域防災計画の見直しは検討されているか

 

○議長(清水 保君) 次に、社会民主党の一般質問を行います。

 山田 厚君。(山田 厚君 登壇)

○山田 厚君 未曾有の東日本大震災といまだ収束していない福島第一原発の放射能災害は、私たちに多くの教訓を与え続けています。ここから甲府市の地域防災計画を見直し、より安全な地域を目指さなければなりません。

 日本は世界的に突出した災害大国です。地球には十数枚のプレートに覆われていますが、そのうち4枚のプレートがぶつかり合っているのが日本列島です。火山帯を軸に山脈があり、海岸沿いに平地が広がっています。災客が多くて当たり前な自然な条件なのです。

 甲府盆地はこの4つのプレートがぶつかり合う中心部に当たり、極めて特異な地域で、自然環境の多様性とともに災害の厳しさをもたらすとされています。それだけに甲府市は、地震、水害、土砂災害、噴火などさまざまな災害に対する防災力が問われています。

 特に地震です。日本の地震は活動期に入り、特に想定されている東海地震はマグニチュード8以上で、30年間で87%の発生確率と言われ、極めて切迫しています。甲府市は「地震防災対策強化地域」にも指定されています。それだけに、防災体制をしっかり確立しなければなりません。

 

2)甲府市の防災上の具体的な改善強化は図られているか

とりわけ要援護者の登録と日常的な対応など

 甲府市は、防災上の備品も事態にあわせて確保するとともに、必要に応じて備蓄量もふやす必要もあります。特に災害弱者である高齢者、要介護者、障害者、難病患者、妊婦、乳幼児、日本語にふなれな外国人といった災害時に1人で避難が難しい方々へ、要援護者としての重点的な支援も必要です。

 質問します。

 今回の大震災は、いかなる事態に対しても想定外などと言っていられないことを教えました。甲府市の地域防災計画もしっかり見直し、根本的に強化改善する必要がありますが、いかがでしょうか

 また、ここでは、甲府市の要援護者の登録状況と災害時に向けての日常的な支援について伺います。

○議長(清水 保君) 市長 宮島雅展君。(市長 宮島雅展君 登壇)

○市長(宮島雅展君) 山田(厚)議員の御質問にお答えします。

 甲府市地域防災計画の見直しについてです。

 このたびの東日本大震災において、想定外の被害が生じたことから、現在、国におきましては、中央防災会議に専門部会を設置し、防災基本計画の修正を行うこととしています。 県では、国の修正を踏まえ、ことし中に山梨県防災計画の見直しを行うこととしています。

 本市におきましても、現在、現行の計画を全般的に点検をしているところでありますが、県の地域防災計画との整合性を図るとともに、災害対策本部の組織体制や分掌などの見直し、非常用食料や非常時用資機材の備蓄数量と品目など、被災時を想定したきめ細かな見直しを行い、実践的かつ具体的なものにしてまいりたいと考えています。

 また、被災後のボランティア活動は復旧への非常に大きな力となりますことから、甲府市社会福祉協議会と連携し、受け入れ体制の強化を図ってまいります。

 いずれにいたしましても、今回の大震災の教訓を生かした甲府市地域防災計画とし、災害応急対策等に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

 御理解を賜りたいと存じます。 以上です。

 

○議長(清水 保君) 長田福祉部長

○福祉部長(長田一弘君) 災害時重点的要援護者の登録状況と災害時に向けての日常的な支援についてお答えいたします。

 災害時に避難などの防災行動が困難な在宅の高齢者や障害者のうち、地域住民など第三者からの支援が必要な方を対象とする災害時重点的要援護者登録制度の登録状況につきましては、本年8月末現在で高齢者が309名、障害者が295名、要介護認定者が53名で、合計657名となっております。

 本市におきましては、本制度が災害時において効果的に活用されるよう、現在、日常的な取り組みを鋭意進めているところであります。

 登録者の拡大に向けましては、本制度の登録者へ御本人の医療情報等を保管する救急あんしん情報セットを配付し、登録の促進を図っております。

 この救急あんしん情報セットは、災害時のみでなく、救急車を呼んだ際の救急隊員への医療情報の提供などにも役立つものであり、高齢者や障害者が地域で安心して生活ができるように、災害時・緊急時に備えるものであります。

 また、日ごろより地域においてさまざまな支援活動に取り組んでおられる民生委員、児童委員にも登録者本人の同意のもとに登録情報を送付し、声かけ、見守りなどの活動に役立てていただいております。

