20104日 甲府市議会代表質問


市民生活の安全・安心のために

どのような自治体であるべきか

                                   山田 厚


1
 市立甲府病院の安心できる公的な経営形態について

●市立甲府病院経営協議会は、昨年の12月に『提言』を出しました。その趣旨は大きくいって2つあり、1つは「市立甲府病院の経営形態は『地方独立行政法人』がふさわしい」としていること、2つ目は「地域医療における中核病院として必要な医療機能の充実」ということです。

この2つ目の趣旨には、地域に不足する医療を担う中核病院として「ガン診療、周産期医療、予防医療の充実」「救急医療、高度医療、断らない医療」など公立の医療機能の発揮を求めています。

 甲府市民なら誰しもこの2つめの趣旨に賛同することは間違いありません。

●しかし、私は『地方独立行政法人』となると、かえって、市民が必要としている地域の公的医療を維持することが、できなくなってくると考えています。

●独立行政法人化による経営上のデメリットがみえてきました。国からの公的に援助基準のある有利な病院事業債が使えなくなります。そうなると、病院では現金をしっかり確保しないと、すぐ現金ショートします。

本体の自治体の一般会計も苦しくなる可能性があります。例えば、長期借入金の元利返済への援助である国からの地方交付税が今後どうなるかです?かなり心配です。

パネル掲示

●これは、独立行政法人法などから私が作成したものです。いままでの自治体病院の長期借入の方法は・病院が、金融・貸付団体から借り ・これに対して国は、借入金の元利返済部分を助けるために地方交付税を自治体にいれます。・自治体は、元利の返済分も含めて一般会計から病院に繰出しますます。病院は、これらの財政的な援助を受けて元利の返済をします

●独立法人の病院となると

・長期借入金ができなくなります。・そこで、自治体が病院の肩代わりをして借り、それを病院に貸し付けることになります。・病院は自治体に元利の返済し、自治体は貸付団体に元利の返済をします・自治体は、病院に運営費交付金として元利の返済の援助をします。

・国の地方交付税措置はどうなるのか?よく見えないのです。

 地方交付税をしっかり出すとは明言された公的文書がなかなかないのです。地方交付税が出されるにしても今後どうなるかよくわかりません。

●そもそも、採算性がより重視され、より民間系となっていく独立行政法人で、長期借入が独自にできないこと自体がおかしい。

●病院経営とは、設備投資における資金調達が大変なところです。それは建物だけではなく、高額医療機器の更新があるからです。

 医療機器の更新期間は5年間と決められ、短いものです。平成15年度からの6年間において高額医療機器関係では、約13億円ほどの長期借入しています。これは必要なことです。しかし独立行政法人なると、かえって資金調達が困難になっていくのです。

●独立行政法人となったら、市民と患者へのしわ寄せもはじまるでしょう。強められる採算重視は、さまざまな証明書などの文書代・自由診療費の値上げ、差額ベッドの増床、相談部門の削減などになります。

●医療従事者への過酷な労働条件は医療事故の温床ともなります。そして不採算医療である「周産期医療、小児科、救急医療、高度医療」などを維持してきた公的医療はもともと採算に合わないものですから、切り捨てていくしかありません。そして行く先は、どこかの民間に市立甲府病院を譲り渡すことになるのでしょうか? しかも、そうなっても独立行政法人では議会や民意の反映は、仕組みとしてより困難となっています。


質問します

 自治体病院の「経営難」とは、さまざまな外部的な要因によるものであり、市立甲府病院の場合、現金上の赤字や不良な借金があるわけではありません。落ち着いて対応をはかるべきです。

まず医療従事者の確保であり特にドクターの確保です。そして一般会計からの援助も強めることです。このことを抜きにした公的医療の充実と健全経営は、まずありえません。甲府市の見解をお聞きします。


答弁:市立甲府病院院長

 全国の公立病院の7割が赤字経営を余儀なくされている中で、地域医療の中核を担ってきた公立病院の経営改革は、医師等の人材確保と同様に最優先の取り組みであり、市立甲府病院の経営改革についても、昨年12月、市立甲府病院経営協議会から「目指すべき経営形態」、「地域医療の役割を担うための必要な機能」、「健全な経営基盤の確立への方策」を3つの柱とする提言を受けたところであります。

