試験用ゴロ合わせ集について

「問題と解説」の語呂合わせを作りました。

例)ほんま壮健(本間棗軒)、観覧広く。本間棗軒、漢蘭(折衷派)、(内科/瘍科)秘録。ほんま壮健(本間棗軒、なので)、(観劇の)観覧広く(出来る)。

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受験報告

201011月の日本東洋医学会専門医試験を受験して来ましたので、御報告を致します。

筆記試験は全50問で、40問は共通問題で、10問は漢方薬・鍼灸の選択問題でした。漢方薬の問題を選択された方に対しては、「8.鍼灸」からは一題も出題されませんでした。

また、「問題と解説」には見当たらない問題としては、甘草瀉心湯が正解の症例問題が出ていました。症例は著明な下痢・精神症状を主訴とし、やや虚で心下痞鞭があります。その問題のその他の選択肢には生姜瀉心湯もありましたが、他の選択肢は実証の薬方だったと思います。甘草瀉心湯は「問題と解説」の複数の選択肢(問題462498502)にも採用されており、実際によく使用されているようです(生姜瀉心湯は問題564のみでした)。また、腎不全患者に投与する場合に注意すべき方剤としての五苓散を当てさせる問題が出ました。これらに関しては、専門医のための漢方医学テキストや、他の書籍・最近の論文である程度目立つ記載があります。以上から、「問題と解説」以外にも、「テキスト」や、最近の論文に目を通しておくことも大切なことと思いました。

口頭試問は、2名の試験官が、10症例の「臨床報告用紙」をあらかじめ読んで、個々の受験者に対する質問を考えているようで、受験者全員に対する共通した質問があるわけではないようです。私の場合は、

@     心下痞鞭を陽性と捉える具体的な所見について。

A     北海道において、漢方薬選択に関する地域的な特徴はあるかどうか。

B     アトピー性皮膚炎などの皮疹に投与する場合の桂枝加黄耆湯(症例1の使用方剤)と黄耆建中湯(鑑別方剤として記載しなかった方剤)の使い分け。生薬構成が似ており、(試験官は)鑑別は難しいと思っている。

などでした。私の答えは以下の通りです。

@        腹直筋の緊張がない場合はその直下、あるいは中腹部との比較で軽く押して硬さが強ければ陽性と考える。

A        指導医(竹田眞先生)は、アレルギー性結膜炎に対しては全国的には小青竜湯が最も多く使用されるが、北海道では、麻黄附子細辛湯の方が有効性が高い場合が多いこと、また、方剤ではないが、地域的特長として、北海道では舌下静脈怒張はほぼ100%に認められる、とおっしゃっていた。

B        小児に処方する時には、甘いので黄耆建中湯を用いている。

 

「問題と解説」の各方剤毎の症例のまとめ

     加味逍遥散(397432436452458468484506534538)の症例は、手足の冷え(397)、のぼせ・発汗・不眠・焦燥感(432)、不妊症(冷えのぼせ・易興奮性・肩凝り、436)、皮疹(453)、頭痛・肩凝り(458)、腰痛(468)、頭痛・呼吸困難感・のぼせ・発汗・肩凝り(484)、顔面・頚部の皮疹(のぼせ・不定愁訴、506)、パニック障害(534)、頻尿(冷えのぼせ、顔面紅潮、538)であった。胸脇苦満・瘀血・虚実中間〜やや虚証が共通する。イライラ・易興奮などの精神症状や逍遥性多愁訴が著明な場合が多く、胸脇苦満・瘀血・虚実中間〜やや虚証でも精神症状を欠く場合は否定されている(442)。しかし、精神症状・逍遙性多愁訴を欠く症例もあり(397452)、手足冷と口渇があり、冷水/冷房を好む症例(397)では、解説者は瘀血と、気逆や、気逆による上焦の熱(=口渇・冷水/冷房を好む)が併存した病態に使用している。(452)の皮疹は、掻くと止まらなくなるほどの著しい掻痒を伴なう皮疹を血熱(瘀血+熱証、本文中では「血証」)とみなして、解説者はこれに本剤を適用している。

