(1)甲府市の地域防災計画の見直しは検討されているか 日本は世界的に突出した災害大国です。地球には十数枚のプレートに覆われていますが、そのうち4枚のプレートがぶつかり合っているのが日本列島です。火山帯を軸に山脈があり、海岸沿いに平地が広がっています。災客が多くて当たり前な自然な条件なのです。 甲府盆地はこの4つのプレートがぶつかり合う中心部に当たり、極めて特異な地域で、自然環境の多様性とともに災害の厳しさをもたらすとされています。それだけに甲府市は、地震、水害、土砂災害、噴火などさまざまな災害に対する防災力が問われています。 特に地震です。日本の地震は活動期に入り、特に想定されている東海地震はマグニチュード8以上で、30年間で87%の発生確率と言われ、極めて切迫しています。甲府市は「地震防災対策強化地域」にも指定されています。それだけに、防災体制をしっかり確立しなければなりません。 (2)甲府市の防災上の具体的な改善強化は図られているか とりわけ要援護者の登録と日常的な対応など 甲府市は、防災上の備品も事態にあわせて確保するとともに、必要に応じて備蓄量もふやす必要もあります。特に災害弱者である高齢者、要介護者、障害者、難病患者、妊婦、乳幼児、日本語にふなれな外国人といった災害時に1人で避難が難しい方々へ、要援護者としての重点的な支援も必要です。
(3)浜岡原子力発電所が震災事故となった場合の対応は 国内外で最も危険な原子力発電所が静岡の浜岡原発と言われています。東海地震の想定震源域の真ん中にこの原発はあり、地盤も極めてもろく、しかも敷地内周辺に活断層があり、敷地内にも断層があることも明らかとなっています。こんなところにそもそも原発をつくること自体が大きな誤りです。甲府市からも100キロ余りで、事故あるときは甲府盆地も直接に被曝することになります。 これを見ていただきたいと思います。 このパネルは浜岡原発から甲府の位置を示したものです。ここが浜岡原発なわけです。約150キロから100キロの間に甲府市はすっぽり入ります。東海地震では、御存じのように震度6の予想の被災地が甲府なわけですが、同時に浜岡原発がもし東海地震並みの大きな地震があったら、現状ではもたないと言われていると思います。そうなってくると、放射能汚染が必ずこの周辺に来ます。現に福島から甲府は300キロ以上離れているんですが、甲府市でも福島第一原発の悪影響、放射能汚染は来ています。浜岡原発から甲府市まで120キロほどです。しかも、この浜岡原発は、先ほど言いましたように震源域の真ん中にあり、そして、原発で事故が起きた場合には、地域において偏西風が吹くと言われているんですよね。西から東ですから、風は当然静岡から神奈川、東京、そして、甲府の盆地にも直撃されると言われているんです。また、この東海地震は、東南海地震や南海地震としてもこちらのほうに連動すると言われていますから、甲府の場合の地震も震度6で済むとは思われない。そのように言われている専門家もあるところです。ですから、この浜岡原発、とんでもないところにあるんだなと思います。
菅前政権はそのことを一定程度認めたようです。安全性が確立されるまでは停止の対応がとられました。私自身もそうでしたが、これで一安心かという人も多かったと思います。しかし、原発は停止していても安全ではなく、地震によって破壊されれば、停止中でも核燃料がある限り放射能災害は起こるとのことです。現に福島第一原発の4号機は点検のため停止中でしたが、水素爆発まで引き起こしています。 すべての原発をやめて、安全な自然エネルギーに転換するしかありません。特に浜岡原発のような危険な原発は早期に廃炉にして、完全に放射能汚染の心配がなくなるようにしていくべきです。