このうち、経営形態の見直しにつきましては、副市長を委員長とする庁内の「市立甲府病院経営形態検討委員会」において検討を行ってまいります。

経営健全化に向けましては、医師・看護師等の確保に積極的に取り組み、特に医師につきましては、4月から、整形外科2名、小児科1名、脳神経外科1名、神経内科1名、麻酔科1名、計6名の増員が見込まれています。なお、整形外科につきましては、さらに1名の増員が見込まれる状況となっています。

消化器内科や精神科の常勤医師につきましては引き続き確保に努めてまいります。これに加え、看護師等の医療従事者につきましても定期採用試験の回数増加や新年度から実施する修学資金貸与制度などにより確保に努めてまいります。

また、がん診療や周産期医療などの地域で求められる医療の充実、薬品・診療機材の効率的な使用など経営改革に向けた取り組みは、多岐にわたっており、不採算医療等に対する財政的な支援の確保を含め、一つ一つを確実に推し進めることが健全経営につながるものと考えております。

再質問

●独立行政法人となっても経営は改善されるなどと断言できるところは、どこにもありません。むしろ不安があるだけです。まずは、医師などの確保に向けて全力を上げてください。

●甲府市では今、新庁舎建設の議論をしています。様々に議論を市民の皆さんからも議会からも繰り返し、繰り返し行っています。これは当然です。全体の費用で110億円、建物では93億円とかを想定している大きな事業ですから。これは当然です。

●しかし、市立甲府病院の方はどうでしょうか?

議論はこれからですよ。市立病院の資産合計は190億円を超えています。また、お金には返られない大切な人的資源である医師や看護師、などの大切なスタッフがあります。そして市民の信頼もありこれが財産です。安易に独立行政法人だ、いや民間への譲渡などは言えない重みがあります。ぜひ落ち着いて慎重に議論すべだと考えます。

2 放置されている危険な屋外広告物の対応について



●危険な屋外広告物が街にあふれています。老朽化して塗料がはがれ汚染し、風でも吹いたら落ちそうな看板、道に大きくはみ出し通行を妨げているもの、またパチンコ店の巨大なモニュメントなどがいたるところにあります。これらは『山梨県屋外広告物条例』では、禁止広告物にあたります。

●実は私もよく知りませんでしたが、屋外広告物の規制はかなり強いものです。掲示してはいけない街路樹や街灯の柱などの禁止物件、景観をまもるための武田神社周辺などの禁止地域、許可されている地域でも3種類あり、許可には基準と手続き、のぼり旗5本につき1000円などの結構、負担もかかる手数料、それに罰則も定められています。

●これまで、この法的規制は、かなりあいまいにされ放置されてきたと思われます。 市民には屋外広告物の許可基準もほとんど知らされていません。

特に危険な屋外広告物は早急に是正されるべきです。甲府市は景観条例をつくりましたが、危険広告物が街に野放しになっていては景観どころではありません。

平成19年度から、その屋外広告物を指導すべき行政は県から甲府市に権限委譲されました。つまり甲府の街の責任は、甲府市となったのです。

パネル掲示

●これは、甲府市の中心街にあった危険な屋外広告物です。通路に出た広告物は、基準では高さが2.5m必要ですが、ここでは1.9mしかなく60センチも足りません。

当然通行の妨げになり危険です。

●これは、条例にある危険広告物です。蛍光灯が露出して落ちそうになっています。規則では「著しく破損し老朽化したもの、風雨、振動で容易に落下し、倒壊する恐れのあるもの」は禁止されていますが、街には古くて危ない看板などがいくつも見つかります



質問します。

・危険な屋外広告物の現状を、どう認識されていますか?

・安全のための許可基準など、市民へどのように内容を周知していきますか?

・市民からの『危ないから、なんとかしてもらいたい!』という通報先をどのように明らかにし、対応していきますか?

・地域の安全パトロールは大切だと思います。この場合、行政の職員の皆さんだけでは手が足りないでしょう。市民や、関連する広告美術組合などの皆さんからの協力を、どのようにされていきますか、うかがいます?