     女神散(410530533)。ほてり・のぼせ・多愁訴に対して用いられるが、同様の症候に用いられる加味逍遥散との鑑別が問題になる。加味逍遙散は虚証〜虚実中間で冷えのぼせ・軽度の胸脇苦満・臍傍圧痛・小腹硬満を伴い、一般に症状が逍遙性に変化し、症状は概して慢性で、訴えは多様であるのに対し、女神散は虚実中間〜実証でのぼせを伴い、症状は一定する傾向がある。解説者は、腹部瘀血所見なしを重視する意見:虚実中間〜やや虚・ほてり(410)、腹部瘀血所見と虚実を重視する意見:虚実中間・のぼせ(530、この解説者は加味逍遥散は虚に、女神散は中間〜実に用いているようだ)、虚実を重視する意見:実・胸脇苦満・臍傍部圧痛(533)、であった。

     半夏厚朴湯(402)・香蘇散(529)は、それぞれ咽中炙臠や消化機能の低下を伴う感冒等の典型的な症状を示していないが、解説者らは、各々の方剤を気うつに対する標準的な薬方として広く使用しており、有効のようだ。勿誤薬室方函口訣には、半夏厚朴湯は「気剤の権興なり。故に梅核気を治するのみならず諸気疾に活用してよし。」、香蘇散は「気剤の中にても揮発の効あり」とあり、双方とも気剤の代表的な方剤であるとしている。

    柴胡桂枝乾姜湯(442527536)。微熱・口内炎(ベーチェット病、442)、動悸(527)、不明熱(536)であった。腹候は、腹力中等度以下で、臍上悸(せいじょうき)・臍下悸が著明であり、軽度胸脇苦満(胸脇満微結)、心下痞鞭は軽度(心下微結)〜なし、上腹部振水音、軽度腹直筋緊張である。3症例に共通しているのは腹力中等度以下・軽度の胸脇苦満・臍上/下悸であった。その他、臍傍圧痛(442、桂枝茯苓丸も当てさせる問題)、心下痞・軽度腹直筋緊張・臍傍圧痛・小腹不仁(527)、軽度腹直筋緊張(536)であった。精神症状は、心配症・繊憂細慮・入眠困難・眠りが浅い(527)、なし(442536)であった。加味逍遥散との鑑別点は、柴胡姜桂湯はより寒・易疲労感を強く認め、加味逍遥散は瘀血を伴ない、精神症状をより強く認めることである。この2方剤の精神症状が、加味逍遥散はイライラ・易興奮が多く、柴胡姜桂湯は精神症状を欠くか、イライラ・易興奮を欠いていたことに関しては、柴胡剤の虚実は、大柴胡湯・柴胡加竜骨牡蛎湯・小柴胡湯・柴胡桂枝湯・加味逍遥散・柴胡桂枝乾姜湯・補中益気湯の順であり、また、漢方の精神症状は、実証であれば焦燥感・短気・興奮などを現し、虚証であれば易疲労・抑鬱気分・無気力などを現す傾向がある、とされることと関係があるのだろう。

     桂枝茯苓丸(404406415422442460464485488505518519)。全例に下腹部・臍傍の抵抗と圧痛を認める。臍傍の圧痛のみ(460464485488505518519)が多く、その他、臍傍の抵抗・圧痛(404406)、下腹部の抵抗(415)、臍傍の抵抗と下腹部の圧痛(422)であった。実際に、桂枝茯苓丸には、各種瘀血所見のうち、下腹部・臍傍の抵抗と圧痛を必須とする意見(569)も多い。

     駆瘀血剤の証で、虚実中間は桂枝茯苓丸を用いることが多いが、虚証では当芍散を用いる意見と、水滞があれば当芍散・なければ桂枝茯苓丸(442)を使い分ける意見がある。(442)の解説者は、桂枝茯苓丸を「やや実を中心に、比較的幅広く」用いている。実証の場合には、便秘・イライラなどの精神症状・小腹急結のうちのどれかを認めれば桃核承気湯(435470494518541)を、どれもなければ桂枝茯苓丸を用いる。このうち便秘のみを認める場合には、桂枝茯苓丸(488)を用いることがある。

    真武湯の腹候は、軟弱無力、心窩部振水音、臍上から臍下に続く正中芯/腹直筋緊張、臍上・心下悸、臍の外側2横指に圧痛(寺師・高木圧痛点)、臍下不仁と多彩である。症例は軟弱無力が共通している。臍傍圧痛・心下痞鞭(人参湯も選択する問題、441)、心下痞鞭・腹直筋緊張・臍下不仁(486)、心窩部振水音(500)、臍下不仁・正中芯(531)であった。臍下不仁は、真武湯は脾腎陽虚の八味丸の裏処方とされ、実際にネフローゼなどに使用されていることと関係があるのだろう。