 さらに、登録者全員には避難場所や避難経路等の再確認及び日ごろから支援員等と連絡をとり合っていただくよう通知を発送し、防災意識の啓発を図っております。

 今後におきましても、災害時に迅速で的確な避難ができますよう、日常的な支援に努めてまいります。 以上でございます。

○議長(清水 保君) 山田 厚君。

 

○山田 厚君 これだけの地震が起きたんですから、その教訓を生かして、私どもの地域防災計画を見直すというのは当然かと思います。

 そこで、要援護者の数がお話だと657人という登録者数です。これは類似都市から比べても1けたぐらい少ないと思います。実際の要援護を求めている方々から比べれば、20分の1ぐらいじゃないかと思うんですよ。例えばガイドラインにあるように、障害者の1級から3級、A判定1、2級、これを見ても大体9,000人ぐらいおられるわけですね。ですから、これはちょっと少な過ぎると。

 先ほどの御答弁の中で、これらの登録の拡大に向けてパンフレット・チラシをつくられますけれども、パンフレット・チラシをつくるというのもいいのですけれども、それをどうやって広く皆さんのところへ持っていくのか、お渡しするのかということもぜひ検討していただきたいと。つくったけれども、公民館に置いてあります、市役所の窓口に置いてありますじゃだめだと思いますので、その辺の手配も実にしっかりお願いしたいと思います。これは要望としておきます。

 

2、原子力発電所の震災事故に伴う防災対応は

 

3)浜岡原子力発電所が震災事故となった場合の対応は

 

 続きまして、浜岡原発の問題です。

 国内外で最も危険な原子力発電所が静岡の浜岡原発と言われています。東海地震の想定震源域の真ん中にこの原発はあり、地盤も極めてもろく、しかも敷地内周辺に活断層があり、敷地内にも断層があることも明らかとなっています。こんなところにそもそも原発をつくること自体が大きな誤りです。甲府市からも100キロ余りで、事故あるときは甲府盆地も直接に被曝することになります。

 これを見ていただきたいと思います。 

このパネルは浜岡原発から甲府の位置を示したものです。ここが浜岡原発なわけです。約150キロから100キロの間に甲府市はすっぽり入ります。東海地震では、御存じのように震度6の予想の被災地が甲府なわけですが、同時に浜岡原発がもし東海地震並みの大きな地震があったら、現状ではもたないと言われていると思います。そうなってくると、放射能汚染が必ずこの周辺に来ます。現に福島から甲府は300キロ以上離れているんですが、甲府市でも福島第一原発の悪影響、放射能汚染は来ています。浜岡原発から甲府市まで120キロほどです。しかも、この浜岡原発は、先ほど言いましたように震源域の真ん中にあり、そして、原発で事故が起きた場合には、地域において偏西風が吹くと言われているんですよね。西から東ですから、風は当然静岡から神奈川、東京、そして、甲府の盆地にも直撃されると言われているんです。また、この東海地震は、東南海地震や南海地震としてもこちらのほうに連動すると言われていますから、甲府の場合の地震も震度6で済むとは思われない。そのように言われている専門家もあるところです。ですから、この浜岡原発、とんでもないところにあるんだなと思います。

 

 

 菅前政権はそのことを一定程度認めたようです。安全性が確立されるまでは停止の対応がとられました。私自身もそうでしたが、これで一安心かという人も多かったと思います。しかし、原発は停止していても安全ではなく、地震によって破壊されれば、停止中でも核燃料がある限り放射能災害は起こるとのことです。現に福島第一原発の4号機は点検のため停止中でしたが、水素爆発まで引き起こしています。

 すべての原発をやめて、安全な自然エネルギーに転換するしかありません。特に浜岡原発のような危険な原発は早期に廃炉にして、完全に放射能汚染の心配がなくなるようにしていくべきです。

 この浜岡原発の地盤が非常にもろいと言われています。私ども、8月に現地視察して、その岩盤が表面化しているところも見たんですけれども、(※石を示して)これは議長にもお見せしましたが、浜岡原発の下にある岩盤だと言われているところです。地質学上には岩だそうですけれども、簡単に折れるんですね(※石を砕いてみせる)、ボロボロと。こういうふうになってしまう。だから、これは弱軟岩、軟岩と言われているそうです。名称は、私は詳しくわからないんですけれども、こんなもろいものの上に建っていたら、大変おっかないなと思うのは私一人だけではないと思います。

 ところで、国の原発の安全神話の中で、県も市町村自治体も原発災害・放射能汚染に対する災害時の防災対応は全くありませんでした。甲府市の地域防災計画を見ても、原子力発電所や放射能といった言葉すらありません。これでは当面の防災もできていないことになります。

質問します。

甲府市は、日本に原発がある以上、また浜岡原発が存在している以上、みずか

らの地域防災計画の改定には、原発災害・放射能汚染に対する防災対応を必ず入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