答弁:市長

 本市では、平成19年度に山梨県から「屋外広告物の設置許可権限」が委譲され、屋外広告物に係る安全確保の推進に努めてまいりました。

屋外広告物の設置につきましては、安全で快適な魅力ある都市づくりを進めるために、一定の規制を行っております。

このため、屋外広告物の規制等について、広報誌やホームページに掲載し、市民の皆様に「屋外広告物制度のしくみ」を明示するとともに、関係団体との連携強化を図りながら、平成20年度より「屋外広告物フォーラム」の開催やチラシの配布など、機会を捉えて、その周知に努めたこたから、市民の関心も高まりつつあります。また、年間約500件の申請に基づき、現地調査を行う中で、適切な指導・管理に努めており、さらに、年2回の「一斉パトロール」では、市内3ブロックに分けて、県とともに、地域の「ふるさと美化委員」の皆様にもご参加いただき違法広告物の撤去や危険広告物の補修・撤去の指導を実施しております。

市民からの通報につきましては、迅速に現場パトロールを行い、適切に処置ができるよう、体制強化を図っております。

今後も、これらの活動を継続・強化するとともに屋外広告物のフォーラムやパトロールに市民の皆様にも積極的に参加していただき、なお一層の、安全・安心のまちづくりの推進が図られるよう、努めてまいります。

再質問

●『あぶないから何とかして』の今年度の通報件数をお聞きしたところ。今年度の通報件数はゼロとのことでした。これでは市民に広がっている状態ではありません。通報するところもよくわからない。この改善をすべきです。
 市民にはわかりやすい屋外広告物の説明と 規則の基準をわかりやすく、『チェックリスト』など作成していただき、それを拡げてもらいたい いかがですか?

3 市税などにおける減免や猶予の権利の具体化について

●市民生活の現状はますます苦しいものになっています。収入は下がる一方で、税金や社会保障や公共料金の市民負担は、さらに重くなってきています。

国民には納税義務があります。しかし、まじめに生活していても重い負担のなかで「払いたくても払えない」状況が生まれています。

こういった状況の方々に対し、憲法の基本的人権・生存権などに基づき国税も地方税も、納税者の権利を守る納税緩和の措置があります。

天災や火災、家族の病気・ケガ、事業の著しい損失や廃止などの状態においては、納税を延期させる「徴収猶予」があります。

生活の維持や事業の存続を困難にする恐れがあるため、差押さえを猶予したりまたは解除する「換価の猶予」があります。

滞納処分することによって生活を著しく窮迫させる恐れがあるとき、そもそも財産がないときなど、その処分をストップする「滞納処分の停止」があります。
さらには各自治体では具体的に条例による市税の減額や免除を定めています。

 このよう納税者には法的な権利として認められている減免や猶予の制度があり、徴収にあたっては実情を把握し相談をしていく必要があります。

●しかしその前に、このところ丁寧さをかいた乱暴で強権的な対応がさまざまな自治体ですすめられています。

・滞納している市民には、自治体が行っているさまざまな福祉などの行政サービスを停止すること

・実情の調査や相談も不十分なままに、すぐ差押さえをしていくこと

・貸きん業法で規制されているはずの夜間取立て行為や、勤め先にまで連絡し給与を押さえようとすること

・市町村では、きつい取立てができないからと取立て専門の組織である「滞納整理機構」にすぐ送ってしまうことなどです。

・督促のために、どぎつい黄色や赤のカラー封筒にすること

 甲府市もこの事態の流れに例外ではありません。

パネル掲示

●今回、協力いただいて、いくつかの自治体から、督促用のカラー封筒を集めました。これです。その主なものを集めたものです。いくつかの色があるのでが、沖縄の那覇市は、その典型で「白」「黄色」「赤」と順番となっています。山梨県も赤封筒を使っています。

●裏もこうなっています。これでは結局、納税者をとにかく脅かす。「イエローカード」、「レッドカード」。または、戦前ではないですが「赤紙」のようなイメージにもなり、いじめに等しいものです。

●丁寧に実情をお聞きしともに収納のありかたを考えていくという国税や地方税の趣旨とは明らかに異なっていると思います。甲府市はこのように、地味な封筒ですが、これを今後とも続けていただきたい。




質問します。

・生活を壊してしまいかねない差押さえや、「とにかく滞納整理機構への送り付け」―ではなく、実情の調査と納税相談を丁寧に行うことが必要です。

 市税などの滞納者への「行政サービスの停止」については、極めて慎重にすべきです。
 またカラー封筒などのやり方を甲府市はすべきではないと思いますが、いかがお考えでしょうか?