(4)広範囲な放射能汚染に対する測定・監視などの取組みは いまだ収束していない福島第一原発事故は、放射能汚染の深刻さを教えました。すべての命を傷つけ、奪い、こういった放射性物質の大量放出は国内外にまで被害をもたらしています。 福島第一原発から300キロ以上離れた甲府市ももちろん例外ではありません。甲府市の下水道浄化センターでは、その焼却灰に放射性物質が存在し、高い汚染数値によって引き取る場所もなく積み置かれている状態が現在も続いています。 これは、下水道施設によって放射性物質が集約されたものとはいえますが、身近な地域でも吹きだまりや側溝の泥、雨水が入り込む砂場にはたまっていきます。甲府市としても放射能汚染から市民を守る取り組みが必要だと思われます。 (5)学校・保育所・幼稚園などの環境での取組みを 放射能汚染の悪影響は、大人より成長期の子供であり、しかも乳幼児や胎児に強く影響を及ぼします。子供を取り巻く環境の状態を監視・調査する必要があります。 (6)卸売市場や給食食材などで食品の安全を いかに確保していくのか また、海や大気に放出された大量の放射性物質は食品を汚染しています。東北から関東にかけてとれた野菜や魚、肉が汚染されています。放射能汚染された食材を食べると内部被曝となります。食品、特に学校給食の食材の安定性をしっかり確保することが大切です。また、いたずらに風評被害を野放しにし、被災地の食材を使わない事態も避けるべきです。そのためにも調査に基づく安全性の確認が必要です。
(7)甲府市および関連する施設における耐震化の早期完了を 道路の耐震性も重要です。わけても緊急輸送道路です。災害時に必要な消防車、救急車、救援物資輸送車などの緊急輸送を確実に行うための必要な道路として、緊急輸送道路が指定されています。 例えば、橋などを含めて、道路構造上の安全性ですが、橋が崩れたら、すぐ道路は寸断されます。道路に埋設されている上下水道及びガス管の耐震性です。水道管、ガス管が破裂し、水があふれたり、ガスが噴出したり、下水道管が陥没すると交通不能となります。さらには道路沿いのビルやマンション、大きな看板などの工作物や電柱などが倒れることによっても道路が機能しなくなります。 そのためにも、道路の耐震性を確保するとともに道路ネットワークとして機能するよう、寸断された道路の代替性の確保も必要です。 (8)市内の家屋の耐火・耐震化への支援を また、甲府市の家屋の耐火・耐震性を計画的に促すことも重要です。木造住宅耐震化支援事業の実績もなかなか上がっていません。必要な事業だけに、どうすれば市民にとって活用しやすいのかも考えるべきです。 特に、火災危険区域として指定され、消防活動上の重点が置かれている朝日、丸の内、中央、朝気の市街地への耐火・耐震化への重点的な対応が計画的に求められています。 (9)事前避難対象地区や孤立集落等への周知と防災強化を 重視すべきは、平均的に防災を整えるとともに、これからは特に危険だとされている地域や箇所を重点的に強化すべきです。 甲府市でも急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所などの危険性がある「事前避難対象地区」が指定されています。また、災害時に孤立する可能性がある孤立集落、65歳以上の高齢者が50%以上となっている限界集落、言うまでもなくこれらは災害に弱い地域です。これらの重点的な防災強化が求められています。
(10)災害に被災された市民への減額免除制度の周知と拡充を
○議長(清水 保君) 篠原危機管理対策監。 ○危機管理対策監(篠原淳一君)災害時の減免制度についてお答え申し上げます。 本市では、災害時の被災者支援や減免制度について、被災者支援制度一覧表としてまとめ、市ホームページに掲載するなど、市民に周知を図るとともに、各担当部局でも、広報誌へ掲載するほか、納税通知書等に災害時の減免制度についても記載した減免案内を同封し、周知を図っているところであり、被害の状況が一定の基準に該当した場合には減免の対象としております。 また、御指摘の甲府商科専門学校の授業料の減免につきましては、関係条例に基づき、災害時における減免基準を設け運用しているところであり、小中学校の学校納付金については、就学援助制度に基づく援助費の支給により、その負担の軽減を図っております。 いずれにしましても、災害時の減免制度は、被災時の市民の経済的負担を軽減し、迅速な復旧に必要な制度でありますので、市民にわかりやすく、利用しやすい制度にするとともに、市民への周知にもさらに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(清水 保君) 山田 厚君。 ○山田 厚君 私が心配なのは、周知、それから明確にということだと思うんです。大規模災害だと情報が届く可能性が大きいんですけれども、小規模の災害、また、1軒2軒の火災などでは、私の過去知っている事例から見ても意外と〔情報が届かないで〕適用されなかったことが多いのかなと思っているところです。 それで、ここでは商科専門学校の授業料(減免)のことを挙げました。ここでももちろん天災の問題は出ているんですけれども、内容的に私は不十分だからここへ入れたんです。というのは、甲府商業のほうもそうです。基準によると、「住居または家財、店舗、工場、耕作地、山林、これらの大事な財産が5割以上滅失または焼失」、これではちょっときつ過ぎるなと思うんです。よその減免規定でいうと、床上浸水とか、3割とか10分の8となっているけれども、子供さんを預かるこういった商科専門学校とか商業高校の減免規定ではちょっとこれはきついし、市税も含めて、国保とか、甲府の市にある一つ一つの減免制度と比べても均衡性に欠けている気がするんですが、この辺はどうですか。教育委員会からお答えいただきたいんですけれども。 ○議長(清水 保君) 長田教育部長。 ○教育部長(長田敦彦君) 商科専門学校の授業料の減免についての再質問にお答えをいたします。 商科専門学校の授業料の減免につきましては、条例に基づきまして減免基準が定められております。 その中に、居住または家財が5割以上滅失または焼却した場合など、4項目が含まれております。 この5割の点でございますけれども、その確認につきましては、罹災証明や被災証明で確認いたしますが、この5割、県立高校においても同様に5割という基準を設けているところでありまして、他の都市の状況等を調査いたしまして、検討してまいりたいと思っております。 以上です。 ○議長(清水 保君) 山田 厚君。 ○山田 厚君 被災されて苦しい思いをしている方々というのは、どれも一律に全部厳しいんですね。ですから、国保であろうと、保育料であろうと、公営住宅の使用料だろうと、上下水道だろうとみんな同じなわけですよ。ただ、その同じ中にあって、子供さんを預かる甲府商業とか商科専門学校が「5割」ですよと書いているのはいかがなものかですよね。保険会社じゃないんだから、この5割といったらどういうことなのか。例えば「焼失して5割」といったら全部建て替えですよ。洪水でもそう。ここら辺のところは、均衡性を保つんだったら、甲府市の減免制度のほかの制度をちゃんと見てもらいたいなと思うんです。これは強く要望しておきます。
(11)市の直営事業を維持し防災上のマンパワーの確保を 続きまして、「直営を維持するとともに、民間委託先との災害対応を具体化してもらいたい」と、こういうことを言いたいわけです。 東日本大震災の救援・復興では、自治体職員の献身的な奮闘が伝えられています。しかしその一方で、支援物資が被災者にすぐに届かない、被災証明書の発行がすぐにできない、義援金の配付が遅いなどの状況もありました。 この原因は何か。1つは同じ被災地区に自治体職員は住むのですから、当然、みずからが被災者になっているということです。もう1つは、小泉改革以降、市町村合併も行われ、激しい自治体職員の削減があったからです。 甲府市の正規職員数も、この間の市町村合併があったにもかかわらず、かなり減少しています。このことは防災上の直接のマンパワーを後退させ、災害対応の即応性や的確さ、丁寧さが失われることにもつながります。 (12)市の施設管理・業務委託・指定管理者など委託先との 災害対応を契約段階で明確にすべき 続きまして、既に市の業務の多くが委託業者、指定管理者に任されています。災害となった場合、ここでもフル稼働していただき、被災市民の援助に向かってもらわねばなりません。 甲府市は幾つもの災害時の協定を結んでいます。自治体間では相互応援協定、食品などの物資や復旧工事、情報や仮設資材などでは、各種団体、業者との業務協定を結んで災害時に備えています。 しかし、直接甲府市の公的事業を担っている委託業者や指定管理者との災害時のしっかりした対応と連携が意外と不十分であり、不明確です。 