○議長(清水 保君) 篠原危機管理対策監。

○危機管理対策監(篠原淳一君) 原子力災害を想定した地域防災計画の見直しについてお答え申し上げます。

 県におきましては、東日本大震災での福島原発事故を踏まえ、原子力災害を想定した対策を加える方向で検討を行っております。

 本市では、県の地域防災計画との整合性を図る中で、本市の実情に合った見直しを行い、防災対策の強化、充実に努めてまいります。 以上でございます。

○議長(清水 保君) 山田 厚君。

○山田 厚君 原発の震災事故に対する防災対応というのは当然だと思うんですね。県も計画しているそうですが、市としても早目に対応する必要があると思います。

 このたび私は9月に80自治体の調査をやって、今、回答が66自治体ですが、そのうち原発震災事故に伴う新たな対応を検討しているという自治体が25自治体、回収した中でも37%が、この原発震災に対する対応を検討しています。

 ぜひ甲府市も、これは当然あってしかるべきことですから、原発が日本から全部なくなるというならともかく、ある以上は、当面の対策としてもこのことは必要だと思います。

 〔調査した〕資料の中に、保育所、幼稚園、小中学校に甲状腺がんを引き起こす放射性物質を防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄(がありました)。私は、これ必要だなと思っていたら、この(調査した)25自治体の中で松本市は安定ヨウ素剤を備蓄するという対応をしはじめているそうです。ぜひ甲府市もこういった備蓄を考える必要があると思います。例えば防じんマスクとかレインコート、こういったものも効果的と言われているわけですから、ぜひこういった面の検討を市として具体的に始めていただきたいと思います。

 

3、放射能汚染から市民とくに子どもを守る取組みを

 

4)広範囲な放射能汚染に対する測定・監視などの取組みは

 

 続きまして、放射能汚染から市民、特に子供を守る取り組みについてお伺いします。

 いまだ収束していない福島第一原発事故は、放射能汚染の深刻さを教えました。すべての命を傷つけ、奪い、こういった放射性物質の大量放出は国内外にまで被害をもたらしています。

 福島第一原発から300キロ以上離れた甲府市ももちろん例外ではありません。甲府市の下水道浄化センターでは、その焼却灰に放射性物質が存在し、高い汚染数値によって引き取る場所もなく積み置かれている状態が現在も続いています。

 これは、下水道施設によって放射性物質が集約されたものとはいえますが、身近な地域でも吹きだまりや側溝の泥、雨水が入り込む砂場にはたまっていきます。甲府市としても放射能汚染から市民を守る取り組みが必要だと思われます。

 

5)学校・保育所・幼稚園などの環境での取組みを

 

放射能汚染の悪影響は、大人より成長期の子供であり、しかも乳幼児や胎児に強く影響を及ぼします。子供を取り巻く環境の状態を監視・調査する必要があります。

 

6)卸売市場や給食食材などで食品の安全を

いかに確保していくのか

 

 また、海や大気に放出された大量の放射性物質は食品を汚染しています。東北から関東にかけてとれた野菜や魚、肉が汚染されています。放射能汚染された食材を食べると内部被曝となります。食品、特に学校給食の食材の安定性をしっかり確保することが大切です。また、いたずらに風評被害を野放しにし、被災地の食材を使わない事態も避けるべきです。そのためにも調査に基づく安全性の確認が必要です。

 

 質問します。

 市民を放射能汚染から守るために、市内の幾つかの箇所で放射線量の測定の充実、監視、公表する必要があります。この場合、県への要請や委託も必要ですが、甲府市が独自に放射線量の測定調査、公表を行うために必要な測定器も確保すべきだと思われます。

乳幼児、児童生徒の環境調査には特に大切です。校庭、園庭、砂場など、定期的に監視すべきです。そして、安全性を確保する必要があるならば、校庭の表土や砂、汚泥の除去も行うべきです。

また、食品の安全確保に向けて、卸売市場では独自の測定を行い、給食食材の抜き取り検査の実施も行うべきですが、いかがお考えでしょうか。

 

○議長(清水 保君) 土屋環境部長。

○環境部長(土屋敏雄君) 放射線量の測定等についてお答えいたします。

 市内の放射線量については、東日本大震災発生後、富士見一丁目の山梨県衛生環境研究所に設置してあるモニタリングポストにおいて、6月13日からは従来から測定していた地上17メートルに加え、地表から1メートルの高さにおいて毎日測定を実施しており、また、県により、6月24日には地方卸売市場内において同様の測定が行われ、さらに7月22日には、小学校や保育所、公園9か所において、地表から5センチメートルと1メートルの高さで測定が実施されたところであります。

