大曲皮フ科ニュース
 

 

 


2012年2月1日号

スポーツをする人のスキンケアA 

前回に引き続き、国立スポーツ科学センター内にあるクリニックに勤務されている皮フ科医の先生のご著書から、抜粋してご紹介します。

このクリニックでは、トップレベル競技者のスポーツに伴う外傷や疾病に対する診療を行っているそうです。殆どの競技は素顔で行い、特に一流選手は写真やテレビに映ることが多いので、スキンケアに対する意欲が高いそうです。

 

★スポーツ種目別の皮フトラブルA★

《バスケットボール》

接触プレーがあり、運動量が多いため発汗が多く、アトピー性皮フ炎の皮疹の悪化を見ることがあります。最近のユニフォームは袖なしなので、わきの脱毛やわきが予防の相談が女子からあります。手を使うので、手の湿疹はステロイドテープなどを利用してよくコントロールしておくことが重要です。爪のトラブルが多いので、爪の切り方や靴のサイズ・形の選び方をお話します。

 

《ラグビー》

対人接触プレーも多く、皮フの外傷が多く、閉鎖療法で早くきれいに治すことが重要です。土のグランドでのプレーが多いので二次感染対策を考慮します。紫外線対策も重要です。自分の体をセルフケアするように教育されている種目なので、皮フ疾患にも関心が高い選手が多いため、スキンケアはハードなスポーツのひと時の気分転換になっているようで、ふともものマラセチア毛包炎、ニキビ、ミズムシ、癜風、外傷後瘢痕、アトピー性皮フ炎、蕁麻疹など、受診機会も多いようです。打撲部に痛み止めのシップ剤を貼付することが多いので、(特にモーラステープの場合は)光アレルギー予防のために剥がしたあとに日光に当たらないように日焼け止めを塗布するなどする必要があります。

 

《高校野球》

手のタコは、右打ちなら左手、左打ちなら右手に多いです。多汗症、保湿ケアをしている選手では軽度でした。爪割れは、投手の第2・3指に多く、左投手に発生率が高いのは、左投手の方が変化球を多く投げるため、と考えられています。マニキュアで予防している選手もいますが、正しい塗り方を知らない選手も多いようです。アトピー性皮フ炎は投手にやや多く,それ以外の顔の皮フ疾患は捕手に多くみられました。これは野球場の設置方向のため(捕手は南を向いていることが多い)と考えられるので、捕手の紫外線対策は大切と考えました。

《剣道》

素足で行うため、足の湿疹が乾燥・摩擦により悪化するので、ひび割れが出来て痛くならないように保湿ケアが必要です。手の湿疹や、装具によるムレによる異汗性湿疹は、特にアトピー性皮フ炎がある場合に多いです。精神修養的要素が大きいので自己管理が早く出来るようになり、かえってスキンケアを自分で出来るようになりアトピー性皮フ炎が良くなったという子供もいるそうです。寒い道場ではしもやけが良く見られます。

 

《山岳/登山》

高地では紫外線が強くなるので、紫外線対策が必要で、日焼け止め以外に帽子、衣服などによる対策を行います。靴によるマメなどのトラブルは、靴の指導などの予防はもちろん、起こることを想定してキズパワーパッドなどを携行する必要があります。手湿疹、夏の虫刺され、冬はしもやけ・凍傷があり、予防・治療が必要です。

 

《柔道》

素手、素足で行うので、手足の皮フトラブルは多いですが、小さい頃から自分でケアする方法を身に付けている選手が多く、痛みが強い場合、処置の仕方について質問がある場合のみ相談を受けることがあります。女子では競技と無関係なにきびなどの個人的な疾患で受診されることが多いです。

 

《スケート》

低温と風による皮フの乾燥が問題になるので、保湿ケアが必要で、ぴったりフィットしたウェアを着るので大腿部のマラセチア毛包炎、胸や背のにきび、衣類によるかぶれなどが見られます。

 

《スノーボード》

紫外線対策・保湿ケアが必要です。ファッションを重視する選手が多いので、ピアスなどによる金属アレルギーなどが見られます。

 

《ゲートボール》

元気な方は何時間でもプレーするので、紫外線対策が必要で、紫外線感受性の高くなる内服薬を常用している方も多いです。寒い時期には保湿ケアも若い人以上に必要です。

★運動選手の寒さによるしもやけ・凍傷★

予防としては、寒い時期に練習する環境を変えることは良く行われますが、温度較差の少ない方がよいようです。女子では、月経異常や月経困難症を合併している場合に婦人科で治療するとしもやけも軽快することが多いです。汗をこまめに拭き、靴下や手袋が濡れたら早めに取替え、手足・耳を着衣で防寒します。きつめの靴は趾の血流が減少するので避けます。治療に用いるビタミンEは植物油に多く含まれているので、予防的に寒くなる前に多めに料理に使用することが有効です。

 

                 スポーツと皮膚(文光堂、上田由紀子著)より抜粋