大曲皮フ科ニュース
 

 

 


2012年1月15日号

スポーツをする人のスキンケア@ 

 

スポーツを行う環境は、紫外線、汗、水、風、暑さ寒さなど皮フにとってきびしい環境のことが多く、これらの環境条件から受ける皮フのダメージを最小限に抑えることは、美容的なだけでなく、プレーに専念するためにも重要のようです。今回は、国立スポーツ科学センターに勤務されている皮フ科医の先生のご著書から、興味深い所を抜粋してご紹介します。

 

★スポーツ種目別の皮フトラブル@★

 《水泳》

プールの中に長時間いるので、角層がふやけて剥けるため練習後に皮フの乾燥感を訴える選手が多いです。競泳の選手は、少しでも水の抵抗を少なくするため体毛を剃ることが多いですが、皮フの弱い選手では乾燥や痒みのきっかけになるので、なるべく回数を少なくし剃った後に保湿クリームをつけるように薦めます。日本では室内プールで練習も試合も行うことが多いが、海外では屋外プールで競技会が行われることが多いので紫外線対策も必要です。芸術点の重要なシンクロナイズドスイミングでは、日焼けすると体が小さく見えて演技も小さく見えてしまうので、強力な日焼け止めの使用希望をされた方がいました。ただ、手で日焼け止めなどのクリームを塗ると自分のてのひらにクリームが残り、そのため手で水がつかみにくくなるため競技しにくくなるそうです。耐水性のあるメイクは、素肌の美しさがあってこそ映えるものですが、若さや疲れからくるニキビや乾燥肌から生じる敏感肌のスキンケアの相談も皮フ科医の仕事と考えています。

 

プールで行う競技の選手の髪は塩素の影響で黒い髪が褐色になることがあり、特にスピードが速い競泳の選手では、水の機械的刺激による髪の毛小皮の破壊で金髪になることがあります。もともと金髪やグレーヘアーの選手は緑色の髪になることが知られており、これは外国のプールで使用される銅イオンによるものとされます。

 

《ゴルフ》

一日中コースを回るので、顔・首・手・脚などに日焼け止めをラウンド中も塗りなおしが必要で、サンバイザー・帽子・日傘なども必要です。歩く距離が長く、アップダウンも多いので、靴が足に合っていないと、マメ、タコ、陥入爪、爪下の血マメなどが生じます。

 

《陸上競技》

一番多いのは足のマメです。強い日光皮フ炎は、グランドにいる時間が長い投擲種目や、跳躍、短距離系の選手に多く、練習が早朝や夜に比較的短時間(1-2時間)行われることが多いマラソンの選手には少ないです。風による皮フの乾燥が多く、保湿・紫外線対策が必要です。夏に熱くなったアスファルトの上で転ぶと挫創(皮フが割れて口が開いたキズ)+熱傷になることがあり、この場合は早期に充分な冷却が必要です。

 

《サッカー》

選手の年齢層に関係してニキビやアトピー性皮フ炎が多く、戸外のスポーツなので保湿や紫外線対策を必要とします。主に足を使う種目なので、足の疾患(ミズムシ・爪ミズムシ・イボ・陥入爪など)でトレーナーの方から相談を受けることがあります。手がきれいな選手が多いです。サッカークラブに属する小学生の4割にすね当て部の皮フ炎の存在あるいは既往があり、皮フ炎の存在あるいは既往がある学童は全員四肢を中心にドライスキンが認められ、(すね当てに対するアレルギーではなく)刺激によるアトピー性皮フ炎の悪化と考えられています。

 

《バレーボール》

室内競技で、接触プレーもないので、個人的な問題に限定され、手の湿疹、足のマメ、陥入爪・爪囲炎・爪下の血マメなどの爪のトラブル、テープやサポーターなどの装具によるかぶれ、ニキビなどが多いです。ニキビに関しては、汗をタオルでよく拭くことが多いことも関与しているようです。

 

★髭剃り負け? 実は金属アレルギーだった!★

近年, ピアスなどのアクセサリーや歯科金属による金属アレルギーがよく知られるようになり、その疑いがある場合には、パッチテストを行います。特に大きな大会の前には、疲れもあって、皮フ症状が強くなり、縁起ものとして身につけている金属のアレルギーが心配になる選手、歯の調子が悪いということで歯科医から確認がある選手など、パッチテストをする機会が増えます。

 

(略)最近、よく反応が出るのは、ニッケル、クロムなどアクセサリーの中に含まれている金属や、歯科金属に使うパラジウム・インジウムなどです。電気カミソリの刃は、メーカーによって材質が違いますが、ニッケルでできているものが多いので、髭剃り負けと思っている選手の中にニッケルアレルギーの方が含まれる場合があり、カミソリを替えると大丈夫ということもあります。選手は、髭もゲンをかついで伸ばしたり、剃ったりするようですが、髭剃り負け、という言葉も縁起が良くないので、どうも髭を剃ると肌の調子が悪い、と感じている選手は、近くの皮フ科医にご相談ください。もし、金属アレルギーと診断された場合には、アクセサリーを選ぶときには、デザインだけでなく、何の金属でできているかも確認してください。

 

 

               スポーツと皮膚(文光堂、上田由紀子著)より抜粋