 これらの測定結果については、いずれも原発事故以前の通常値の範囲内であり、健康に影響が出るレベルの数値ではないことが公表されております。

 このような結果から、市内においては放射線の影響はないものと思われますが、市民の皆様にさらに安心していただけるよう、本市独自の調査を実施することとし、県と同様の精密測定器を7月末に発注したところであります。

 しかしながら、測定器が不足しているため、納入は11月末ごろになるとのことでありますが、納入後は小学校や保育所、公園等、20か所ほどの公共施設において、地表から5センチメートルと1メートルの高さでの測定を当面月1回行い、その結果についてもホームページ等で公表していく予定であります。

 なお、測定結果により、校庭や園庭の表土の安全性を確保する必要がある場合には、施設管理者と協議する中で適切な対応を図ってまいります。 以上であります。

○議長(清水 保君) 小田切市場改革調整監。

○市場改革調整監(小田切一也君) 卸売市場における生鮮食料品の安全確保についてお答えします。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う生鮮食料品の取り扱いにつきましては、原子力災害対策特別措置法に基づき、対策本部長である内閣総理大臣から、対象自治体及びその隣接自治体に対し、緊急時における食品の放射能測定マニュアルによるモニタリング検査が指示され、産地段階において検出検査が実施されております。

 この検査結果に基づき、厚生労働省により示された暫定規制値を上回る生鮮食料品に対し、出荷制限措置が講じられており、本県におきましても隣接自治体として地場産の農産物への対応を図っている状況であります。

 このような中、本市場におきましても、国からの出荷制限等となった生鮮食料品の情報を市場関係業者と共有し、入荷及び流通されることのないよう徹底を図っているところであります。

 したがいまして、現時点では、国や産地県により安全性が確認された生鮮食料品が入荷されているものと認識しており、不当な風評被害や生鮮食料品の流通特性を考慮する中で、本市場独自の検査は考えておりません。 今後におきましても、関係機関の調査結果を注視するとともに、生活な情報に基づき、卸売市場おける生鮮食料品の安全性を確保してまいります。 以上でございます。

○議長(清水 保君) 長田教育部長。

○教育部長(長田敦彦君) 給食物資の放射能検査についてお答えします。

 本市の学校給食につきましては、成長期にある子供たちの心身の健全な発達に資するよう、栄養バランスのとれた食事を提供することはもとより、給食物資に関しましては、保護者や学校関係者等で構成する給食物資購入委員会において検討する中で、従前より食の安全性に特に配慮し、良質で低廉な物資の選定及び安定的な確保に努めております。

 あわせて、地産地消を推進するとともに、産地や成分の確認も行い、物資の調達を行っております。

 給食物資にかかわる放射能への対応につきましては、食品衛生法に基づく放射能の暫定規制値を超えた食品は出荷制限の対象となっており、市場に流通している食品は国や産地県によりその安全性が確認されたものでありまして、今後も使用していく方針であります。

 こうした中、保護者等から子供たちの健康への影響を心配する声が寄せられているところであり、給食物資の安全性を再確認し不安の解消を図る観点から、給食物資の抜き取り検査につきましては、その実効性を含め検討してまいります。

○議長(清水 保君) 山田 厚君。

○山田 厚君 御答弁ありがとうございます。

 市独自の測定を行う、そのために検査機器も購入するというお話は感謝申し上げたいと思います。

 でも、うんと(測定は)細かくする必要があると思うんですよね。私も梨大の先生方と浄化センターや保育所や卸売市場、小学校、幼児センターなんかも測ってみたんですけれども、同じ運動場、園庭といっても、場所によって数値が異なるんですね。例えば雨どいの水が入り込んでいたところ、ここは数値が高くなるのです。なるべくなら地面に接したところの測定をしないとだめだと思います、1メートルぐらいじゃ・・。だから、むしろガイガーカウンター等を購入したら、積極的に市民に貸し出して、あとは市民の細かな情報に基づいて公的に再調査する、こんな姿勢が必要かなと思います。これは強く要望しておきます。

 それからもう1つ、学校給食に関しては抜き取り検査、これはぜひやっていただきたいと思います。

そして、市場のほうでも言われたんですけれども、そもそも「産地段階での検査をしたからもういいよ」という姿勢はやめてもらいたいと。検査は2方向でやるんですよね。産地段階と消費する側、受け入れる側、ここでなきゃだめだと思うんです。というのは、風評被害というのは、出す側がいいよと言っているだけではだめなんですよね。使用する側もいいよと確認しないと。

