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読書記録

Latest Update at 29th June, 2009 by KITORA


このページでは KITORA のかなりバイアスのかかった文章が書かれています。御承知おき下さい。

1Q84


村上春樹 著 (book1 2009/06/24・book2 2009/06/28 読了)
☆☆☆☆☆
新潮社
book 1 <4月-6月> ¥1,800- ¥1,890-(税込)ISBN978-4-10-353422-8
book 2 <7月-9月> ¥1,800- ¥1,890-(税込)ISBN978-4-10-353423-5

アフターダーク以来五年ぶりの長編です。
何故か発売前から予約殺到という大ベストセラーとなってしまい、
入手に躊躇しましたが、楽天ポイントが誕生日月ということでちょっと増えたので、
思わず買ってしまいました。

タクシーに乗って高速で移動中に渋滞に巻き込まれた青豆。
運転手が提案してきたのは何とも意外な非常手段であった……
確かに次の予定には非常階段を通って高速道路から降りて地下鉄に乗り換えれば間に合うのだった……
青豆はストッキングが破れ、タイトスカートがまくれ上がるのも厭わずに非常階段を下りる。
そして、向かった先は渋谷のホテル。服装を整えた青豆はホテルの従業員を装い、
目標の男の部屋へと向かい、空調のチェックという事で部屋に上がり、見事に殺害するのだった……

天吾は予備校で数学の講師を務める傍ら、小説家を目指し編集者の小松の元で文章の仕事をこなしていた。
そこで、新人賞の下読みを勤めていて「空気さなぎ」という作品に出会う。
その作品に惚れ込んだ天吾は小松に最終候補に残すよう薦めるが、小松はこのままでは無理だと言う。
だが、小松も既に「空気さなぎ」の異質な出来に目をとめており、天吾が予想も出来なかった提案をしてくるのだった……
なんと、天吾にこの小説を書き直せというのだ。作者には既に話を通しており、後は天吾が作者に会うのみだと言う。
作者の「ふかえり」は女子高生だというが、天吾は彼女から受ける不思議な雰囲気にとまどいつつも了承を得、
「空気さなぎ」を自らの手で再構成し、小説として完成させ、見事ふかえりに新人賞をとらせるのであった……


book 1 と 2 を併せて 1000頁を超える久しぶりの長編。大いに堪能しました。
上・下という構成ではなく敢えて book 1 と 2 という構成からも、続編を期待させられるものです。
ただ、ここまでで終わるというのも物語的には有りかも知れませんね。
個人的には青豆と天吾のこの後を是非読んでみたい気がするのですけど、
読後感としては決して悪くないし、私にとってはとても余韻にひたれるものだったのです。
「空気さなぎ」とはなんぞや?とかリトル・ピープルって一体全体何なのか?といった謎解きは野暮なのでしょう。
ミステリ好きな私にとっては著者の作品を読むたびに提示される謎を感覚的にしかとらえられないのは、
常に苦痛ではあるのですが、それもまた心地よかったりするのです。
文学的にはメタファーとして提示されたものは読者がしっかりと理解しなくてはいけないのかも知れませんが、
私はどちらかというと著者の作品群ではいつもふわふわとした感じで捉えています。

それにしても今回の出版に伴う騒動には驚かされました。
内容からは著者らしい作品で読み応えがあって楽しむというか堪能しましたが、
これほどの部数が一気に売れる作品なのかと問われれば……
「ノルウェーの森」の時は内容的に仕方ないかとも思ったのですが、
(振り返るとあのときの方が買うのには勇気が要りました……)
今回はどちらかというと出版社の意図したところのようで、ちょっと嫌な感じ。
著者にとっても出版社にとっても、この作品が売れる事は良い事だとは思うのだけれど、
出版後数ヶ月から二年くらいかけてじわじわとこのセールスだったら、
もっと素直に喜べたなぁ等と愚にもつかない事を考えたりしました。


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