こないだ僕は空を見て、星や月や太陽を眺めて思った
     「でっかい石ころだな」
      そんでもって道端の石ころを見て思うんだ、
     「あんたもその昔そんなところにいたんだねぇ」って。
      そこでまた思うんだ。
     「いずれまたどっかにいくんだろうねぇ・・・・・・」

     

       先日、久しぶりの友人と再会した。
      噂じゃ東京で働いているって耳にしていたんだけど、
      今はイタリアでコックをやっていた。
      風のような人と、よく言われるが、未だかつて
      彼女を超えるほどの風に出会ったことはない。

      毎日パンを焼き、パスタとデザートを作っているそうだ。
      毎日イタリア人と喧嘩し、笑い、泣いているそうだ。

      そんな彼女の今の悩みは、永住するかしないかだ。
      彼氏との結婚の話がそろそろらしい。

 

 

      

       さて、僕は今、貯金なんてしているのだ。
      たぶんフィレンツェへの往復切符を手にするまでは
      途中でギターに寄り道することを考えると
      10年くらいかかるだろうな。

      だけど、アメリカに行って、次はアフリカへ行きたくなったんで、
      もし彼女がコックからシェフになるころ、
      ひょっこり旅路で顔を出すのも悪かないでしょう。

       その日最後に残った数人で吉野家の牛丼を食べた。
       東京にいたとき随分お世話になったらしい彼女の希望で。
       その後彼女は「早くフィレンツェに帰りたい」と叫んで
       ばいば〜いと札幌から走り去っていった。

 

       彼女は本当に風のような人なのだ。
       誰かが言ったように、閉じ込められると、消える、
       そんなような人だ。

        そんなわけで僕はその日の帰り道、空を見上げたのさ。

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