2009年6月甲府市議会定例議会

 地域医療の中核である市立病院を堅持しよう

  常備消防の広域化計画は不安がある!

              2009613日 代表質問 山田 厚




























地域医療の中核である市立病院の堅持について

 真価が問われている公的医療の重要性について

●何か、社会にとって身近で重要な「いのちと健康」の問題が浮上すると、必ず、その対応が問われるのが自治体であり、自治体の保健衛生・医療・救急です。自治体病院は特に地域医療の中核としてその真価が問われます。

・救急患者の受け入れとその病床の確保
・不採算のなかで減少している分娩可能な産科や小児科の確保
・結核や新型インフルエンザなどの感染病床の確保とその対応
 など

●市立甲府病院もこのような、不採算医療であっても市民のいのちを守るための立派な地域医療の役割を担っています。
 甲府市長は、どのようにこの公的に重要な市立甲府病院の役割を認識されていますか? その見解をお聞きします。

 国の姿勢は極めて問題!自らの責任も棚上げしています

●私が、このように質問するのは、国は、総務省の『公立病院改革ガイドラン』をかかげて、自治体病院の経営改善を半ば強制的に求め、しかも「経営形態の見直し」として、病院の「独立行政法人化」とか「民間引渡し」まで指導しているからです。

●国の姿勢は、極めて問題です。
憲法には国民の生存権を向上させるのは国の義務としてあり、地方自治法には、自治体は『住民の福祉の増進を図ることを基本』としています。自治体病院の直接の法である地方公営企業法の「経営の原則」には『常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない』としています。

 つまり、自治体病院が存在する原則と目的は「金儲け」ではなく医療を通じて市民の健康といのちを守ることであり、そのために『経済性を発揮』させるとしているのです。

●ところで、国は、自らの自治体病院の経営状態についての大きな責任があることを、忘れてしまったのでしょうか?

・国は、病院の収入の大元である診療報酬を連続して引き下げました。その結果、同じ医療をしても、収入が下がり続けました。
・国は、何回も医療保険を『改正』し患者負担を重くしました。
 
その結果、患者側の受診抑制が始まり、病院収入を減額させています。




※このような状態だからこそ、官民問わず、どの病院も経営が難しくなっています。民間の病院の廃院や倒産はいままでになく多くなっています。

・国は、「医療の供給が多くなるとお金がかかるから」と医師の養成を20年間以上にわたって抑制してきました。
 その結果、医師不足となり、特に大学の医局と連携してきた自治体病院の医師不足とそれによる病院収入の悪化がはじまりました。

・そして、国は、公的医療の維持のために自治体病院に必要な国からの補助金や地方交付税を著しく削減しました。

・また国は、自治体本体への補助金や地方交付税も削減してきました。 それによって財政難の自治体は病院会計への財政援助を抑制しはじめました。

●このように国は、困難な病院経営の現状を作り出した責任がありながら、自らの責任を棚に上げ、各自治体病院に経営改善のための『改革プラン』を出せとしてきました。

急ぎすぎている市立病院の改革プランの問題

●市立甲府病院の『改革プラン』をみました。医師・看護師の増員と確保を基本にする方向は間違っていないと思います。しかし、あまりにも急ぎすぎていますし、目標も高すぎるのではないでしょうか?

 国の間違った医療政策によって官民問わずどの病院経営も苦しいなかでは、そんなに急激に経営改善ができるとは思われません。

 例えば、医師の確保が予定どおりでなかった場合、看護師の確保ができず増収予定の基準がクリアできなかった場合、さらには激しい不況の中で市民の受診抑制がさらに進み患者数が減少する場合などなど。

●いくら市立病院が努力しても計画どおりにいかないこともあります。このことをいかにお考えでしょうか?お聞きします。

先行きが見えない「経営形態の見直し」は行う必要がありません

●そもそも、行き過ぎた自治体病院の「経営の危機論」も間違いです。
 
自治体病院の施設整備には、病院事業債を使います。この事業債の返済には、国が配分する自治体病院への地方交付税の計算にもいれられ、一般会計からの繰出基準の対象ともなります。
 そうなると会計上の減価償却費の扱いは、次に更新すべきものへの積み立てではなく、「内部留保金」となります。つまり、市立甲府病院もそうですが、多くの自治体病院では決算上の『赤字』がでても減価償却費がそれよりおおければ実際の現金不足はないのです。
 先人が創り上げた市立甲府病院には、基礎的な体力があります。それは資産だけではなく、何よりも献身的な医療従事者の方々、そして市民からの信頼です−このことを忘れてはなりません。

