大曲皮フ科ニュース
 

 


2011年4月号

良くなったら、中止する? 続ける? 

 

かぶれや、虫刺されなど、原因がはっきりしている病気は、原因から遠ざかれば良くなるので、症状がなくなれば、薬は中止して結構です。しかし、アトピー性皮フ炎や、慢性蕁麻疹など、原因不明で、長くかかる病気に関しては、薬を使って一旦良くなったら、その薬は中止して様子をみたほうが良いのでしょうか?それとも、つけたり飲んだりする頻度を減らして、続けたほうが良いのでしょうか?

 

★アトピー性皮フ炎の外用薬の場合は?★

アトピー性皮フ炎の方の皮フは、赤くて盛り上がった湿疹が治っても、皮フの色の盛り上がり、ふけのような皮剥け、乾燥、肘や膝の裏などの色素沈着が残っていることが多いです。これらは、たとえかゆみがなくなっていても、湿疹の反応が続いていることが多いのです。

 

最近注目されている付け薬の付け方に関する論文をご紹介します。アトピー性皮フ炎の患者さんが、ステロイド外用薬によって湿疹が良くなった後に、湿疹がない時期にも週に2-3日程度同じ強さのステロイド外用薬を塗る(図b)方法です。良くなったら、ステロイドを塗らずに保湿剤だけを塗る(図a)よりも湿疹が悪くなる頻度が減りました。しかも、ステロイドの副作用が増えなかったので、安全な治療法であることがわかりました。また、やはりアトピー性皮フ炎に有効な、プロトピック軟膏®(タクロリムス)についても同様の効果を認められています。さらに、プロトピック軟膏®については、図bの方法の方が、湿疹が落ち着いているために、入院することがなくなったり、受診が減ったりしたために、医療費が7-30%減少すると報告されています。

 

 

★具体的な付け方は?★

ステロイド外用薬の場合は、湿疹が悪くなった時のつける回数は、1日1〜数回です。良くなったら付ける回数を徐々に減らしていきます。うまくいけば、2日に1回、3日に1回と減らせる回数まで減らします。この過程で湿疹が悪くなったら、その程度に応じて回数を増やします。

 

週に1-3回で維持出来たり、アトピー性皮フ炎の場合は冬・夏に悪化しますので、春・秋などに一旦中止したり、より弱いステロイドに切り替えることが出来る場合もあります。

 

プロトピック軟膏も同様で、湿疹が悪くなった時は1日1-2回から始めて、徐々に減らすことが出来る回数まで減らしていきます。

 

★じんましんの内服薬の場合は?★

1ヶ月以上原因が不明の蕁麻疹が続くものを慢性蕁麻疹と呼び、蕁麻疹患者さんの54%を占めます。長く痒み止め(抗ヒスタミン剤)の飲み薬を続けなければなりません。しかし、蕁麻疹は、多くの場合、数日薬を飲むと良くなることが多いために、薬を飲むのを中止してしまい、再発してしまうことがあります。

 

慢性蕁麻疹が長く続いている患者さんを3つに割り振って、それぞれ1・2・3ヶ月間、エバステル®という抗ヒスタミン剤を毎日続けて飲んで頂き、効き目があって痒みがなくなった方々だけに、その後3ヶ月間、痒くなった時だけに飲んで頂くようにお願いしました。その結果、痒み・赤みとも、事前に飲んで頂いた期間が長いほど、つまり1ヶ月より2ヶ月、2ヶ月より3ヶ月の方が、再発が少なかったのです。

 

つまり、蕁麻疹の飲み薬は、効き目があって痒みがなくなっても、3ヶ月など、ある程度長い間飲み続けることによって、その後、薬を飲まなくなっても、再発しにくくなるのです。副作用がなくてご自分に合っている様なら、中断されず、辛抱強く続けて内服されることをお勧めいたします。

 

★じんましんに効く漢方薬とは?★

慢性蕁麻疹の患者さんの90%には、抗ヒスタミン剤の飲み薬がよく効きますが、残りの10%の方々は効きにくく、この場合に漢方薬が有効なことがあります。

 

   化膿体質や、体力中程度の場合は・・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

   胃腸が丈夫で肩凝りがあったり、風邪で悪くなる場合は・・葛根湯(かっこんとう)

   ストレスで悪くなる場合は・・柴苓湯(さいれいとう)

   女性で、ストレスで悪くなる場合は・・加味逍遥散(かみしょうようさん)

   むくみや口の渇きがある場合は・・茵ちん五苓散(いんちんごれいさん)