     五苓散。頭痛(407487509)、浮腫(451495522)、下痢/嘔吐下痢(465564)であった。

     呉茱萸湯は、虚証・冷え・嘔吐を伴う激しい頭痛発作が共通していた(377439496544)。

     苓甘姜味辛夏仁湯は脈沈で、実際に沈(401434513)・浮(419)・浮沈中間(408)であった。小青竜湯は脈平〜浮とされるが、症例では浮(419)・沈(535)であり、さらに(419)では苓甘姜味辛夏仁湯の方が著効したので、小青竜湯と苓甘姜味辛夏仁湯の重要な鑑別点として脈が挙げられている(501)が、単独の所見としては有用性が少ないようだ。(535)は発熱などの「表の寒証」の所見を伴わず、肺炎・視神経炎などの既往もあるために、沈なのかもしれない。

     当帰四逆(加呉茱萸生姜)湯。症例は、四肢の冷えが共通している。下腹部痛(431507547)、凍瘡(416448)、頭痛・腰痛(524)、頻尿(514)であった。凍瘡単独では用いずに、冷えのぼせ+下腹部痛を認める場合に用いるという、冷え以外にのぼせも必須とする解説(477)や、イライラ・肩凝り・頭痛・不眠(524)もあり、これらは桂枝湯の発展処方の本方や桂枝加朮附湯、桂枝人参湯(490)などにはのぼせを伴なうことが多いという考えである。一方、本方や桂枝加朮附湯にはのぼせの記載がない書籍も多い。腹候は、腹力軟、小腹硬満、臍傍圧痛、下腹部〜鼠径〜大腿内側の肝経に圧痛や筋の索状の抵抗/緊張、腹痛部に一致する圧痛を認める。症例の腹候は腹力軟が共通している。その他の所見としては、臍傍圧痛(416448)、下腹部圧痛(431)、小腹不仁・下腹部圧痛(507)、腹直筋緊張・鼠径部圧痛(514)、臍傍圧痛・小腹硬満(547)、なし(524)であった。一般的には腹直筋の緊張を重視する意見も多いが、今回の症例には少なかった。(477)の凍瘡・腹痛の9歳女児では、腹直筋の緊張を認めるのに当帰四逆湯を否定しているが、解説に記載されているのぼせがないことなど以外に、年齢を考慮すると、この腹痛は下腹部痛ではなかった可能性が高いことなども理由なのだろう。

     桂枝加朮附湯(桂枝加附子湯)は筋肉痛・関節痛・神経痛・自汗・手足冷に用いられる(512523)が、(523)ではさらに気の上衝も必須とされている理由は上記の通り。

     黄連解毒湯は、虚実間〜実・のぼせ・顔面紅潮・イライラなどの精神症状が共通している。頭痛(423)、顔面の痒みの強い皮疹(473)、口腔アフタ(502)、高血圧・のぼせ・頭重感・めまい・動悸(517)であった。腹証は典型的には心窩部膨満・心下痞鞭とされ、心下痞鞭(423)・心窩部膨満(502)・心窩部の所見なし(473517)であった。下腹部各所の抵抗・圧痛(寺澤捷年)は今回の症例では認めなかった。舌は典型的には黄苔とされ、黄苔(423517)・白苔(473502)であった。出血傾向は(502)のみであった。

     大柴胡湯の症例は、肩痛・肩凝り(406)、頭痛・耳鳴・めまい(409)、不満感・不眠・便秘(494)であった。腹候は、実証・胸脇苦満が共通していた。腹直筋緊張を伴わない場合(409494)と伴う場合(406)があった。

     女神散は虚実中間〜実で、のぼせ・目眩・不安/不眠などの精神症状、時に頭痛を認める。虚実中間〜実(530533)である典型例や、やや虚なので女神散よりも加味逍遥散が望ましい(432)とする症例が多いが、虚実中間〜やや虚(410)でも瘀血がないために加味逍遥散を否定して女神散を選ばせる問題があった。(410)の解説者は瘀血など他症状・所見がなく、ホットフラッシュ(顔面紅潮・ほてり・のぼせ)単独の症状であれば、女神散を用いるという考え方である。