・今年度、私どものお願いで設置していただいた
「生活支援窓口」はどのように機能されているのでしょうか? これは市民生活の不安を放置しないで相談と支援を行うためのシステムであり、大切な活動だと思います。実績などをうかがいます。

・市税の減免、猶予の実績をみても市民からの『申請がなければ対応しない』という昔ながらの「申請主義」では、いけないと思います。

 これだけ市役所は電子自治体となり、市民負担は自動的に取るが、さて必要な減免や猶予となると、「市民の自己責任による申請まち」ではよくありません。権利として支援が得られる市民を放置しない取組みが、今後は必要と思います。いかがお考えでしょうか?

    答弁:税務部長

 市税の減免につきましては原則、納税者からの申請に基づき軽減又は免除の措置を行うこととしておりますが、生活保護法の規定による保護の開始となる方につきましては、生活福祉課との連携により免除の措置を行っており、また、火災や風水害などにより土地や家屋などの財産に被害を被った場合は、現地調査を行う中で、減免の申請を促しております。

しかしながら、失業や疾病等により収入が減少し、担税力を著しく喪失した場合の減免については、その実情を個々に把握することは困難でありますので、申請に基づいた対応となりますが、生活福祉課などへ生活困窮による支援相談あった場合には、その時点で減免制度をお知らせし、市民税課などへ申請や相談を促しております。

減免制度につきましては、今後とも納税通知書や広報誌・ホームページなどを通じて周知に努めるとともに、納税相談や昨年4月に設置した庁内の支援体制の中で適切に対応してまいります。

また、徴収の猶予につきましては、納税相談や実態調査などを通じて、生活困窮などにより納税が困難な方については、その担税力に見合った納期、金額を設定して分割納付とするなど、きめ細やかな対応を図っているところであります。

なお、催告書等を送付する際のカラー封筒の使用につきましては、現時点では考えておりません。

答弁:福祉部長

 本市におきましては、現下の厳しい社会経済情勢を踏まえる中で、市民の様々な不安の解消に向けた対応を迅速に図る観点から、昨年4月に関係部局による庁内連絡会議を設置いたしました。

その中では、先ほど御答弁申し上げました市税をはじめ、国民健康保険料や各種福祉サービス利用料、市立学校授業料など、市民生活に直結した減免制度等の情報を関係部局間で共有するなど、庁内の連携体制強化に努めております。

また、福祉部内に設置しました『生活支援窓口』におきましては、こうした取り組みを積極的に活用しながら各種相談・支援を行っているところであります。

これまでに、生活の再建に関する相談851件、住宅の確保に関する相談が129件となっており、必要に応じまして社会福祉協議会や法テラスなどの関係機関と連携しながら的確な対応を図っております。

今後も、すべての市民が安心生活を送れるよう、広報誌や市のホームページなどを活用する中で、生活支援窓口を広く市民に周知するとともに、関連情報の提供を図ってまいります。

再質問

●生活問題の総合窓口である『生活支援窓口』に努力されていることがわかります。今後とも、庁内の連携をとりあって、丁寧な対応を目指していただきたい。また申告まちではない体制とぜひつくっていただきたい。

●カラー封筒は、『現時点では』とのご答弁ですが、が、『現時点では』とはいつまででしょうか?

●貸金業法の関係です。サラ金業者の乱暴な取立てをやめさせるための貸しきん業法でもありますが、法によると夜間8時以降の訪問や電話での取り立て、勤務先での取立てを規制していますが、当然、甲府市ではこの貸しきん業法の趣旨を尊重していると考えて、よろしいでしょうか再質問します?