私は今回、甲府市と委託業者や指定管理者とで結ばれた協定書、契約書、仕様書の内容を調べさせていただきましたが、いずれも災害についてはその他の項目風の扱いで、基本的な扱いとはされていません。具体性も不明確です。担当部ごとにばらばらの傾向もあります。これらを整理して防災への協力体制を確立していく必要があるかと思います。 職員の増減のグラフです。最近の小泉内閣以降を見てみますと、正規職員が1,884から現在1,744名と。条例定数では2,000名を超えているんですけれども、このように減っていると。しかも平成18年の2006年には、先ごろの輿石議員のお話にあったように、ここから比べても200人以上が正規職員では削減されています。災害に関しては3段階、市に職員に対する動員がありますよね。第1配備、第2配備、第3配備と。第1配備が注意、第2が警報、第3配備は大規模災害の全員動員ということになっていますが、そのマンパワーから見ると、全員出動でいえばますます落ちていくということになるかと思います。 その一方、非正規の職員の皆さんは、この正規の方々の業務の穴埋めのためにどんどんふやされています。400人ぐらいがふえているんではないでしょうか。これらの方々の非正規職員の皆さんの力もしっかりかり、アウトソーシングされている指定管理者や民間委託先の力もかりなければ、甲府市の基本的なマンパワー、防災力としては落ちるばかりではないでしょうか。このことを危惧するものです。
○議長(清水 保君) 工藤総務部長。 ○総務部長(工藤眞幸君) 総務部にかかわる2点の御質問にお答えいたします。 まず、災害時におけるマンパワーの確保についてであります。 災害が発生した際にいかにマンパワーを確保し、災害復旧作業や被災者支援を行っていくかということにつきましては、市職員のみならず、常日ごろからの社会全体の体制整備が大切であると考えております。 本市におきましては、甲府市地域防災計画の防災の基本方針の1つとして、自助、共助、公助の精神に立ち、個人や家庭、地域、企業、団体等の連携の必要性を明確に位置づけているところであり、また、甲府市事業継続計画では、災害対策への出動等で通常より少なくなった職員体制でも、市民生活や社会活動に影響を与えるおそれのある事務事業を継続して行っていけるよう、対応方法、対応手段を定めております。 地方自治体を取り巻く行財政環境が厳しさを増す中、本市におきましては、職員定数の適正化や総人件費の抑制に努めているところでありますが、今後におきましては、事務事業の一層の見直しや効率的な事務執行体制の整備を進め、必要な職員数を計画的に確保する中で、今回の東日本大震災の被災地支援から得られましたさまざまな経験や情報等を全職員で共有するなど、人材の育成と職員体制の充実に努めるとともに、県や関係機関、地域の自主防災組織などと的確で迅速な連携が図れるよう、防災対策に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、非正規職員の防災教育等についてであります。 東日本大震災の発生等で、市民の災害に対する危機意識が高揚している中、正規職員に限らず、非正規職員につきましても防災意識を高めていく必要があるものと考えております。 本市におきましては、これまで保育所、幼児教育センター、公民館等の一部の施設で非正規職員を含めた防災訓練を実施してきたところでありますが、今後におきましては、こうした非正規職員を含めた防災に対する研修や訓練等をそれぞれの施設や職場で定期的に実施するよう取り組み、防災意識の高揚を図るとともに、有事の際には市民の安全確保や事務事業の継続に支障を来さないよう努めてまいりたいと考えております。 なお、非正規職員の待遇につきましては、健康管理や休暇制度などの改善を図ってきたところであり、引き続き他都市の状況等も参考にする中で、必要な見直しを行ってまいります。 以上でございます。 ○議長(清水 保君) 山田 厚君に申し上げます。 既に割り当て時間を超過しておりますので、以上をもって質疑、質問を終結させていただきます。 |