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読書記録

Latest Update at 06th July, 2009 by KITORA


このページでは KITORA のかなりバイアスのかかった文章が書かれています。御承知おき下さい。

シャングリ・ラ


池上永一 著 (上 2009/07/04・下 2009/07/06 読了)
☆☆☆
角川文庫
(上) ¥743- ¥780-(税込)ISBN978-4-04-364704-0
(下) ¥743- ¥780-(税込)ISBN978-4-04-364705-7

地球温暖化が爆発的に進み、CO2(二酸化炭素)削減が各国の至上命題となった近未来。
実質炭素と経済炭素に支配された世界で、日本は異常なまでの森林化を政策として進める。
ジャングルとかした東京都その上に建てられつつある巨大な高層都市「アトラス」。
地上に残ったレジスタンス「メタル・エイジ」のリーダーとなった少女を描く SF ファンタジー。

北条國子が鑑別所から娑婆に戻ってきた。濡れ衣を甘んじて受け入れテロリストとして 2年間を過ごした國子。
戻ってきた地上世界ではアトラス公社による森林化が更に進んでいた……
拠点であるドゥオモへと戻ってきた國子は早速メタル・エイジの総統となる事を受け入れる。
ドゥオモでは國子の帰還&総統就任祝いに煙突から盛大に煙を噴き上げるのだが、
地上の CO2 排出監視を役割とする衛星イカロスにキャッチされ、その結果、
国連の発表する炭素指数が大幅に増加した結果、政府軍が出動してくる……
國子によって言葉巧みに納める事が成功したと思いきや、遠方から攻撃を受けるドゥオモ。
メタル・エイジは攻撃地点の池袋を調査に行くのだが、そこで目にしたのは森林化という生やさしい言葉ではなかった。
ジャングルもかくありなんという具合に生態系が激変していたのだ……
國子はそこで、草薙という政府軍の男と出会うのだが、草薙は昨日の攻撃は政府のものではないと言う……

ドゥオモに住む人々にとってもアトラスでの生活はやはり希望であり、
アトラスくじの当落に一喜一憂するのであった……
國子の母親代わりを自他共に認めるニューハーフのモモコもその一人であったが、
今回のくじでは残念ながら妹分のミーコが当選した。
ミーコは新六本木でかつての伝説の店「熱帯魚」を復活させてみせると豪語するのだったが……
アトラスへと向かったミーコはそこで、偶然にも美邦様と出会うのだった……
美邦は 8歳にして新迎賓館の主で、彼女に嘘をついた者は恐ろしい死に様を見せる事になるのだった……
そして、ミーコは美邦に何故かいたく気に入られてしまい、側近の女官(?)として仕える事になる。

ドゥオモにもいつの間にか異常な森林化に蝕まれ始める……
折しも、かつてレジスタンスとの戦争で廃墟と化したアトラスの第4層を、
東京オリンピックの開催地として大々的に復興させるとの発表があり、
メタル・エイジはアトラスとの戦争の意志を高めていく……

香凛は経済炭素世界で画期的な炭素指数削減方法を思いつき、
出資者を募り、彼女の考案したメデューサによって、炭素経済の勝者としてアトラスランク向上を図る。
タルシャン、チャン、クラリスと香凛の四人で一気に成功への道を走り始めた矢先、
どうも、もう一台のメデューサによる介入としか思えない動きに気づく……
香凛は政府軍にもう一台のメデューサを破壊させる事を画策する……
政府にはカーボンナノチューブにナノコンピュータを加えた、擬態装甲が本格的に稼働していた……
日本の戦艦がアメリカ海軍の戦艦に擬態してターゲットへと近づいていくのだった……


文庫本で上下1000頁を超える長編。
もともと、深夜の TV アニメを見て興味を覚えたのですが、
著者の新作「テンペスト」が話題の作品という事もあって、
本作を手に取った次第。

正直、その分量もさることながら、近未来 SF としては炭素経済社会という設定に、
森林化される東京という対比はとても興味深いものでした。
そこに加わったアトラスという巨大高層建築物もなかなか良い発想だったと思います。
個人的には物語としてはとても面白く読みました。
ただ、キャラクタとして後半これは……と思える著述が多くて、やや辟易しました。
この辺は文庫版の解説でいみじくも筒井康隆氏が「過剰」と言う言葉ですぱっと看破している通りではないでしょうか……
筒井氏はこの「欠点」が新作「テンペスト」ではかなり改善されていると書かれているので、
そう言う意味では期待したいと思います。


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