■MAKOTO 御主人様万々歳! あとがき |
まずは、元ネタを知らない人でタイトルに惑わされ読んでしまった方。 「あ〜ん、御主人様ぁ〜真琴にご褒美下さい〜」的なノリを期待してしまった方も居るかと思いますが、申し訳ございません。 このSSを書こうと思ったのは、今年(2003年)の春頃だったかな? 一向に筆が進まない連載SS「Beautiful7days」に頭を悩ませていた私は、職場のパソコンでメモ帳を開き、気晴らしに適当な文章を打ってみました。 ただ打っても退屈なので、自分の好きなアニメ「御先祖様万々歳!」の冒頭部分を文章化してみよう……と思い実行してみました。 とてもマイナーなので知っている人は少ないと思いますが、このSSの元ネタである「御先祖様万々歳!」というOVAはとにかく珍妙な作品でして、押井守監督の暴走により市場を無視した凄い作品になってます。 最大の特徴は全編を通じて舞台的演出がなされており、登場人物が延々と台詞を喋り続ける事にあります。 自分がどれだけこのOVAの台詞を覚えているのか? というチャレンジも兼ねて文章化していったところ、ふと頭に「こんな作品でもKANONとのクロスが可能かどうか?」という疑問が浮かびました。 「御先祖様万々歳!」は、都心に住むある核家族の元に、タイムマシンで近未来からやってきた長男の孫を名乗る少女が訪れ、その無茶な設定を受け入れてしまったが為に、徐々に家族が崩壊してゆく様を喜劇的に画いた悲劇であって、KANONとの接点は全くありません。 でも何となく書いて行く内に、その無茶にチャレンジするのも楽しそうだと思うようになりました。 最初は、「美汐」がヒロインで、元ネタと全く同じ「祐一の孫」という設定で出すつもりでした。 しかし別の作品のキャラをKANONキャラに置き換えるだけのクロスオーバーじゃ芸が無いので、少しはKANONらしさも必要だろうと思い、ヒロインを真琴にして、「恩返しに来た狐」という立場に換えてみました。 やったら丁寧な真琴の姿には違和感ありまくりでしたが、タイムパトロールを魔物ハンターへ置き換えて話を適当に組み立て、勢いのままキーを叩きます。 その後は意外なほど話が進み、五話くらいまでは何の迷いも無く書き終えました。 この時点でこれは公開しても大丈夫かな? という気になりましたが、何せ内容がKANONのSSとしては明らかに問題がある(必要性がない。キャラ改編。オリキャラ登場。設定改竄等)ので、怖くなりお蔵入りさせる事になりました。 しかし自分では(無茶なクロスという事もあって)意外と気に入っており、このまま闇に葬るのも勿体なく思い、試しにネット仲間の葉月さんと、ときめき48000さんに読んでもらう事にしました。 お二方の反応は意外と良好であり、これなら大丈夫かな〜? という考えに至り公開に踏み切りました。 (ただし終わるかどうかも判らなかったので、SS−LINKへの登録はしませんでした) そして記憶力の限界に挑み、必至に元ネタの台詞を思い浮かべては、アレンジを施し文章化してゆきました。 途中で全く台詞の言い回しを思い出せないところ(浜茶屋での大洗海水浴場の説明の部分)が有って、その部分の確認だけ実際にOVAを見ましたが、それ以外は全て記憶を頼りにアレンジして書き上げました。 (「BeautifulDreamer」も同様に記憶だけで書きました) そして幾多の障害(辻褄合わせ)を乗り越え、最後まで書くことに成功。 いやぁ何とかなるもんだなぁ〜。 というのが書き終えた後の感想です。 意外とどんな無茶な組み合わせでも、SSに仕上げる事が可能かもしれませんね。 最終回、元ネタでは主人公が「立ち食いのプロ」になって放浪の旅に出ているのですが、この辺は割愛しました。 これは「立ち食いのプロ」という職業を知っている人が少ないと判断したためです。 押井監督作品を見続けている人なら説明は不用なんですが、説明するのも面倒なんで……興味を覚えましたら以下の作品を見てください。 ■うる星やつら「立ち食いウォーズ」(TVアニメ:必見) ■紅い眼鏡(映画) ■犬狼伝説(漫画:藤原カムイ著) ■機動警察パトレイバー「その名はアムネジア」(OVA) ■御先祖様万々歳!(OVA)※映画「MAROKO」でも可。 この辺りを一通り見れば、まぁどんな職業なのか判ると思います。 (ギャグとして扱われる事が殆どですが、押井監督自身は真面目な設定としているみたいですね) 元ネタOVA「御先祖様万々歳!」は、最近になってDVD化もされて入手が容易くなりました。 萌え要素は全くございませんが、他のアニメでは見られない舞台的演出と、無駄に格好良い川井憲二氏のBGM、そして意外な結末が観る者を待っています。 私の書いたSSは基本的な流れは一緒ですが、KANON的アレンジを施している為(後は文章化の影響もあり)新鮮な気持ちでご覧頂けるはずです。 非常に人を選ぶ作品だとは思いますが、是非一度ご覧下さい。 |