長いこと混沌とした生活の中で、ふと突然何がしかの糸が
     途切れることがある。


    1999年10月
     いいかげん物思いに耽るのも飽きて、道草気分で飛び出したある朝、
     そのまま僕は逃避行への密かな計画を立て始めた

     当時某山頂展望台で働いていた僕は時に雲の上から、
     またそれが夜になるにつれ、人工的な地上のプラネタリウムに変わるまで、
     幾度となく光というものに圧倒された

     ただ、山の上にたってもなお、空を見る、ということも実感した
  
     地上の星達と、空の星達、 生活と…宇宙…その狭間で…

 

       ミステリートレインにでも乗り込んで、
       メンフィスについたらピストル買って頭をぶち抜こう

 

     …だが実際、人っ子一人としていなかった

     計画などは水の泡。
     たどり着いたのは無人の駅から遠く離れたちっぽけなホテル
     待ちわびたイエローキャブはついにはやってこなかった…
     そしてその夜一晩中熱にうなされることになる

   ※著作権の関係上、両画像ともぼかしてあります

      帰りの列車の中、旅の友にと手に入れた
      サリンジャーのペーパーバックを読みながら
      なんだかどうしようもない気持ちになった

      ふと車窓から外を見やれば
      まるで心とは裏腹な雲ひとつない湿度0%の秋晴れ

      そんな中、ヘッドホンステレオを巻き戻しては
      何度も何度も聴いていたエルモア・ジェイムス…

      あの荒々しいシャウトな唄声と、
      突き刺さってなお突き抜けていくかのようなスライドギター

         もしかしたら、こんな晴天の日に、
                               The Sky is Crying は生まれたのかもしれない…