 (日本の農産物の海外の対応に関する)農林水産省のホームページを見て私はびっくりしたんですけれども、9月の6日現在で、これは朝日新聞にもちょっと出たんですけれども、47都道府県に関して輸入禁止とか、日本からの農産物ですね。それから12県、これは山梨も入っているんですけれども、結構禁止と制限制度が入っているんですね。びっくりしました。

欧州連合でも、山梨も含めて47の都道府県は一応規制対象になっています。そして、このEUでは、日本で調べることは当然だけれども、EUとしての検査も行いますよと言っているんですね。これは1つ問題があるのは、当初、日本の政府が食品に関する徹底した検査をしないであいまいにしていたところがあると思うんです。

だから、風評被害というのは日本だけじゃなくて国際的にも広がっちゃったんじゃないか。そのためにも、被災地の食材や山梨の食材をしっかり使ってもらうためにも、2方向で産地もそして使用する側もしっかり検査をするということが必要だと思われます。その意味で、特に子供の食材に関してはそういう方向でやっていただきたいと。抜き取り検査も放射能災害という問題としてやっていただきたいなと思います。

 

4、耐火・耐震化などで防災上の強化を

 

7)甲府市および関連する施設における耐震化の早期完了を

 

続きまして、耐火・耐震化などの防災上の強化についてお伺いします。甲府市の施設及び甲府市の関連施設の耐震化を急ぐべきです。甲府市の耐震化計画の前倒しも必要です。また、福祉避難所など介護保険施設や自立支援施設の耐火性、耐震性も問われています。耐震性が確立されても、室内のロッカーなどの備品類の安全性の確保も必要です。甲府市の防災行政用無線の各放送塔の耐震性も強化すべきです。

 道路の耐震性も重要です。わけても緊急輸送道路です。災害時に必要な消防車、救急車、救援物資輸送車などの緊急輸送を確実に行うための必要な道路として、緊急輸送道路が指定されています。

 例えば、橋などを含めて、道路構造上の安全性ですが、橋が崩れたら、すぐ道路は寸断されます。道路に埋設されている上下水道及びガス管の耐震性です。水道管、ガス管が破裂し、水があふれたり、ガスが噴出したり、下水道管が陥没すると交通不能となります。さらには道路沿いのビルやマンション、大きな看板などの工作物や電柱などが倒れることによっても道路が機能しなくなります。

 そのためにも、道路の耐震性を確保するとともに道路ネットワークとして機能するよう、寸断された道路の代替性の確保も必要です。

 

8)市内の家屋の耐火・耐震化への支援を

 

また、甲府市の家屋の耐火・耐震性を計画的に促すことも重要です。木造住宅耐震化支援事業の実績もなかなか上がっていません。必要な事業だけに、どうすれば市民にとって活用しやすいのかも考えるべきです。

 特に、火災危険区域として指定され、消防活動上の重点が置かれている朝日、丸の内、中央、朝気の市街地への耐火・耐震化への重点的な対応が計画的に求められています。

 

9)事前避難対象地区や孤立集落等への周知と防災強化を

 

重視すべきは、平均的に防災を整えるとともに、これからは特に危険だとされている地域や箇所を重点的に強化すべきです。

 甲府市でも急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所などの危険性がある「事前避難対象地区」が指定されています。また、災害時に孤立する可能性がある孤立集落65歳以上の高齢者が50%以上となっている限界集落、言うまでもなくこれらは災害に弱い地域です。これらの重点的な防災強化が求められています。

質問します。

緊急輸送道路の耐震性について、そのうち道路沿いの危険と思われる建築物

工作物、電柱などの防災上の調査や指導はどうなっていますか、お聞きします。また、甲府市の防災無線の各放送塔の耐震性、どうなっているでしょうか。事前避難対象地区などの、特に防火・防災上危険と思われる地域への重点的な対応はどのように行われていますか。 以上、お伺いします。

 

○議長(清水 保君) 篠原危機管理対策監。

○危機管理対策監(篠原淳一君) 防災行政用無線の放送塔の耐震性についてお答えします。

 現在、市内に設置している鋼管柱を使用した放送塔は、強度計算において、震度7の地震の揺れにも耐え得ることを確認しており、十分に耐震性があると考えます。

 しかしながら、中道、上九一色地区では、火の見やぐらなどを利用した放送塔も一部存在し、大規模地震による耐震性に課題を残しております。

 今後は、防災行政用無線の更新工事に伴い、平成25年度までにはすべてを鋼管柱に建て替え、耐震性のある放送塔に更新していく計画としております。

 次に、事前避難対象地区への防災上の対応につきましてお答え申し上げます。

 本市では、東海地震の警戒宣言発令時に避難が必要となる危険区域等を事前避難対象地区として指定し、地震による危険性や速やかな避難体制など、周知を図るため、対象となる自治会に対しまして、説明会の開催や避難訓練の指導を行っております。