4 国保保険料の高さと収納における市民生活の尊重を

●「どうしてこんなに国保の保険料は高いのか!」−市民からの声が強くなっています。不安もいかりもある苦しい生活からの声です。甲府市の国保保険料は大変な高額になっています。そして、そのことによって保険料の収納率も落ちています。

●特に甲府市の国保保険料の収納率の低下は著しいものです。収納率の低下は、この間、繰り返されている国保会計の赤字、保険料値上げ、そして滞納という悪循環をさらに加速させています。

収納率の改善は、差押さえや国保事業の「葬祭費」や「出産育児一時金」などの給付抑制などでは効果がないばかりか、市民生活を混乱させ貧困化させるだけです。

そもそも国の医療保険制度がいけませんが、このままでは、甲府市はまた国保保険料を値上げするしかないでしょう。

質問します

・一般会計から国保会計への援助が足りないと思います。高額になっている保険料は下げる取組みはあっても上げるべき状況ではまったくなくなっています。
 当面、赤字の繰り返しを停止させるため、一般会計からの援助は必要だと考えます。

・また収納率の向上にむけ、保険料の減免制度も含めての実情の把握と相談体制の充実、そのための専門的な対応力である人手の充実です。

 どのように努力されているのでしょうか、お聞きします?

    答弁:市民生活部長

 国民健康保険事業の運営は、原則的に、被保険者の方に納めていただく保険料と、国、県などの公費を財源としており、被保険者の応分の負担をいただく中で、事業の健全かつ安定的な運営に努めているところでありますが、現在、高度化医療に伴う医療費の増大や、景気の低迷等を原因とする保険料の減収により、国保の経営は大変厳しい状況であります。

こうした中、一般会計からは、法令に基づいた繰り入れとともに、地方単独の各種医療助成制度導入に伴う国の負担金等の減収分の繰り入れが行われております。

また、本年度から始まる県から借り入れた国の過大交付金の返還資金の財源を、一般会計から繰り入れるために、補正予算案を提出させていただいております。

更なる一般会計からの繰り入れにつきましては、総合的な視野に立ち、関係部局と協議する中で、慎重に検討してまいりたいと考えております。

次に、収納率向上のための、納付相談の体制につきましては、滞納整理担当が中心となり、あらゆる機会を通じて滞納世帯との接触を図り、個々の実情に十分配慮し、必要に応じて分割納付や減免制度も活用する中で、個別指導に努めております。

また、部内に設置した保険料自主納付意識向上対策部内推進会議を活用し、強化月間を設け臨戸徴収を実施するなど、市民生活部職員が一丸となって滞納額の縮減を図っております。

今後は、職員の増員を積極的に検討する中で収納率向上、相談体制の充実になお一層努めてまいりたいと考えております。

再質問

●『充分配慮して減免などの個別指導を行います』とのご答弁といただきましたが、その条件があるのでしょうか。収納の体制をもっと丁寧にしっかりとすべきだと思います。

私は、今回61の類似都市調査を行いましたが、 甲府市は類似都市と比較して滞納整理係の人手が足りないことがわかりました。また正規の職員数も足りません。全体の類似都市平均では 正規職員が6割 非正規職員が4割ですが、甲府市は逆で 非正規職員が8割 正規職員が2割です。 

これでは、丁寧な対応、相談するにもことができません。分納や減免などの判断もできません。もっと正規職員を増やし全体の人手を増やすべきです。

●しかも、滞納整理係の職場のスペースがありません。机もなければ ミーティングする場所もありません。ミーティング自体も週一回で、丁寧な市民への減免などの相談対応などできる環境ではありません。

甲府市はこれから、5月には仮庁舎となり新庁舎の建設となりますが、この場合、十分な国保の滞納整理係の職場スペースを確保していただきたい。以上 強く要望して終わります。


※この『会議録』は、山田厚の質問原稿と、当局の答弁原稿を集めて編集しました。再質問は、当日の山田のメモ原稿によります。再質問に対する当局再答弁はここには掲載しできていません。完全に正確な会議録は、6月に甲府市のホームページによりますが、この会議録でも内容的には正確なものといえます。



