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読書記録

Latest Update at 11th November, 2009 by KITORA


このページでは KITORA のかなりバイアスのかかった文章が書かれています。御承知おき下さい。

纐纈城綺譚


田中芳樹 著 (2009/11/10 読了)
☆☆☆★
朝日文庫 ¥600- ¥630-(税込)
ISBN978-4-02-264526-5

舞台は中国。唐の時代。
歴史上の登場人物を主人公に据えた伝奇小説です。
著者の物語作者としての良い面が出ているかと思います。

唐の都、長安。揚州からはるばる一ヶ月かけてやってきた辛?(言偏に当の旧字体)と李延枢の二人連れ。
その巨大な都市に戸惑いながらも二人は目指す呉服屋へと向かう……
彼ら二人にはある目的があったのだ……
呉服屋で見つけた赤い布。その布を手にしようとした時、店の男が慌てて止めだてる。
布を手に逃げ出す男を追いかけるが、邪魔が入ってしまう……
剣の手練れに阻まれた隙に目指す男は逃走してしまった。
なんとその男が持って逃げた布は人血で染められたものだという……

日本から来た慈覚大師(円仁)が長安からの帰路、道に迷って救いを求めた先がその巣窟であったらしい……
人の血で布を染めぬいたのを纐纈巾と呼び、それを作っていた魔窟こそが纐纈城。
揚州から来た辛と李延枢の二人はその人血をすする悪鬼どもを討ち滅ぼすべく長安までやってきたのだ。
勢いで間に入って悪党を逃してしまった男は李績といい、字は二十郎と二人に告げ、
二人からその話を聞くや悪党どもを退治しようと心に誓う。
彼らが夕餉をとりに入った料亭で突如火事騒ぎが起き、逃げだそうとした人々が向かいの屋根から矢で射られた。
李績の機転で矢を射っていた男を追い払ったが、なんとその矢の羽根が赤黒く染められていた……


荒唐無稽の伝奇物語で、面白く読めました。
後書きにあるエピソードを読むと尚一層楽しめましたし、
田中芳樹はこれくらいに政治批判を押さえた方が物語に集中出来て良いと思います。
魅力的なキャラクタとおどろおどろしい設定が映える時代背景だとも言えますね。
因みに揚州は(実物は決して細くはない)我が細君の地元というか御先祖様の出身地だったりします。
義母に唐の時代に長安まで一ヶ月かけて旅した話があると告げるともっとかかったと思うと言われました。
でもまぁ頑健な若い二人が大運河と黄河を利用してなら一ヶ月で済んだとも考えられますかね。
そんなこんなで楽しめた一冊でした。


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