     八味丸と牛車腎気丸の鑑別は、浮腫・めまい・尿不利・下肢の脱力・しびれが顕著な場合に牛車腎気丸を用いる。牛車腎気丸の症例では、このうち、浮腫(429467)、しびれ・浮腫(523)があり、八味丸の症例では、軽度の脱力あり・浮腫なし(475)、しびれあり(浮腫の記載はなし、542)、浮腫なし・めまいなし(549)であり、主に浮腫の有無で鑑別されているようだ。

     桃核承気湯の症例は、実・瘀血・便秘は共通している。小腹急結・精神症状共あり(470541)、小腹急結なし・精神症状あり(494518)、小腹急結あり・精神症状なし(435)であった。

     小腹急結を含めた瘀血を認める場合は、実・便秘を伴う桃核承気湯の症例(435470541)が多いが、虚証・水滞で当芍散(414)・虚実中間・便秘なく軟便傾向で桂枝茯苓丸(415)のこともあり、また、桃核承気湯の症例でも、他の桃核承気湯の証はあるが、小腹急結を欠く(494518)こともある。

     真武湯は冷えを伴う虚証であり、下痢(441)か、動揺性めまいやふらつき(486500531)のどちらか一方の症状のみを呈しており、511の解説の様な両者を併せ持つ症例はなかった。

     当帰飲子は、虚証・皮膚枯燥・発赤を欠く皮疹の典型例(440)と、虚実中間で紅斑を伴う皮膚枯燥(454)である。

     当帰飲子・温清飲の2方剤の鑑別点として、(454)では温清飲が掻破による血痂・皮内/皮下出血を伴い、当帰飲子は伴わないことを根拠に挙げている。

     温清飲(438503565)。症例は、虚実中間・皮膚枯燥・心下痞鞭が共通している。主訴は紅色皮疹(438503)と、赤黒い顔面を伴なう口内炎(565)であった。舌候は、白黄色苔(503565)〜白苔(438)で典型的であった。腹候も心下痞鞭以外に、臍上/下悸・臍傍圧痛(438)、下腹部の抵抗/圧痛(503)、臍傍圧痛で典型的であった。温清飲は虚実中間証とされるが、腹力は中等度〜強、脈は細数/中等度から弱/一定しないが弱くはない、である。腹力は黄連解毒湯の影響を受けてやや実寄り、脈力は報告によって異なるが、四物湯の影響を受けてやや虚寄りなのだろうと考えられる。症例は、腹力は中等度(438503)、やや充実(565)、脈は全て虚実間(438503565)であった。

     465)胃苓湯は感染症による下痢の場合は、軽症例以外は用いないことになっているので、用いなかったのだろう。

     麻黄附子細辛湯(474501525)。虚証・脈沈弱/細・水様鼻汁・悪寒・微熱が共通している。3例には、軽度の咽頭痛(のどチク)は認められなかった。

     抑肝散の腹部所見としては、腹直筋の拘攣(402)という意見が多いが、腹直筋の拘攣+胸脇苦満を認めて柴胡桂枝湯や四逆散に似る、という意見もあり、(476)の著者は後者の意見なのだろう。

     478)緊脈は弦脈以上に緊張が強い実脈であり、「元気な印象」と共に、やや実証寄りと判断したのだろう。

     491)胸焼け・呑酸があるが、苓姜朮甘湯に消化器症状の文献的記載はなく、甘草+乾姜(人参湯に含まれる)が脾胃の水毒に効いたのだろう。

     493)息切れがあり、十全大補湯より人参養栄湯の方がより望ましいのだろう。

     495)猪苓湯の目標は「下焦の熱」であり、「腰から下の浮腫」に保険適応があるが、「下焦の熱」といっても実際は泌尿器科疾患に限定して用いられることと、多汗があることなどにより、猪苓湯は否定されたのだろう。

     柴竜湯は、虚実中間〜実、胸脇苦満・ストレスか精神疾患が共通している。眼瞼痙攣(482)・不眠/肩凝り(497)・顔面痙攣(554)であった。臍上・下悸があれば胸脇苦満の有無に関わらずに用いる意見もあるが、3例とも臍上・下悸を欠いている。

     半夏瀉心湯は虚実中間・心下痞鞭が共通する(379405444553)。時に胃内停水を伴なう(553)ことがあるが、虚して甘草瀉心湯になっても、心下痞鞭は存在(498)し、胃内停水のみにはならない。