今回の質問準備のための参考資料の紹介

 1 ・『市立甲府病院の経営改悪について 提言』市立甲府病院経営協議会 

200912

    ・『独立行政法人の実務相談』ぎょうせい2008

    ・『いちから見直す公共事業』ぎょうせい2007

    ・『自治体アウトソーシング』自治体研究社 2004

    ・『公営企業実務提要』ぎょうせい 加除式


 2 ・『屋外広告物関係法令集』山梨県2005

・『山梨県屋外広告物規制図』山梨県 1995

   ・『屋外広告物法令集』山梨県広告美術協同組合」

 ・『屋外広告物ハンドブック』山梨県広告美術協同組合 2009

   ・『甲府市景観条例』甲府市

 3 ・『納税緩和措置と納税者の権利』全国商工団体連合会 2009

   ・『くらしに役立つ制度のあらまし』全国生活と健康を守る会連合会2009

  ・『現代地方自治法全集』地方税 18巻 ぎょうせい 1977

 そのほか 類似自治体への『調査アンケート』を行いました。内容については

集計を全て終えてから、ホームページ『私の調査研究』に発表します。ここでは一部調査結果の概略を紹介します。

自治体の地方税などの取立て方法の調査2010年3月19日現在)

山田が調査した自治体(政令都市を除く県庁所所在地と人口20万程度の自治体で

2010年3月現在63自治体。さらに集計中。以下『調査』とする)の途中報告

@     実情の調査や相談も不十分なままに、すぐ差押さえの傾向になっている。『調査』では、市税滞納者への差押さえは63自治体で2009年度は63000件、1自治体平均1009件である

A悪質なサラ金などを規制するための貸金業法で禁止されている午後9時から午前8時までの夜間取立て行為や、勤め先にまで連絡し賃金の実質的な差押さえを行っていること。賃金の差押さえは労働基準法でも禁止されているはずだが行われている。

※本来、『給与生活者』は法によって特別徴収(給与天引き)されなければならないが事業者がこれを嫌がる傾向がある。甲府市の市民税でみると1985年度は特別徴収が65.1%であってが、2009年度では52.7%に落ちている。これは事務処理の手間と非正規雇用化による事業者側の都合だが、労働者側は、月12回の支払が年4回となり個々に納税するために負担となっている。当然、滞納も増えていく。

B市町村では、きつい取立てができないからと取立て専門の組織である「滞納整理機構」などにすぐ送ってしまい。そこで差押さえなど強い取立てをしている。
 『調査』では、「滞納整理機構」などの活用は、24自治体の38%になった。
C督促のために、どぎつい黄色や赤のカラー封筒が多くなっている。「イエローカード」や「レッドカード」として、または戦時中の「赤紙」のイメージ?で迫ってくる。
『調査』では、カラー封筒を使っているは27自治体。
 使用の検討中も含めると46%の自治体がカラー封筒の使用となる。

D滞納世帯には、見せしめ的に自治体のさまざまな市民の参加や融資・福祉などの行政サービスの停止がある。『調査』では、市税で26自治体の41%で停止がある。停止されるものは「市営住宅申込」「木造住宅耐震改修事業補助」「水洗便所改造資金利子補給金」「教育資金金利補給金交付」「太陽光発電システム設置費補助」「勤労者小口資金融資制度」「母子寡婦福祉資金貸付」「競争入札参加資格」「災害援護資金融資」など。

このやり方は、国保保険料、介護保険料などの滞納でも進んでいる。国保では38%の自治体で国保事業のサービスを停止している。「人間ドック助成」「脳ドック助成」「介護機器レンタル料助成」「高額療養費に係る限度額認定証の交付」「出産育児一時金」「葬祭費」などである。これでは自治体が住民の切り捨てをすることと同じである。

※この自治体の傾向は、2007年の自治体への税源移譲から強まっている。自治体では徴収のための正規職員数を増やすことができず、非正規職員が多くなっている。徴収の丁寧な対応が不十分となり、それだけに減免や猶予の権利も適用しないで強権的になっている