 これの区域の中では、一たび地震、風水害が発生すると、土砂災害によって孤立集落となる地区もあることから、孤立した住民との情報交換を図るため、防災行政用無線や衛星携帯電話の設置を進めているとともに、防災倉庫や非常用食料及び飲料水の備蓄も計画的に行っております。

 また、災害を未然に防止するため、関係機関と合同で危険個所の巡視、点検等を行うとともに、小規模治山事業として、危険個所の土どめなどの整備を実施しております。

 今後につきましては、孤立集落になった場合の住民の円滑な救助体制を整えるため、山梨県等と協議する中で、ヘリコプターの発着確保等にも努めてまいります。

 以上でございます。

○議長(清水 保君) 薬袋都市建設部長。

○都市建設部長(薬袋哲男君) 緊急輸送道路の耐震性についてお答えします。

 災害時の緊急輸送道路については、県が指定した第1次緊急輸送道路として国道20号線ほか7路線、32.6キロメートル、第2次緊急輸送道路として国道358号線ほか14路線、81.1キロメートル、甲府市が指定した緊急輸送道路として、荒川左岸1号線ほか52路線、47.4キロメートル、総延長で161.1キロメートルが指定されております。

 一方、建物の規模が大きく、倒壊した場合に甚大な被害を及ぼす特定建築物は、市内に237棟あり、このうち37棟は緊急輸送道路の沿線にあります。

 このため、大規模な特定建築物の所有者に対しまして、平成20年度より耐震診断の実施及び必要に応じた耐震改修の実施を行うよう通知文を発送するなどの指導を行ってきたところであり、今後も早期に耐震化の措置を講ずるよう、再通知や戸別訪問などを行い、指導強化を図ってまいります。

 また、このほか、緊急輸送道路沿いには、震災時に倒壊した場合に道路を閉塞するおそれのある小規模な建物がおよそ480棟存在しておりますので、これらの小規模な建物所有者に対しましても、耐震化の必要性、重要性を周知し、啓発を図ってまいります。

 なお、電柱や看板などの工作物につきましては、具体的な耐震基準がないものの、風圧荷重などによる構造基準に基づき設計、施工されておりますので、一定の耐震性を有しているものと考えております。

 今後も、占用許可や広告物設置許可の更新などの機会をとらえ、老朽化対策などの適切な維持管理を行うよう指導してまいります。

 以上でございます。

○議長(清水 保君) 山田 厚君。

○山田 厚君 緊急輸送路に関しては、もう既に幾つか質問が出ていますからくどくは言いませんが、例えば沿線沿いの237の建設物、そのうち37棟が沿線沿いだというなら、まず37の棟から始めるべきだと私は思います。危険性が高く、重要な道路というのだったらここから始めるべきだと。だから、そういう対応をしておいて、37からやっていって、237も当たると、そういうやり方にしていってもらいたいと思います。

 それから、屋外広告物、危険なものは危険なわけです、老朽化してしまえば。そういうものを目視点検だけでもしていく必要があるし、そういった体制をぜひ強めていただきたいと思います。 これはこれで強く要望をしていきたいと思います。

 

5、災害時の減免制度について

 

10)災害に被災された市民への減額免除制度の周知と拡充を

続きまして、災害時の減免制度についてです。

 甲府市には、災害時における被災された市民負担の軽減に向けて減額免除制度があります。この減免制度は、水道料金、下水道料金、国民健康保険料、市民税、固定資産税、都市計画税、軽自動車税、一般廃棄物手数料、保育料、後期高齢者医療保険料、介護保険料などなどがあります。これは大変ありがたい制度です。しかし、市民への周知も含めて、その徹底が不十分だと思われます。また、新たな制度上の拡充や改善も求められていると思います。

 

 質問します。

減免制度があることの市民への周知が必要です。また、大規模災害や中規模の災害だけでなく、小規模であり、1軒の災害でも漏れなく適用されるべきです。

今後、災害時の減免制度が未確立または明確ではないところの整備をすべきで

す。例えば商科専門学校授業料、小中学校の学校納付金などについても減免制度をしっかり広げるべきだと考えます。

 

○議長(清水 保君) 篠原危機管理対策監。

○危機管理対策監(篠原淳一君)災害時の減免制度についてお答え申し上げます。

 本市では、災害時の被災者支援や減免制度について、被災者支援制度一覧表としてまとめ、市ホームページに掲載するなど、市民に周知を図るとともに、各担当部局でも、広報誌へ掲載するほか、納税通知書等に災害時の減免制度についても記載した減免案内を同封し、周知を図っているところであり、被害の状況が一定の基準に該当した場合には減免の対象としております。