●総務省の『ガイドライン』は、いかに自治体病院を「経営危機」のように示し、そして求めるものは「経営形態の見直し」であり、特に独立行政法人化としています。

●しかし
「独立行政法人化して何かいいことがあるか?」と調べてみても何も見当たりません。唯一のうたい文句は『その病院の独自性と裁量性が強まる」とされているだけです。しかし、これは公共性と経済性がともなわなければ意味をなしません。

●先行した国立病院や国立大学付属病院の独立法人化の状況を見てください

・独立採算制のみが強調され国からの交付金は減額されています

・不採算だからと公的に重要な医療である産科を削減しました。NICUの撤退も多くなっています。

・感染症指定医療を辞退し始め、感染症病床は1102病床も削減しています

・患者負担では分娩費を激しく引き上げ、差額ベッドを増やしつつあります。

・病院職員の削減とゆとりのない過密労働も強まっています。

 しかも、ここでの病院経営の状態は改善されているとはいえないのです。

●私は、今回68の類似都市の病院の調査を行いましたが、「経営形態の見直し」では、57%の39病院で「いまだに未定」としています。独立行政法人も選択肢に入れている病院は、わずかに1病院、14病院が公営企業の全部適用、6病院が現状のままでした。

●さて市立甲府病院は、どのような経営形態を検討しているのでしょうか?お聞きします。

今、最優先すべきは医師確保にむけての努力です

●本当は、いま市立病院にとって最優先すべきことは「経営形態の議論」より、医療の根本であり収入の源である医師の確保であり、看護師の確保です。

 この大切な医療資源を確保するためにどのような努力をされているでしょうか?お聞きします。

市長
 全国の自治体病院の経営は平成19年度決算において経常損益の赤字が2,000億円を超えるとともに、2年連続で7割以上の病院で赤字になるほど非常に厳しい状況にあります。
 
さらに、新たな医師臨床研修制度の創設などの医療制度の改正や過酷な勤務体制などにより医師・看護師の不足が生じ、診療体制の縮小を余儀なくされるなど、その経営環境や医療供給体制の維持が極めて厳しくなっています。
 このような中にあっても自治体病院は民間では採算性の確保が困難な分野の医療を提供し、がん治療等の高度な医療、更には、医療過疎地での地域医療を担うなど、市民や地域住民の安全・安心を守る地域の基幹病院としてその役割を果たすことが求められています。
 市立甲府病院は地域の実情や特性などを踏まえ自らに期待され、果たすべき地域医療における役割を明確にし、必要な見直しや安定的かつ自立的な経営基盤を築き良質な医療を継続的に提供する医療機関であると認識しています。

市立甲府病院事務局長
 自治体が設置する病院事業の多くは医師不足のどにより収支が悪化し、経営環境は厳しさを増しています。
 このような中、総務省では「公立病院改革ガイドライン」を示し、「経営の効率化」「再編・ネットワーク化」「経営形態の見直し」の3つの視点に立った改革を一体的に推進して、安定かつ自立的な経営のもとで良質な医療を継続して提供できる体制の構築を求めています。
 当院では、市立甲府病院改革ブランの策定に当たり、当院の経営状況や課題のどの情報を共有しつつ、全職員の経営に対する意識改革を促しながら意見や提案を取りまとめ、経営指標に係る数値目標の設定及び各種の取り組み並びに各年度の収支計画を策定したところであります。
 このプランの実効性を高めるには、まず、各項目の目標達成に向けて職員一丸となった取り組みが必要であります。
 これに加え、地域の医療需要の的確な把握とその対応にも積極的に取り組むとともに、来年度に予想される診療報酬の改定など国の医療動向にも注視するなかで、柔軟な対応を図り、計画を推進してまいります。

 市立甲府病院事務局長
 総務省が示す「公立病院改革ガイドライン」における「経営形態の見直し」については、考えられる選択肢として、「地方公営企業法の全部適用」「非公務員型の地方独立行政法人化」「指定管理者制度の導入」「民間譲渡」の4つを例示して検討対象とし、加えて必要に応じて、診療所化や老健施設などへの移行の検討が行われることも望ましいとしています。
 過日、総務省が取りまとめた全国938自治体病院の平成20年度末時点での経営形態の見直しの項目の集計結果は、地方公営企業法の「全部適用」が実施済を含め378病院で全体の40.3%、地方独立行政法人化が同じく45病院で4.8%、指定管理者制度導入が同じく64病院で6.8%、民間譲渡や診療所化などが36病院で3.8%、方向性を検討中のものが415病院で44.3%となっており、現時点では地方公営企業法の「全部適用」を選択する傾向が見られます。
 本市では、公立病院に知見を有する外部の有識者で構成する「市立甲府病院経営協議会」で多角的な検討をしていただいておりますが、今後は経営形態を含めたご提案をいただき、地域医療の中で市立甲府病院が担う役割とそれに最も適した経営形態を検討してまいります。