     500)真武湯は脾腎陽虚(脾腎両虚)で、尿量減少あるいは(夜間)頻尿がある。症例では頻尿+夜間尿(500)・夜間尿(486)・尿に関して記載のないもの(441531)であった。

     501)麻杏甘石湯が脈浮なのは、一般的には裏熱(肺の熱)で少陽病とされるが、太陽病の変証ともされ、実際に感冒・上気道炎にも使用されていることと関係があるのだろう。

     504)荊芥連翹湯の証に脾虚はなく、解説にある通り、抗生剤で胃が痛くなる背景として記載されたものであろう。また、ざ瘡に頻用する漢方方剤の中には、脾虚にも有効な薬はなく、実際の皮膚科診療でも、抗生剤の副作用を回避するために、漢方を使用する症例も多い。

     508)桂枝湯の感冒は鼻鳴・乾嘔が代表的症状とされ、咽痛・咳の記載がないが、あってもよいとの記載がある(漢方重要処方マニュアル)。桂枝加厚朴杏仁湯を用いるとよりよいだろう。虚実間・自汗・脈浮弱・顔赤・咽痛/咳嗽・自汗では桂麻各半湯も考えるが、桂麻各半湯は熱多く寒少なしが異なるので否定される。

     511)桂枝加朮附湯には水様性鼻汁・耳鳴の記載はない。桂枝湯・黄耆建中湯などは虚弱児の体質改善に使用されており、桂枝湯の発展処方全般に同様に使用されうるのだろう。

     512)筋痙攣に用いられる方剤は、大承気湯・芍薬甘草湯・芍薬甘草附子湯・芍甘黄辛附湯(筋痙攣+偏痛)・通脈四逆加猪胆汁湯(煩躁)・烏頭桂枝湯(激痛)である。

     516)麻子仁丸・潤腸湯の鑑別については、古典文献に基づくと、麻子仁丸は兎糞に用いられることになっている。一方、最近の記載では両者とも虚実中間〜虚で、皮膚枯燥・便の秘結がより著明・弛緩性便秘か痙攣性便秘(兎糞)では潤腸湯、弛緩性便秘に麻子仁丸が用いられる。古典的には麻子仁丸、最近の使用法としては潤腸湯が正解ということなのだろう。

     521)六味丸の八味丸などとの鑑別として、「顔面紅潮・ほてりなどを伴ない、八味丸に比して水毒の傾向が比較的少ない」、とか、「八味丸・牛車腎気丸を服用するとのぼせ感を訴える場合に用いる」という記載があり、熱は本問の手足煩熱とともに、顔面にも症状が出ることが多いようだ。

     528)苓桂朮甘湯に多汗の記載はないが、水毒の一症状と捉えているのだろう。

     529)香蘇散は気うつに使用される(405も)。加味帰脾湯は、帰脾湯の使用目標に、イライラ・ほてり・のぼせを伴うもの、即ち帰脾湯と加味逍遥散の中間的処方と考えて用いられる。

     529)うつ病の初診時身体的主訴(九大心療内科)。多いものから順に、睡眠障害(42%)、全身倦怠感(33%)、頭痛(26)、食欲不振(18%)、めまい・ふらつき、心窩部痛、肩腕背腰部痛、動悸(9%)、四肢知覚異常、悪心嘔吐、呼吸困難、胸苦しさ、胸痛、発熱、耳鳴り、咽喉頭異和感、下痢、味覚異常、口渇、発汗、会陰部痛(0.8%)、口内痛、残便感、四肢痛、舌痛、頻尿。

     535)麦門冬飲子は高齢者の夜間の咳嗽に用いられ、口渇、粘稠な喀痰、皮膚枯燥、浅黒い皮膚、るいそうを認める。るいそう以外は滋陰降火湯に一致する所見である。

     536)往来寒熱=弛張熱や間歇熱(間欠熱)と考えられる。弛張熱:日内変動が1℃以上の高熱で,低いときでも37℃以上あるもの.敗血症,腎盂腎炎,感染性心内膜炎,化膿性疾患,腫瘍熱,血管炎や膠原病でよくみられる熱型である.間歇熱:日内変動が1℃以上で、平熱の時もあるもの。マラリア発作熱、弛張熱と同じ疾患など。小柴胡湯(加桔梗石膏)、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、加味逍逢散、大柴胡湯、柴陥湯などの柴胡剤を用いる。

