2008年2月の吟

野口玄主の茨城県磯原の宅に23歳の青年・吉田寅次郎(松陰)が宿泊した時の詩である。
海に面した宿舎で海からの風を感じながら酒を飲んでいると、次第に顔もほてり耳も熱いほどに酔い、
ぐっすり眠ってしまった。すると忽ち夢の中に、遠い彼方から雲や大波が湧き起り、海を蔽うほどの大
きな海亀のような軍艦が押し寄せて来る。私は迎え撃つべくわが日本の軍を率い勇猛果敢・髪を逆立て
て悲憤する意気盛んな兵士とともに陣を固めている。しかし、これは夢。酒の酔いも醒め、灯りの煙も
消え果てている。夜も更け、ただ、地をうごかすような波の音が、太鼓の音のように押し寄せている。

田辺師範の吟詠をお聞きください。
(練習会の一節づつの吟を繋ぎ合わせています。練習用にダウンロードしてください。)