市立甲府病院病院長
 近年、医師不足は、新臨床研修制度による大学医学部の医師派遣機能の低下、過酷な勤務体制、診療科別の医師の偏在化などにより、益々その深刻さを増してきています。
 また、看護師不足も、平成18年度の診療報酬改定時に新たに導入された7対1の看護配置体制の影響により各病院での看護師確保が激しさを増し、看護師不足もまた深刻な状況となっています。
 こうした状況を踏まえ、医師・看護師確保に向けて、院内に病院長及び看護部長をリーダーに事務局を含めた総勢16名を構成員とする医師・看護師確保チームを去る5月20日に設置したところです。
 医師確保に向けては、4月以降これまで山梨大学を含め関係機関へ要請に出向いておりますが、今後、立ち上げたチームを中心に医師募集の情報発信や招聘対象医師の絞込みなど医師確保に向けて更に、具体的に取組んでまいります。
 また、看護師確保に向けた取組みとしましては、年齢枠の拡大など募集要件の緩和、定期採用試験の前倒し、募集回数の増加などを行い、5月下旬には県内はもとより長野県の看護師養成学校に出向き募集要請を行って参りました。今後も病院見学、インターンシップ制度などによる当院を体験学習する機会を設け看護師確保に努めて参りたいと考えています。



経営形態の見直しで民意の反映・議会の関与が弱くなる

※国の目指しているものは、郵政事業と同じく自治体病院の整理と民間化です。
「経営形態の見直し」に向かうと、必ず独立採算制が強く求められ、そして民意と議会の関与から離れていきます。
 例えば、独立行政法人化すると、独立採算制が厳格にもとめられても、病院事業性はつかえないし、長期借入は基本的にできません。経営が改善するとは思われない。その一方公的な援助から離されます。民意の反映も議会の関与も極めて弱くなります。ここで病院経営がより困難になるなら、病院は診療科目の削減、病床削減そして、民間委譲と廃止化への道にひきこまれます。

※さきほどの答弁に、ありましたように、県立段階の自治体病院は先行して独立行政法人化を目指されることもあるようですが、市町村自治体病院では、私の調査と同じく、独立行政法人化の方針を出さずに極めて慎重になっているようです。市立甲府病院も見直しは際めて慎重にすべきであり、現状の体制の改善から考えるべきだと思われます。

 特に、医師の看護師の確保です。医師は1名の欠員が出ると約1億円の病院収入の減になるといわれています。市立病院もかなりの痛手のはずです。ここにこそ力を注いでもらいたい。

病院会計への一般会計繰出金の不足の改善について

 一般会計から病院会計への繰出金の不足の現状について

●今回の市立甲府病院の『改革プラン』で、気がかりなのは、甲府市本体の努力が見えないことです。その典型は、本体の一般会計から病院会計に入れる繰出金が通達の基準額より不足していることです。また、市立病院側は、この不足額の改善をどうして甲府市に強く求め、自らの『改革プラン』にいれないのでしょうか?
 ここで改めて2008年度と2009年度の病院会計への繰出額と不足額についてうかがいます。

 一般会計の繰出金の原則と基本に戻って考え方の改善を

●甲府市は繰出金に対する−【原則及び基本的な考え方】をしっかりさせるべきです。国がこの間、法的な原則と基本を放置している流れに―なにか甲府市も流されているのではないでしょうか?

●しかし、基本は基本であり、原則は原則です。

 
地方財政法は、「公営企業の経営原則」を定めています。

 地方公営企業法は、自治体病院の「経費負担の原則」を定めています

 それに基づいて地方公営企業施行令が一般会計等において「負担する経費を定めて」います

 これによって極めて不十分ですが通達で繰出基準が定められているのです。



 つまり、負担区分による一般会計からの繰出金は、なにか各自治体の自由裁量ではなく、法令上の義務であり義務的経費なのです。
 市立病院の経営が医師不足によって困難な時だからこそ、本体の甲府市は当然なすべきことをして、そして「市立病院ガンバレ!」とすべきです。