     537)泌尿器科用方剤。実から順に以下の様である。竜胆瀉肝湯(実、膀胱炎,尿道炎,前立腺炎などの急性期、症状が顕著)、猪苓湯(虚実中間、膀胱炎の比較的急性期)、猪苓湯合四物湯(虚実中間、再発性膀胱炎などの慢性疾患、皮膚枯燥、血尿)、五淋散(虚実中間〜虚、慢性疾患、頻尿、手足冷)、清心蓮子飲(虚、慢性疾患、神経過敏・多愁訴、手足冷)。

     542)芍甘黄辛附湯は虚実中間〜実証で、下肢や腰の冷感・便秘を伴う場合の攣急+偏痛に用いられる。症例は虚証で下痢があるが有効であった。実際に、大黄を含むにも関らず、便秘傾向がなくとも必ずしも下痢を伴なわずに有効であった報告も多いとされるが、極度の虚証の場合は、大黄を麻黄に替えた芍薬甘草湯合麻黄附子細辛湯を投与する方が望ましいだろう。芍甘黄辛附湯=芍(薬)、甘(草)、(大)黄、(細)辛、附(子)=芍薬甘草湯(芍薬、甘草)+大黄附子湯(大黄、細辛、附子)。

     550)補中益気湯に関して、頭痛の記載は津田玄仙の時代以降にはなく、原典にはある。頭痛以外の症状が典型的だったので処方したのだろう。

     551)十全大補湯は、脾虚に対しては地黄・当帰で胃腸障害を来たすこともあるので気をつけて使用する必要がある。(493)ではまず胃腸障害を治療してから十全大補湯で気血両虚を治療しているが、脾虚の方剤と十全大補湯を併用することもあると記載されている。

     562)苓桂甘棗湯の腹候はやや軟、臍下動悸(必発)、腹直筋の緊張である。腹直筋の緊張は、抑肝散と同様、「肝経に沿った熱」のためなのだろう。

     557)桂枝芍薬知母湯。大防風湯とほぼ同じ段階の関節リウマチに使われるが貧血の程度はより軽く、芍薬・麻黄を含むため、関節の腫脹・疼痛はより強く、腹直筋緊張を伴う。大防風湯:慢性関節リウマチで、桂枝芍薬知母湯よりもさらに一層衰弱し、気血ともに虚したものを目標とする。ただ胃腸が甚だしく弱いものには用いられない。RAで関節痛があるが腫脹のないものは麻杏薏甘湯・薏苡仁湯、腫脹して熱感のあるものは桂芍知母湯、腫脹し脚を触れて冷たいものには大防風湯を用いる。

     559)大黄附子湯。実証で、寒冷と便秘を伴う、偏痛という脇下・腰脚などの身体の片側の疼痛に用いる。激しい疼痛にも有効だが、いっそう強いものであれば芍薬甘草湯と合方にして、芍甘黄辛附湯とする。大黄附子湯=大黄、附子、細辛。附子湯・○○附子湯は大黄附子湯(実証)以外はすべて虚証。