 また、御指摘の甲府商科専門学校の授業料の減免につきましては、関係条例に基づき、災害時における減免基準を設け運用しているところであり、小中学校の学校納付金については、就学援助制度に基づく援助費の支給により、その負担の軽減を図っております。

 いずれにしましても、災害時の減免制度は、被災時の市民の経済的負担を軽減し、迅速な復旧に必要な制度でありますので、市民にわかりやすく、利用しやすい制度にするとともに、市民への周知にもさらに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。

○議長(清水 保君) 山田 厚君。

○山田 厚君 私が心配なのは、周知、それから明確にということだと思うんです。大規模災害だと情報が届く可能性が大きいんですけれども、小規模の災害、また、1軒2軒の火災などでは、私の過去知っている事例から見ても意外と〔情報が届かないで〕適用されなかったことが多いのかなと思っているところです。

 それで、ここでは商科専門学校の授業料(減免)のことを挙げました。ここでももちろん天災の問題は出ているんですけれども、内容的に私は不十分だからここへ入れたんです。というのは、甲府商業のほうもそうです。基準によると、「住居または家財、店舗、工場、耕作地、山林、これらの大事な財産が5割以上滅失または焼失」、これではちょっときつ過ぎるなと思うんです。よその減免規定でいうと、床上浸水とか、3割とか10分の8となっているけれども、子供さんを預かるこういった商科専門学校とか商業高校の減免規定ではちょっとこれはきついし、市税も含めて、国保とか、甲府の市にある一つ一つの減免制度と比べても均衡性に欠けている気がするんですが、この辺はどうですか。教育委員会からお答えいただきたいんですけれども。

○議長(清水 保君) 長田教育部長。

○教育部長(長田敦彦君) 商科専門学校の授業料の減免についての再質問にお答えをいたします。

 商科専門学校の授業料の減免につきましては、条例に基づきまして減免基準が定められております。 その中に、居住または家財が5割以上滅失または焼却した場合など、4項目が含まれております。 この5割の点でございますけれども、その確認につきましては、罹災証明や被災証明で確認いたしますが、この5割、県立高校においても同様に5割という基準を設けているところでありまして、他の都市の状況等を調査いたしまして、検討してまいりたいと思っております。 以上です。

○議長(清水 保君) 山田 厚君。

○山田 厚君 被災されて苦しい思いをしている方々というのは、どれも一律に全部厳しいんですね。ですから、国保であろうと、保育料であろうと、公営住宅の使用料だろうと、上下水道だろうとみんな同じなわけですよ。ただ、その同じ中にあって、子供さんを預かる甲府商業とか商科専門学校が「5割」ですよと書いているのはいかがなものかですよね。保険会社じゃないんだから、この5割といったらどういうことなのか。例えば「焼失して5割」といったら全部建て替えですよ。洪水でもそう。ここら辺のところは、均衡性を保つんだったら、甲府市の減免制度のほかの制度をちゃんと見てもらいたいなと思うんです。これは強く要望しておきます。

 

6、直営を維持すると共に

民間委託先との災害対応の具体化を

 

11)市の直営事業を維持し防災上のマンパワーの確保を

 

続きまして、「直営を維持するとともに、民間委託先との災害対応を具体化してもらいたい」と、こういうことを言いたいわけです。

東日本大震災の救援・復興では、自治体職員の献身的な奮闘が伝えられています。しかしその一方で、支援物資が被災者にすぐに届かない、被災証明書の発行がすぐにできない、義援金の配付が遅いなどの状況もありました。

 この原因は何か。1つは同じ被災地区に自治体職員は住むのですから、当然、みずからが被災者になっているということです。もう1つは、小泉改革以降、市町村合併も行われ、激しい自治体職員の削減があったからです。

 甲府市の正規職員数も、この間の市町村合併があったにもかかわらず、かなり減少しています。このことは防災上の直接のマンパワーを後退させ、災害対応の即応性や的確さ、丁寧さが失われることにもつながります。

 

12)市の施設管理・業務委託・指定管理者など委託先との

災害対応を契約段階で明確にすべき    

続きまして、既に市の業務の多くが委託業者、指定管理者に任されています。災害となった場合、ここでもフル稼働していただき、被災市民の援助に向かってもらわねばなりません。

 甲府市は幾つもの災害時の協定を結んでいます。自治体間では相互応援協定、食品などの物資や復旧工事、情報や仮設資材などでは、各種団体、業者との業務協定を結んで災害時に備えています。