●質問します。甲府市は、負担区分に基づいた市立病院への繰出金を、なにか病院経営の「赤字補填」のようにお考えなのでしょうか?
 また、建物や高額医療機器の整備のために使った病院事業債は、市立甲府病院にのみ、財政上の責任があるとお考えなのでしょうか?お聞きします。

企画部長
 病院事業会計の繰出金は、平成20年度が14億5千万円、平成21年度が14億5千46万8千円となっております。
 また、地方公営企業法、同法施行令並びに総務省の示した繰り出し基準に基づき算出される額は、平成20年度が15億8千719万4千円、平成21年度が15億3千33〇万3千円で、繰出金との差し引き額は、平成20年度が1億3千719万4千円、平成21年度が8千283万5千円となっております。

企画部長
 病院事業会計への繰出金につきましては、地方公営企業法、同法施行令並びに総務省の示した繰出し基準に基づき、公立病院として、民間では採算性の確保が困難な分野の医療に係る経費等について一般会計が負担しているものであり、病院経営の赤字補てんに対するものではありません。
 また、病院施設の建設や高額医療機器の購入に伴う病院企業債の発行により、後年度発生する元利償還金の一部につきましても繰出し基準の対象となっており、この繰出し額が地方債を発行する際の制限の基準となる実質公債費比率に影響を与えることから発行に際しましては、病院側と十分な協議を行っているところであります。


そもそも、病院事業債の発行は、自治体病院の判断と責任でできるものではありませんよね。2005年度までの病院事業債のやり方は、開設自治体が議会にかけ、議会が議決し、それを市町村では知事、都道府県では自治大臣の許可で病院事業債を行うことができます。それも地方財政計画に基づいての許可制度です。決めるときはみんなで決めていながら、自治体病院の責任だけとはなりません。

私は、繰出金について、法令の解説も調べてみましたが、こう書いてあります。「負担区分に基づく繰出金は、病院会計にとっては権利であり、一般会計にとっては義務である」としています。
 病院会計からは権利ですから、繰出金を不足なく出してもらいたいと主張しなければだめです。」
 特に病院事務局長は、病院は2−3年で異動するといいうことではなく、しっかり腰を落ちてもらいたい。自らの病院会計の立場に徹し、権利として繰出金で要求すべきものは要求しないだめです。財政当局は財政当局の立場からの見解があるわけですから、立場と立場で議論していかなと、病院はもとより市政全体が良くならないと思います。

常備消防の消防力の基本的な現状について


 
山梨の消防力は国の予算削減の中で極めて不十分になっています

●今、消防力の現状と今後の問題を真剣に考えるときです。主な質問は甲府市・甲斐市・中央市・昭和町で行っている甲府地区広域消防の議会でお聞きし、ここでは基本的な認識についてうかがいます。

●消防の持つべき力である消防力は、マンパワーである職員や救急車・ポンプ車などの必要数が、消防庁の『消防力 整備指針』に定められ、自治体は消防力の充足率100%を目指す責任があります。

●しかし、この間の国による地方行革と小泉改革のなかで、消防行政に対する予算がひっ迫し、消防力の充実が不十分となっています。
 甲府地区広域消防でも、2004年からの三位一体改革によって、消防費負担金は1億1200万円の減額、国庫補助金では2005年度から車両3台分3600万円が交付されませんでした。この自治体消防に対する国の予算削減傾向は現在も続いています。また山梨県も市町村消防への財政的援助は、ほとんど何もしていない状態です。

●当然、消防力充足率は不十分となります。甲府地区の消防力はポンプ車93%、救急車は113%ですが、 職員数は71%の充足率でこれからの努力にかかっています。

●しかし県内には甲府地区をいれて10消防本部がありますが、甲府地区を除く9消防本部の職員数の充足率は極めて不十分です。
 職員数の充足率は全県平均では49%に過ぎません。職員数では全県で1100人も不足していることになります。


●また、消防庁の2005年度調査によると、山梨県の10消防本部の救急車の現場到着時間は、平均8.1分で全国ワーストワン、全国平均より1.6分も遅い県です。
 このうち甲府地区を含め3消防本部はわずかであっても時間短縮ができましたが、残りの7本部はさらに所要時間が伸びています。つまり山梨全体の消防力は極めて不十分なのです。

不安がある常備消防の広域化計画について 

 消防行政の大改編である今回の常備消防広域化の不安について

●この中で国は予算をかけないで「消防力を高める方法?」として「大規模な広域消防本部を目指せ」としてきました。総務省では、指針で「30万人以上の規模を目標」として「県が計画を策定し平成24年度を目途に実現」せよとしています。