     568)痿証方は、虚実間〜虚の下肢麻痺(痿証)に用いる。

     7.臨床の正解方剤】 375.桂枝湯。376.当芍散。377.呉茱萸湯。378.人参湯。379.半夏瀉心湯。381.大建中湯。382.八味丸・葛根湯。397.加味逍遥散。398.藿香正気散。399.茯苓沢瀉湯。400.人参湯。401.苓甘姜味辛夏仁湯。402.半夏厚朴湯・抑肝散。403.治頭瘡一方。404.桂枝茯苓丸加薏苡仁。405.半夏瀉心湯。406.大柴胡湯・桂枝茯苓丸。407.五苓散。408.苓甘姜味辛夏仁湯。409.大柴胡湯。410.女神散。411.黄芩加半夏生姜湯。412.柴朴湯。413.苓桂朮甘湯・四逆散。414.当芍散。415.桂枝茯苓丸。416.当帰四逆加呉茱萸生姜湯。417.防已黄耆湯。418.桂枝加芍薬湯。419.小青竜湯・苓甘姜味辛夏仁湯。420.香蘇散。421.清肺湯。422.桂枝茯苓丸。423.黄連解毒湯。424.柴苓湯。425.滋陰至宝湯。426.四逆散。427.半夏白朮天麻湯。428.麦門冬湯。429.牛車腎気丸。430.苓桂朮甘湯。431.当芍散・当帰四逆加呉茱萸生姜湯。432.女神散・加味逍遥散。433.柴胡桂枝湯。434.苓甘姜味辛夏仁湯。435.桃核承気湯。436.加味逍遥散。437.八味地黄丸。438.温清飲。439.呉茱萸湯。440.当帰飲子。441.人参湯・真武湯。442.柴胡桂枝乾姜湯・桂枝茯苓丸。443.柴胡桂枝湯。444.半夏瀉心湯。445.当芍散・当帰建中湯。446.桂枝湯・桂麻各半湯。447.半夏厚朴湯。448.当帰四逆加呉茱萸生姜湯。449.小建中湯。450.大黄牡丹皮湯。451.五苓散。452.加味逍遥散。453.清上防風湯・荊芥連翹湯。454.当帰飲子。455.当芍散。456.半夏白朮天麻湯。457.桂枝加芍薬湯。458.加味逍遥散。459.防已黄耆湯。460.桂枝茯苓丸。461.人参湯。462.黄芩湯。463.桂枝去桂加茯苓白朮湯・半夏白朮天麻湯。464.桂枝茯苓丸。465.五苓散。466.補中益気湯。467.牛車腎気丸。468.加味逍遥散。469. 酸棗仁湯。470.桃核承気湯。471.小柴胡湯加桔梗石膏。472.桂枝加黄耆湯。473.黄連解毒湯。474.麻黄附子細辛湯。475.八味丸。476.小建中湯・甘麦大棗湯。477.帰耆建中湯・小建中湯。478.消風散・越婢加朮湯。479.防已黄耆湯。480.防已黄耆湯。481.啓脾湯。482.柴竜湯。483.四逆散。484.加味逍遥散。485.桂枝茯苓丸。486.真武湯。487.五苓散。488.桂枝茯苓丸。489.当芍散。490.桂枝人参湯。491.苓姜朮甘湯。492.小建中湯。493.人参湯・十全大補湯。494.桃核承気湯・大柴胡湯。495.五苓散。496.呉茱萸湯。497.柴竜湯。498.加味温胆湯。499.人参湯。500.真武湯。501.麻黄附子細辛湯。502.黄連解毒湯。503.温清飲。504.荊芥連翹湯。505.桂枝茯苓丸.506.加味逍遥散。507.当帰四逆加呉茱萸生姜湯・当帰芍薬散。508.桂枝湯。509.五苓散。510.柴朴湯.511.桂枝加朮附湯。512.芍薬甘草附子湯。513.苓甘姜味辛夏仁湯。514.当帰四逆加呉茱萸生姜湯。515.三黄瀉心湯。516.麻子仁丸・潤腸湯。517.黄連解毒湯。518.桃核承気湯・桂枝茯苓丸。519.桂枝茯苓丸。520.消風散。521.六味丸。522.五苓散。523.牛車腎気丸・芍薬甘草附子湯。524.当帰四逆加呉茱萸生姜湯。525.麻黄附子細辛湯。526.桂枝加葛根湯。527.柴胡桂枝乾姜湯。528.苓桂朮甘湯。529.香蘇散。530.女神散。531.啓脾湯・真武湯。532.当芍散。533.女神散。534.桂枝加竜骨牡蛎湯・加味逍遥散。535.小青竜湯。536.柴胡桂枝乾姜湯。537.清心蓮子飲。538.加味逍遥散。539.白虎加人参湯。540.通導散。541.桃核承気湯・三物黄芩湯。542.八味丸・芍甘黄辛附湯。543.釣藤散。544.呉茱萸湯。545.防風通聖散。546.牛車腎気丸。547.当帰四逆加呉茱萸生姜湯。548.疎経活血湯。549.八味丸。550.補中益気湯。551.十全大補湯。552.大承気湯。553.半夏瀉心湯。554.柴竜湯。555.当帰湯。556.黄耆桂枝五物湯。557.桂枝芍薬知母湯。558.桂枝二越婢一湯。559.茯苓四逆湯。560.腸癰湯。561.芎帰調血飲。562.苓桂朮甘湯。563.二朮湯。564.五苓散。565.温清飲・立効散。566.桂枝加厚朴杏子湯。567.補中益気湯・柴芍六君子湯。568.抑肝散加陳皮半夏。569.乙字湯。