2007年10月の吟

初めて筑紫の地に罪を得て配流され大宰府の粗末な官舎に住んで以来、
萬死にも値する思いで、恐れおののき背くぐまる思いでいっぱいである。
太宰府の建物の瓦をわずかに見て、觀世音寺の梵鐘の音を聞くだけの生活であるが、
心はひとひらの雲の如く都に飛んでおり、外見的には努めて明るく満月のごとく振舞っている。
この地に来て特別に取り調べや束縛を受けている訳ではないが、
どうして門を出るようなことが少しでもできようか。ただただ謹慎するのみである。

関西吟詩文化協会のホームページにリンク
日本の漢詩欄に解説があります。