 しかし、直接甲府市の公的事業を担っている委託業者や指定管理者との災害時のしっかりした対応と連携が意外と不十分であり、不明確です。

 私は今回、甲府市と委託業者や指定管理者とで結ばれた協定書、契約書、仕様書の内容を調べさせていただきましたが、いずれも災害についてはその他の項目風の扱いで、基本的な扱いとはされていません。具体性も不明確です。担当部ごとにばらばらの傾向もあります。これらを整理して防災への協力体制を確立していく必要があるかと思います。

 

職員の増減のグラフです。最近の小泉内閣以降を見てみますと、正規職員が1,884から現在1,744名と。条例定数では2,000名を超えているんですけれども、このように減っていると。しかも平成18年の2006年には、先ごろの輿石議員のお話にあったように、ここから比べても200人以上が正規職員では削減されています。災害に関しては3段階、市に職員に対する動員がありますよね。第1配備、第2配備、第3配備と。第1配備が注意、第2が警報、第3配備は大規模災害の全員動員ということになっていますが、そのマンパワーから見ると、全員出動でいえばますます落ちていくということになるかと思います。

その一方、非正規の職員の皆さんは、この正規の方々の業務の穴埋めのためにどんどんふやされています。400人ぐらいがふえているんではないでしょうか。これらの方々の非正規職員の皆さんの力もしっかりかり、アウトソーシングされている指定管理者や民間委託先の力もかりなければ、甲府市の基本的なマンパワー、防災力としては落ちるばかりではないでしょうか。このことを危惧するものです。



 

 質問します。

 災害に対する市の基本的なマンパワーは正規職員です。また、すべての事業で直接災害に即応できるのは直営事業です。官から民へ、正規から非正規へとして正規職員の削減に次ぐ削減は防災力を弱めることになり、もうこの辺で改めるべきと考えます。

 既に大変な数で非正規職員の方々が主な業務に従事しておられます。これらの皆さんの待遇改善とともに、正規職員だけでなく、非正規職員にも防災教育や防災上の業務訓練もすべきです。

 企画部危機管理対策室は、市の公的な事業において指定管理者や委託業者との協定書、契約書、仕様書の内容を総点検し、災害時の対応を基本的にして具体性、即応性ある内容に改定していく方向を示すべきです。いかがお考えでしょうか。

 

○議長(清水 保君) 工藤総務部長。

○総務部長(工藤眞幸君) 総務部にかかわる2点の御質問にお答えいたします。

 まず、災害時におけるマンパワーの確保についてであります。

 災害が発生した際にいかにマンパワーを確保し、災害復旧作業や被災者支援を行っていくかということにつきましては、市職員のみならず、常日ごろからの社会全体の体制整備が大切であると考えております。

 本市におきましては、甲府市地域防災計画の防災の基本方針の1つとして、自助、共助、公助の精神に立ち、個人や家庭、地域、企業、団体等の連携の必要性を明確に位置づけているところであり、また、甲府市事業継続計画では、災害対策への出動等で通常より少なくなった職員体制でも、市民生活や社会活動に影響を与えるおそれのある事務事業を継続して行っていけるよう、対応方法、対応手段を定めております。

 

 地方自治体を取り巻く行財政環境が厳しさを増す中、本市におきましては、職員定数の適正化や総人件費の抑制に努めているところでありますが、今後におきましては、事務事業の一層の見直しや効率的な事務執行体制の整備を進め、必要な職員数を計画的に確保する中で、今回の東日本大震災の被災地支援から得られましたさまざまな経験や情報等を全職員で共有するなど、人材の育成と職員体制の充実に努めるとともに、県や関係機関、地域の自主防災組織などと的確で迅速な連携が図れるよう、防災対策に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、非正規職員の防災教育等についてであります。 東日本大震災の発生等で、市民の災害に対する危機意識が高揚している中、正規職員に限らず、非正規職員につきましても防災意識を高めていく必要があるものと考えております。

 本市におきましては、これまで保育所、幼児教育センター、公民館等の一部の施設で非正規職員を含めた防災訓練を実施してきたところでありますが、今後におきましては、こうした非正規職員を含めた防災に対する研修や訓練等をそれぞれの施設や職場で定期的に実施するよう取り組み、防災意識の高揚を図るとともに、有事の際には市民の安全確保や事務事業の継続に支障を来さないよう努めてまいりたいと考えております。

 なお、非正規職員の待遇につきましては、健康管理や休暇制度などの改善を図ってきたところであり、引き続き他都市の状況等も参考にする中で、必要な見直しを行ってまいります。 以上でございます。

○議長(清水 保君) 山田 厚君に申し上げます。

 既に割り当て時間を超過しておりますので、以上をもって質疑、質問を終結させていただきます。