大曲皮フ科ニュース
 

 


2011年1月号

アトピー性皮膚炎に効く小児鍼とは

 

小児鍼(しょうにばり)は、主に大阪地方で発達した子どものための痛みのない鍼の手技で、鍼治療の発祥とされる中国にはない日本独特の手技です。子供の皮膚に軽い接触的刺激をおこなうもので、当院採用の大師流小児鍼の他に、米粒状の突起のついた鍼で押したり、ぎざぎざのある歯車状のものをころころ回転させる方法などもあります。どの方法も、弱刺激が合う小児の肌にちょうど良く、気持ちのよい方法です。

 

実際の治療は?

全身の皮膚を、鍼先を当ててまっすぐ擦ることを1秒間に2-3回位のリズムで繰り返します。擦られた感覚は、爪先で引っかく感覚をやや鋭くした感じです。使用する鍼は、五寸釘に似ていて、元々釘のように皮膚に立てて黄色い球の部分を叩いて、皮膚をトントンマッサージするためのものを転用したものなので、鍼先は傷が付かないようにある程度鈍化させてあります。小さいもので、黄色い球部以外は手に隠れますので、子供に恐怖を与えません。

擦る時間は、0才で1分未満、3才で2-3分、7才で5分、12才で7分程度です。柔かめの皮膚の場合はやや短時間、硬めの皮膚の場合には、やや長めの時間がちょうど良いことが多いようです。また、楽しい話をしながら行う方が有効のようです。泣いている子は、親御さんに抱っこしてもらって背中を主体としてやや短めの時間行い、終わったら楽しいプレゼントをあげます。

 

効き目のある病気は?

疳の虫(かんのむし)が最もよく効く病気です。疳の虫とは、生後3カ月位から5才位までの小児が引き起こす種々の症状に対する俗称で、主な症状は、夜泣き、キーキー声を出す、よく人に咬みつく、所かまわず頭をぶつける、よく泣く、食欲がない、便秘、下痢、しばしば熱をだしたり咳をしたりする、ヒキツケを起こす等です。現代医学的には、小児神経症の一種とされています。

その他、アトピー性皮膚炎、夜尿症、小児喘息、扁桃腺炎、気管支炎、肩こり、頭痛、結膜炎、中耳炎、鼻炎、蓄膿症、筋肉痛、成長痛、捻挫、打撲、腹痛、チック症、吃音などにも有効で、ストレスに対する反応としての、心身症的な疾患に効きます。

機序としては、皮膚への軽く快い刺激が脳の中枢へ伝わり、疳の虫などのストレスに基づく症状を和らげ、また、自律神経系を介して内臓疾患にも効くと考えられています。

 

アトピー性皮膚炎の小児鍼治療は?

じくじくした皮疹を避けて擦ります。アトピー性皮膚炎の皮膚は、赤くなくても皮膚はざらざらして硬めのことが多いのですが、治療によって皮疹が消退した時点では、実はかなり柔かい皮膚の子が多いようで、やや弱めに擦った方が良いようです。背骨、肩の前側、膝の外側に、他の部位より皮膚のやや硬い所が見られる事が多く、そちらをやや多めに擦り、ある程度軟らかくなったら有効なことが多いです。かゆみの減少、おちつきが出てきて、眠れるようになり、食欲も増進してくることで有効性を判定し、短期的には半日〜3日間位効果が持続する様です。さらに、体質改善を目標とすると、週13回の施術で、13年位の来院を要するようです。当科では、鍼治療をされても、初診・再診料に含めており、特別な料金は請求していませんので、お気軽にご相談下さい。

 

アトピー性皮膚炎の掻き壊しに対する工夫とは?

アトピー性皮膚炎は痒みが強く、掻かないために外用・内服薬を使うのはもちろんですが、それでもつい知らずに掻き壊してしまうことが多いです。傷を作ると汗や雑菌からの刺激物質が皮フの中に入り込むために皮膚炎の悪化が起こり、さらに激しく掻き壊してしまい、悪循環が始まります。少しかわいそうですが、かかない為に、強制手段が大変有効なことがあります。

 

   包帯。掻破痕の多い部位や、じくじくする赤みには付け薬を塗ったガーゼを貼りつけ、その上から伸縮包帯を巻き、太めのテープで留めて、固定のためのネットをかけます。

   筒。プラスチックや段ボールで筒を作り、肘に通しておくと、肘が曲がらないので掻けなくなります。

   袖、裾。夜間睡眠中に掻き壊すことが多いので、パジャマの袖、裾を幅広のサージカルテープで絞っておくと有効です。さらに,パジャマの上着の正面をテープで留めておき、ズボンの上から手が入らないように、上着をズボンの中に入れた上からテープで留めておきます。

     手袋。すぐに外れないように靴下で代用したり、手袋をテープや紐で固定します。または、たとえ掻いても外側と内側の生地が空滑りして直接外力が加わりにくい二重式手袋「ドクターミトンかゆいっこ」(日本パフ(株))を使用します。

 

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