●消防力は人口に対する必要数が基本ですから、単純に人口合算で消防力の充足数を計算されたらたまりません。

 例えば市街地では

救急車は人口3万人ごとに1台ですが、30万人の消防本部となると10倍の10台ではなく、8台で充足率100%となります。
 消防ポンプ車は人口3万人に3台ですが、30万人となると10倍の30台ではなく、半分の以下の14台で充足率100%となります。
 人口を大規模に合算させて、それによる見せかけの消防力の充実では、逆に、実質的な地域の消防力の低下につながります。

●しかも山梨県では、総務省ですら「おおむね30万人以上の規模」としているものを、さらに根拠もなく10消防本部全て統合し「87万人県内1消防本部」とする計画を出しています。
 そもそも自治体消防に直接かかわっていない県が、このような計画を立てること自体が不可解です。国の意向をうけて計画を大きくしただけの官僚思考ではないかと不安を感じます。

●山梨の自然環境は、高い山があり、谷があり、川がありで、平坦ではありません。単純に統合することはできないはずです。また消防職員もそれぞれの地域で道路や水利の状態などを理解しているからこそ的確な対応が可能なのです。

●山梨の各消防本部の消防力は、極めて脆弱です。しかも、県内の地理的事情からも救急車・消防車の現場到着時間も極めて遅い状態です。

●この状態のなかで、しかも財政的に強力な保障もなく、いや、財政の削減傾向が明らかな中で、「県内1消防本部」とは一体どうなるのでしょうか?
 たぶん、甲府地区の持っている消防力を他の消防本部と合算され、他地区まで人も機械力も広く、薄く伸ばされことになりかねません。これでは県民・市民の安全は後退するばかりです。

●質問します。甲府市としては、どのように常備消防の大規模な広域化計画に対応していきますか? 
 また、この場合、2007年の『参議院総務委員会付帯決議』にあるように、市としての自主性をもち、市民と消防職員には広域化の計画を明らかにし、意見の反映をはかる努力をすべきだと思いますが、今後いかに対応していかれますか? お伺いします。

企画部長
 消防の広域化につきましては、昨年5月に山梨県が策定した「山梨県消防広域化推進計画」において、平成24年度末を目途に県内の10消防本部を全県1消防本部体制とすることが示されたところであります。
 
現在、この推進計画の基づき県内全市町村で構成される「(仮称)山梨県消防広域化推進協議会」の10月設置に向け、山梨県が中心となって準備を進めているところであります。
 しかしながら、これまでに10消防本部がそれぞれに異なる体制で運営を行ってきた消防の広域化には、ご指摘いただいた問題を始め経費負担や消防職員の充足率及び消防団との連携など様々な課題があることも事実であります。
 このため、広域化にあたりましては、費用負担に見合うメリットが享受できることや現状の甲府地区消防本部における消防及び救急のサービスレベルを低下させないことを本市の基本的な考えといたしまして、今後の協議に臨んでまいります。

企画部長
 消防及び救急につきましては、市民の安全・安心に直結する大きな問題でありますことから、情報を逐次市民の皆様にお知らせするとともに、必要に応じてご意見をいただくなどの対応を図ってまいります。
 また、現場の消防職員にもしっかり情報を開示し、意見の反映が図られるよう配慮してまいります。

※この常備消防の広域化計画は、全国で進んでいますが、その事実をほとんどの市民が知らない状態です。答弁にありますように、情報をしっかり市民と消防職員に伝え、意見をききとる場を作っていただきたい。うかうかこの計画に乗ってしまったら大変なことになるかと思いますので、強く要望しておきます。

市長
 他の消防の広域の者は、甲府を頼りにしているのです。私の意見は、甲府を頼りにして、甲府にのりかかってくるだけでは、とても駄目だよと、やっぱり機具を新しくしたり、進んだものを使うためには、それなりの事も考えなければ、つまり、割り勘なんだよということを言ったということですね。お互いが努力する気持ちなくして、甲府広域だけに寄りかかっていればいいなんてことでは、実際言って消防のレベルが上がっていかないのだから、一つにした時に、それなりにみんなが努力して全体での底上げを図っていくそういうことです。

この記録は、山田厚の質問原稿と当局の当日の答弁書によって編集した正確なものです。

※は、山田の再要請のときの発言を自分のメモと記憶によって再現していますので言葉の言い回しを除けばほぼ正確です。

◎は、市長答弁を山田のメモによって再現していますので趣旨としては間違っていないものです。文中にある、
図表は、山田厚がこの本会議場で質問した時に活用した掲示物です。

なお、完全に正確な会議録は、9月に甲府市のホームページに掲載されます。